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トクマクの首根を抑えたウクライナがクリミア半島を奪還する目途がついた。

<ウクライナ軍がロシアの占領していた南部ザポリージャ州の要衝地であるロボティネを奪還した。これを機に、6月初旬から始まった大反転攻勢に弾みがつくかに関心が集まっている。   ウクライナ国防省は28日、ソーシャルメディアの「X」(旧ツイッター)を通じて「本日ロボティネの解放が公式確認された」とし、先週この戦略的な地域にウクライナの国旗を掲げたと明らかにした。ウクライナ軍は、先週この集落を奪還したが、ロシア軍掃討作戦を終えこの地域に対する完全な統制権を確保した後、これを公開した。  6月初旬に始まった反転攻勢で軍事的に意味のある成果を出せずにいるという指摘が続く中、南部戦線で際立つ成果を収めたことになる。ウクライナとロシアはこの2カ月間、ザポリージャ州南部の最前線都市オリヒウから南に約12キロ離れたこの集落をめぐって一進一退の攻防を続けてきた。   ウクライナ国防省はこの日、ロボティネで青と黄色のウクライナ国旗が翻る映像と共に、ザポリージャ戦闘で知られた第47機械化旅団の兵士たちのインタビューも公開した。今回の作戦を率いた匿名の司令官は、ロイター通信に「ウクライナが南部で最も厳しいロシア軍防衛線を突破したので、これからはもっと速く進撃できると信じている」と語った。   その言葉の通り、ロシアはこの地域に地雷と対戦車障害物で構成された三重の防衛線を張り、ウクライナ軍の攻勢を阻止してきた。このため外国メディアはロボティネ奪還を、ウクライナ軍がロシア軍の最初の防衛線を突破したかどうかを判断する基準としてきた。   ウクライナ軍の次の目標は、ロボティネから南西に20キロメートルほど離れた交通の要衝地トクマクだ。この都市は南部最大都市メリトポリやアゾフ海の主要な港湾都市ベルジャンシクと幹線道路でつながっている。ウクライナ軍が今回の反転攻勢の目標を達成するには、トクマクを奪還した後、南部の主要都市であるメリトポリやベルジャンシクを攻略しなければならない。ウクライナ軍がこの二つの都市を占領すれば、クリミア半島から東部ドンバス(ドネツク・ルハンシク州一帯)まで続くロシアの南部占領地の主要地を断つことになる。   ウクライナのハンナ・マリャル国防次官も同日、自身のテレグラムチャンネルを通じて、ウクライナ軍がオリヒウから南東に7キロ離れたマラトクマチカ村側への進撃にも成功していると明らかに

人材育成に国はもっと予算を。

< 韓国より低い大学進学率  教育というのは、国の根幹である。  教育が行き届いている国、教育が進んでいる国のほうが、産業は栄えているし、国力は充実している。それは古今東西の国々の状況を見れば明らかである。  特に高等教育というのは、国の行く末を左右するとも言える。  国民が充実した高等教育を受けられているかどうかが、その国の未来を表しているのだ。  その高等教育の充実度をはかる基本的な指標、「大学進学率」を見てみたい。  大学進学率において、日本はOECDの調査対象30カ国の中で21位で48%である(図表1)。これはOECDの平均よりも約10ポイントも低く、隣国の韓国よりも低い。日本人は、いろんな面において「韓国よりは上だ」考えているようだが、国の根幹である教育分野においても、日本は韓国に劣り始めているのだ。  このデータにはフランス、アメリカが含まれていないが、両国とも大学進学率は60%を超えており、日本よりは高い。またドイツは日本より低くなっているが、それは伝統的に大学と同等の専門学校が多いためである。統計によっては、この専門学校も大学に含まれることがあり、ユネスコの統計ではドイツの大学進学率のほうが日本より高くなっている。  しかも正確な比較はできないが、日本は中国からも抜かれていると推測されている。  日本は急速に少子高齢化が進んでおり、子どもは少なくなっているのだ。にもかかわらず、その少ないはずの子どもたちにまともに教育を受けさせることさえしていないのだ。 高等教育に国がお金を出してくれない  図表2は、高等教育費(義務教育以上の教育費)に国や自治体がどれだけ費用の負担をしているのかの割合である。  日本はOECD33カ国の中でワースト2位であり、高等教育費の32%しか財政による支出はされていないのだ。  OECDの平均が66%なので、なんと半分以下である。  またイギリスやアメリカをはじめ欧米の場合、寄付の文化があり、大学などの高等教育機関に寄せられる寄付金も多い。しかも、キリスト教など宗教団体が、大学などを運営しているケースも非常に多い。そのため純然たる家計による支出は、かなり抑えられているのだ。  日本の場合、寄付の文化もなく、宗教団体運営の大学なども少ないので、国が負担しなければすぐさま家計による支出の増大に結びつく。  日本の大学進学率が低いこ

無理筋のマナイ保険証をゴリ押するよりも、喫緊の政治課題はあるだろう。

<「メリットが乏しい」──。来秋に予定されている現行の保険証の廃止について、厚労省が出したコスト削減試算に医療関係者から「物言い」がついている。   ◇  ◇  ◇  厚労省は保険証廃止に伴うコスト削減について、①マイナ保険証の利用登録率が現状より進む場合と、②利用登録率が現状のままの場合の2パターンに分けて試算。利用登録率が65~70%に達するとした①では削減額が100億~108億円、利用登録率が現状の52%のままとした②では同76億~82億円──とはじき出した。24日の社会保障審議会医療保険部会で示した。  一見すると、保険証廃止によるコスト削減のメリットが大きいように見えるが、実はそうでもない。全国保険医団体連合会(保団連)は25日、厚労省の試算について検証。次のように指摘している。 〈2021年度概算医療費は44兆2000億円となる。資格確認書等を発行・交付した場合の厚労省試算に基づく削減額(約100億円)は、医療給付全体のわずか0.023%に過ぎない〉  岸田首相は今月4日の総理会見で、マイナ保険証を普及させるメリットについて「従来の健康保険証に比べ、発行コストあるいは保険者の事務負担は減少する。これは当然のことだと思っています」と胸を張っていたが、医療費全体からしてみればコスト減は極めて小さいのだ。さらに保団連は、厚労省が推計している現行の保険証発行にかかるコスト235億円を引き合いに出し、〈医療給付全体だとわずか0.053%に過ぎない〉と指摘。〈健康保険証の発行・交付は万一のケガや病気の際にもいつでもどこでも医療が受けられる大前提となる経費であり、保険証廃止で経費削減になったとしても医療給付が滞る事態を招くことは本末転倒である〉と喝破している。 ■国民皆保険制度が揺らぐ事態  保団連の竹田智雄副会長(竹田クリニック院長)がこう言う。 「極めて粗い試算とのことですが、それにしても、保険証廃止によるコスト減は微々たるものです。さらに言えば、マイナ保険証を持たない人に交付される資格確認書について、保険者側が被るシステム管理や人手などのコスト増は考慮されていません。そもそも、国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う

