「かく(確)トラ」で決まりだ。

「ハリス氏優勢」は本当か?
 2024年のアメリカ大統領選挙の投開票日まで残り1ヵ月を切った。4年前と同様に大接戦となっている。

  (エマーソンやサスケハナなど)最新の4つの世論調査では、ハリス氏が2~5ポイントリードし優勢だ。「もしハリ」ならばアメリカ史上初の女性大統領の誕生となる。男女平等が叫ばれるアメリカにおいても女性大統領は誕生したことがないから、ハリス大統領の誕生は歴史的な勝利となる。 
 その一方でトランプ氏の人気は4年前と比べ依然衰えていないとも感じている。特に一部の激戦州ではトランプ氏のリードを示す世論調査もあり、両者はまさに拮抗と言えるだろう。 
 そんな中、日本の報道の主流となっている「ハリス氏優勢」そしてトランプ氏のマイナス面ばかりがフィーチャーされるニュースには少し違和感を覚える。
 一つにはハリス氏自身の掲げる政策が見えづらいというのがある。選挙対策で慌てて国境の視察をしていたが、移民対策を任されていた副大統領時代にできなかった(悪化した)ものを、これから新たな4年で改善しようというのはいくらなんでも無理がある。 民主党寄りの州(ニューヨークやカリフォルニアなど)の若年層を中心にハリス氏が支持されているのは事実だ。
 初の女性大統領誕生への期待も高い。これら青い州でこの選挙戦を俯瞰して見ていると、勝利の女神はハリス氏に微笑んでいるかのように感じる。ひとえにテイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュなどZ世代に人気の有名人が次々とハリス支持を表明したことが若い有権者に影響を及ぼしているのもあるだろう。 
 しかし似たようなことが起こった2016年の大統領選では、多くのセレブ支持を得ていたヒラリー・クリントン氏が敗北した。よってセレブのエンドースメント(支持表明による応援)は選挙戦においてはそれほど大きな効果をもたらすものではないかもしれない。

大統領選直前、米現地の空気感
 青い州の都市部ではハリス氏支持が目立つと話したが、そんな青い州でも郊外に行くとトランプ氏支持を唱える有権者が依然多いと感じる。
 白人の高齢者が主な層だが、中には若年層や有色人種の人もいる。そんな彼らになぜトランプ氏を支持するのか聞いてみると、国の改革・変革が必要なのだと口をそろえる。
 バイデン政権下で深刻化したインフレなど経済問題と移民問題をどうにかしなければという憂いと気概が伝わってくる。 90年代は日本からアメリカに行くと何でも安かったが、今は昔。立場は逆転し、日本円に換算すると卵は1パック1000円越え、なんてことないサンドイッチが2000円etc…。バイデン政権下の4年間であらゆるモノの物価が急騰した。数十円の値上がりでニュースになる日本からアメリカを旅行するならば、本当の意味での「物価高騰」に、目玉が飛び出るほど驚くだろう。 
 移民が大挙して押し寄せた都市の一つ、ニューヨークの景色はこの4年で変わった。ホームレスに加え、路上で物乞いをする移民の母子が増えている。南米で見かける菓子売りの子どもが今ではニューヨークの地下鉄でも頻繁に目撃されるようになってきた。あるアメリカ人路上生活者はこのようにこぼした。「なぜ自分たちは援助が受けられないのに、不法移民が(高級ホテルの一室に住むなど)手厚い支援を受けられ優遇されるのか」。

