豊田氏の勝利だ、EUは合成燃料をゼロカーボンの一翼と認めた。

2035年の完全EV化は難しい?
 2023年2月27日、ドイツ政府が欧州連合(EU)に対して、2035年以降に欧州域内で「e-fuel(イーフューエル)」を使用する新車販売について認めるよう要望を出したことが明らかになりました。  
  このニュースを知って「ほらみたことか。やはり、日本の考え方が正しかったのだろう」と思う人がいるかもしれません。 
 日本では、自動車メーカーと二輪車メーカーの業界団体である日本自動車工業会が、「カーボンニュートラル実現には、EVのみならず、e-fuelなどカーボンニュートラル燃料を使った内燃機関の存続を含めた、さまざまな選択肢があるべき」と主張してきたからです。 
 もし、ドイツの主張がEUで通れば、日本を含めたグローバルでのEVシフトはひと息つくのでしょうか。 
 今回、ドイツが修正案を要請したのは「Fit for 55」に対してです。欧州議会が2023年2月14日、欧州グリーンディール政策の一環として採決されて可決した重要な規制です。
  Fit for 55により、2035年時点で欧州域内において販売可能な乗用車と小型商用車(バン)はZEV(ゼロエミッションヴィークル)になります。
  ここでいうZEVとは、EVまたは燃料電池車を指し、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は含まないという解釈ですが、これに対して、ドイツはe-fuelを認めるべきという姿勢を改めて示したのです。  つまり、ガソリン車やディーゼル車に加えて、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が含まれる可能性もあるということになります。
  一般的にe-fuelは、カーボンニュートラル燃料の一種だと解釈されおり、再生可能エネルギー由来の水素など、再生可能な資源からの電池エネルギーを化学的に蓄える燃料を指します(トヨタなど自動車メーカーの2022年6月時点での解釈)。 
 こうしたドイツの動きに対して、筆者(桃田健史)はさまざまな機会にその兆候を感じてきました。
  例えば、2022年11月、都内で開催されたランボルギーニのイベントで、来日していた同社のステファン・ヴィンケルマンCEOに筆者が今後の電動化戦略について聞いてみると「ランボルギーニのようなハイエンドなクルマのメーカーにとって、2035年以降もe-fuelの導入を真剣に議論するべきだ」と答えています。 
 ランボルギーニは2028年に初のEVを市場導入し、またほかのモデルもプラグインハイブリッド車化する計画ですが、同ブランドのユーザーである富裕層のなかには、たとえプラグインハイブリッド車になっても大排気量のV型ガソリンエンジンを求める声が少なくないのでしょう。 
 なお、Fit for 55では、販売台数が欧州域内の年間販売台数が1000台から1万台の乗用車メーカーの場合、2035年まで段階的に引き上げられるCO2規制の対象外としていますが、2035年以降については詳細が決まっていません。
  近年販売好調のランボルギーニが今後、販売台数をさらに増やしていけば、この1万台の壁を越えてしまうかもしれません。
 前出のヴィンケルマンCEOはランボルギーニの親会社であるフォルクスワーゲングループ出身です。そのため、2010年代から世界に先んじてEVシフトを推進してきた同グループ全体としても、部品の共通性が今度さらに高まるという指摘から、e-fuelの必要性を示唆したとも考えられます。 
 例えば、EU内での社会情勢の違うさまざまな国や地域で販売されている、フォルクスワーゲン、セアト、シュコダなど、比較的販売価格が低いモデルがあるブランドでは、2035年の完全EV化の壁が高く、オプションとしてe-fuelを考えざるを得ないともいえそうです。

 つまり、Fit for 55という大規模な規制が現実となっていく過程で、欧州域内での社会情勢の違いが改めて浮き彫りになってきたため、欧州域内での販売台数が多いメーカーを抱えるドイツがEUに対して修正案を要請したとも推測できます。
  ただし、Fit for 55が可決して間もない時点でこうしたドイツ主導によるe-fuel活用が要請という形となった背景には、欧州の国や地域の思惑が交錯しているのではないでしょうか。  そこには、欧州域内だけではなく、アメリカや中国の動きを見据えた、欧州主要国間での政治的な駆け引きがあるように思えます。
 ※ ※ ※ 
 こうしたEUでの政治的な動きは、当然日本にも及ぶはずです。 
 とはいえ、日本では電動化の実現に向け、達成の時期を定めて義務化する規制はありません。また、メーカー各社は日本を含めたグローバルでの販売主要地域が違いますし、アライアンスなど他社との事業連携の状況でも差があります。 
 今回のドイツのEUに対する要請をどう捉えるかは、日本の自動車産業全体というより、日系メーカーそれぞれで捉え方が違うのではないでしょうか>(以上「くるまのニュース」より引用)