世界はBRICsの台頭による「民主主義vs権威主義」という二項対立に向かっているのではない。

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< <途上国・新興国をBRICSに向かわせる原動力とは> ・BRICSには20カ国以上の途上国・新興国が加入の意思を正式に表明している。 ・先進国との対立が鮮明になる中ロがメンバーのBRICSに加入を目指す国が多いことは、長年の南北対立の帰結である。 ・先進国が「敵か、味方か」と二者択一を迫ることは、グローバルサウスの警戒心を強めてBRICSに接近させる原動力になりかねない。 BRICSプラスへの道  8月22日から南アフリカでBRICS首脳会合が開かれる。最大の議題の一つがメンバー国の拡大、通称BRICSプラスの発足だ。  すでに20カ国が公式に参加の意思を表明しており、そのなかにはサウジアラビア、アルゼンチン、インドネシアなど先進国と良好な関係の国も少なくなく、バイデン政権が2021年から開催している民主主義サミットに参加している国も含まれる。  ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字をとったBRICSは、先進国主導の国際秩序と距離を置く新興国の集まりだ。中ロとそれ以外の3カ国の間に温度差はあるが、いずれもロシアのウクライナ侵攻を公式に批判していない。  今年のBRICS首脳会合では、ドルに代わる国際取引の決済手段も議論されるとみられている。これもアメリカ主導の世界への挑戦といえる。  このグループに多くの国が参加を希望することに、疑問を抱く人もいるかもしれない。  しかし、実は不思議でも何でもない。グローバルサウスには多かれ少なかれ先進国への不信感があるからだ。そこには第二次世界大戦後に多くの途上国が独立して以来、約70年におよぶ確執がある。  ただし、まとまった内容を語ろうと思えば一冊の本になってしまうので、ここでは以下の3点に絞って整理しよう。 ・標準化に対する拒絶反応 ・二大陣営に分裂した世界における選択の余地 ・冷戦期と異なる高い流動性 「合わせろ」圧力への抵抗  第一に、根本的な理由として、標準化の圧力があげられる。  その古典的なものが自由貿易だ。経済学の標準的なテキストでは自由貿易がお互いの利益になると説かれている。  しかし、冷戦時代から途上国の間では、自由貿易が先進国の利益を大きくするものとして警戒されてきた。  まともに競争力ある産品を輸出しあえば、先進国から多くの製品は入ってくるが、途上国のなかでも貧困国には農作物や天然資源以

米国を米国民の手に取り戻せ。

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< 共和党州で屈辱のマグショット一般公開  中立リベラル系NPRは「トランプの終わりの始まり」とコメントした。  保守系ウエブサイトは「トランプはこれで政治的な司法当局と戦う殉教者となった」と言い張った。  右と左が真っ向から対立する米国は、亀裂の深さをマグショットという「リトマス試験紙」に対する反応で改めてあらわにした。  すでに刑事被告人になっているドラルド・トランプ前米大統領(77)は8月24日、2020年大統領選の南部ジョージア州での敗北を覆すために州当局に違法に干渉したとされる事件の起訴後の手続きのため、同州フルトン郡の拘置所に出頭した。  罪状は、反社会組織に適用される「組織犯罪処罰法」(ROCO)違反など重罪13件だ。  トランプ被告が起訴され、事実上逮捕されたのはこれが4件目になる。だが今回はその衝撃度でこれまでの3件とは異なっていた。  今回は「レッドステート」(共和党支配州)の南部ジョージア州の法規*1に沿って、トランプ被告の「マグショット」(警察用ID顔写真)を撮影し、直ちに一般公開したからだ。  しかも連邦地裁での公判とは異なり、ジョージア州での公判では有罪になっても大統領権限による恩赦はない。  言い換えると、トランプ被告や他の大統領候補のなかには、当選したらトランプ被告らを恩赦すると明言しているが、連邦裁ならともかく、州裁にはその権限は及ばないからだ。公判はテレビ中継されるのではないか、という情報もある。  トランプ被告は、ここでは全くの「裸の王様」。逃げ場はない。  顔写真の左上に「フロリダ州フルトン郡法執行官オフィス」の印が押されたマグショットは直ちに世界中に発信された。 *1=ジョージア州やフロリダ州などの「レッドステート」(共和党支配州)は、起訴された刑事被告人に対しては指紋採取とともに「マグショット」(正面、側面の顔写真)の撮影および公開が「公共記録法」で規定されている。ブルーステート(民主党支配)のカリフォルニア、マサチューセッツ各州では顔写真の公開は禁止されている。ワシントン特別区、フロリダ州連邦地検ではトランプ被告の顔写真撮影は「容易に判別できる」などの理由から免除されていた。  顎を引っ込め、いくぶん斜に構えたトランプ被告の表情は、不当な扱い(だと主張する)に対する憤りと憎しみと、どこまでも司法当局と対決しようとする恐ろ

環境ファシズムが高コスト社会を形成する。

<自治体指定のごみ袋の値上げを巡り、各地で論争が起きている。自治体側は値上げによるごみ減量を期待する一方、生活に密着する費用の負担増へ強い反発がある。選挙の争点となる例もあり、専門家は「自治体は値上げの必要性や見込まれる成果をしっかりと示す必要がある」と指摘する。 「物価や電気代が上がり、家計は厳しい。ほっとした」。愛知県瀬戸市の介護職の50代女性は表情を緩めた。  昨年3月、市議会で45リットルの燃えるごみの袋10枚を180円から3倍近い500円に変更する条例を可決した瀬戸市。処理施設を共同で使う近くの自治体と比べて多いごみ排出量減を狙った。今年9月から実施予定だったが、4月の市長選で値上げ凍結を訴え、初当選した川本雅之市長が「待った」をかけた。  昨年、プラスチックごみ分別収集を新たに導入しており、川本氏はこれを受けてごみは減り始めていると指摘。就任後の6月、値上げ凍結の条例改正案を市議会に提出し、1票差で可決され、価格維持が決まった。「値上げしなくてもごみを減らせる。減量ペースが落ちないよう取り組みたい」。川本氏は力を込める。  ごみ問題に詳しい東洋大の山谷修作名誉教授(環境政策学)によると、処理施設の老朽化や焼却用燃料の高騰などから、多くの自治体でごみ処理費用が増加している。指定ごみ袋を値上げした自治体では、実施から2年後には燃えるごみが1人当たり年間で平均約40キロ減ったとする環境省のデータもある。ごみ袋の製造コストも上昇。今年4月から値上げした北海道北斗市や広島県三次市など指定ごみ袋の価格変更を図る自治体が相次ぐ。  ただ、議会で賛否が割れるなどして、思惑通り進んでいない自治体も目立つ。浜松市は今年の9月議会への条例案提出を見送り、年内に改めて判断することにした。ごみ減量推進課の鈴木浩之課長は「市民目線で家計への影響を見ながら、検討を続ける」と言う。  長野県飯田市は昨年4月、製造業者から指定ごみ袋の50円アップは避けられないとの見通しを伝えられた。現在、補助金で価格を維持している。「財源の問題もあり、いつまで補助を続けられるかは不透明」(担当者)と明かす。  山谷名誉教授は「値上げによる収入の使い道を、自治体が明確に示すことが合意形成につながる。処理費用が圧縮されれば、住民サービスを手厚くできる」と指摘。ごみ減量には値上げだけではなく、古紙収集袋を全戸

