FRB(米連邦準備制度理事会)は10月30日まで開いたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、米国債やMBS(住宅ローン担保証券)を月850億米ドル(約8兆3,300億円※1米ドル98円で算出)購入する、現行の量的金融緩和策(以下、量的緩和)を維持することを決めた。 FRBは2008年のリーマンショックにより不良債権化したMBS(住宅ローン担保証券)の買い入れや米国債3000億ドルの買い入れなど総額1.7兆ドルもの買い入れによりB/Sをリーマンショック以後の3年間で3.2倍も拡大させた。それにより米国内の失業率の急増を何とか安定化させ、景気対策として雇用創設にドル安誘導による輸出産業を刺激する政策とが相俟って緩やかに景気が上向いている。 同時期の日本は白川日銀による「自律的」な金融政策が採られ、米国並みの金融政策(米国はこれを「非伝統的金融政策」と呼んだ)を行わなかった。米国並みということなら米国の経済規模は日本のほぼ3倍だから数十兆円の金融緩和策を実施しなければ円高になるのは自明の理だったことになる。 しかし日本の金融当局は円高を維持してFRBが買い入れていた米国債の手伝いをして日本も米国債買い入れを行った。それによりますます円高は進行し、日本経済に対して景気動向のマイナス要因となった。 バーナンキからイエレンに移行するFRBは金融緩和縮小策へ移行するとされいた市場の見方を払拭して、目標としていた2.5%のインフレと6.5%を下回る失業率を達成しても直ちに金融緩和策を転換することはないと表明した。 それにより米国株式市場は未曽有の1万6千ドルの大台に乗せ、さらに金融投資市場を刺激している。日本もそれに倣えという声が金融投資市場から湧き上がっているが、日本の経済を米国経済をお手本とした金融経済主導型にするのか判断の待たれるところだ。 米国は失業率が改善したとはいえまだまだ7.5%の高水準にあり、フードスタンプに生活を依存する人数は過去最大を更新し続けている。それは日本の生活保護者数が過去最大を更新しているのと酷似している。 企業が国内投資よりも労働市場の安価な海外へ移転している限り、国内経済は空洞化の流れにある。それの日米ともに共通の悩みだ。だからこそ、日本政府は日銀が「異次元金融緩和」策に踏み切るのと軌を一にしてUターン投資減税を異次元に行うべきだ...