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3月, 2023の投稿を表示しています

戦争の早期終結はウクライナ軍の総攻撃に掛かっている。

< <日本有数のロシア通である2人が対談し、ウクライナ戦争を議論した。クリミア奪還、爆破陰謀論、戦車旅団......。この戦争はいつ終結に向かうのか> ※本誌2023年4月4日号「小泉悠×河東哲夫 ウクライナ戦争 超分析」特集に掲載した10ページに及ぶ対談記事より抜粋。  昨年2月のウクライナ戦争開戦から1年が過ぎた。この1週間、モスクワではウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席が、キーウではウォロディミル・ゼレンスキー大統領と日本の岸田文雄首相が会談したが、その間も各地で戦闘は続いている。  政治解決への努力が続く一方、両軍共に一歩も引かず、この戦争の帰趨を決定付ける大きなファクターは結局は軍事力であるようにも見える。この1年、多くのメディア出演をこなし、正確な情報分析と分かりやすい解説で高い信頼を得てきたのがロシアの軍事・安全保障を専門とする小泉悠氏だ。一方、ロシア公使やウズベキスタン大使を歴任し、ロシア情勢に造詣が深いアナリストが河東哲夫氏。  実は小泉氏が専門家として脚光を浴びる前、まだ「軍事オタク」だった頃に見いだしたのが河東氏で、今から10年以上前、小泉氏を外務省に分析員として推薦したという関係にある。  旧知の2人は、今どのようにこの戦争を議論し分析するか。3月11日に東京で行われ、専門家の知見と洞察がぶつかり合った「超分析」対談を2週連続でお届けする。 (聞き手は本誌編集長・長岡義博。近日ニューズウィーク日本版YouTubeチャンネルで動画を公開予定) ◇ ◇ ◇ ――お2人には戦争開始直後の昨年4月、ニューズウィーク日本版ウェブサイトで対談してもらいました(記事はこちら:【河東哲夫×小泉悠】いま注目は「春の徴兵」、ロシア「失敗」の戦略的・世界観的要因を読み解く)。  今も戦争が終わる気配はありませんが、本日は、この1年の総括と今後の展望をディテールにこだわって議論・分析していただきたい。  昨年の対談では、「この戦争はどのように終わる?」という質問に対し、河東さんは「停戦したとしても、ウクライナは中立国の地位を周囲から保障してもらいながら軍備を維持するだろう。そうすれば、10年後にまた同じようなことが起きるかもしれない」と答えています。  小泉さんは「この戦争はすぐには終わらない。プーチンは戦果があればそれに乗じて戦争を続行するだろうし

報道機関こそが「報道の自由」を侵害する全てのものと戦え。

< 敵は高市にあらず。放送法を捻じ曲げる政治権力と戦わぬテレビ局  総務省文書をめぐるテレビの報道を見ていて、つくづく感じるのが反骨精神のなさである。  「捏造」と主張する高市早苗大臣の進退に焦点が当たるのは仕方がないが、本質的な問題は別にある。かつて安倍官邸が政権批判を封じるため、「政治的公平」の名のもとに、放送法の解釈を捻じ曲げる工作をしていたということである。それが公文書で明らかになっても、解釈を正常に戻すよう求める論陣を張ろうとしない。  あるテレビ局のたった一つの番組でも政府が政治的に公平ではないと断じたら、行政指導はもちろん、電波をとめることさえあると総務大臣に脅しをかけられ、そのために、現在の事なかれ主義的な放送につながっている。なぜ、政府にそんな権利があるというのか  メディアは、公共の電波を使用するテレビであろうとも、たえず政権に厳しい目を向け、問題点があれば、確たる情報に基づいて批判するべきである。それこそが政治的に公平な報道といえる。  政治権力は、歴史を振り返ってもわかるとおり、国民に真実を知らせず、権力を維持するのに都合がいいように、世論を誘導するものだ。  どんな政策でも、全ての人々を納得させることはできない。だが、カネや票や権限を握る一部の層を利するための政策や、憲法に反してこの国の平和主義をゆがめる政策には、強く「ノー」を突きつけるのが、メディアとしてあたりまえの姿である。  もし、メディアが市民的立場でのパブリックの精神を持たず、政権の意向を恐れ、十分に批判することを回避したなら、国民は情報欠乏のまま唯々諾々としていなければならない。それこそ不公平ではないか。  そのことへの反省も批判も、テレビ各局の報道に見られない。反省したうえで、放送の自由を不当に束縛し続ける政治権力に反対の意思を示し、是正を求めるべきである。放送における「政治的公平」とは何なのかを国民に問いかけるべきである。総務省文書が問題になっている今がチャンスではないか。  そう思っていたところに、映画監督、是枝裕和氏の以下のTwitter投稿(3月15日)がネットのニュースに報じられた。  93年のテレ朝の椿局長事件というのは、自民党政権を打倒する為に特定の政治家を応援したと彼が会合で発言したことを発端に、行政指導が行われ局への政治介入が一気に進んだ事件ですがその時に椿

政治経験のない新人候補がさっそく東京の高級ホテルで「政治資金パーティー」とは。

<さすが“血筋自慢”“世襲自慢”をするだけのことはある。27日、衆院山口2区補選(4月23日投開票)に出馬する岸信千世氏(31)が開いた政治資金パーティーには、さすがに政界関係者も驚いている。  補欠選挙は、体調を悪化させた岸信夫前防衛相(63)が辞職したために行われる。岸信夫氏の長男・信千世氏は、岸信介氏を曽祖父に持ち、伯父は安倍晋三氏という政治家ファミリーだが、まだ一度も議員バッジをつけたこともない新人が、これほどの豪華、金満、大規模なパーティーを開くのは前代未聞だ。  パーティーが開かれたのは、永田町にある高級ホテル「ザ・キャピトルホテル東急」。マスコミはシャットアウトされた。食事もアルコールも出されず、出されたのはソフトドリンクだけだったが、会費は1人2万円。それでも会場は満員だった。出席者はざっと500人。1000万円近くの収入があったはずだ。  ゲストも豪華。参加者によると、最初の挨拶は、安倍派の会長代理をつとめる塩谷元文科相。2人目は麻生副総裁、その後、松野官房長官、加藤厚労相、西村環境相……と現職大臣が続いた。 「実績ゼロの31歳の新人候補者が、地元ではなく、東京でパーティーを開くだけでも驚きです。しかも、会場は一流ホテルのキャピトル東急でしょう。やっていることは、ほとんど大臣クラスですよ。それもこれも父親と伯父の威光なのでしょうが、感覚が普通とは違う。ボンボン2世が出世する自民党を象徴しています」(自民党関係者)  信千世氏は、ホームページに「家系図」を載せて炎上したあとも、「世間にはいろいろな声が聞こえますが、こうした声の一つ一つに惑わされず」と地元で決意表明するなど、あくまでも強気だ。  27日のパーティーでも、「私は、伯父と父の背中を見て育った。それを生かしていきたいと考えています」と挨拶したという。  選挙区では「まだ子供じゃないか」「地元に住んだこともないのに、ただ息子だからといって出すのか」という声もあるらしいが、それでも「世襲自慢」が成功して当選するのか>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)  世襲候補には恥ずかしい、という観念が欠落しているのか。岸信千代氏(31才)が東京の高給ホテル「ザ・キャピトルホテル東急」で飲食なし、ソフトドリンクだけの2万円パーティーに500人も集まったというから驚きだ。  しかもパーティーに駆け付けたのは麻生副