中国の経済崩壊により一部の国際投資は日本へ向かっている。

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<中国のバブルが崩壊した場合、日本への影響はどのような形で生じ、どの程度のものとなるだろうか?  不良債権化する可能性が高いのは理財商品だが、日本の個人や金融機関のこれへの投資はほとんどないだろう。したがって、それが不良債権化しても、直接の影響を受けることはないだろう。  これは、リーマンショックの時と同じ状況だ。日本の金融機関の、モーゲッジの証券化商品への投資はほとんどなかった。だから、直接の影響はなかった。当時の経済財政担当相が「蜂がさした程度」と言ったのもそのためだ。少なくとも2008年の夏頃まで、日本では米国の金融危機が対岸の火事だと思われていた。  しかし、リーマンショックは、経済の屋台骨を揺るがすほどの甚大な影響を日本に与えたのである。影響は、貿易を通じて生じた。自動車を中心として日本の対米輸出が急減し、結果的には戦後の日本で最大級の経済危機になったのである。  鉱工業生産指数(10年=100)で見ると、リーマン前のピークである08年2月には117.3に達していたが、09年2月には76.6にまで低下した。その後回復したものの、13年7月の指数は97.7だ。つまり、ピークより17%ほど低い水準である。  前回述べたように、中国の不良債権の規模は米国金融危機の場合より大きくなる可能性がある。したがって、バブルが崩壊した場合の日本経済への影響は無視できないだろう。  中国のバブルは、ある意味では米国のバブルの継続だ。米国でのバブル崩壊に対応して中国が景気刺激策を取り、その結果が今の状態だからだ。つまり米国住宅価格バブルに端を発した21世紀の世界的経済変動は、いまだ収束していないと言える。 中国景気刺激策終了で対中輸出が減少  中国の場合も、日本への影響は、中国への輸出が減少することを通じて生じるだろう。実は、これはすでに生じていることだ。これについて以下に述べよう。  リーマンショック後、米国への輸出が激減した反面で、中国に対する輸出は顕著に増加した。これは、中国政府が、08年11月にGDPの16%に相当する4兆元(約57兆円)という空前規模の景気刺激策を取った結果、公共事業、住宅建設、都市開発事業などが爆発的に増加したからだ。そして対中輸出の増加が、日本経済がリーマンショックから立ち直るうえで重要な役割を果たした。  ところが、12年6月頃から中国への輸出は

多国化する崩壊後の中国。

<習近平総書記(国家主席)率いる中国共産党政権は、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受け、日本産水産物の輸入を全面的に停止した。国際原子力機関(IAEA)は「(放出計画について)国際基準に合致する」と評価しており、中国は科学的根拠もなく理不尽な「反日カード」を切ってきたといえる。この背景の1つに、中国の不動産危機が巨大な金融危機、経済危機に発展しつつあり、共産党政権批判の目先を変えたい思いもありそうだ。蔡英文総統の台湾に迫る新たな危機。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、中国経済崩壊と「台湾有事」の相関関係に迫った。 中国の経済崩壊は、台湾問題にどう影響を及ぼすのか。  国民の不満をそらすために、習主席が武力侵攻する可能性は排除できない。だが、私はむしろ「平和的統一」のシナリオが現実味を帯びてきたのではないか、とみる。それは「もう1つの台湾危機」だ。  不動産バブルが崩壊した中国は生産者物価や消費者物価が下落し、景気後退とデフレが同時進行する本格的な景気停滞に突入した、との見方が強まっている。となると、数年来、ささやかれてきた「台湾侵攻」はどうなるのか。  武力侵攻が懸念された理由の1つは、「中国の国力は近い将来、ピークを迎えるので、習氏はその前に台湾を奪おう、と考えるだろう」とみられたからだ。背景には、1人当たりの国民所得が1万ドル(約145万円)を超えた辺りから、経済成長が壁にぶつかる「中所得国の罠」という考え方もあった。  だが、実際には、早くも経済は崩壊の危機に瀕してしまった。これまで強引な政策で覆い隠してきた矛盾があふれ出てきたからだ。  先週のコラムで紹介したように、米シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所」のアダム・ポーゼン会長は極端に揺れ動いた新型コロナ政策によって、国民の消費・投資意欲が減退し、財政金融政策も効果が薄れた、と指摘している。西側企業がサプライチェーンを見直した結果、輸出も振るわなくなった。  となると、中国は景気を立て直す手段がなく、停滞の長期化は必至だ。つまり、「ピーク前の武力侵攻論」は前提が崩れている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と違って、習氏は良く言えば「慎重」、悪く言えば「臆病」でもある。大言壮語の類は数知れないが、言葉通り発動された例はほとんどない。  むしろ心配なのは、「平和的統一への策謀」である。誤解のないよう

習近平氏が躺平族に? ーー外国投資は中国から日本へシフトしている。

<中国では「躺平」(寝そべり)という態度が蔓延している。サボタージュ、何をやっても無駄、報われない、という無気力の姿勢を意味するキーワードで、数年前から流行語化している。何か不条理な状況にあったとき、抗議などをすると、挑発罪、社会擾乱罪、ひどい場合は国家政権転覆煽動罪などで逮捕される可能性があるので、自分の身を守るためには何もしない、抵抗もしないのが一番、という処世術ともいえる。  何もしないこと自体が、一つの抵抗のアクションという見方もある。だが、8月に入って、習近平自身が「躺平」している、というもっぱらの評判だ。北京、河北、東北の大洪水対策にも存在感を示さず、北戴河会議での動静も不明だった。およそ3週間メディアの前に姿を現さず、3週間ぶりにメディアに登場した、南アフリカ国事訪問とBRICS首脳会議出席という外交ニュースにおいても、どこか弱々しく精彩を欠いている。  一説によると、この数週間、習近平は誰にも会いたくない、と部屋にこもりがちで、なにもしない「躺平」を決め込んでいたという。党と国家の最高権力者にして独裁者、頂点を極めた我が世の春のはずの習近平が「躺平」とは、これいかに? 習近平に何が起きているのか。 美人キャスターとの不倫など幹部人事混乱  7月ごろから、中国体制内で次々と異変が起きていた。美人キャスターとの不倫がうわさされた当時の外相・秦剛の1カ月にわたる動静不明と突然の解任、解放軍ロケット部隊の司令、政治委員ら幹部を総入れ替えした人事。続いて台風5号による歴史的な大水害。その被害に苦しむ人民が各地で抗議を行い、官民衝突が起きている中で、8月8日から15日まで共産党中央の非公式会議、北戴河会議が行われた。  さらに8月半ばに発表された7月の経済指標は歴史的な悪さだ。外資企業の投資家の債券保有量は7月に370億元減少し、3兆2400億元に下がった。第2四半期の外国企業の中国への直接投資総額は49億ドルで、これは前年同期比87%減。1998年以来の最大の下げ幅で、外資断流に匹敵するといわれた。  企業は次々とデフォルトしている。特に不動産市場では折から破産の危機が噂されていた恒大集団に次ぐ大手民営不動産企業・碧桂園のデフォルト危機が表面化した。さらには投資信託国有大手の中融信託の支払い遅延問題が発生。これは2019年の安信信託破綻事件に続く大事件で、中国

