改革といっても新時代が到来するわけではない。基本をキッチリと見直すことが重要だ。

 たとえばIT技術の劇的発展により新時代が到来するかのような幻想がこの21世紀初頭にあった。しかし現実はこれまでのシステムの何割かをIT技術とIT装置に置換しただけだ。楽天のような企業をIT企業と評すにはいささか抵抗を覚える。
 なぜなら電子取引に移行した証券取引所をIT企業と呼ばないのと同じ理由からだ。つまり楽天がやっている商売はこれまで既に存在している小売業や流通業の一部をIT技術に置換したに過ぎない。いわゆるカタログショッピングと呼んでいたカタログ販売がIT電子空間に居を移したに過ぎない。

 IT電子空間を支えているのは、やはり人の手だ。日々ホームページを更新しなければ陳腐化したディスプレイ画面と化してしまうだろう。そこには目新しい情報の欠片もなくなってしまう。つまりITをITたらしめているのは人でしかない。
 医療費が総額で対前年数%伸びて大変だ、とマスメディアが騒ぎ立てている。それにより消費増税の正当性と70歳以上の老人医療費自己負担を1割から2割に増額するコンセンサスを得ようとしているかのようだ。しかし医療費の増大と消費増税と果たしてリンクしているのだろうか。

 なぜ医療費増大の内訳の詳細を報道しないのだろうか。医療費の何割が薬価として支払われ、何割が医療従事者の給与として支払われ、そして医療費の何割が行政経費として支払われているのか、そうした詳細を国民に提示しなければ「医療費削減への協力」要請のアプローチすらままならないのではないだろうか。
 この国は既に米国以上の高速光通信網が全国に張り巡らされている。稼働しているPC台数も人口比でいえば世界最高水準にある。そして国民に対する基礎教育の高さから予備訓練なしに殆どの国民がPCを自在に操れる。そうした国において、未だに電子化されたカルテが国家で一元管理されていないとは驚きだ。

 殆どの医師は既にカルテをPCで打ち込んでいる。病院内でのやり取りはすべて電磁情報になっている。医師が患者を診察しカルテを書くとそれがそのまま医局に伝わり、同時に会計部署に伝わって料金を算定している。
 それがなぜ全国一律のプログラムで統一されないのだろうか。そうすれば病院の梯子による過剰医療は排除されるし、医療情報の共有化によりレントゲンなどの被爆も最低限抑制されるだろう。

 なにもIT化ということを大上段に構えることはない。カルテの電子化はすでに何処の医院でも行われている。今後はカルテ書式を統一し電子化フォーマットを全国の医師に使わせることだ。そうすればレセプト管理も一元化され、老人相手に馬に食わすほどの薬を処方する開業医は自然と根絶されるだろう。
 カルテの電子化と国による一元管理を阻む者は医療費の増大を歓迎する利権構造推進者だと断定して非難すべきだ。


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