韓国が捏造史観に基づいている限り、日韓協力は新たな禍根を増やすだけだ。

<最近正常化した日韓関係をベースに、今後、韓国経済の新たな糧となる新産業分野の高付加価値化のため、両国間の経済協力を拡大すべきだという提言が出ている。  28日、全国経済人連合会(全経連)が産業研究院に依頼した「新事業分野における日韓協力促進方案」報告書によると、日韓協力が有望な新産業分野として次世代半導体、電気自動車・バッテリー、モビリティなどが挙げられた。  韓国の半導体産業は技術的な面で物理的限界に達し、米国の自国主導のサプライチェーン再編で企業の立場が狭くなった。  産業研究院は報告書で、韓国企業が機能と素材の面で既存の半導体より進化した次世代半導体を競争国より先に開発しなければならず、そのために日本との強固な技術協力体制を構築する必要があると主張した。  具体的には、両国間の競争優位性を活用した源泉技術の共同開発、韓国半導体企業の日本内の研究・開発(R&D)施設投資、韓国の半導体クラスター内の日本先端企業の誘致などが提示された。  産業研究院はまた、電気自動車への転換が急速に進んでいる状況で、核心部品であるバッテリー分野で日韓間の技術協力を拡大する必要があると主張した。素材部門の競争力を持つ日本との協力シナジーが期待できるという理由からだ。  自動運転、高精度地図、量子コンピューター技術などが必要なモビリティ分野では、両国の技術協力を通じて様々な機会が生まれると予想された。  産業研究院は、日韓協力が円滑に行われるためには、政府間の公式対話チャネルの復元、日韓共同研究成果の共有及び活用の向上、新産業分野協力のための共同コントロールタワーの運営などを推進しなければならないと説明した。  特に、政治的リスクが両国の経済関係に影響を与えないという信頼を提供することが重要だと強調した。  チュ・グァンホ全経連経済産業本部長は「2019年、日韓関係が悪化し、相互発展関係が大幅に縮小された状態」とし、「両国が緊密に協力すれば、新産業分野の競争優位性を確保できるだろう」と述べた>(以上「KOREA ECONOMICSKOREA ECONOMICS」より引用)  韓国政府と韓国民は何を考えているのだろうか。韓国エコノミー誌に「 韓国産業研究院「日本と協力し次世代半導体開発を」「韓国の技術は限界」 」とする論評が掲載された。  尹錫悦韓国大統領が日本を訪れて岸田氏と

習近平氏は何をしにロシアへ行ったのだろうか。

< 中国による「和平調停」はただの幻  3月20日午後から22日夜にかけ、中国の習近平国家主席は「主席3選後」の初外遊としてロシアを訪問し、プーチン大統領と長い時間をかけて会談した。それは、ロシアのウクライナ侵攻以来の初めての主席訪露である。  ウクライナ戦争の最中、ロシア最大の友好国である中国の国家主席の訪露であるから、習氏のロシア訪問が平和への「仲介の旅」となるのではないかと国際社会の一部から期待されていた。2月24日、中国外務省は12項目からなる「和平案」を発表し、習主席自身は訪露直前にロシア紙に寄稿して自らの訪問を「和平の旅」だと称することから、中国は戦争の膠着状態に乗じて本格的な「和平調停」に乗り出すのではないかとの観測が上がっていた。  しかし結果は全くの期待外れとなった。21日に発表された中露共同声明は1から9までの9つの項目からなっているが、ウクライナ戦争の「和平調停」について言及した箇所は第9項目の中の5分の1程度の分量、声明文全体の5%程度に過ぎない。中露首脳会談において「和平調停」が主要な議題として取り上げられたとはとても思えない。  そして首脳会談後、まずはロシア側が和平交渉に向けて動き出すことは一切なく、むしろ習近平訪露の直後からウクライナに対する軍事攻撃を強化した。一方のゼレンスキー大統領は22日、23日にかけて最前線の激戦地を視察して徹底抗戦を訴えた。そして23日、ゼレンスキー大統領は対欧米のビデオ演説を行い、「長期戦の恐れがある」とした上でさらなる武器供与を呼びかけた。  つまり交戦国の両方ともは中国による「和平調停」を全く気にかけることはなく、むしろ戦争の継続的遂行に専念するのみである。習近平訪露の前から取り沙汰されていた習近平vs.ゼレンスキーのオンライン首脳会談はこの原稿を書いている3月25日現在でもいっこうに実現されていない。  いわゆる「中国による和平調停」は最初からただの幻であって、中国は自らの調停で戦争を終結させるつもりはその力もない。習主席が標榜する「和平の旅」は単に、戦争中の侵略国家・ロシアを一方的に訪問する自らの外交行動に対する国際社会の批判を躱すためのポースに過ぎないのである。  しかしそれでは、習主席は一体何の目的で戦時中のロシア訪問を断行したのか、中国は国際社会から批判も覚悟の上で侵略国家・ロシアとの関係強化

来年の台湾総統選と馬英九氏の訪中。

<台湾の最大野党・国民党に所属する馬英九前総統が、27日から中国への訪問を開始しました。台湾の総統経験者の訪中は初めてで、中国側は歓迎していますが、与党・民進党は「国際社会に誤ったメッセージを発するものだ」と批判しています。  馬前総統は、27日から来月7日まで、国民党が中国大陸を治めていた時期に首都としていた南京や、自身の先祖の出身地の湖南省などを訪問します。  馬前総統には台湾の青年らも同行し、中国の学生らと交流するということです。  出発を前に、馬前総統は「若者の熱意ある交流によって、台湾海峡両岸の雰囲気が改善し、より早く平和が訪れることを願っている」と述べました。  馬前総統は27日夕方、上海の空港に到着し、高速鉄道に乗り換えて、夜は南京に宿泊します。  台湾の総統経験者の訪中は初めてで、馬前総統が「中国大陸と台湾はともに1つの中国に属する」という立場でもあるため、中国側は歓迎していて、高官との会談の可能性もあります。  これに対し、「1つの中国」を受け入れない民進党は、中米のホンジュラスが中国と国交を結んで台湾と断交したことも念頭に、「今のタイミングで中国を訪問するのは、融和主義そのものであり、国際社会に誤ったメッセージを発するものだ」と批判しています。  空港では、中国との統一を主張する団体が、馬前総統の訪中を支持する横断幕を掲げたほか、台湾独立を主張する団体が前総統の訪中に反対の声をあげて一時、騒然となりました。  一方、蔡英文総統は今月29日からアメリカを経由地とする中米2か国の訪問を開始する予定で、アメリカではマッカーシー下院議長と会談することになっています>(以上「NHK」より引用)  馬英九前総統は27日から中国を訪問した。総統経験者として馬英九氏は初の中国訪問だが、歓待されたとは程遠い持て成しだったようだ。まず到着した上海の空港に然るべき地位の中共政府要人が出迎えていなかったようだ。  そして馬英九氏の訪中を歓迎する横断幕もなく、肩書が一切記されていない「馬英九一行」と書かれた貸切バスが一台だけ用意され、馬英九氏と随行の二十名ばかりが乗り込んだという。もちろん貸切バスを先導するパトカーもなく、沿道に動員された訪中を歓迎する市民の人垣もなかったという。  馬英九氏は前台湾総統として、中共政府から訪中を要請された。配信された記事によると「30人ほ