不満だらけの日本を建て直すために、国民が政権交代可能な野党連合を作らなければならない。

<ガソリン価格の高騰が止まらない。政府、与党は9月から石油元売り会社への補助金を拡充し、同月末の期限を少なくとも年末まで延長する方針を固めたが、ガソリンへの支出額が東京や大阪の最大4倍にもなる地方では、価格高騰が常態化すれば家計に大打撃となる。価格高騰が続いた際に税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除を求める声も根強い。  2022年1月に始まった補助金は今年6月から段階的に縮小されている。政府、与党は小売価格を9月から引き下げられるよう、算定方式の見直しなど制度設計を急いでいる。制度の延長幅は年末までか年度末までが軸となる。  レギュラーガソリンの平均価格が1リットル当たり160円を3カ月連続で超えた場合、ガソリン税の暫定税率分(25・1円)の課税を停止するトリガー条項の凍結解除は見送るという。  第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは「家計負担を減らすという観点や費用対効果から考えれば減税のほうが効果的だ。補助金は元売りに入るため100%小売価格に反映されるかが不透明になる。シンプルなトリガー条項凍結解除が望ましい」と指摘する。  総務省の家計調査で20~22年の都道府県庁所在地や政令市別の年平均ガソリン支出額をみると、最も低い大阪市と2位の東京都区部がそれぞれ年間130リットル台、金額は1万9000円台だった。一方、支出額がトップの山口市は約613リットルで約8万9400円、山形市が約589リットルで約8万5600円が続いた。東京・大阪と比べて4倍超だ。  山口県の大内一也県議(国民民主党)は「有権者からも『ガソリンが高い』との声があり、家計を圧迫しているようだ。大都市に比べて公共交通機関も少なく、車がないと暮らしていけない人も多い。山間部に住む高齢者も少なくないが、免許返納率は低く、車への依存度が高い。ガソリン価格は家計にとって死活問題だと実感する」と語った。  トリガー条項を発動した場合、国と地方合わせて約1兆5700億円の税収減になるという試算もある。だが、前出の永濱氏は「現状の国内総生産(GDP)成長率からみて、税収が大幅に上振れする可能性が高いため十分にカバーできる。ガソリンの負担軽減策は地方に恩恵を与えることになるので、支持率回復や次期衆院選の側面から考えても効果的だ」と強調した>(以上「夕刊フジ」より引用)  トリガー条項の発令をこ

ロシア後に多くの民族国家が出現する。

<ロシアが始めたウクライナ侵略のせいでロシアは国家解体の危機に瀕している。これがプリゴジンの乱以降、ロシアで起きている新しいダイナミズムだ。これは歴史的な激動に繋がるかもしれない。  ロシアは3日程度で勝利する計画でウクライナに攻め込んだが、軍事的には常に劣勢を強いられてきた。人的な犠牲と経済的コストは急増している。  その上、開戦以来ロシア国民は勝利を祝う機会を手にしていない。言い知れぬ不満が鬱積している。  ロシア国営テレビで常連の男女3人の宣伝隊長の厳しい顔つきと怒声がそれを物語っている。プーチン大統領とロシアには鬱憤を晴らす機会が今どうしても必要だ。  その最中に、プーチン政権にとってはトンデモナイ方向に議論が動き始めた。鬱憤を晴らすどころではない。それはロシアが崩壊に向かっているという議論だ。プーチン支持派のロシア国民にとっては全く受け入れられない深刻な議論が始まったようだ。 瀬戸際に立つロシア  ロシア戦略問題の専門家である米国人ジェイソン・ジェイ・スマート氏はプリゴジンのクーデター未遂に動揺したプーチン大統領は「23年間の在任中で最も弱体化した」とメディアで論じた(’Russia’s collapse and Ukraine’s victory is approaching’ Jason Jay Smart 05.07.2023)。この発言には手厳しいものがある。  「プリゴジンの乱以降、ロシアはかつてないほど崩壊の瀬戸際に近づいている。大統領のリーダーシップの完全な欠如が政権に致命傷を与えた。ロシアの治安組織も崩壊し国内の混乱を鎮めることができない。オリガルヒたちは封建領主のように互いに争うようになり、マフィア国家であるロシアはそれを止められない。  ……ロシア経済は悪化の一途をたどっており、ルーブルは対ドルで今年44%、過去1年で75%近く下落した。徴兵された若いロシア兵は自分と家族が生きてはいけない程度の給料で死地に追いやられている。一方、プーチン大統領は、陰謀、弱体化する経済、不穏な軍部、混乱する国内政治への対応で手一杯だ。こんな惨めで哀れな政府を命がけで守ろうとするロシア人はいない」  ニューアーク・ラトガース大学のウクライナ、ロシア、ソ連が専門のアレクサンダー・モティル教授はつい数日前、プーチン大統領が開始したウクライナ戦は当のロシアを弱体

習近平氏は決して鄧小平氏を越えない。

< 歴史的な崩壊が起きている  中国当局が8月に公表した一連の経済数値からは、今年7月において中国経済が崩れていることはよりいっそう鮮明となり、地滑り的崩壊が現実に起きていることが分かる。  まずは中国指数研究院が7月31日に発表した数字だが、7月において、中国では「百強房企」と呼ばれる、売上上位100位内の不動産開発大手の売上総額は前年同月比で34.1%減。前月比では33.8%減。それは、不動産市場の崩壊が加速化していることを鮮明に示した数字である。  中国税関総署が8月8日に発表したところでは、7月、中国の対外輸出(ドル建て)は前年同月比で14.5%減となり、2020年3月以降で最大の下落幅なのである。今年1~7月の中国の輸出は前年同期比で5%減となっているから、中国経済を牽引する「三大の馬車」の一つとされる対外輸出は完全に失速している。その一方、7月の輸入も12.4%減となっているから、国内需要は大変な勢いで落ち込んでいることは分かる。  そして中国国家統計局が8月9日に発表した数字では、今年7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.3%下落した。それは。21年2月以来、2年5カ月ぶりの低下である。同じ9日の国家統計局発表によると、7月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比で4.4%下落となったという。CPIとPPIの同時下落、特に生産者物価指数の10ヵ月連続下落は当然、中国経済がすでにデフレに入っていることを示している。  中国人民銀行(中央銀行)は8月11日、一つびっくり仰天の重要数字を発表した。7月の新規人民元建て銀行融資は3459億元(478億ドル)であって、6月の3兆0500億元からは89%減となったという。「89%減」とは、中国人自身の言葉で言えば、まさに「断崖絶壁からの飛び降りのような急落」である。  中国政府が経済刺激策として金融緩和を実行している最中にもかかわらず、銀行新規融資が前代未聞の9割減となったことは、国内企業が一斉に生産拡大や投資拡大をやめたことの結果であって、無数の企業が生産停止・廃業・倒産に追い込まれたことの結果でもある。それは当然、今後における中国経済の歴史的な転落の発生を意味するのであろう。 そして本命の不動産も火がついた  こうした中で、8月10日、不動産開発大手の碧桂園は今年1~6月期の純損益が最大550億元(約1兆

