台湾封鎖の軍事演習は愚行そのものだ。

<中国は徐々に台湾本島に接近しながら大規模な軍事演習を重ね、圧力の度合いを高めている。 

 今回の演習には港湾封鎖訓練が含まれたほか、新たに海警局の多くの船が台湾本島をぐるりと囲む形で巡視活動を展開。「祖国統一」を目指す習近平政権は、演習に加えて貨物船への臨検の能力も誇示し、事実上の経済封鎖をちらつかせて台湾の頼清徳総統を威嚇している。 
 中国軍の専門家は現地メディアに対し「頼当局に近距離で戦争の脅威を感じさせる」狙いがあると説明。「訓練は随時、実戦に転じさせることができる」と述べ、いつでも演習から武力行使に切り替える用意があることを明らかにした。その上で「台湾独立分子がまた挑発してくれば、中国軍による包囲と封鎖を一層強める」とけん制した。 
 今回の演習エリアは台北、基隆、花蓮、台東、高雄、台中の6都市の沖合に設定。台湾本島を取り囲む形となっており、長期化した場合には船舶や航空機の出入りに多大な影響が及ぶのは必至だった。中国軍が14日に公表したイメージ動画は、今後この包囲網をさらに狭めていくことをうかがわせる内容となっている。 
 今回の演習名は「連合利剣―2024B」とされた。5月の前回演習は末尾が「A」だったことから、頼政権の動向次第で年内に「C」を実施する可能性も指摘される。 
 演習を繰り返して封鎖状態となれば、原油や天然ガスの輸入を中心に台湾経済が深刻な打撃を受けるのは間違いない。半導体など台湾の基幹産業に影響が出た場合、日本を含めて世界的なサプライチェーン(供給網)が混乱に陥ることになりかねない>(以上「時事通信」より引用)




現実味帯びる台湾封鎖 演習から即実戦も 中国」との見出しで中国の「台湾包囲軍事演習」を報じている。中国が動員した兵力は153機の航空機と14隻の「公船」などとされている。国防部が示した地図によると、153機のうち28機が台湾海峡の中間線を越えた。主要な空軍基地がある台湾南東部沿岸や、台湾が実効支配する南シナ海のプラタス諸島でも中国軍機を確認した。中国海軍の艦船14隻と「公船」12隻も確認したとしている。
 しかし演習期間は14日の朝4時に始まって、18時には終わっている。これでは「日帰りのピクニック」のようなものだ。決して台湾を「封鎖する」という規模でも期間でもない。

 しかも中間線を超えた中国戦闘機をスクランブル発進した台湾空軍のF-16がロックオンしたという。が、中国軍機はそれに気付かなかったようだ。また航行した中国艦船に対して、台湾軍は防衛ミサイル攻撃のシュミレートをしていたという。台湾軍は決して首を竦めて小さくなっていたわけではない。
 それに対して、一日にも満たない演習だったことに習近平氏は激怒したという。時事通信の記事は「演習を繰り返して封鎖状態となれば、原油や天然ガスの輸入を中心に台湾経済が深刻な打撃を受けるのは間違いない。半導体など台湾の基幹産業に影響が出た場合、日本を含めて世界的なサプライチェーン(供給網)が混乱に陥ることになりかねない」結んでいるが、経済封鎖されるのは台湾だけでなく、中国の沿岸全ての港湾もまた使用不能となる。台湾有事の際に経済封鎖されるのは中国もまた同じである。

 習近平氏の強い台湾封鎖の意向にも拘わらず、24時間にもならないで台湾封鎖が終わった裏には米国の圧力があったとされている。それは中共政府内で習近平氏の立場が弱くなっている証であると同時に、習近平氏の「戦狼外交」の方針が転換されつつある証でもある。
 中国は米国が対中半導体輸出規制を主導して実施ししているが、輸出規制の緩和を米国に申し出ているという。米国が対中半導体規制の包囲網をかいくぐって、中共政府は中古の半導体製造機器を秘かに手に入れ、半導体製造を試みたという。しかし上手く行かなかったようだ。

 だが米国は対中半導体規制の包囲網の手を緩めることはない。なぜならウクライナ侵略戦争に使用しているロシア製のドローンに使われている電子部品は殆ど中国製だからだ。ロシアのドローン製造工場には中国人技師までいるという。そうした中国の対ロ支援が続く限り、米国は対中半導体規制を止めないだろう。
 中共政府はあらゆる意味で米国など先進自由主義諸国の動きに逆らっている。中国は国連で決議した「人権」や「自由」や「武力行使の禁止」に反した動きを続けて国際社会の団結を乱している。さらに中国が台湾を包囲する軍事演習を強行するなど、中国は自らの首を絞めていることが分からないのだろうか。他国に軍事的脅威を与える国を称賛し協力する国などないことが、解らないのだろうか。

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