少子化の主たる原因は非正規労働者の存在だ。

<統一地方選は知事選に続き、26日大阪市など6政令市長選が告示された。そんな中、選挙対策がミエミエとはいえ、自民党幹部の口から出てくる少子化対策メニューのショボいこと。ある意味、異次元すぎる。  自民党の茂木幹事長は25日、東京都内で街頭演説し、「出世払い型の奨学金制度を新たに拡充していきたい」と訴えた。政府が今月末にとりまとめるたたき台に盛り込まれる見通しだという。 「出世払い型の奨学金」とは、在学中は授業料を支払わず、大学卒業後や大学院修了後に所得に応じて返済する制度。茂木幹事長は演説で「大学が終わって会社に勤めて、ある程度の収入になってから返し始めればいい」とメリットを強調したが、返済額や時期に猶予が設けられるとはいえ、“借金”であることには変わりない。  大学は学費が無償か、給付型奨学金を幅広く受けられるというのが世界標準。出世払い型の奨学金の拡充ではお粗末だ。  さらに茂木幹事長は、公営住宅の活用にも言及。「公営住宅に新婚世帯や子どもの多い若者世帯に入居してもらうことで住宅費は圧倒的に削減できる」とアピールした。これは、自民党の萩生田政調会長がしきりに訴えている案。SNSでは「今どき公営住宅に住みたい若者いるの?」「ズレてる」などと総スカンなのに、そのまま採用か?  政府のたたき台には、児童手当の所得制限撤廃などとともに、子どもの医療費を助成する自治体独自の取り組みを後押しする方針も盛り込まれる方向。実は、小学生以上を対象に医療費を無償化する自治体が増えているが、現状、国はそうした自治体に対し、医療費抑制などを理由に補助金を減額している。そこで、今後は補助金を減額せず、自治体を後押しする、ということらしい。  これには、先進的な子育て政策で名を上げた泉房穂明石市長がこうツイート。 <地方への“嫌がらせ”をやめるだけで何の後押しでもない。「子ども医療費の18歳までの所得制限なしでの完全無料化」ぐらい、国が全国一律ですぐやればいいのに…> ■理念なく並べ、財源は後回し  法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。 「少子化対策は自治体や収入などの区別なく、誰もが享受できるユニバーサルなものであるべきです。小出しにエサをばらまくような選挙対策は、一番やってはいけないこと。国民が甘く見られています」  ショボい対策を、あれやこれやと理念なく並べるだけ。それで

豊田氏の勝利だ、EUは合成燃料をゼロカーボンの一翼と認めた。

< 2035年の完全EV化は難しい?  2023年2月27日、ドイツ政府が欧州連合(EU)に対して、2035年以降に欧州域内で「e-fuel(イーフューエル)」を使用する新車販売について認めるよう要望を出したことが明らかになりました。     このニュースを知って「ほらみたことか。やはり、日本の考え方が正しかったのだろう」と思う人がいるかもしれません。   日本では、自動車メーカーと二輪車メーカーの業界団体である日本自動車工業会が、「カーボンニュートラル実現には、EVのみならず、e-fuelなどカーボンニュートラル燃料を使った内燃機関の存続を含めた、さまざまな選択肢があるべき」と主張してきたからです。   もし、ドイツの主張がEUで通れば、日本を含めたグローバルでのEVシフトはひと息つくのでしょうか。   今回、ドイツが修正案を要請したのは「Fit for 55」に対してです。欧州議会が2023年2月14日、欧州グリーンディール政策の一環として採決されて可決した重要な規制です。   Fit for 55により、2035年時点で欧州域内において販売可能な乗用車と小型商用車(バン)はZEV(ゼロエミッションヴィークル)になります。   ここでいうZEVとは、EVまたは燃料電池車を指し、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は含まないという解釈ですが、これに対して、ドイツはe-fuelを認めるべきという姿勢を改めて示したのです。  つまり、ガソリン車やディーゼル車に加えて、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が含まれる可能性もあるということになります。   一般的にe-fuelは、カーボンニュートラル燃料の一種だと解釈されおり、再生可能エネルギー由来の水素など、再生可能な資源からの電池エネルギーを化学的に蓄える燃料を指します(トヨタなど自動車メーカーの2022年6月時点での解釈)。   こうしたドイツの動きに対して、筆者(桃田健史)はさまざまな機会にその兆候を感じてきました。   例えば、2022年11月、都内で開催されたランボルギーニのイベントで、来日していた同社のステファン・ヴィンケルマンCEOに筆者が今後の電動化戦略について聞いてみると「ランボルギーニのようなハイエンドなクルマのメーカーにとって、2035年以降もe-fuelの導入を真剣に議論するべきだ」と答え

