本来は経済問題の外国人労働移民抑制を「人種差別」だと社会問題化して誤魔化すオールドメディア。

<◇語られる将来への不安
「差別ではない。ただ移民政策により問題が生じている欧米のようになってしまっては困る」。多くが口をそろえたのは、自らの主張が排外主義ではないという考えと、将来への不安だった。
 コロナが落ち着いてから、働く外国人やインバウンド旅行者らも含めて、目に見えて外国人の数は増えている。一方、手元のスマートフォンを開けば、SNSを通じて、欧州や米国の移民問題をはじめ、不安を感じる情報が次々と入ってくる。

◇政策の優先順位 政治にもっと議論してほしい
 今の課題も語られた。東京都の50代男性は、「仕事で外国人と一緒になるが、日本語がわからないから大変だ」と話した。日本語教育を手厚くすることは解決策になるのでは、と聞くと、「そういう予算は先に日本人に振り向けてほしい」。男性は若い頃は夜間の仕事をこなし、今は派遣の仕事とアルバイトを重ねているという。
 反対派の中にも、主張の違いがあった。横浜市の60代男性は「排外主義やデマと批判されても仕方ない言説もある」と言いつつ、「不安を語ろうとするだけで『差別』『レイシスト』とレッテル貼りされる」とも語った。それでも移民政策に反対なのは、「各地でトラブルが発生している。まずは制限するべきだ」。
 課題があるなら、共生に必要な政策支援をするか、人手不足を受けいれて制限するか。どう妥協策を見いだすか。「政治にもっと議論してほしい」。そのことも、男性たちのいら立ちにつながっていた。

◇静かに拡大してきた日本の外国人の受け入れ政策
 外国人の受け入れは、経済界の要請もあって進んできた。安倍政権が、働く外国人を本格的に受け入れ、条件を満たせば、家族を伴う滞在や永住申請も可能な特定技能制度をつくり、2019年に始まった。その後、技能実習に代わり、特定技能への移行も視野に入れる育成就労制度を創設するなど、拡大方向で進んできた。
 外国人を支援する態勢強化や日本語教育などの共生施策はとられてはいる。だが、現場の負担増や地域の不安に対してどう向き合い、より本格的な予算をどう配分するかといった対応は追いついていない>(以上「朝日新聞」より引用)




「移民反対」を支持する人たち なぜ今、強く訴える?その理由は?」との見出しが気になった。オールドメディアは外国人労働移民政策を外国人との「共存」や人種差別といった社会面から捉えがちだ。だが、そもそも外国人労働移民は経済界の要請によるもので、それは安価な労働者を大量に受け入れて生産を増大させ、企業利益を確保しようとする経営者の都合によるものだった。
 しかし外国人移民が増加するにつれて様々な軋轢が表面化し、社会問題化してきた。その結果としてオールドメディアが取り上げ、社会活動家たちが人種差別だと騒ぎだした。その動きを拡散して社会問題化しているのがオールドメディアだ。

 外国人労働移民は技能実習生として導入された。国連の定義では「一年以上他国に居住する人たちは移民」という定義を適用すると技能実習生も移民だ。それを産業界に広く適用する形で外国人労働移民は拡大してきた。
 そして現在、全国各地で日本人住民と外国人移民との間で様々な軋轢が社会問題として表面化してきた。しかし実際に外国人労働移民を大量に導入して経済成長した国があるだろうか。かつて高度経済成長下の日本では外国人労働移民は皆無だったし、2000年から2010年代にかけて高度経済成長を果たした中国も外国人労働移民を大量に受け入れたわけではない。ただし、国内の農民を大量に離農させて「農民工」として都市部に受け入れた。その農民工を再び田舎に戻そうとしているが、帰農させようにも田舎の農地の多くは地方政府によって取り上げられ、開発事業の用に供されて農地ではなくなっている。つまり農民工は帰る場所を失っている。中国で起きている労働問題は国内での「移民」問題ともいえる。

