AI時代にはヒトの属性である創造性や論理的な思考力が求められる。
< ◇世界に先駆け5~16歳を対象にコーディングを義務化するも… 「世界のどこにいても誰と話していても、最もよく聞かれる質問はいつも同じ。『私の子どもは何をすべきなのか』だ」。AIが仕事や社会をどう変えるかを15年近く研究してきたサスキンド氏自身、8歳、5歳、2歳の子どもを持つ父親である。 「子どもたちが大人になった時、世界はどうなっているのか。それを考えた時、これまで考えてきた問題が非常に個人的なものになった」。親だけでなく、仕事をする人、企業経営者、政治家、政策担当者に「技術的激変の時代をどう生きるか」についてこうアドバイスする。 「これまで多くの人々は将来の仕事を予測し、賢明に考え抜いて『これこそが必要な能力』を割り出そうとしてきた。しかし未来はあまりに不確実だ」。その象徴的な例が、イングランドが世界に先駆け5~16歳を対象に法定カリキュラムとして義務化したコーディングだ。 当時、デービッド・キャメロン英首相は21世紀に成功するために必要な技術的スキルを身につけさせるコンピューティング教育を推進し、世界各国の教育政策に影響を与えた。しかし10年余り後、AIはコーディングを高度にこなすようになった。 ◇「未来耐性スキル」という考え方そのものが根本的に間違い 「ずっと通用すると思い込んでいたスキルセットは、子どもたちが学校を卒業するまで持ちこたえることすらできなかった」。サスキンド氏によれば、将来を見越して絶対に生き残る技能を選べる「未来耐性スキル」という考え方そのものが根本的に間違っていたという。 「私たちに分かっているのは二つしかない。一つは未来が今日よりもはるかに強力なテクノロジーで満ちあふれていること。もう一つはそれ以外にはほとんど何も分からないということだ。この不確実性を受け入れた上で何ができるのかを問わなければならない」 サスキンド氏は「基礎への回帰」を強調する。読解力、計算力、そして批判的思考力だ。「高度なスキルが将来どう評価されるにせよ、それらはすべて基礎の上に築かれる。基礎とはすべての土台であることを意味する」 ◇「性急で不正確な読み手」の増加と読解力の低下 経済協力開発機構(OECD)が91カ国・地域76万人超の15歳を対象に実施した学習到達度調査(PISA 2025)でも「性急で不正確な読み手」の増加と読解力の低下など読解力の大幅な低下...