総務省文書は捏造されてなかった。

< 〈放送法と官邸圧力〉「『報ステ』生放送中に番組幹部に恫喝メール」「自民党からも圧力文書」元経産官僚・古賀茂明氏が明かす官邸によるメディア規制の実態  放送法の「政治的公平」の解釈変更をめぐる総務省の行政文書、いわゆる“小西文書”を巡り国会が紛糾している。文書には2014年から16年にかけ、安倍政権が放送メディアに圧力をかけるようになるまでのプロセスが生々しく記されているが、元経産官僚の古賀茂明氏は「それ以前から『報道ステーション』の幹部は、官邸からの圧力にさらされていた」とその内情を語る。 ――小西文書には2014年から16年にかけ、安倍政権が放送法の実質的な解釈変更を総務省に迫り、放送メディアに圧力をかけるようになるプロセスが生々しく記されています、古賀さんが「アイアムノット安倍」発言をして、「報道ステーション」(テレビ朝日)のコメンテーターを降板することになったのもこの時期ですね。 古賀茂明(以下同) そうです。当時、ジャーナリストの後藤健二さんがイスラム過激派組織のイスラム国に拘束され、水面下で解放交渉が進んでいました。ところが、中東歴訪中の安倍首相が15年1月17日にエジプトで「イスラム国と戦う国に2億ドルを支援する」とぶち上げてしまい、怒ったイスラム国が後藤さんを処刑してしまうということがありました。  おそらく、安倍首相は自国民の人命よりも、イスラム国と対峙する有志国連合の有力メンバーになることを優先し、イスラム国への宣戦布告に等しい2億ドル拠出を表明したのでしょう。そこで、そのことへの抗議の意も込めて、「私たち日本国民は安倍首相とは違う。どこの国とも戦争はしない。平和を望んでいる国民なんだ」というメッセージ、つまり「“アイアムノット安倍”と今こそ世界に向けて叫ぶべき」と、「報道ステーション」でコメントしたんです。 ――たしか、その直後に古賀さんに対して官邸から圧力がかかったんですよね。 直後というより、「報道ステーション」のオンエア中ですよ(苦笑)。オンエア中で対応できないのに番組幹部の携帯電話に官邸から抗議のショートメールが入っていた。発信元は菅義偉官房長官(当時)の秘書官を務めていた中村格さんでした。メールには「古賀は万死に値する」とあったと聞きました。 自民党が『報ステ』幹部に送った圧力文書の中身 ――中村格氏といえば、菅官房長官に重用された

ルイス・マルティネス教授は夜の衛星写真から中国経済の実態を推定。

<独裁政権が必ずしも正確なデータを公表していると信じてはいけない――特に、内容が素晴らしい経済データの場合は。これは当然だと受け止められているが、従来その問題の深刻さを正確に知る手がかりはなかった。  シカゴ大学ハリススクール(公共政策大学院)のルイス・マルティネス教授が昨年10月に発表した新しい論文は、ある国の経済規模や国力の尺度として用いる国内総生産(GDP)の推計値を、独裁国家がどの程度水増ししているかという点に光を当てた。  鍵を握るのはその「光」だ。衛星画像を通じてある国の放つ夜間の光量が分かると、かなり信頼性の高い経済成長の指標となることが判明した。  「経済が拡大するにつれ、住宅や工場、街灯が増える。それら全部が光を放っている」とマルティネス氏は言う>(以上「WSJ」より引用)  シカゴ大学ハリススクール(公共政策大学院)のルイス・マルティネス教授は人工衛星から見た各国の夜景の明るさからDGPを推定する、というやり方で独裁国家のDGPを推定している。その論拠は「経済が拡大するにつれ、住宅や工場、街灯が増える。それら全部が光を放っている」というものだが、あながち否定されるものではないだろう。  この論理こそ流布されなかったが、20210年以前にも世界各国の人工衛星写真で見た世界各国の夜景写真が一世を風靡したことがあった。ことに北朝鮮の地域の暗さは彼の国の「暗黒」をそのまま象徴しているようだった。  ルイス・マルティネス教授の試算によると中国の1992年~2008年のDGPは、中国当局は年平均6.3%↑だとしているが、夜間の明るさから推定すると年平均4.9%↑程度ではないかという(Journal Political Economyにて発表)。またオランダのフローニンゲン大学の試算によると2008年~2021年の高度経済成長時に中国当局がGDP成長率を年8%↑から年14%↑だったと発表しているが、実際は年2%↑から6%↑だったという。結果として現在の中国のGDPは当局発表の40%以下ではないか、と推定されるというから驚きだ。  現実に最近の具体的なデータから中国経済を占うと、中国当局は2022年の消費市場は0.2%↓だったというが、昨年は中国各地の主要都市ですらロックダウンが実施され、上海ですら2ヶ月ロックダウンで殆どすべての経済活動が停止した。昨年中国の主

AIでも解る独裁国家の「素顔」。

 <<Q> 様々な 独裁国家の共通点は <A> 様々な独裁国家の共通点は、以下のようなものが挙げられます。 政治的抑圧 :独裁国家では、反対意見や異なる意見を持つ人々が弾圧されることがあります。政治的な反対者や批判者は、投獄、拷問、処刑などの報復行為にさらされることがあります。 メディア統制 :独裁国家では、報道機関やメディアが政府によって統制されることがあります。偏向した情報やプロパガンダが広まることがあり、市民が真実を知ることができないことがあります。 軍事力の行使 :独裁国家では、政府が軍事力を行使することがあります。内部抑圧や外交的な圧力のために、軍事行動を起こすことがあります。 社会的抑圧 :独裁国家では、特定のグループや個人が政府によって差別や抑圧を受けることがあります。民族、宗教、性別などの違いが理由となることがあります。 経済的制限 :独裁国家では、市場の自由や民間企業の発展が制限されることがあります。政府による経済の統制や国有化が行われることがあり、市民の生活水準が低下することがあります。  これらの共通点は、独裁国家が持つ基本的な特徴です。ただし、国によってはこれらの特徴が強調されたり、軽視されたりすることがあります。また、独裁国家は多様であり、共通点に加えて国によって独自の特徴や問題を抱えていることがあります。>(以上「chatGPT」より引用)  習近平氏がサウジアラビアとイランとの仲を取持った。それを持ち上げる評論家がいるが、もちろん戦争状態が解消するのは歓迎すべきだが、いかがなものだろうか。それほど習近平氏を持ち上げる必要はないだろう。  なぜならいずれも独裁国家だからだ。サウジアラビアは王政で王族を批判するジャーナリス トを殺害して恥じない「独裁国家」だ。イランは宗教指導者と称する独裁者が国民を統治している。宗教的な権威を誇示するために女性に髪や顔を黒い布で隠すように命じたり、大学進学を禁止したりしている。そうすることによって宗教的な権威が守られる、という女性の人権を 無視したアナクロニズムそのものの統治を強制している。  中国はご存知の通り中国共産党(以下「中共」と呼ぶ)独裁国家で、さらに国家主席に政治権力が一身に集中するように習近平氏が鄧小平氏の作った「二期十年まで」という任期を撤廃 し、実際の政治は実務家た