政府は対中海産物禁輸措置を取れ、そして解決策として「蒸散方式」を検討せよ。

<東京電力・福島第一原発の処理水の放出をめぐり、中国が日本の水産物の輸入をきょうから全面禁止したことを受け、岸田総理は中国側に禁止措置の即時撤廃を求める申し入れを行ったと明らかにしました。 岸田総理  「外交ルートで先ほど、中国側に対して(輸入禁止の)即時撤廃を求める申し入れを行いました。(処理水の)海洋放出の影響について、科学的根拠に基づいて専門家同士がしっかりと議論を行っていくよう、中国政府に強く働きかけてまいります」   岸田総理はこう述べたうえで、放出によって水産事業者が損害を受けないよう、東京電力による賠償も含め、万全の体制をとっていくと強調しました。 また、韓国ソウルの日本大使館が入るビルに海洋放出に反対する大学生が侵入したことについて、「現地警察当局に警備強化を要請した。当局とも協力しつつ、適切に取り組んでいきたい」と語りました>(以上「TBS」より引用)  近隣諸国が福一処理数の海洋放出に反発するのは理解し難い。福一原発地下に溜まり続ける汚水をALPSで放射性残留物が国際基準以下に処理し、それを海洋放出するというものだから、少なくとも国際機関で安全性を確認しないで海洋放出している韓国や、汚染水を垂れ流しにしている中国よりは安全なはずだ。  しかし日本に僅かでも瑕疵があれば針小棒大に騒ぎ立てるのが隣国の気質だ。まったく幼児じみた気質だが、それでもマトモに付き合うつもりなら汚染処理水の海洋放出ではなく、蒸散方式で処理できなかったのだろうか。日本政府の「汚染水海洋放出・一択」という頑迷な態度にも幼稚性を感じざるを得ない。  地上タンクの設置が満杯だから海洋放出、ということのようだが、なぜ50万トン級のタンカーを建設して処理済み汚染水をタンカーに一時置き場として積み込もうとしなかったのだろうか。そうすれば処理水の海洋投棄をしなくて済んだはずだ。  その上で、蒸散方式を検討すれば良かったはずだ。ALPSで処理してもトリチウムが残留するわけだが、トリチウムは皮膚も通過できないため、外部被ばくによる人体への影響はなく、たとえ体内に入っても水と一緒に最終的に排出されるため、体内で蓄積・濃縮されることはない。そういうことから安全性は確認されているのだが、風聞に属する「安心」はなかなか得られないかも知れない。  岸田氏は「外交ルートで中国側に対して(輸入禁止の)即時撤廃

習近平氏が夢見る中国。

<中国の不動産大手、中国恒大集団が米国で連邦破産法15条の適用を申請した。  米連邦破産法15条は外国企業に適用されるが、外国企業が債権者の差し押さえなどから米国内の資産を保護するために申請する。恒大集団は2021年12月にドル建て債の債務不履行(デフォルト)に陥っているので、この申請には意外感はない。  恒大集団は形式的にはケイマン島法人で香港市場に上場している。そのバランスシート(貸借対照表)をみると、21年12月末は資産2・1兆元(約42兆円)、負債2・6兆元(約52兆円)で0・5兆元(約10兆円)の債務超過だった。、22年12月末は資産1・8兆元(約36兆円)、負債2・4兆元(約48兆円)で0・6兆元(約12兆円)の債務超過だ。  欧米の常識なら、表面化した財務諸表で債務超過になった場合、既に自国において破産申し立てがあり、裁判所が破産認定をしているはずだ。例えば、リーマン・ショックとは、多額の損失を計上したリーマン・ブラザーズが米連邦破産法11条の適用を申請し、08年9月15日に破産している。しかし、中国ではそのような公式の手続きはまず期待できない。  恒大集団をめぐっては地元の中国広東省が支援をして、今年3月に外貨建て債務の再編計画が発表されたが、企業集団全体の再建計画もはっきりせず、外貨建てに限っても再編計画で合意したのは一部にとどまっている。筆者の見立てでは、恒大集団は外貨建て再編計画を有利に運ぶために、米国破産法15条の申請をしたのではないだろうか。  普通に考えれば、恒大ショックは、他の不動産会社に飛び火し、それらの資金調達を支えていた金融のシャドーバンキング(影の銀行)にまで波及し、それは地方政府の資金調達手段である地方融資平台にまでおよび、地方政府の「隠れ借金」が顕在化するだろう。  しかし、恒大ショックでも分かるように、まともな財務諸表や破産法制がきちんとワークしないのが中国である。中国にも破産法制は形式的には存在するが、先進国では債務超過であれば、ほぼ自動的に破綻申請は裁判所に受理されるのに中国では受理されない。となると、不良債権や破産処理のための法的整理・資本注入などが透明性を持って行われる可能性は少ない。その場合、いつまでたっても不良債権のウミは出ないで、経済取引が停滞する。  不動産業は関連企業を含めれば中国の国内総生産の3割にもな

Jアラート騒動は何のための茶番か。

<北朝鮮が弾道ミサイルの可能性があるものを発射しました。政府は午前3時54分に沖縄県を対象にJアラート=全国瞬時警報システムで、建物の中、または地下に避難するよう呼びかけています。   北朝鮮当局は海上保安庁に対して、24日の午前0時から31日の午前0時までの期間に「衛星ロケット」を打ち上げると通告していました。 北朝鮮は南に向かって、黄海、東シナ海、フィリピンのルソン島の東の3か所に危険区域を設けていて、部品などが落下する可能性があります。 また、政府は、南西諸島など日本の領域を通過する可能性があるとみていて、自衛隊の部隊に対しては破壊措置命令が出されています。 沖縄県の陸上自衛隊那覇駐屯地、宮古島、石垣島、与那国島に地対空誘導弾=PACー3の部隊が展開しているほか、東シナ海には迎撃ミサイルを搭載したイージス艦が派遣され、迎撃の態勢をとっています。   防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表しました。 海上保安庁は船舶に対して、今後の情報に留意するとともに落下物を認めた場合は近づくことなく、海上保安庁に通報するよう呼びかけています>(以上「yahooニュース」より引用)  午前四時過ぎにテレビを点けると通常報道ではなく北朝鮮が「ミサイル様のもの」を打ち上げたと繰り返し報じている。北朝鮮は24日の午前0時から31日の午前0時までの期間に「衛星ロケット」を打ち上げると通告していた。それを打ち上げただけなのだろうが、日本ではJアラートを発令して大騒ぎしている。曰く「ミサイル様のロケット」を発射したから「沖縄地方の人たちは屋内に入って、ミサイルの通過に備えよ」という。  バカも休み休み言うものだ。本当に北朝鮮が南へ向けて「攻撃ミサイル」を発射したのなら、防衛省は直ちに迎撃態勢を発令して、北朝鮮から飛翔して来る「ミサイル」をレーダーで捉えて迎撃すべきだ。「家屋に入っていろ」と警報を発令して何の役に立つというのだろうか。  そもそも北朝鮮は人工衛星を打ち上げる、と発射時間と発射方向を事前に通告している。それに対して防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した、と説明している。  弾道ミサイルも人工衛星打ち上げも、大して変わらない。ただ地球周回軌道へ投入するには一定の速度が必要で、弾道ミサイルは周回軌道投入速度以下でなければ