 本題の「外国人労働移民」は経済界の要請による政策だが、果たして日本を豊かにするのか、という論点に戻ろう。
 それを論考するために人類史上、飛躍的な経済成長を遂げた英国の「産業革命」で何が起きたのかを検証してみる必要がある。
◇産業革命のキーワードは「キャラコ(綿織物)」だ。
 産業革命を境に、イギリスの綿織物(キャラコ)の生産性は手工業から機械制工場へと移行して、生産性が劇的に向上し、品質面で先行していたインドの伝統的な手工業を圧倒した。この生産性の逆転は、世界の繊維産業の主導権をアジアからヨーロッパへと完全に移し替えた。
1. 産業革命前の生産性はインドの圧倒的優位だった。
 インドは長い歴史の中で培われた高度な手工業技術(手紡ぎ・手織り)に依存していた。それは労働集約型であり、熟練した職人の技量に大きく左右されていた。その当時のインドの1人あたりの生産量は低く、1枚の布を織り上げるのに多大な時間を要した。だがインドの職人は非常に細く均一で強靭な綿糸(ダッカ・モスリンなどに代表される極細糸)を作り出す技術を持ち、品質とコストパフォーマンスの面で世界最高水準を誇っていた。
2. 産業革命後のイギリスの機械化と爆発的成長
 18世紀後半、ジェニー紡績機や水力紡績機、クロンプトン-ミュール紡績機などが次々と発明され、さらにワットが蒸気機関を動力として導入され、1台の機械で同時に数百〜数千本の糸を紡ぐことが可能になり、労働者1人あたりの生産性は数百倍から数千倍に跳ね上がった。これによりイギリス製のキャラコは安価かつ均一な品質で大量生産(マニュファクチュアから工場制機械工業への移行)されるようになった。
3. インドとイギリスの生産性比較
☆産業革命前のインドキャラコ産業革命後のイギリスキャラコ
 主要な生産手段 手紡ぎ車、手織り機(家内工業) 蒸気機関、大型紡績機、力織機(工場制機械工業)と生産の主体 熟練した職人の高度な技術と労力 機械の稼働による単純労働者の監視と補助による生産のため生産スピードは 遅い(1枚織るのに多大な日数を要す)。
☆産業革命後の英国 
 自動紡績機の発明や蒸気機関の発明により爆発的に生産量が増加し、製品の特性 品質・風合い・染色は最高級 初期は粗悪だったが、徐々に品質が向上し均一化した。労働者一人当たり生産量が劇的に増加したため、単位製品当たりコストが 安価になった。
4. 歴史的帰結
 イギリスは当初、インド産キャラコの人気に対抗するため国内での使用を禁止していた(キャラコ禁止法)。しかし産業革命による圧倒的な生産性の向上とコスト削減を達成した結果、19世紀以降は逆にイギリス産の機械製キャラコがインド市場に大量に逆輸出される事態となった。これにより、インドの手工業は壊滅的な打撃を受け、インドはイギリスの綿花供給地に転落することになった。

 こうした歴史から学ぶべきは企業経営者は「人手不足」解消に外国人労働者移民政策を尊信するのではなく、製造現場に投資を行って生産性向上を図るべきだ。そうすれば製品コストに占める人件費割合は低くなり、労働賃金を上昇させることが出来る。
 現在の人手不足は賃金上昇の契機ともいえる。だが人手不足の解決に外国人労働移民を充てたなら、賃金上昇は起きない。ただ現状施設のまま賃金を上昇させたら企業利益を圧迫するだけだ。そこで経営者は人手がかかる現場を省力化するための投資を行う必要がある。例えば宅配業者なら各地の集配所を大きくブロークごとに統合して荷物の仕分けの自動化や、ブロック間の移動には鉄道貨物を利用するなど、全国をネットワーク化するなど省力化のために投資すべきだ。

 間もなく各企業へのAI導入が本格化する。そうすると否応なく企業は省力化の方向へ向かう。人手不足はAI化により劇的に解消する。今後、日本では雇用不足が起きる可能性の方が高い。つまり新卒者の失業問題が表面化するだろう。同時に、各企業は過剰になった労働者をいかにすべきかという問題に直面する。外国人労働移民として入国させた外国人に対して、帰国させるための「投資」を日本政府は行う羽目になりかねない。現にスウェーデンでは外国移民に対して人に当たり500万円の帰国給付金の交付を条件に帰国を促している。それでも外国移民の帰国促進事業が当初の目標に届かないため、帰国給付金を引き上げるべきか議論になっているという。
 他山の石という。日本は欧州諸国の現状を他山の石として、外国人労働移民について真摯な議論を始めるべきではないだろうか。

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