報道に見るロシア政府首脳たちの低能ぶり。

< ロシアのメドベージェフ前大統領は23日、国際刑事裁判所(ICC)がプーチン大統領に対しウクライナでの戦争犯罪の責任を問う逮捕状を出したことについて、プーチン氏の逮捕を試みればロシアに対する宣戦布告になると述べた。  メドベージェフ氏は国内メディアに対しICCは法的根拠のない組織であり、これまで重要なことは何もしていないと主張。  通信アプリ「テレグラム」に投稿した動画では「このようなことはどう見ても実際に起こり得ないが、あえて想像してみよう。核保有国の現トップが例えばドイツを訪問し、逮捕されたとする。何が起きるだろうか。これはロシア連邦に対する宣戦布告になる」と発言。 「この場合、ロシアのミサイルなどあらゆるものがドイツ連邦議会や首相官邸に飛んでくるだろう」と述べた。  核戦争のリスクが高まっているとも発言。「ウクライナに日々、外国製の武器が供与され、核攻撃による世界の終末が近づいていく」と述べた。  同氏は西側諸国がロシアを分割して豊富な天然資源を盗むことを望んでいるとの認識も示した>(以上「REUTERS」より引用)  ロシアのメドベージェフ前大統領は国際刑事裁判所(ICC)がプーチン大統領に対しウクライナでの戦争犯罪の責任を問う逮捕状を出したことについて、プーチン氏の逮捕を試みればロシアに対する宣戦布告になると述べた、という。  そして宣戦布告の例え話として「核保有国の現トップが例えばドイツを訪問し、逮捕された(中略)なら、ロシアのミサイルなどあらゆるものがドイツ連邦議会や首相官邸に飛んでくるだろう」「核戦争のリスクが高まっている」とも述べたという。ロイターの記事だから捏造ではないだろうが、そうするとメドベージェフ氏は錯乱状態に陥っているのか、それとも低能ぶりを遺憾なく発揮したのだろうか。  なぜならドイツでプーチンが逮捕されたという前提なら、プーチンはドイツにいるわけで、そこに「ミサイルなどあらゆるものがドイツ連邦議会や首相官邸に飛んで来る」というのならプーチン氏までをも殺害しかねない。後段では核戦争にまで言及している。それは既に常軌を逸しているというよりも狂人そのものだ。核兵器をドイツに撃ち込めば逮捕されているプーチン氏を確実に殺害することになりはしないだろうか。  またメドベージェフ氏は「ウクライナに日々、外国製の武器が供与され、核攻撃による世界の終

米中戦争などあり得ない。独裁者は自らの富にしか興味がない。

< アメリカと中国が戦争になったら、じつは「圧倒的に死ぬ」のは「日本人」という「衝撃的すぎる事実」  いま、ほとんどの日本人が知らないうちに、大変な事態が進行している。 米軍と自衛隊が一体になり、中国本土を攻撃することを想定した新型ミサイルを日本全土に配備しようとしているのだ。 しかも、米軍の新型ミサイルには将来、核弾頭が搭載される可能性も否定できない。   本双書第9巻で、密約研究の父である新原昭治氏がのべているように、アメリカにとって日本というのは、ずっと「アメリカの核戦争基地」だった。 それがいま、ついに最終局面を迎えているのだ。 このままでは、人類史上唯一の戦争被爆国である日本は、他国の軍隊(米軍)に核ミサイルを配備され、中国・ロシアとの「恐怖の均衡」の最前線に立たされてしまうかもしれない。   一方、その核ミサイルを発射する権利をもった在日米軍の主力部隊は、ハワイなど「安全地帯」へ一時撤退する構想すらある。 これほど愚かな国が歴史上、かつて存在しただろうか。 情報公開請求による独自の日本政府文書発掘で知られ、ジャーナリストとして第一線で活躍を続ける著者が、その計画の全貌を報告し、警鐘を鳴らす。*本記事は『日米同盟・最後のリスク: なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社)から抜粋しています。 ----------  沖縄・嘉手納基地から中国本土への核攻撃が計画されていた1958年の「第2次台湾海峡危機」  1958年8月23日夕刻、中国沿岸部に位置する台湾の金門島に対して、中国軍が猛烈な砲撃を開始しました。撃ち込まれた砲弾は、この日の数時間だけで6万発近くに達したといわれています。   当時、台湾はアメリカと相互防衛条約を結んでおり、台湾には米軍が駐留していました。米軍は、運用できる航空機の数や作戦に使用できる基地の数などから通常戦力だけでは中国に勝利することは困難だと判断。中国本土に対する核攻撃の必要性を強く主張しました。   「ペンタゴン・ペーパーズ」をマスコミにリークしたことで知られる元国防総省職員のダニエル・エルズバーグ氏が2017年に自身のホームページで暴露した1958年の台湾海峡危機に関する極秘報告書によると、米軍は第一段階として中国沿岸部の航空基地のいくつかを小型核兵器で攻撃することを考えていました。   米軍トップのネイサン・トワ

台湾有事は虚構でしかない。

< 駐中国大使、台湾有事「想定せず」。  3月17日付で時事通信が配信した記事の見出しだ。発言の主は、垂秀夫駐中国大使。記事が流れた直後から、一部で騒がしい反応があったのは言うまでもない。日本ではいま「台湾有事ありき」で様々なことが忙しく動いているのだから当然だろう。  記事によれば垂大使は、台湾有事について個人的な見解とした上で、「本質的なことで見た限り(中国に)政策の変更はない。予見できる将来、中国が武力で台湾を統一することは想定していない」と述べたという。大分市で行われた講演での発言だ。  これに対し、早速ネットのなかでは賛否と同時に発言の意図と立場を勘繰る書き込みがあふれた。  しかし、そういう話なのだろうか。 中国は明らかに軟化している  自らが得た情報に基づききちんと分析を加えて発信しただけの話で、むしろ誠意を評価すべきだ。ただ内容そのものは、中国を細かく分析している専門家であれば、ごく当たり前に行き着く結論といえなくもない。  筆者も今年2月に上梓した『それでも習近平政権が崩壊しない4つの理由』のなかで、それについて一章分を割いて詳述している。  あらためて少し触れておけば、中国は2005年の反国家分裂法の文言、「武力行使は放棄しない」などの表現を繰り返し用いているが、2019年からは明らかにその前後の表現を緩めているということだ。習近平国家主席自身「中国人は中国人と戦わない」と何度も繰り返し、間接的ながら大規模侵攻の必要性を否定しているのだ。  要するに対台湾における習政権のトレンドは、明らかに融和へと向っているのだ。そして、その最大の理由は合理性にある。 台湾の人々の感情も一定ではない  これもごく簡単に説明すれば、仮に多大な犠牲を払って台湾を統一できたとしても、その後、反中感情に燃える2000万人を支配するコストは膨大である。しかも戦争により一帯の経済発展の機会は失われ、西側世界を中心とした多くの国からの制裁にも晒されるのだ。  そうなってしまえば、改革開放政策後、「発展こそすべて」と突っ走ってきた中国共産党にとって最大栄誉である「アメリカを超える経済大国に中国を導く」ことなど、夢のまた夢となってしまうはずだ。  そんな選択をすることが、はたして本当に習近平指導部にとってのソロバン勘定に合うのだろうか。  これに加えて日本人が冷静に考えなければな

