Jアラート騒動は何のための茶番か。

＜北朝鮮が弾道ミサイルの可能性があるものを発射しました。政府は午前3時54分に沖縄県を対象にJアラート＝全国瞬時警報システムで、建物の中、または地下に避難するよう呼びかけています。 

　北朝鮮当局は海上保安庁に対して、24日の午前0時から31日の午前0時までの期間に「衛星ロケット」を打ち上げると通告していました。 北朝鮮は南に向かって、黄海、東シナ海、フィリピンのルソン島の東の3か所に危険区域を設けていて、部品などが落下する可能性があります。 また、政府は、南西諸島など日本の領域を通過する可能性があるとみていて、自衛隊の部隊に対しては破壊措置命令が出されています。 沖縄県の陸上自衛隊那覇駐屯地、宮古島、石垣島、与那国島に地対空誘導弾＝PACー3の部隊が展開しているほか、東シナ海には迎撃ミサイルを搭載したイージス艦が派遣され、迎撃の態勢をとっています。

　 防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表しました。 海上保安庁は船舶に対して、今後の情報に留意するとともに落下物を認めた場合は近づくことなく、海上保安庁に通報するよう呼びかけています＞(以上「yahooニュース」より引用)

　午前四時過ぎにテレビを点けると通常報道ではなく北朝鮮が「ミサイル様のもの」を打ち上げたと繰り返し報じている。北朝鮮は24日の午前0時から31日の午前0時までの期間に「衛星ロケット」を打ち上げると通告していた。それを打ち上げただけなのだろうが、日本ではJアラートを発令して大騒ぎしている。曰く「ミサイル様のロケット」を発射したから「沖縄地方の人たちは屋内に入って、ミサイルの通過に備えよ」という。

　バカも休み休み言うものだ。本当に北朝鮮が南へ向けて「攻撃ミサイル」を発射したのなら、防衛省は直ちに迎撃態勢を発令して、北朝鮮から飛翔して来る「ミサイル」をレーダーで捉えて迎撃すべきだ。「家屋に入っていろ」と警報を発令して何の役に立つというのだろうか。

　そもそも北朝鮮は人工衛星を打ち上げる、と発射時間と発射方向を事前に通告している。それに対して防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した、と説明している。

　弾道ミサイルも人工衛星打ち上げも、大して変わらない。ただ地球周回軌道へ投入するには一定の速度が必要で、弾道ミサイルは周回軌道投入速度以下でなければならない。それだけの相違でしかない。ただ弾道ロケットの先端に爆弾を装着していればミサイルで、ロケットの先端に人工衛星を装着していれば人工衛星の打ち上げだ。

　人工衛星の打ち上げに関しては、多くの国が人工衛星を打ち上げている。日本でも数えきれないほどの人工衛星を打ち上げている。米国やロシアや中国などは無数の人工衛星を打ち上げている。宇宙ステーションは人工衛星の大型・居住型の人工衛星だ。

　確かに人工衛星の打ち上げは簡単に軍事目的に転用できる。しかし、軍事転用出来る製品はミサイルだけではない。ドローンだって民生用がそのまま軍事目的に使用できる。トラックだって軍事用の輸送車両として利用できる。ただ人工衛星打ち上げロケットは失敗すれば多くの国と地域に部品などが落下する可能性がある。危険だ、と云えばその通りだが、Jアラートを鳴らすだけで危険性を排除できるわけではない。

　なぜレーダーが捕捉したロケット弾道の軌跡映像をリアルタイムで放送しないのだろうか。日本海に展開している自衛隊のイージス艦は北朝鮮が発射したロケットの軌跡を補足しているはずだ。その軌跡をリアルタイムで放映する方が、ロケット打ち上げで落下物があるとした、どこに落ちる危険性があるか、国民は分かり易いのではないだろうか。

　Jアラートを鳴らして、繰り返しアナウンサーが北朝鮮のミサイル様の危険性を広報するのは無意味だ。正確な情報こそが国民には必要だ。徒に深刻そうな放送を繰り返すと、かえって政府の邪悪な意図すら感じさせられる。衛星ロケットを打ち上げているのは北朝鮮だけではない。そして日本もロケット打ち上げに失敗しているではないか。

　安保理決議で北朝鮮のロケット打ち上げを禁じているから、北朝鮮のロケット打ち上げは由々しき事態だ、と官房長官は説明している。しかし何ら強制力を持たない国連決議など、どれほどの意味を持つというのだろうか。北朝鮮の核開発すら止められなかったではないか。

　北朝鮮の脅威を煽るのも結構だが、日本の迫る脅威は中国の軍事力の方が格段に大きいだろう。そうした近隣諸国の軍事力に対処するには確実に正確な情報を国民に提供することだ。そして確実に迎撃・破壊できるレーザー砲の開発と配備こそが喫緊の課題ではないか。本当に北朝鮮のミサイル様の飛翔体が危険だというのなら、ミサイル防衛システムを発動して撃ち落とすべきではないか。Jアラートを鳴らして、危機感に満ちた報道姿勢は防衛費倍増と敵基地攻撃兵器(米国製のポンコツ・トマホーク)の購入を正当化するための茶番劇ではないか。