ルイス・マルティネス教授は夜の衛星写真から中国経済の実態を推定。

<独裁政権が必ずしも正確なデータを公表していると信じてはいけない――特に、内容が素晴らしい経済データの場合は。これは当然だと受け止められているが、従来その問題の深刻さを正確に知る手がかりはなかった。

 シカゴ大学ハリススクール(公共政策大学院)のルイス・マルティネス教授が昨年10月に発表した新しい論文は、ある国の経済規模や国力の尺度として用いる国内総生産(GDP)の推計値を、独裁国家がどの程度水増ししているかという点に光を当てた。
 鍵を握るのはその「光」だ。衛星画像を通じてある国の放つ夜間の光量が分かると、かなり信頼性の高い経済成長の指標となることが判明した。
 「経済が拡大するにつれ、住宅や工場、街灯が増える。それら全部が光を放っている」とマルティネス氏は言う>(以上「WSJ」より引用)




 シカゴ大学ハリススクール(公共政策大学院)のルイス・マルティネス教授は人工衛星から見た各国の夜景の明るさからDGPを推定する、というやり方で独裁国家のDGPを推定している。その論拠は「経済が拡大するにつれ、住宅や工場、街灯が増える。それら全部が光を放っている」というものだが、あながち否定されるものではないだろう。
 この論理こそ流布されなかったが、20210年以前にも世界各国の人工衛星写真で見た世界各国の夜景写真が一世を風靡したことがあった。ことに北朝鮮の地域の暗さは彼の国の「暗黒」をそのまま象徴しているようだった。

 ルイス・マルティネス教授の試算によると中国の1992年~2008年のDGPは、中国当局は年平均6.3%↑だとしているが、夜間の明るさから推定すると年平均4.9%↑程度ではないかという(Journal Political Economyにて発表)。またオランダのフローニンゲン大学の試算によると2008年~2021年の高度経済成長時に中国当局がGDP成長率を年8%↑から年14%↑だったと発表しているが、実際は年2%↑から6%↑だったという。結果として現在の中国のGDPは当局発表の40%以下ではないか、と推定されるというから驚きだ。
 現実に最近の具体的なデータから中国経済を占うと、中国当局は2022年の消費市場は0.2%↓だったというが、昨年は中国各地の主要都市ですらロックダウンが実施され、上海ですら2ヶ月ロックダウンで殆どすべての経済活動が停止した。昨年中国の主要都市の1/4でロックダウンが繰り返され、マトモに経済活動が行われたのは1/2ほどではなかっただろうか。よって2022年の中国の消費は5%↓だったと推定される。

 ちなみに今年3月20日中国中央人民銀行が発表した支払いシステムの利用状況は以下の通りだ。①銀行カード130兆元で対前年同期比4.28%↓ ②銀行間振り込み499兆元で対前年同期比5.19%↓ ③オンライン決済は337兆元で対前年同期比4.95%↓ ④証券交易印紙税(証券取引税)は61.7%↓だった。
 実際に相手国があって中国政府当局で誤魔化しの利かない貿易統計でみると、2023年の輸出は1~2月の対前年同期比20%↓~30%↓だった。輸入品に課される関税収入は27%↓だった。中国当局やIMFが今年の中国GDPは5%台のプラスだと予想しているが、飛んでもない捏造数字だと否定するしかない。

 現在の中国のGDPは当局発表で114.4兆元とされているが、前出のルイス・マルティネス教授の試算によると46兆元以下(7兆ドル以下)でしかなく、米国の25兆ドルには遥かに及ばないどころか、もしかすると日本の5兆ドルにも及ばないのではないか、という。
 その一方で中国の2022年末の債務は天文学的な数字に達している。国債は26兆元だが地方政府が発行している地方債は35兆元に達し、さらに地方政府企業の借金は65兆元にもなっている。実に債務率は267%になっている。それは発展途上国で債務率が200%を超えると危険ラインだととされている割合を確実に超えている。

 さらに中国の病巣となっている不動産バブルの実態を数字で見ると、中国全土の不動産価格(断っておくが「不動産価格」は中国の場合は50年~70年間の「地上権」のことだ)は62兆ドルに達している。それは米国の3.4兆ドルを遥かに超えているし、日本の10兆ドルや英国の31兆ドルよりも大きく、対GDP比では米国が138%で日本が233%でドイツが271%となり、イギリスですら339%だが、中国は882%で中国の不動産市場がバブル状態にあるのは明らかだ。
 北京の不動産価格は安定的だとされているが、北京の通勤圏の地方都市では既に不動産価格が70%も下落している。中国当局が不動産の販売を禁じて、不動産ローンをジャブジャブに貸し出しているが、不動産市場は冷え切ったままだ。しかし中国当局の不動産バブル崩壊を隠蔽する政策は不良債権処理を先延ばしして不良債権をさらに膨らませるだけの愚策でしかない。そうした政策は金融機構全体を巻き込んだ「金融崩壊」を招きかねない。知恵ある者は「元」を手放して金や外貨を購入する動きに出ている。中国当局はそうした動きを牽制するために、銀行から引き出し金額を厳しく制限し、預金金額が50万元(約一千万円)を超える銀行口座を没収する挙に出ているといわれている。

 こうした経済状態の中国に企業展開を試みる日本企業があるとすればお目出度いというよりも、その経営者は中国と特別な利害関係があるか、企業に対する背任行為だと批判するしかない。

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