宇宙は生命に満ちているのではないか。

< 小惑星「リュウグウ」の試料からRNAの核酸塩基を検出=北大など  北海道大学や九州大学らの国際共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の粒子から、全ての地球生命のRNAに含まれる核酸塩基の一つであるウラシルの検出に成功した。さらに同一サンプルから、生命の代謝に関する重要な補酵素の一つ、ビタミンB3(ナイアシン)も検出した。  研究チームは今回、独自に開発した超高感度分析手法により、10ミリグラムほどのリュウグウ試料を分析。試料1グラムあたり最大で32ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)のウラシルと、同1グラムあたり最大で99ナノグラムのビタミンB3(ナイアシンまたはニコチン酸)を検出した。  ウラシルとビタミンB3は、最表層サンプルよりも地表下サンプルで濃度が高く、研究チームによるとこの分析結果は、小惑星リュウグウの最表層での宇宙線や真空紫外光による分解の影響を強く示唆しているという。これらの窒素複素環化合物の分布は、極低温の星間分子雲を模擬した環境での光化学反応生成物とよく一致しており、少なくとも一部は太陽系形成前の光化学反応で生成したと推測される。  今回の研究成果は、生命誕生前の原始地球上でどのように最初の生命が誕生したのか、という科学における究極の謎について、炭素質隕石(=小惑星の破片)などの地球外物質によって供給された成分がその材料となったという説を強く支持するとしている。研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications誌)に2023年3月22日付けでオンライン掲載された>(以上「MITテクノロジーレビュー編集部」より引用)  小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の粒子から「全ての地球生命のRNAに含まれる核酸塩基の一つであるウラシルの検出に成功した」というニュースは地球上の生物誕生メカニズム解明のみならず地球外生物の存在まで大きく示唆させるものだ。  宇宙から降ってくる小さなチリや地球に降ってきた隕石には、太陽系が誕生して間もない頃の痕跡が残っている。46億年前の太陽系誕生当時の痕跡が刻まれている、と思われる。現在では宇宙が誕生して138億年が経っていると考えられているが、その約90億年の間に光化学反応で核酸塩基の一つが生成されたと推測される。

中ロ同盟を切り出さなかった習近平氏にプーチンは失望したのではないか。

<岸田首相の抑えられない高揚感とは裏腹の展開だ。外遊先のインドからウクライナ入りし、悲願のキーウ訪問を実現。23日は帰国早々イベントが目白押しだが、日本列島は侍ジャパン熱に侵され、電撃訪問の達成はかすんでしまっている。海外の熱視線も中ロ首脳会談に集中し、岸田首相関連の報道はオマケ扱い。G7 広島サミット開催で政権浮揚どころか、ズッコケるんじゃないか。   ◇  ◇  ◇  23日未明に帰国した岸田首相は、午後から参院予算委員会の集中審議に出席し、ウクライナ訪問や ゼレンスキー大統領との首脳会談について説明。WBCで3大会ぶりの優勝を果たした侍ジャパンの表敬訪問にも対応し、その人気にあやかりたいところだが、ハンパない持ってない感が際立つのは確実だ。  海外に目を転じても、岸田首相のキーウ訪問はこれといった評価を得ていない。話題は日程がかぶった中国の 習近平国家主席のモスクワ訪問、プーチン大統領との濃密な首脳会談一色。完全に持っていかれてしまっている。 ■海外メディアは中国注視  英BBC(電子版)は主要ニュースで「62秒に込められたプーチンと習近平の“親愛なる”友情」との見出しを打って中ロ会談を報じる一方、キーウを訪れた岸田首相関連の単独記事はなし。アジア枠で「日中首脳、ウクライナ戦争で対立する首都を訪問」と題した記事の中で軽く触れている程度だ。  米ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は「習近平―プーチン会談が行われる中、日本の首相がウクライナ訪問」とのタイトルで、1分半の動画をアップしただけ。米CNN(電子版)では、「ウクライナ戦争タイムライン」「習近平とプーチン」がトレンド入り。  トップニュースで「習近平─プーチン会談後に平和への道はない」と題した特集を組み、アジア枠にアップされた「ゼレンスキーに会うため岸田首相がウクライナをサプライズ訪問」との記事でも、中ロ会談の内容に半分ほど割いている。 実は深いウクライナとのつながり 「和平の必要性を念頭に置く中国が仲裁役に名乗りを上げるのかが、国際社会の最大の関心事と言っていい。習近平氏はプーチン氏と親密ではありますが、中国はウクライナとつながりも深い。中国海軍初の空母はウクライナから購入したものですし、浅からぬ関係にゼレンスキー氏が期待を寄せている面もある。ウクライナ訪問を招請する親書を送ったことからも、ウク

EV車は決して環境に優しくない。

< ようやく目を覚ましたドイツ  NHK 3月9日「EU 2035年までにエンジン車の新車販売事実上禁止 先行き不透明」で述べられているように、脱炭素を声高に叫び、エンジン車の新車販売を2035年までに事実上禁止することを目指しているEUの動きに「待った」がかかった。  欧州最大の自動車生産国ドイツが、二酸化炭素と水素から作る合成燃料を使用するエンジン車は認めるよう求めたのだ。  ドイツ政府の代表は「これから目指すべき方向は電気自動車だが、より多くのアプローチが必要だ」と述べており、フェラーリなどのメーカーを抱えるイタリアも難色を示していると伝えられる。確かにエンジン音の無いフェラーリは味気ない……  だが、それだけではない。ウクライナ戦争を発端として、2月24日公開「米政府が関与か? ノルドストリーム爆破疑惑のバイデンと『迷走』岸田のコンビでは日本が危うい」で述べた事件も加わって、昨年10月18日公開「本番はこれから、2023年は未曽有の食料・エネルギー危機になる?」をまさに体感しているのがドイツをはじめとする欧州各国なのだ。  ドイツは「脱原発」を強力に推進し、昨年末にはすべての原発を廃止する予定であった。しかし、最後に残った3基の稼働を4月半ばまで延長することをすでに決定している。そして、現在のエネルギー需給を考えれば、さらに稼働期間が延長される可能性が高い。 「脱炭素」が必要かどうかという根本的な議論は、2021年8月22日公開「脱炭素・EV推進、『合理的な科学的根拠がない』この方針は、もはや『宗教』だ」から1月9日公開「環境イデオロギーが世界を破壊する、欧州の政治家も『狂っている』!?」に至る多数の記事を参照いただきたい。  しかし、万が一脱炭素が必要であったとしても、国民の多大な犠牲と「効果」の度合いはきちんと検証されるべきだ。 EVに必要な電力は供給できるのか  例えば「全面EV化したときに本当に充分な電力を供給できるのか!?」という議論はかなり以前からあった。太陽光発電などの再生可能エネルギーは、基本的にお天気任せであまり役に立たない。しかも、はげ山を生み出したり、廃棄太陽光パネルが環境汚染を引き起こしたりする。  ドイツが原発の稼働延長を行ったのも「現在必要な電力」の供給でさえ危ういということを示している。また、日本でも電力需給は逼迫してピーク時の

