ロシアが主導して、BRICSだけの国際決済プラットフォームを構築する日が来るのか。

<ロシアは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成するBRICSが来週開く首脳会議で、欧米の制裁の影響を受けない国際決済プラットフォームを構築するよう呼びかける。

 BRICSは22─24日にロシアのカザンで首脳会議を開く。ロシアは、世界の金融システムを見直し、米ドル支配を終わらせるために他国の協力を望んでいる。
 首脳会議に先立ちロシア政府が配布した資料によると、BRICS各国の中銀を通じて相互にリンクされた商業銀行のネットワークに基づく決済システムを提案する。ブロックチェーン技術を活用し、各国通貨に裏付けされたデジタルトークンを保管・移転することで、デジタル通貨を安全かつ容易に交換できるようになり、ドル取引の必要がなくなる。
 BRICS関連のシンクタンク創設者であるヤロスラフ・リソボリック氏は、こうしたシステムの構築は技術的には可能だが、時間がかかると述べた>(以上「REUTERS」より引用)




ロシア、制裁回避へ新決済システム提案へ BRICS首脳会議」との記事が目に付いた。プーチンはBRICS首脳会議で「現在、34か国が何らかの形でBRICSに加わりたいと表明している」と述べたようだ。さらにプーチンはインドやイランの高官に対しても、モディ首相やペゼシュキアン大統領を首脳会議に招待する考えを示し、先進自由主義諸国と対立する国際決済プラットフォームをBRICSを巻き込んで作ろうとしているようだ。しかし、そんなことは夢のまた夢でしかない。
 国際決済プラットフォームの構築には何よりも参加国の信認が必須だ。この場合、何処の国の通貨を国際決済プラットフォームで使用するのかが問われる。つまり基軸通貨を何にするかだが、プーチンはルーブルを主張するだろうし、中国は元を、そしてブラジルはレアルを主張するだろう。

 先進自由主義諸国はSWIFT決済システムを利用しているが、そのような銀行間取引情報を制御するネットワークをどの国が管理するのかという問題もある。もちろんプーチンはロシアで管理したいだろうし、中国やインドも自国での管理を主張するだろう。
 BRICSに参加している34ヶ国は先進自由主義諸国と対峙する形ではまとまっているが、BRICSだけで国際決済プラットフォームを構築することは出来ないだろう。なぜならそれぞれの国がそれぞれの国を信任してないからだ。もっと具体的に云えば、BRICS参加国の多くが国内政治が必ずしも安定しているとは云えないからだ。

 引用記事によると「首脳会議に先立ちロシア政府が配布した資料によると、BRICS各国の中銀を通じて相互にリンクされた商業銀行のネットワークに基づく決済システムを提案する。ブロックチェーン技術を活用し、各国通貨に裏付けされたデジタルトークンを保管・移転することで、デジタル通貨を安全かつ容易に交換できるようになり、ドル取引の必要がなくなる」としているが、問題は電脳世界から現実世界の貨幣に置き換わる時点だ。
 他国政府や主権を尊重しない国々の間で安定的に為替取引が永続的に実行できるとは考え難い。電脳世界では瞬時にして取引決済は完了するだろう。しかし電脳処理から具体的な通貨決済の段階になると、国家間の信認が必要になる。しかしBRICS国家相互に固い信認関係があるとは思えない。

 しかもロシアは隣国ウクライナに侵略戦争を仕掛けて、泥沼の経済状態に自ら陥っている。中国も「一帯一路」や「新シルクロード」などで中国経済圏を世界に広めるべく膨張主義を闇雲に走って来たが、ここに来て中国経済は債権債務の累積から空洞化し、縮小・崩壊過程に入っている。
 プーチンは来週ロシアで開催するBRICS首脳会議で34ヶ国首脳に国際決済プラットフォームの構築を提案するようだが、参加国首脳がプーチンの提案に飛びつくとは思えない。BRICS参加国にはそれぞれの内政問題を抱え、しかも経済発展段階も参加国間で様々な格差がある。しかも貿易では利害関係者でもあって、必ずしも一枚岩になっているわけではない。プーチンはSWIFTから外され、経済制裁を受けている先進自由主義諸国の国際決済プラットフォームとは関係ない新規の国際決済プラットフォームを構築したいのだろうが、「同床異夢」のBRICSが直ちに一致団結するとは思えない。

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