東芝の快挙「分岐」コンピュータ開発。

<株式市場で一際注目を集めるのが半導体メモリ大手・キオクシアホールディングス(東証プライム・285A)だ。株価はこの1年半ほどで60倍超に膨れ上がり、時価総額はトヨタ自動車を上回った。上場時に購入し、ほったらかしておけば1銘柄で“億り人”に成り上がることもできた爆騰ぶりだが、次のチャンスはどこに眠るのか。今仕込むべき「第2のキオクシア」を探していく。

 IPO専門メディア「IPOジャパン」編集長の西堀敬氏は、キオクシアHD株について「モメンタム株なので何らかの好材料が出てくれば、また大きく買われる可能性が高い」と見る。特に8月に予定される2027年3月期第一四半期決算での業績アウトパフォームが、さらに高値を取りにいくポイントになりうると指摘する。(以下「」内のコメントは西堀氏) 「キオクシアHDは2026年4~6月期の連結純利益が前年同期比40倍の8690億円になる見通しを公表しています。8月の第一四半期決算発表でこの会社予想と比較して実績が大きくアウトパフォームしているとなれば、それによりさらに高値を取りにいくことが考えられます」

テンバガー候補を生む4つのキーワード
「キオクシアほどのパフォーマンスを出す銘柄はなかなか出てこない」としながらも、西堀氏は昨年以降にIPOして高いパフォーマンスを出す銘柄群に共通するテーマを見出している。 「日本の置かれた環境に対して何らかのソリューション事業を提供する企業が注目されています。具体的なキーワードで言えば、“事業承継”“エネルギー(電力)”“半導体”“宇宙”です」  特に注目するのが蓄電池事業だ。AI・半導体のデータセンターは膨大な電力を消費する。その供給を支える蓄電池分野のIPO案件が今後複数出てくると西堀氏はみている。宇宙分野もスペースXの上場を契機にボラティリティが高まっており、新たなIPO案件には買い妙味があるという。半導体については「次世代半導体を手がけるラピダスが将来IPOをしてきたら面白そうだ」とも指摘する。

GOは公開価格を21%上回る初値
 6月16日に東証グロース市場へ上場したタクシー配車アプリ大手・GO(東証グロース・581A)は、初値2910円と公開価格(2400円)を21%上回った。2026年の国内IPOとしては最大規模となる時価総額約2260億円でのスタートだ。  こうした結果も踏まえ、「第2のキオクシア候補」はどこにあると考えられるのか。関連記事では億り人たちが厳選した注目11銘柄を一挙公開。テンバガー投資家X氏、羽根英樹氏、西堀敬氏、株億太郎氏がいま注目の割安成長株を個別に紹介している。>(以上「マネーポスト」より引用)




キオクシアはまだ上がる?「8月の第一四半期決算が高値を取りに行くポイントになりうる」とIPOジャパン・西堀敬編集長 “第2のキオクシア”候補のキーワードは「事業承継」「蓄電池」「宇宙」など」との記事が気になった。なぜなら東芝が従来型のコンピュータで量子コンピュータを凌駕する計算速度を達成したからだ。
 云うまでもなくキオクシアは元株式会社東芝のメモリ事業部門だった。2017年4月に東芝のメモリ事業が会社分割され、「東芝メモリ株式会社」として独立した。その後2018年6月に米投資ファンドのベインキャピタルを中心とする日米韓連合の傘下に入り、2019年10月1日に現在の「キオクシア株式会社」へと社名を変更した経緯を持つ。

 東芝が従来のコンピュータで量子コンピュータを凌駕する高性能を達成したのは「分岐」という概念を演算に導入したからだ。今年4月に米国物理学会の学術誌に掲載された論文によると、その性能は量子コンピュータの100倍の速度で、演算成功確率100%という圧倒的なものだ。しかも「常温で動く」という最大の利点を有している。
 コンピュータで計算する場合すべての選択肢を一つ一つ計算していくことになるが、変数が増加すると天文学的な選択肢が出現し、スパコンですら10の25乗年かかる計算を量子コンピュータは5分で解く。だから世界各国は量子コンピュータの開発に血眼になっている。

 しかし量子コンピュータには致命的な越えがたい障壁が存在する。その第一は温度だ。量子コンピュータが動くためには絶対温度手前の-273.13℃(22ミリケルビン)が必要だ。第二にエラー訂正のために物理量子ビット数10万~30万が必要となる。そうすると第三としてビット間のノイズや共振が増加する(スケーリング)ため、その対策が不可欠となる。
 このように量子コンピュータはたとえ開発されたとしても、巨大な絶対温度寸前の冷凍庫の家屋内で、しかも莫大な量子コンピュータを同時に稼働させなければならない。それでは常温で手軽にどこへでも持ち運べる、という現在のパソコンのような利用方法にはならない。

 そこで東芝が開発した「分岐」コンピュータが世界から注目されている。「分岐」の簡単な原理を説明すると、たとえば振子に徐々に力を加えてふり幅を大きくすると、あるふり幅を境目として振子の動きが乱れる。それが「分岐」だ。
 つまり分岐ビットをアルゴリズムに変える。そうすると分岐パラメータの個別制御における組み合わせ最適化の高速化が実現する。量子コンピュータでは最適解に辿り着けず近似値解で妥協するしかなかった。しかし「分岐」では既知の最良解に到達する確率はほぼ100%となる。

 東芝は「分岐」コンピュータの第一世代として原理証明を達成した。その性能は量子インスパイアード型マシンCIMの10倍でGPUクラスタ上では約1000倍の能力を持つ。現在では第二世代として確立証明を目指している。
 第二世代では10万スピン(10万個の変数を持つ組み合わせの最適化)をシュミレーテッド・アニーリングで解くと1年2ヶ月かかるが、第二世代のSBMはFPGAチップ上で2分で解いた。それは「分岐」からさらに進化した「カオスの縁」を利用したものだ。ちなみにSBMとはSimulated Bifurcation Machineの略で、SBMは振動子の時間発展で解空間を探索する方式だ。それは量子コンピュータと異なり常温で動くため、巨大な冷凍庫に閉じ込めておく必要はなく、従って普通の街一つ分に相当する巨大な電力を必要としない。人が活動する環境で使えるので、あらゆる分野で日常的に使用可能だ。AI化に批判的な論拠の一つに、AIは膨大な電力を必要とされるというが、先日紹介した富士通のNVIDIA型でないNPUチップを用いた演算や、東芝が開発している「分岐」コンピュータなど、日本の技術はAIの壁を一つ一つ突き崩している。そうした意味でも、日本は世界の最先端にあると云える。

 今後、東芝がキオクシアと業務上どのような関係を持つのか不明だが、ギオクシアがメモリに特化した企業に留まるのではなく、新世代の汎用「分岐」コンピュータを製造して全世界トップのコンピュータ製造企業になることも夢ではない。

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