国家の水準器を歪めてはならない。

< やはりキーマンは安倍晋三。高市早苗が「捏造」を強弁する行政文書が問題視された背景  国会の会期が6月末ですか、そのくらいまであるので、はたしてそれまでにどんなことが起こるのか、先週そんなことをちらっと申し上げたかと思いますけれど、ちょっと大きな問題が起きていますね。  岸田内閣は相変わらず外交というところでは点を稼ぐのが大変上手で、今度は12年ぶりでしたかね、韓国との首脳会談ということで、の大向こうの大統領、大統領なりたての方ですが、その方の訪日を得て、その大統領と岸田さんとで何と食事をはしごしたということがニュースになるという、どうかしていると思うのですが、それはそんなにニュース価値ないと思うのですが、そんなことが報じられたりしています。  ところが内政に関しては様々問題を抱えていて、それがどうでしょう、宏池会流のやり方で行くならば、すぐに何か結論を出してしまうという強引なやり方ではなくて、色んな人の意見を聞いて八方がうまく収まるように、これは良くも悪くもですが…やれたと思うのですが。  これ、先日、東京新聞の書評欄に『西山太吉 最後の告白』という本についての書評を書かせていただきましたが、西山太吉さんがずっと取材をしていた場所というか、宏池会の政治家の番記者といった感じでフォローされていた方なので、端的に言えば、大平正芳さんですけれど。そういうお仕事上の経験から、宏池会というのは、その本でもそうですが、一つの派閥の名前ではなくて、政治的な手法についてのことだと言っておられましたので、それはその通りだと思います。  もし、それを現在の宏池会の会長であり、そこから出ている総理大臣である岸田さんがそうしたかつての宏池会の方針を担って実行していれば、こんなことにはなっていないだろうという問題がたくさんありそうですね。本当にこの人、宏池会かという疑問を投げかけたくなるような。とはいいつつ、宏池会の内実も、本当はどうだったのかということも、新しい目で見て、政治学者や政治史学者の方には是非検討していただきたいと思います。  で、今起きている大きな問題は、みなさんご承知だと思いますけれども、総務省の行政文書であることが後に総務省自身によって確認された、放送法の解釈変更の試みといいますか、企てといいますか、その過程を記した78枚の文章に書かれていることについて、当時総務大臣で

岸田氏は体面のためにウクライナを訪れたのか。

<速報です。ウクライナを訪問している岸田総理がさきほど、列車で首都キーウに到着しました。   岸田総理は日本時間のきょう午前、外遊先のインドからウクライナの隣国ポーランドに入りました。  その後、国境に近いプシェミシルの駅から午前9時すぎ列車で出発し、10時間近くかけてキーウに向かっていました。 岸田総理はこのあと、ゼレンスキー大統領との首脳会談に臨みます。  会談では、G7=主要7か国の議長国としてウクライナへの連帯と揺るぎない支援を伝えることにしています。また、ロシアのウクライナ侵攻と力による一方的な現状変更は断固として拒否するとしたうえで、法の支配による国際秩序を守り抜く考えを表明する見通しです>(以上「TBA news」より引用)  五月のG7会合までにウクライナを訪問しなければならない、と岸田氏は口にしていた。なぜならG7の首脳で唯一議長国の岸田氏がウクライナを訪問していないのは面目が立たない、との考えからのようだ。  岸田氏の面目のためにウクライナを訪れるのなら、多忙を極めるゼレンスキー氏にとって迷惑千万だろう。記事によると「ロシアのウクライナ侵攻と力による一方的な現状変更は断固として拒否するとしたうえで、法の支配による国際秩序を守り抜く考えを表明する見通し」だというが、そんなことは改めて岸田氏が表明するまでもなく、先進自由主義諸国では共通認識だ。  憲法上日本は武器支援が出来ないのなら、せめても防弾チョッキやレーション(軍用糧秣)を大量に供与くらいすべきだろう。先進自由主義諸国の多くは軍需物資の増産体制に入っているという。日本も防弾チョッキやレーションの増産体制に入って、大量にウクライナへ輸送すべきではないか。  まさか平和ボケした日本の首相には戦場国訪問で「お土産」一つ持たないで行ったのではないだろう。「揺ぎ無い支援」などといった薄っぺらな言葉など、どうでもいい。具体的なカタチで支援を実行すべきだ。

書込みをAIが事前に「検閲」するのは問題だ。

< ヤフコメ赤文字の記事はヒットか炎上か 「ヤフコメは無法地帯でひどいコメントばかり」  Yahoo!ニュースの公式コメンテーターを務めていることもあり、公式コメントの下に表示される匿名コメント欄(通称ヤフコメ)について、こんな声をたびたび耳にする。ヤフコメには、建設的な良いコメントも少なくないのだが、炎上した時は確かにひどい。  Yahoo!ニュースは、新聞・通信社やウェブメディアなどが配信した記事を掲載するポータルサイトであり、ここに記事が転載されると驚くほど読まれる。特にトップページ上部にある「Yahoo!ニュース トピックス」(ヤフトピ)に掲載された時のアクセス数はすさまじく、「Yahoo!砲」といわれるほどだ。記事の配信元へのアクセスも増えるため、掲載を望むウェブメディアは多い。  一方で、それだけ多くの人が読むため、ひどい炎上も起きる。コメントが1000件超など特に多いと、見出し末尾のコメント数が赤文字で強調して表示され、話題になっていることが一目でわかる。単に話題性のある記事として盛り上がっているならいいのだが、誹謗(ひぼう)中傷が相次いで投稿されているケースもある。 AIと人の手で管理されるヤフコメ  それでも、われわれが目にしているコメント欄は、ヤフーによって管理され、悪質な投稿が排除された後の状態だ。  ヤフーはコメントポリシーで、特定の個人に対する人権侵害や誹謗中傷に該当する投稿や、不快感や嫌悪感を生じさせるような表現を使って他人やほかのユーザーを攻撃する投稿を禁止し、違反したコメントは削除している。  実際の対応状況を見てみよう。「2021年度メディア透明性レポート」によると、Yahoo!ニュースにおける21年度の投稿数は1億5923万2000件(月平均1326万9000件)で、投稿削除件数は513万1000件(月平均約42万8000件)。投稿削除件数が占める割合は3.22%だ。  新型コロナの感染拡大を受けた緊急事態宣言やオリンピック・パラリンピック開催を背景として投稿件数自体が大幅に増加、それに伴って投稿削除件数も増加した形だ。  ヤフーでは、AIと約70人の専門チームでニュースサイトや各種サービスを24時間体制で監視している。削除件数全体の75.5%は、コメントポリシーに抵触しているとしてAIが投稿からおよそ数秒以内で自動削除しており、