「トランプの失言や有罪評決なんて些細なこと」
 今年、筆者は中西部の激戦州、ウィスコンシン州を訪れ有権者と対話する機会があった。トランプ氏の復活を願う人たちに話を聞くと、彼らにとってもはやトランプ氏の数々の失言や討論会での失敗、有罪評決は取るに足らないことなのだという。
 トランプ氏の失態や失言は浮動票に影響を与える可能性があるものの、支持者にとっては何が起ころうと心はもう決まっている。 そもそもトランプ氏にしろハリス氏にしろ、清廉潔白で性格に難なく「完璧な」人物というのは今のところ存在しないのだから、だったら素晴らしいアメリカ(MAGA)を復活させる候補者を選ぼうではないか、ということらしい。
 大統領としての経験と実績があり(在任中に戦争を起こしていない、プーチンや金正恩と対話する力がある、戦争を終結できそうなど)、他国との交渉の場で強力なプレッシャーをかけることができる強いリーダー、大きな改革を起こし国が抱える深刻な問題を軌道修正できる人物ということで、トランプ氏を求めているようだ。 
 直接彼らに話を聞いたからわかることだが、そのようなトランプ支持者は米議会襲撃事件に関与した犯罪者やプラウド・ボーイズのような極右団体に所属する(メディアが取り上げがちな)過激的な人物像とは全く異なる。見た目も思考もごく一般的な白人層が主で、高学歴のインテリから労働者階級までさまざま。そして彼らは何代も前の先祖からアメリカに住む真のアメリカ人であり、心から愛国心があるように見える。 
 共和党が過激的で横柄、民主党がそうでないイメージは、左傾化の傾向がある大手メディアが作り上げたものだとも言えるかもしれない。一つわかりやすい例として、筆者が目にした事例をあげる。今年の9.11同時多発テロの追悼式典でのことだ。その場にはバイデン&ハリス、トランプ&J.D.ヴァンスの4人が勢揃いした。4人は場の雰囲気を乱すことなく控え目な姿勢で参列していた。テレビ討論会から一夜明け、トランプ氏からハリス氏に握手を求めるシーンもあり、友好的な態度が示されていた。
 しかし左傾化傾向のある某大手メディアが取り上げた写真は「控え目なバイデン&ハリスの横に立つしかめっ面のトランプ&横柄に腕組みし同様にしかめっ面のJ.D.ヴァンス」というイメージだった...。 よくトランプ氏についてArrogant(傲慢)という表現が使われる。確かに彼にはそのような一面もありそうだ。ではハリス氏がArrogantではないとどのように実証できるだろうか。トランプ氏の過去の失態が大きくフィーチャーされる中、ハリス氏の過去(不倫やカリフォルニアの検察官時代の悪評など)はそれほどフィーチャーされない。トランプ氏がメディア嫌いになるのもうなずける。

「もしトラ」の現実味は否定できない
 最新の世論調査結果では、黒人やヒスパニック系の有権者の間でハリス氏がリードしているというが、ニューヨークタイムズによるとトランプ氏支持も増えているという。
 従来の白人層に加え、有色人種の有権者の投票がどちらに伸びるかが大きく勝敗を分けそうだ。また男女では、男性はトランプ氏、女性はハリス氏を支持する傾向がある。 勝敗の行方を決める大きな要素として激戦州での結果は注視しなければならない。
 2024年の大統領選の激戦州はアリゾナ、フロリダ、ジョージア、ミシガン、ミネソタ、ノースキャロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの8州とされる。大統領選を制したければ、この8州では負けるわけにはいかない。
  例えばジョージア州は歴史的に共和党の牙城だったが近年、重要な激戦州としての地位を固めている。2020年の大統領選ではバイデン大統領が僅差でジョージア州を制した。そしてその結果についてトランプ氏によって激しく争われた場所となった。今回の大統領選でもこの州での結果も重要となる。 
 ちなみに世論調査ではわずかにハリス氏がリードしていると書いたが、ウィスコンシン、ミシガン、ジョージア、ノースキャロライナなど中西部や南部の激戦州ではトランプ氏のリードを示す世論調査もある。 
 トランプ氏は熱心な支持者には響くものの、不用意で差別的とも捉えられる発言や分断を助長するような発言が目立ち、穏健派や無党派層を中心に毛嫌いする人が多いのも事実(「失言の機会」を極力避けているハリス氏。反ハリス派は反トランプ派に比べて少ない)。反トランプ派の共和党員がハリス氏の支持者に流れるケースもあり、トランプ氏の選挙戦における最大の課題となっている。

クッキー投票の選挙予測は?

 あまり日本では報じられないが、アメリカではこの時期になると「勝敗占い」も話題になる。アメリカ国内にあるベーカリーが非科学的な「クッキー投票」の場として、大統領選ごとに注目されるのだ。 
 例えばオハイオ州シンシナティのバスケン・ベーカリーでは青のハリスクッキーと赤のトランプクッキーが販売されている。今年は今のところ、トランプクッキーの売り上げがハリスクッキーのそれを上回っているという。そしてこの店では1984年以来、一つの年を除いてほぼすべての選挙結果を正確に予測してきたというから、ただのクッキー占いだとバカにはできない。 
 ほかに激戦の地として特に重要な州、ペンシルベニアのロチェルズ・ベーカリーでもクッキー投票が行われていて、こちらも今年はトランプクッキーの売れ行きがハリスクッキーを上回っているという。
 2008年と12年にはオバマ氏が、2016年はトランプ氏が勝者になると予測し、その通りになった。しかし20年はトランプ氏の勝利を予測したが、結果的には外れた。今年はどうなるか? 
 ほかに歴史学者のアラン・リットマン氏の予測も見逃せない。彼はニューヨークタイムズに「大統領選のノストラダムス」と称される人物で、独自の13指標に基づき1984年のレーガン大統領再選以来「ほぼ的中」させてきた。2016年の選挙ではトランプ勝利を言い当てた数少ない専門家であり、その的中率は9割。 彼の今年の予測は…? ハリス氏の勝利だという。
 リットマン氏の見方を信じるならば、「もしハリ」の可能性は十分に高いと言えるだろう。「もしハリ」となったならば、女性が初のリーダーとなる新しいアメリカの誕生と言えるが、同時にこの国が抱える問題がどのように改善されるか注視が必要だろう>(以上「現代ビジネス」より引用)