「CO2地球温暖化」というプロパガンダに騙されるな。

< どうなった?地球温暖化問題。整理しておきたい13の真実  多くの人が感じていることですが、今の日本人はかなり幼児化して、思考力を失っていると思います。原因の1つはテレビで、事実の報道がなされず、実質的にフェイクニュースで流れること、政治家が政治的な信念ではなく、次の選挙を考えて「日本のために」より、「次の選挙のために、環境などは良いと思うことを言っておこう」という言動をとることが主な原因と思います。 その一例を整理してみたいと思います。  1988年に突然、「地球が温暖化する」ということがアメリカから発信され、その年のうちに国連にIPCCという地球温暖化を扱う機関ができるという騒ぎになりました。この地球温暖化という問題を整理してみます。 1,地球は今、氷河時代で、多細胞生物が誕生してからもっとも気温は低い 2,現在は氷河時代の中の間氷期にあり、あと1,000年ぐらいは温暖な気候が続くと予想されている 3,20世紀に入り、1940年までは温暖、それから1970年まで寒冷、そしてその後、温暖と気温は高くなったり低くなったりしている 4,1970年まで寒冷だったので「寒冷化に備える」という研究が行われていた 5,1988年にアメリカ議会の上院で「これから温暖化する」という演説が行われた。学会ではない 6,その時に予想された温暖化予想温度は、30年たった現在、まったく違っているので、計算は間違っていた 7,石油、石炭などを燃やすと温暖化ガス(CO2)がでることから、環境団体と原子力推進団体が強力に推進した 8,ヨーロッパ諸国はアジア諸国にエネルギーの使用制限をかけることによって経済発展を抑制しようとした。 9,1997年に京都会議が行われ、CO2の排出抑制が決まったが、実質的に守ろうとしたのは日本ただ1か国だった(拙著「環境問題はなぜウソがまかり通るか」) 10,その後、日本だけがエネルギー抑制を行い、税金を80兆円使用した。これは納税者一人当たり120万円に相当する 11,世界全体の気温は15年ほど前から、大都市を除きほぼ変わっていない 12,大陸国は影響を受けやすいが、海洋国家は海洋性気候なので気温の変化は少ない 13,トランプ大統領が新しい温暖化規制をするパリ条約を離脱したので、日本のマスコミは騒いだが、もともと言い出したアメリカは1回も規制をしていない  などを

インドのIT大国への道を阻むもの。

< 「世界最大の民主主義国家」は本当か  聖なるガンガー(ガンジス河)で沐浴する人々で有名な北インド東部ウッタル・プラデーシュ州のバラナシに来た。気温35度とうだるような暑さだが、大通りはひとであふれ、インド的な喧噪はすさまじい。  ナレンドラ・モディ首相のポスターをあちこちに見かける。街ゆく人は「モディさんはよくやっている。来年の総選挙は彼のインド人民党(BJP)に入れるよ」と語る。それもそのはず、バラナシは国会議員でもあるモディ首相(出身は西部のグジャラート州)の選挙区だ。 「(インドは)世界最大の民主主義国家」とインドの指導者はことあるごとにいう。もちろん中国とは違うと言いたいがためだ。だが、選挙で政権交代がありえる民主主義国家ではあっても未熟な面は否めない。  北東インドでミャンマー国境と接するナガランド州。昨年の地方選では、直前に道路が舗装され、与党のインド人民党が勝利した。民主主義と言っても票をモノで釣る姿勢は露骨だ。  インドの最貧地域といえる同州に1年住んだ日本人は、「ミャンマーに接しているせい か、顔つきは日本人そっくり。キリスト教地域でカーストの階級差別はなく、教育水準も高い。ヒンディーなまりのデリーのインド人よりよほどきれいな英語を話す」という。 形骸化する政教分離の原則  モディ首相の選挙区バラナシでも80億ルピー(約360億円)をかけて、ヒンディー教寺院が建設された。その竣工式にモディ首相は出席し、繰り返し寺院建設がいかに大切かを説き続けた。宗教的な対立からパキスタンと別々に分離独立せざる得なかったインドはその反省から1947年の独立以来「政教分離(世俗主義)」が国是だ。  だが、与党インド人民党の政治家は宗教行事への出席になんの抵抗感もない。なにしろヒンディー教徒は10億人の大票田だ。対抗するように野党の国民会議派の幹部たちもヒンディー寺院を訪問するようになっている。「政教分離」の伝統は崩れ去ろうとしている。  ヒンズー教徒におもねるように、最大の宗教的ライバルといえるイスラム教徒への「弾圧」が加速している。インド人民党が政権を取っているウッタルプラデーシュ州では、2021年11月に「違法改宗禁止条例」が施行された。イスラム教徒男性と結婚するヒンズー教徒女性がイスラム教に改宗することができなくなってしまった。強まるばかりの「ヒンディ・ナ

いかなる意匠を纏おうと、有料イベントや有料花火大会は「興行」でしかない。

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<大阪での音楽フェスティバルで観客に胸を触られたとして、韓国の女性アーティストがSNSで被害を訴え、フェスの主催者が21日、容疑者不詳のまま不同意わいせつと暴行の容疑で大阪府警に刑事告発したと発表した。府警は、いずれも20歳の男性2人を任意で調べている。 繰り返される性被害者の非難 識者「財布が見えたら盗んでいいのか」  X(旧ツイッター)アカウントで被害を訴えたのは、韓国で活動する「DJ SODA(ソダ)」さん。今月11~13日に大阪府泉南市であった「MUSIC CIRCUS’23」の最終日に出演した。  告発状によると、告発されたのは観客の男性2人と女性1人。DJ SODAさんがステージを下りて観客席との間の柵に近づき、観客とハイタッチなどをしてパフォーマンスを続けていた際、男性1人と女性に胸を触られ、もう1人の男性に右腕をつかまれるなどしたという。  DJ SODAさんは14日、写真とともに「私が公演の最後の部分でいつものようにファンの方々に近づいた時、数人が突然私の胸を触ってくるというセクハラを受けました」「あまりにも大きな衝撃を受けて未(いま)だに怖くて手が震えています」「DJをしてから10年経ちますが公演中にこんなことをされたことは人生で初めてです」などと日本語で投稿した。  主催したイベント運営会社「TryHard Japan」(大阪市中央区)は21日、大阪市内で記者会見し、「DJ SODAさんの意向というよりも、主催者として犯罪行為を許せない」と告発の経緯を説明。当時の警備態勢について「課題があったのは事実で、検証した上で改善する」とした。平岡陽一社長は「結果的にDJ SODAさんの安全を守れず、道義的責任を感じている」と述べた。  DJ SODAさんの投稿後、露出度の高い服装のせいではないかなどという反応がSNSなどであり、DJ SODAさんは「私がどんな服を着たとしても、私に対してのセクハラと性的暴行は正当化できない」と投稿した。同社などは「誹謗(ひぼう)中傷や差別的発言がSNS上などに散見され、場合によっては厳重な法的対応をする」としている>(以上「朝日新聞」より引用)  さすがは朝日新聞だ。日本と日本国民を誹謗・中傷するニュースを積極的に取り上げる一方で、「事件」の顛末に関してはスルーしている。  DJ SODAなる女性が舞台上のDJブースか

