中ロ同盟を切り出さなかった習近平氏にプーチンは失望したのではないか。

<岸田首相の抑えられない高揚感とは裏腹の展開だ。外遊先のインドからウクライナ入りし、悲願のキーウ訪問を実現。23日は帰国早々イベントが目白押しだが、日本列島は侍ジャパン熱に侵され、電撃訪問の達成はかすんでしまっている。海外の熱視線も中ロ首脳会談に集中し、岸田首相関連の報道はオマケ扱い。G7広島サミット開催で政権浮揚どころか、ズッコケるんじゃないか。
  ◇  ◇  ◇
 23日未明に帰国した岸田首相は、午後から参院予算委員会の集中審議に出席し、ウクライナ訪問やゼレンスキー大統領との首脳会談について説明。WBCで3大会ぶりの優勝を果たした侍ジャパンの表敬訪問にも対応し、その人気にあやかりたいところだが、ハンパない持ってない感が際立つのは確実だ。
 海外に目を転じても、岸田首相のキーウ訪問はこれといった評価を得ていない。話題は日程がかぶった中国の習近平国家主席のモスクワ訪問、プーチン大統領との濃密な首脳会談一色。完全に持っていかれてしまっている。

■海外メディアは中国注視
 英BBC(電子版)は主要ニュースで「62秒に込められたプーチンと習近平の“親愛なる”友情」との見出しを打って中ロ会談を報じる一方、キーウを訪れた岸田首相関連の単独記事はなし。アジア枠で「日中首脳、ウクライナ戦争で対立する首都を訪問」と題した記事の中で軽く触れている程度だ。
 米ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は「習近平―プーチン会談が行われる中、日本の首相がウクライナ訪問」とのタイトルで、1分半の動画をアップしただけ。米CNN(電子版)では、「ウクライナ戦争タイムライン」「習近平とプーチン」がトレンド入り。
 トップニュースで「習近平─プーチン会談後に平和への道はない」と題した特集を組み、アジア枠にアップされた「ゼレンスキーに会うため岸田首相がウクライナをサプライズ訪問」との記事でも、中ロ会談の内容に半分ほど割いている。

実は深いウクライナとのつながり

「和平の必要性を念頭に置く中国が仲裁役に名乗りを上げるのかが、国際社会の最大の関心事と言っていい。習近平氏はプーチン氏と親密ではありますが、中国はウクライナとつながりも深い。中国海軍初の空母はウクライナから購入したものですし、浅からぬ関係にゼレンスキー氏が期待を寄せている面もある。ウクライナ訪問を招請する親書を送ったことからも、ウクライナ戦争のキーマンのひとりは習近平氏なのです」(国際ジャーナリストの春名幹男氏)
 習近平の腹の内は判然としない。中ロが発表した共同声明では、「対話がウクライナ危機の解決のための最善の道だ」などと強調し、停戦交渉をチラつかせつつも、ロシア軍の撤退を約束せず、併合した地域の扱いには触れず言いっぱなし。
 西側の対ロ制裁やウクライナへの軍事支援を批判し、代わり映えなし。習近平がウクライナに立ち寄る可能性が報じられていたが、そのまま帰路に就いた。「窮地に追い込まれ、中国依存を強めるプーチンにサミット前の停戦をのませ、G7首脳陣を出し抜こうとしている」(外交関係者)とも言われるが、どうなるか。
 少なくとも、岸田首相のキーウ入りはプーチンをイラつかせたようだ。ウクライナ訪問中、ロシア軍は各地を一斉攻撃し、戦略爆撃機2機を日本海上空に飛行させた。やぶへびになったら、目も当てられない>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)



 奇しくもプーチン習近平氏会談と岸田首相のキーウ訪問のニュースが重なった。日刊ゲンダイ紙は岸田-ゼレンスキー会談の影が薄くなったと書き立てているが、むしろ影が薄かったのはプーチン-習近平会談ではなかっただろうか。
 なぜなら習近平氏はプーチンにそれほど歓迎されなかったようだからだ。それは訪ロ前の事前折衝で中国側がプーチンの期待に沿わない態度を見せたからではないだろうか。云うまでもなくプーチンの期待とは習近平氏が中ロ同盟を表明し、払底した砲弾やミサイルを貨車に満載して支援してくれることだった。

 しかし習近平氏は先にウクライナ戦争の停戦案を示した。それは以下の12項目からなる。
(1)すべての国の主権の尊重
(2)冷戦思考からの脱却
(3)敵対行為の停止
(4)和平交渉の再開
(5)人道的危機の解決
(6)民間人と捕虜の保護
(7)原子力発電所の安全維持
(8)核兵器使用と核戦争の回避。中国は化学・生物兵器の研究・開発・使用に反対
(9)穀物の輸出を促進
(10)一方的な制裁の停止
(11)産業とサプライチェーンの安定維持
(12)紛争後の復興を促進
 この12項目の何処にも中ロが同盟を締結してNATOや米国と戦うとは書いていない。それがプーチンにとって最大の不満なのだ。

 果たして空港に到着した習近平氏一行をプーチンは出迎えなかった。代わりに副首相を空港に派遣した。そしてモスクワ大学やロシア国会で習近平氏が演説する、という晴れがましい舞台も用意されなかった。
 なによりも、「国賓」扱いしながらも、晩餐会も開かれなかった。ただプーチンと習近平氏が二人だけで会食しただけで、王毅氏ら随員は別室で弁当を食べたという。これは体面を重んじる習近平氏にとって恥辱に近い扱いではないだろうか。そして帰国する習近平氏をプーチンは空港まで見送りもしなかった。だから習近平氏も自動車に乗り込む際に会釈だけして、車が走り出すとプーチンを無視した。

 日刊ゲンダイでの見出しでは「習近平主席にかき消された岸田首相のキーウ電撃訪問 国際社会は中ロ首脳会談に熱視線の“持ってない感”」となっているが、稀代の好戦・独裁者たちが顔つき合わせて「平和」について話し合うなど、天地がひっくり返ってもあり得ない。しかも元KGBと権謀術数の国の独裁者だ。二人は面会して腹の探り合いをしただけではないのか。
 しかもウクライナ停戦を提起した習近平氏が一方の当事国だけを訪問して調停役など勤まるはずがない。筋からいえば、ロシアを発ったその足でキーウを訪問すべきではないか。つまり習近平氏が提起した停戦案は自己顕示欲の現れではないだろうか。

 岸田氏は先進自由主義諸国G7の中で唯一キーウを訪れていない首脳だった。やっと訪問したことにより面目を保つことが出来た。口先で何と云おうと、一度の訪問こそが大事だ。日本国民を代表する首相として、訪問してくれたことを素直に評価する。
 今月末か来月になればウクライナはロシアに攻勢をかけるだろう。ロシア国内では反戦の機運が高まっているし、金融崩壊への綻びが各所に出始めている。ロシア兵に対する報酬も遅配がちとなり、約束した金額が支払われない、という兵士たちの書込みがSNS上に湧いているという。プーチンが起死回生の頼みとしていた習近平氏はつれない態度を見せ、むしろロシアの敗北を願っているのではないか、と疑っているのではないか。プーチンは広大なクレムリンの中で深い孤独を味わっているのではないだろうか。

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