日本が科学分野でノーベル賞受賞者を多数輩出しているのは、長期的視点に立った基礎研究を重視してきたからではないか。
<スウェーデンの王立科学アカデミーは7日、2026年のノーベル化学賞を、東京理科大の 硤合憲三そあいけんそう ・名誉教授(76)らに授与すると発表した。授賞理由は「不斉有機合成における非線形効果と自己触媒作用の発見」。 ノーベル化学賞を受賞したが決まった硤合憲三・東京理科大名誉教授(ノーベル委員会の中継動画より) ◇ 東京大で同じ研究室に所属した京都大の村上正浩名誉教授は「生命の起源に迫る成果だ。有機合成化学の枠を超えて、科学の根源的な問いにヒントを与えた。研究室の後輩として誇らしい」と祝福した。 東京大の卒業研究で博士課程2年だった硤合さんから指導を受けた東京科学大の鈴木啓介特命教授は「科学の基礎中の基礎の成果が評価されてうれしい。右手型と左手型の分子のわずかな違いが、その後に増殖し、最終的に片方だけになることをモデルで示した。生命の起源のヒントにもなる。基礎科学の面白さが伝わる研究だ」と話す。 硤合氏の下で助手になり、20年以上共同研究してきた東京理科大の川崎常臣教授(50)は「硤合先生の見つけた有機化学の反応は人類はどこからやってきたのか、生命の起源を解明するヒントにつながる成果だ。優しい先生で、細かいところに気がつき、行き詰まらないように研究を進める迫力があった。一緒に研究したものの一人として、非常にうれしく思っている」と話している。 硤合氏の母校・東京大理学部化学科で有機合成化学を研究する北之園拓特任准教授(有機合成化学)は「コロンブスの卵的のような研究成果で、業界では知らない人はいない存在だ。不斉反応を始め、今の地球上に存在するアミノ酸など様々なものが、片方の立体に偏って存在している『ホモキラリティー』という現象の起源の理解に光を与えた」と指摘する。 北之園氏によれば、硤合氏が発見した「不斉自己触媒反応」は、自分を触媒にして増える化合物は反応を続けると、ごくわずかな型の偏りが、次第に増幅され、大きな偏りとなる現象だ。「その具体例を見いだした点に大きな功績がある」と指摘した。 北之園氏の所属する研究室は、硤合氏の恩師で東大化学科の向山光昭氏が所属していたといい「(化学賞の受賞は)非常に感慨深い」と喜んだ。 2001年のノーベル化学賞では、野依良治・理化学研究所名誉理事長が、分子を左型、右型で作り分ける「不斉合成化学」の研究で受賞した。カガン氏...