国民情報のマイナカード化よりも、まずは国家組織のIT時代に見合う組織改革から始めよ。

<マイナンバーカードのひも付けトラブルをめぐる“狂騒”に終わりが見えない。政府は8日、マイナンバー情報総点検本部を開催。ひも付けミスに関してまとめた中間報告では、新たなミスが発覚した。岸田首相は11月末までに個別データの点検を進めるよう指示し、年内に沈静化を図ろうとしているが、「国民の不安」は一向に解消されない。マイナ制度に詳しい憲法・情報法の専門家は、相次ぐトラブルや政府の対応をどう見ているのか。   ◇  ◇  ◇   ──中間報告では、マイナ保険証に誤って他人の情報が登録されていたケースが新たに  1069件、公務員などの年金を運営する「共済組合」でもマイナンバーと年金情報のひも付けミスが118件確認されました。政府は今後、ひも付けに関するガイドライン作成や人手を介さないひも付け作業のデジタル化など、再発防止策に着手する予定です。  遅きに失したとはいえ、ガイドラインを作成しないよりはましですし、ひも付け作業のデジタル化に取り組む姿勢を示したことは評価できます。ただ、気になるのは、中間報告の中に〈国民の信頼回復に向けた対応〉として、〈カード取得の円滑化〉〈マイナ保険証の利用の促進〉が盛り込まれたことです。  ひも付けトラブルが続出した原因の分析と再発防止が総点検に期待される役割のはずですが、マイナカードによる行政側のメリットを広報することが信頼回復につながるとは考えにくい。あくまでも中間報告なので、最終報告ではトラブル原因の分析・総括を期待したいですね。  ──ひも付けトラブルが後を絶ちません。  そもそも、1つの番号や1枚のカードに個人情報をひも付けることによって、個人が想定していなかった機関に情報が共有されたり、情報を提供した意図とは違う文脈で使われたりする恐れがないように、いかに制度や運用をコントロールするかが、憲法や情報法の分野における問題意識でした。  足元で起きているトラブルは他人の情報がひも付いてしまうという、従来から懸念されてきた問題とは別次元かつ想定外の問題です。少なくとも技術的には、間違いなくひも付けできるシステムが構築されている認識だったので、どのように個人情報のひも付けを規律するかという、法的な課題以前の初歩的なトラブルが相次いだことには正直、驚きを禁じ得ませんでした。 ドイツでは違憲主張のコミッショナーが監督しています  ──先の

戦争利権屋が構築する米韓同盟に日本を引き摺り込むな。

< 髪を染めても欧米人にはなれない  キャンプ・デービッド山荘での日米韓首脳会談は、歴史的な「東アジア版クアッド」を構築した。  中国が苛立っていることは想像に難くない。  中国の外交の最高責任者、王毅国務委員は会談に先立ち、こう吐き捨てるように言っていた。 「東アジア人がいかに髪を金髪に染めようとも、低い鼻を整形して高くしようとも、しょせん欧米人にはなれない」 「人は自分のルーツがどこに繋がっているか知っておく必要がある」  日韓の米国との共有する価値観を基盤とした安全保障、経済安保での完全一体化には限度があることを突いたのだ。  日韓ともに、そのへその緒は中国を師とする漢字圏文化、儒教思想と繋がっている。だから中国とは離れられないという自信を示したのだろう。  国家とは、第三国からの脅威から守るために言語や習慣、文化、人種を乗り越えて同盟関係を結ぶという、近代社会のパターンを全く知らない王毅氏でもあるまい。 韓国の尹錫悦大統領を褒めちぎる米メディア  米メディアは総じて、今回の3首脳会談をポジティブに報じた。  ワシントン近郊のキャンプ・デービッド山荘での首脳会談で、日米韓の3か国連携強化に向けて新たな決意を固めたことで、「新たな時代の幕開け」と評価した。  特に、韓国の尹錫悦大統領が北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の軍事的台頭など変化する戦略的環境への危機感を背景にしたとはいえ、日韓両国の足かせとなってきた慰安婦や元徴用工などの歴史問題を乗り越えたことで日米韓首脳会談の定例化ができたことを特記した。  一向に支持率の上がらないバイデン大統領だが、キャンプ・デービッドでの成果を米メディアは称賛している。  ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、デイビッド・ブルックス氏はこう指摘する。 「高齢問題とか(次男ハンター氏の裁判沙汰など)いろいろな問題を抱えるバイデン氏だが、経済は上向きだし、(日米韓3か国の同盟強化など)アジアでも国際問題をてきぱきと解決させており、外交的成果は再選に向けたプラス要因になっている」 「民主党は、強い候補を持っており、ラッキーだ」 政権交代があっても公約は維持できるか  ところが、東アジア、特に日韓のこれまでの外交の軌跡に詳しい米外交専門家やジャーナリストは、3か国の政権交代後も今回合意した数々の約束事を維持できるか疑問視している。  外交

日米韓の軍事同盟など虚構だ。

<「新しい時代の幕開け」と宣言された、日米韓首脳会談。日本外交団は1泊3日、滞在27時間の弾丸日程でした。会談の狙いは? “なぜ、あれは…”のギモンに答えます。 ■“初づくし”会談…「キャンプ・デービッド」選んだバイデン大統領の狙いは?  3首脳がそろって「新しい時代の幕開け」と宣言した日米韓首脳会談。ある外務省幹部は「『初づくし』の会談」と異例ぶりを強調した。 1つ目の「初」は、会談場所。 バイデン大統領が選んだのは、首都ワシントンDCでなく、大統領の別荘「キャンプ・デービッド」だった。バイデン大統領が外国首脳を別荘に呼んだのは、就任以来「初」。首都ワシントンDCから北西に100キロ、車で2時間ほど離れたキャンプデービッド。日本でいえば、軽井沢の別荘地といったところか。  アメリカ側は「最も重要な会談にしか使われない」(米政府高官)と強調、日本側は「大統領のおもてなし」(官邸関係者)と歓迎した。 2つ目の「初」は、会談の形式。 日米韓3カ国の首脳が国際会議以外で、この会議のためだけに集まるのも「初」。「このためだけに、わざわざ太平洋を渡って集まるってことに意味がある」(官邸関係者)のだという。バイデン大統領の狙いについて日米外交筋は、来年大統領選を控え「自分の責任で日米韓を動かした。対中国、対北朝鮮政策で抑止力を高めるという国内向けのアピール」の意味があると分析している。 ■一番やりたかったのは誰? 「日本よりアメリカ・韓国が気合が入っていた」  今回の取材で浮かび上がった“素朴な疑問”について考えたい。  〇素朴な疑問 <1>「一番やりたかったのは誰?」   複数の関係者に「3カ国会談、一番やりたかったのは誰?」と聞いた。 「アメリカが前のめりな感じはあった」(外務省関係者) 「今回は、日本よりアメリカ・韓国が気合が入っていた」(日米外交筋) 複数の外交関係者が「日本より、アメリカ・韓国が前のめりだった」と声をそろえた。それはなぜなのか? ある米政府高官は、日韓関係の改善に向けて「バイデン大統領は、この数年プライベートな多くの関与をしてきた」と説明。「中国と向き合う中で、基盤となる『日米韓の基軸』を固めることができた、という思いが強い」(日米外交筋)との声が出ている。 ■なぜ? 処理水話題にならなかった…「あうんの呼吸」(政府関係者) 〇素朴な疑問&

