中国は先延ばしして来た不動産バブルのツケが金融崩壊をもたらし、さらに社会崩壊へと波及する段階に到っている。
< 危険でもイランに留まる 筆者が注目したのは「中東で働く中国人の中で危険を承知で帰国を選ばない人が少なくない」との報道だ。イランへの空爆で中国人が死亡したと伝えられているが、現地の賃金が中国国内の数倍に上ることなどが理由だという。 中国の賃金デフレの元凶である不動産市場の不調は相変わらずだ。中国政府が発表した1〜2月の新規住宅販売面積は前年比15.9%減だった。 土地使用権の売却収入を主な資金源とする地方政府の財政もさらに悪化している。中央政府は財政引き締めの号令を発しているが、倹約のみで地方政府の窮状を改善できるとは到底思えない。 財源確保に焦る地方政府が一般国道を再有料化する動きを強めており、しわ寄せが庶民の生活に及んでいる始末だ。 出稼ぎ労働者の苦境 頼みの綱の製造業にも赤信号が点滅している。製造業の中核地域である珠江デルタでは、工場の受注減少が相次ぎ、工業地帯が閑散としているとの声が聞こえてくる。 仕事不足は中国全土に及んでいる。 最も長い大型連休だった旧正月明けにもかかわらず、出稼ぎ労働者(農民工)の「早すぎる帰郷」という珍現象が各地で起きている。 農民工の苦境を尻目に、ヒト型ロボット業界では巨額資金を確保する新興企業が相次いでいる。我が世の春を謳歌している感があるが、内情はお寒いと言わざるを得ない。 過当競争にあえぐ自動車企業がこぞってロボット製造に参入しており、その目的は自社の株価上昇と資金調達に過ぎないからだ。 ハイテク・バブルの限界 成長著しい人工知能(AI)業界もあてにならない。幅広い業種の企業がAI関連の技術開発にしのぎを削っているが、内需の振興を併せて実施しない限り、不毛な戦いが続くのは確実だ。 ハイテク・バブルを煽る中国の第15次5カ年計画への批判も出ている。 ドイチェ・ヴェレは13日、「中国政府が未来産業に注力する陰で、過去の経済成長に大きく貢献した3億人の農民工が時代に取り残されている危険性が高い」と報じた。急成長するハイテク産業の経済全体に占める割合は低いため、中国政府が掲げる目標(2035年までに1人当たりGDPを現在の1万4000ドルから2万ドルに引き上げる)は達成不可能だと結論づけている。 不況の長期化は中国の政情不安に直結する。悩める隣国の今後の動向について、引き続き高い関心を持って注視すべきだ。>...