欧米諸国が対中デカップリングの覚悟を決める時が来た。

<中国国営の新華社通信は20日、習近平(シー・ジンピン)国家主席が訪ロに際してロシアメディアに文章を寄稿したと伝えた。習氏はロシアのウクライナ侵攻を巡り「必ず危機を解決する合理的な道を見つけることができると信じる」と表明し、仲介役に意欲を示した。  習氏は20日から22日の日程でロシアを訪問する。20日はロシアのプーチン大統領と非公式の食事会に臨み、21日に正式に会談する予定だ。  焦点となるのが中国の仲介機能の発揮だ。中国はウクライナ侵攻1年となる2月24日に独自の仲裁案を公表した。即時停戦や対話の開始など12項目からなるが、ロシアに有利で具体性に欠けるとの指摘も出ている。習氏の出方に関心が集まっている。  習氏は寄稿文で仲裁案について「危機の拡大を緩和し政治的解決を推進するために建設的な役割を果たしている」と自賛した。ロシアやウクライナ、北大西洋条約機構(NATO)などの「各当事者が理性的で実務的な対話と協議を堅持」するように呼びかけた。  米国への対抗意識も鮮明にしている。習氏は「すべての国に通用する国家統治のやり方は存在しない。一国が決める国際秩序も存在しない」と強調した。中ロ関係に関して「互いに自国の国情にあった発展の道を歩むことを断固支持する」と指摘した>(以上「日経新聞」より引用)  現代世界の稀代の独裁者二人が会談する。その絵に何処に「平和」の匂いがするだろうか。むしろ腐肉を漁るハゲ鷹のイメージしかない。  日経新聞が「 習近平氏「危機解決の道見つける」 訪ロ前、仲介に意欲 」と見出しを付けたのは悪いジョークだ、と眉を顰めたのは私だけだろうか。いやプーチンでさえ、習近平氏が提示した停戦12ヶ条を見て「受け容れられない」と拒否していたではないか。しかし一人ぼっちになってしまったプーチンの許に習近平氏が訪れる、と聞いた途端に「良い条件だ」と習近平氏を持ち上げるパフォーマンスを演じて見せた。  しかし稀代の強欲・独裁者二人が意見の一致をみることは決してあり得ない。どちらかが、どちらかを利用する、という人間関係しか、この二人の関係にはあり得ない。  今回の場合はプーチンはクレムリンで孤独を囲っていたし、習近平氏は彼の周囲にはカネで買収した後進諸国の独裁者仲間しかいないという現実に気付いて薄ら寒いものを感じている。ことに中国の周辺諸国で中国に盲目的に服従する国

一人も見捨てない国にみんなでしよう。

< 不登校特例校の先駆け「高尾山学園」、登校率約70%・進学率95%超の理由大人が徹底して寄り添う組織体制を独自に構築  年々増加している小・中学校の不登校児童生徒数。文部科学省による2021年度の全国調査では過去最多の24万4940人となった。そんな中、対応策の1つとして改めて注目されているのが「不登校特例校」だ。中央教育審議会部会の「次期教育振興基本計画(23~27年度)」の審議経過報告案には、全国に300校の設置を目指すことが明記された。既存の不登校特例校では、これまでどのような成果や課題があったのか。不登校特例校として約20年の実績がある八王子市立高尾山学園で校長を務める、黒沢正明氏に話を聞いた。 2023/02/13 不登校の子どもたちが学びやすい「柔軟な教育課程」とは?  現在、111人の小・中学生が学ぶ八王子市立高尾山学園。全国に21校ある不登校特例校の1つである。中3の1限目の国語の授業を見学させてもらうと、生徒がよく通る声で自分の考えを述べているところだった。同校の児童生徒の登校率は、平均約7割。すべての児童生徒が前の学校で不登校を経験しているが、なぜここでは元気に登校して学ぶことができているのか。  不登校特例校は分教室型が多いが、高尾山学園はその中でも珍しい学校型の公立小中一貫校だ。  同校が誕生したのは、2004年のこと。当時の八王子市長が、不登校児童生徒の多さに危機感を抱いたことがきっかけだった。構造改革特区を活用し、不登校児童生徒に合った教育課程を実現する小中一貫校として新設。その後、05年に学校教育法施行規則の一部が改正されたことを機に、特区の枠組みを抜けて文科省の指定校となり今に至る。  不登校特例校の先駆けといえる同校で、企業経験を経て13年から校長を務める黒沢正明氏はこう話す。 「本校は、不登校の子どもたちが家から出て人と関わり、基礎学力と社会性が獲得できるようにと設立されました。当初目指していた学力は、就職のチャンスが増える『自動車免許が取れる程度』と聞いてますが、現在は学力が高い子も増えています。まずは学校が安心・安全で、人との関わりや体験が楽しいと思えることを大切にしています」  受け入れ要件は、「市内在住で八王子市立小・中学校に在籍していること」「病気や経済的な理由を除いて年間30日以上欠席しており、高尾山学園への登校意欲

習近平氏のアキレス腱は「台湾紛争抑制法」だ。

< 米中国交回復以来の「きつい」警告  今月6日、中国の習近平主席は共産党政治局常務委員の王滬寧・蔡奇氏らを率いて開催中の政治協商会議の経済界関連の分科会に出席し、「重要講話」を行った。  その中で彼は、中国の置かれている国際環境を語る文脈において、「米国を頭とする西側諸国はわが国に対して全方位的な封じ込めや包囲、抑圧を行い、わが国の発展に未曾有の厳しい試練を与えている」と、注目の対米批判発言を行なった。  それまでには、習主席自身は米国のことを名指して批判することはほとんどない。昨年8月のペロシ訪台や今年2月の「気球撃墜事件」に際しても習主席はいっさい発言せずに、対米批判はもっぱら中国外務省のレベルで行われた。しかし今回、政治協商会議という公の場で、習氏が自ら対米名指し批判を行うのはまさに異例のことである。  習主席の対米発言の翌日の7日、中国の秦剛外務大臣(外交部部長)は全人代関連の記者会見を行い、1時間50分に渡って14の質問に答えたが、米中関係・台湾問題・インド太平洋戦略・一帶一路について語る場面では彼は終始一貫、米国を名指して批判した。  その中でも特に注目すべきなのは以下の発言である。 「米国が中米関係にガードレールを設置して衝突してはいけないというが、もし米国側がブレーキを踏まないで誤った道に従って暴走すれば、いくら多くのガードレールがあっても脱線と横転を防止できないため、必然的に衝突と対抗に陥るだろう。その災難的な結果の責任を誰が負うのだろうか」と。  この秦剛対米発言はおそらく、米中国交樹立以来の両国関係史上、中国外相が米国に対して行った最も激しい批判であると思う。「衝突と対抗」や「災難的な結果」という際どい言葉を発した秦外相は明らかに、米国に対してこの上なく強い警告を行い、ある意味での「最終通告」を行ったとも理解できよう。 しかし何のため? 気球問題ではない  しかしよく考えてみれば、米国のQUADなどの中国に対する戦略的封じ込めや台湾支援、そして中国への先端技術禁輸などは、この数年間ずっと継続されており、別に今、始まったことではない。どうして今、習主席-秦外相のラインは突如、これほどの対米批判・警告を発すこととなったのだろうか。  原因の1つは、2月初旬に起きた中国の偵察気球が米軍によって撃墜された事件にあると考えられる。中国軍による外交妨害工