GXのために年15兆円の支出をするというが、これ以上の増税は沢山だ。

<今年2月に閣議決定した「GX(グリーン・トランスフォーメーション)に向けた基本方針」や、通常国会で成立したGX関連2法を受けて、政府が策定を進めているGX推進戦略について、党のGX関連合同会議は、この推進戦略を審議し、これを了承しました。今後、政府は速やかに同戦略を閣議決定し、GX改革を進めていきます。わが党は、同戦略に基づき10年で150兆円の投資を目指す官民挙げてのGX改革を強力に支援していきます。 GXのグローバルルール形成を主導へ  GX推進戦略を了承したのは、7月19日に行われた、党GX実行本部(本部長・萩生田光一政務調査会長)、内閣第二部会(部会長・神田憲次衆院議員)、経済産業部会(部会長・岩田和親衆院議員)、環境部会(部会長・三宅伸吾参院議員)の合同会議です。  今年2月の「GX実現基本方針」や、通常国会で成立した関連2法により、国は、これまで単年度の投資しかできなかったが、国による複数年度の関与が可能となり、投資の予見性が確保されることになりました>(以上「自由民主ホームページ」より引用)  ヒッソリと自民党のGX関連合同会議が「 [GX]150兆円投資を後押しする推進戦略を了承 」したという。主要マスメディアは殆ど報じていないが、今後10年間でGX(GXとは「企業が、2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みを通じて経済成長を実現し社会システムの変革へ挑戦し協働する場である。事務局は経済産業省、野村総合研究所、博報堂のメンバーがつとめる」というものである)を推進するために、予算を毎年15兆円付ける、というものだ。  国のGDPが500兆円だとすると、実に3%(防衛省予算ですら1%から2%に増額するのに国民の抵抗があるというのに)もの新規支出を容認する、という乱暴な計画だ。カーボンニュートラルがいかに荒唐無稽な「CO2地球温暖化」というプロパガンダであるかを、このブログで散々指摘してきたが、「環境」という言葉に弱い国民と「環境」推しのマスメディアを背景にして太陽光発電を促進して、そのコストを電気料金に上乗せする、という「隠れ増税」でGXを先取りしてきた。  太陽光発電で儲けた輩たちが同様の手口で国民負担増を踏み台にして大掛かりに儲けようというのがGX推進戦略で、そのために「GX経済移行推進機構」なる組織まで設けよるという。早い話が経産省の天下り

GX経済公推進機構(10年150兆円規模の予算)の創設まで政府・自民党は目論んでいる。

<このガソリン価格の高騰は、いつ収まるのか。自民党議員からは「このままでは岸田政権を直撃しかねない」との声が上がっている。  資源エネルギー庁が16日に発表した全国平均のレギュラーガソリン価格は、13週連続で上昇。前週比1.6円高の1リットル=181.9円となった。15年ぶりの高値水準だ。  原因は円安に加え、昨年1月から始まった「ガソリン補助金」が今年の6月から徐々に縮小されていること。高速道路のサービスエリアのガソリンスタンドでは、1リットル=200円を超えてしまった。補助金は9月で終了するため、さらに上昇する可能性がある。  さすがに国民からは窮状を訴える声が続出。夏休みのレジャーで車を使う機会が増え、ガソリン高を実感した人が多かったのだろう。SNSでは〈夏休み、毎日のようにいろんなとこに出かけてるけど、ガソリン代に白目むいてる〉〈ガソリン代高すぎて夏休みも最低限の移動しかせず…〉といったコメントが続出している。  ついに、SNSでは「トリガー条項」がトレンド入り。トリガー条項とは、ガソリンの平均小売価格が3カ月連続で1リットル=160円を超えた場合に、現在「特例」で上乗せされている25円を減免する制度。トリガー条項が発動されれば、自動的に1リットル25円安くなる。東日本大震災の復興財源確保のため現在は凍結されている。 自民党関係者は真っ青  ある自民党関係者はこう言う。 「自民党にとってガソリン価格の高騰は、致命傷になる恐れがある。クルマ社会の地方では一家で3、4台所有している世帯も多い。夏休みで選挙区に戻っている議員は『ガソリンが高すぎる』『何とかならないのか』と訴えられている。このまま放っておけば、さらに批判が上がるでしょう。内閣支持率も下がるんじゃないですかね」  さらに、電気・ガス料金への補助金も、ガソリン補助金同様、9月いっぱいで終わる。生活苦にあえぐ国民からさらなる批判が上がるのは必至だ。岸田首相は大慌てしているらしい。 「岸田官邸は9月中旬に内閣改造を行えば、少しは支持率も回復するだろうと皮算用している。しかし、ガソリンや電気、ガスの価格がこれ以上、高くなったら、それどころではなくなるでしょう。『トリガー条項』の発動を迫られることになるのではないか。でなければ、支持率回復などとても無理でしょう」(官邸事情通)  今後、トリガー条項に注目が集まれ

中国に「福沢諭吉」が生まれないわけ。

< <「脱亜論の提唱者で、日本を東アジア文化の(悪)循環から救った」と評され、中国の知識層に注目される福沢諭吉>  あなたが最も尊敬する日本人は誰ですか」と、知識人の多い中華圏のツイッターユーザーを対象に筆者がアンケート調査してみると、1位は福沢諭吉。 「日本国民を啓蒙した」「大学を設立し、先進的な思想と文化を広めた」などのコメントの中で、際立っていたのは「脱亜論の提唱者で、日本を東アジア文化の(悪)循環から救った」という理由だ。 「東アジア文化」とは儒教文化のこと。古代中国に始まる儒教文化は、特に日本や韓国など漢字文化圏の東アジアの国に深い影響を与えてきた。福沢はこの儒教の教えが日本の近代化を妨げると考えた。  例えば儒教の「公」は、現代の「公民社会」の「公」ではなく、支配者あるいは政府を指す。政府と人民の間には垂直的、身分制的、階層的な関係があり、それは公的領域における水平的な関係ではない、と福沢は指摘した。儒教文化の影響を克服しないと日本人の精神的な革新は達成できず、平等な公的対話に基づく国民の形成もできない──。 「脱亜」つまりアジア的な価値観である儒教文化から脱却できてこそ、日本は初めて本質的に西洋から文明を受け入れ、西洋と比肩する文明化された国家・国民に発展できると、福沢は主張した。 共に時代の大変革に直面した日本と中国の分岐点  福沢の脱亜論は近年、中国の知識層に注目されている。特に欧米の民主主義的価値観に深く影響を受けた自由派の間で人気がある。  19 世紀中期の中国と日本は、共に巨大な時代の変革に直面していた。日本は福沢のような啓蒙思想家がいたおかげで儒教的な価値観から抜け出し、西洋的な文明を素直に受け入れ、近・現代国家として発展した。一方で、中国は100 年以上も西洋的な価値観を拒否し続け、政府と人民の垂直的な関係が共産党政権の今も変わらない。  福沢は生涯官職に就かず、近代思想を日本国民に紹介した。福沢のような人物が中国に生まれなかったことを、心ある中国人は心から残念に思っている>(以上「NEWS week」より引用)  唐辛子氏(コラムニスト)が「 こうした人物が中国に生まれず残念...福沢諭吉が、現代中国の「知識人」から敬愛されている理由 」と題する論評を発表した。しかし、それは日本及び日本人が優れているからではない。  中共社会が福沢諭吉