 この引用記事が書かれたのは今月16日のことで「欧州の「EVシフト」にブレーキ!? ドイツが「e-fuel」提案!「2035年完全EV化」なかったことになる?」と疑問形になっているが、今日現在(3月27日)では確定的になっている。
 ただし、ガソリンによる内燃エンジン車が生き残る、というのではなく、CO2を生成したe-fuel(つまり「合成燃料」)を使う内燃エンジン車の使用を認める、というものだ。

 なんと往生際が悪いのだろうか。合成燃料がガソリン価格よりも安く生成できるようになれば問題ないが、合成燃料がガソリン価格よりも高ければ、結局は内燃エンジン車を買う者はいなくなるだろう。
 合成燃料を提案したのはドイツだが、ドイツに合成燃料を製造する技術的な見込みがあるというのだろうか。それとも、そうしたアプローチからEV以外をすべて締め出す戦略を止める政略がないために、合成燃料で走る内燃機関自動車の利用も選択肢に入れるべきだと叫んだのだろうか。

 ここで簡単にe-fuelについて説明すると、e-fuel(イーフューエル:合成燃料)とは、CO2と、再生可能エネルギーによる水の電解(electric)から得られたH2を用いた合成燃料で、ガソリンや軽油などの代わりとして期待されている脱炭素燃料である。e-fuelは合成燃料の1種となるが、その合成燃料はCO2とH2を合成して製造される燃料であり、ガソリン、軽油、灯油などの混合物を含む「人工的な原油」のことを言う。
 従って製造時にCO2を資源として利用するため、CO2の排出量と吸収量を差し引いて全体としての排出量はゼロとなる。このため、カーボンニュートラルである「脱炭素燃料」と言われている。だからEU理事会も合成燃料を使用する内燃エンジン車まで禁止するとは云えないのだ。

 ただe-fuelを普及させるうえでの課題は、製造コストの高さにある。 経済産業省は合成燃料について1リットルあたり300~700円と試算している。 合成燃料の最終コストは1ガロン(約3.79リットル)あたり3.8ドル~9.2ドルになるものを推定されている。
 ポルシェがe-fuelビジネスへの参入を検討していることが知られているが、「最終的な価格は、1ガロンあたり7.6ドル以下に落ち着くだろう」というのが同社の見通しだ。エネルギー効率が決して高いとは言えないe-fuelなので、価格の問題は深刻で、生産量に対して果たしてどの程度の実用性が見込めるのかというのが大きな疑念だ。しかしこの見通しではリッター当たり約2ドル以下ということになり、非常に高額な燃料ということになる。

 ここで「EUは、脱炭素社会の実現に向けて2035年までにハイブリッド車を含むエンジン車の新車販売を事実上、禁止することを目指していましたが、ドイツとの間で25日、合成燃料の使用を条件にエンジン車の販売の継続を認めることで合意したことを明らかにしました。」とのニュースがもたらされた。
 EUはe-fuelをゼロカーボン自動車だと認めたわけですが、トヨタが強力に推進している水素燃料車もゼロカーボン自動車と認定するように国際的な運動を展開しなければならない。その場合、主導的な役割を果たすべきは日本政府で、ゼロカーボン社会実現のためと同時に自動車産業とその業界で働く労働者、及び自動車産業で培われた工業技術や冶金や鋳造といった様々な最新技術を守り育成し継承する必要がある。

 ゼロカーボンというスローガンで自動車産業に関するすべての技術や研究成果や文化までも捨て去ろうとする「政治的決定」は人類の愚かさの象徴だ。その運動に安易に乗った日本の政治家諸氏のバカさ加減や、大々的にSDGsやゼロカーボン社会といったキーワードを駆使する評論家諸氏をのさばらせたマスメディアの軽薄さを批判する。彼らは自分たちが何を仕出かそうとしているのか、全く理解していないようだ。
 豊田氏一人が敢然と内燃機関エンジン車の「守護者」として、一身に批判を浴びながらも、軽佻浮薄な現代社会に一石を投じた。今後は「水素」が極めて安価なコストで生成できる「海水電気分解」実証試験に日本の造船業者が入ろうとしている。それが実現すれば、人類を苦しめて来たエネルギー問題から解放されることになる。旧来の発電システムの中でEVを考えていた中途半端なゼロカーボンではなく、本来的なゼロカーボン社会が実現できる。私は必ずしもゼロカーボン社会でなければならないとは思わないが、ゼロカーボン社会が現代では流行りで、しかも愚かにも主流になっているのなら、その流れに沿った技術開発を行うしかない。

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