世界を武力を背景とする無法集団が支配する暗黒世界に戻してはならない。
<イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖が長期化する中、自国経済を海上交通路(シーレーン)に依存する国々に懸念が広がっている。有事の際、チョークポイント(急所)と呼ばれる世界の重要航路で同様の事態が起きるリスクが改めて認識されたためだ。日本も警戒を強めている。 米国のベッセント財務長官は28日、中東オマーンを名指しし、イランの求めに応じてホルムズ海峡の通航料徴収に協力すれば厳しい制裁を科すとSNSで警告した。記者会見では、駐米オマーン大使と電話で話し、「そうした計画はないと確約を得た」と説明した。 イランの封鎖措置に手を焼く米国は、新たな動きに神経をとがらせている。トランプ大統領は前日、オマーンが「行儀良く」しなければ「爆撃する」と言い切り、露骨に圧力をかけた。 イランにとって、世界の石油輸送の約2割が集中するホルムズ海峡の封鎖は、長年温めてきた対米・対イスラエル措置だった。今年2月末に米イスラエルの攻撃が始まり、イランが船舶往来の妨害を始めると、世界のエネルギー輸送は大打撃を受けた。 そもそも、ホルムズ海峡は国連海洋法条約が定める「国際海峡」にあたり、全ての船舶は妨害を受けることなく通過する権利(通過通航権)がある。沿岸国は原則、通航料を徴収できない。イランが国際ルールを一方的に無視しているのが現状だが、イランの行為は沿岸国がチョークポイントを封鎖すれば世界経済を「人質」にとり、大国に対抗できる現実を世界に示した。 チョークポイントの 脆弱ぜいじゃく 性に注目が集まる中、国連安全保障理事会は4月下旬にハイレベル討論を開催した。欧米や湾岸地域の参加国は、航行の自由を妨げるイランの行為は国際法違反にあたるとの認識で一致。通航料金を課すことも許されないとして非難が相次いだ。 パナマ運河を管理するパナマの代表も「重要な海上航路は、決して脅かされたり、圧力や強制の手段として利用されたりしてはならない」と主張。インド洋と太平洋を結ぶ最短航路上にあるマラッカ海峡に面したシンガポールの代表も「船舶が通過する権利が守られなければ、国際航行は完全に混乱する可能性がある」と警告した。 ただ、ホルムズ危機に触発された国も出ている。インドネシアの財務相は4月、マラッカ海峡を通過する船舶に通航料を課す可能性を示唆した。周辺のシンガポールやマレーシアは激しく反発し、インドネシア側...