米大統領選「ハリス優勢」は本当か?トランプ支持者の声を現地で聞くと「もしトラ」の可能性は土壇場まで否定できない…!」と題する安部 かすみ(NY在住ジャーナリスト/編集者)氏の論評を取り上げたい。なぜならトランプ氏が復調してハリス氏の勢いが凋落している、という情報があるからだ。
 様々な世論調査が発表されているが、その中の最新版の幾つかを上げてみよう。
Polymarket        トランプ 55.1%        ハリス 44.4%
Daily mail    トランプ   62.4%    ハリス   37.5%
 となっている。Polymarketは博奕の掛け率だから世論調査とは云えないが、博奕の掛け率の方が正確だという見解もある。Daily mailの世論調査結果は圧倒的なトランプ優勢を伝えている。

 それでは激戦州ではどうなっているかというと、一様にトランプ氏がハリス氏を圧倒している。激戦州の中でもさらに接戦を演じている三州の世論調査を掲げると以下の通りだ。
ミシガン州     トランプ 51%         ハリス 47%
ウィスコンシン州  トランプ 49%         ハリス 47%
ペンシルベニア州  トランプ 47%         ハリス   49%
 となっていて、ペンシルベニア州以外はトランプ氏が優勢になっている。ここで面白い調査結果があることを示しておこう。それは2022年から現在までで共和党の有権者登録数は120万人増加したが、民主党の有権者登録数は80万人減少したという。特に激戦州で民主党の有権者登録数は減少している。
 ペンシルベニア州では民主党の有権者登録者数は30万人減少し、共和党は7万人増加している。ネバダ州では2020年の民主党の選挙人登録数は7.9万人だったが、現在は2.9万人で5万人減少している。ノース・カロライナ州では2020年には民主党の選挙人登録者数は39万人いたが、現在では13万人だという。アリゾナ州の共和党の選挙人登録者数は2020年は13万人だったが、現在では36万人に増えている。

 このような各種調査を通して見えるのはトランプ氏の優勢であって、ハリス氏の凋落だ。安部氏が引用記事の中で述べているように、ハリス氏の政治家としての手腕に疑問を抱く有権者が増えているのが主な原因ではないだろうか。
 当初、ハリス陣営はインタビューなどの「露出」を嫌っていた。バイデン氏がチェンジした時の勢いを11月5日まで維持したかったからだ。しかし次第にハリス氏の「ワード・サラダ(日本語で「支離滅裂」の意味)」な回答が報道されるようになり、人々は彼女が国際舞台でプーチンやネタニヤフ氏と会談して戦争を終結させられるのか、と懐疑的に考え始めた。しかも米国内のインフレ・物価高騰と不法移民による治安の悪化など、過去三年有余のバイデン-ハリス政権を見る限り、ハリス氏に何が期待できるのか、と米国民の多くが思い始めたからだ。

 安部氏は「移民が大挙して押し寄せた都市の一つ、ニューヨークの景色はこの4年で変わった」と書いている。絶対的な青州(民主党の岩盤州)のニューヨークで、つい先日トランプ氏がラリーを行った。絶対的な青州でトランプ氏が遊説を行うのは極めて珍しい。しかし、それはニューヨークも接戦州の一つだと、トランプ氏の選挙本部が判断したからだろう。
 不法移民が大量に流入した青州では元々そこに棲んでいる米国民の現政権に対する反感は強い。自分たちが支払った税金が不法移民のために使われるのに我慢ならない。投票日まで後二十日余りしかないが、今後ともトランプ氏の勢いが増すことはあっても、ハリス氏が蜜月当時の勢いを取り戻すことはないだろう。2020年のバイデン・ジャンプのような不正選挙がない限り、「確トラ」で決まりだ。

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