独立国にとって関税自主権の放棄はあり得ない。

 徳川幕府が安政年間に締結した「日米修好通商条約」を突破口として西洋各国と締結した無知ゆえの不平等条約、関税自主権と治外法権の改正を求めて明治政府がどれほど腐心したか忘れてはならない。日本は終戦直後の米国に抗し難く、日米地位協定という治外法権にも等しい不平等条約を締結させられ、今はまさにTPP条約交渉で関税自主権を撤廃させられようとしている。
 TPP日米政府間交渉で米国は農産品の完全関税撤廃を求めているという。日本政府は数量規制を掛けて、その範囲で低税率を認めさせようと妥協策を示したが、米国政府は即座に拒否したという。日本に米国産や豪州産の安い農産品が雪崩のように輸入されると日本の農業が壊滅的になるのは火を見るよりも明らかだ。

 その反面、米国は向こう20年間自動車関税を維持すると発表した。米国は何という自分勝手な国だろうか。しかも「軽基準」にイチャモンをつけて、米国産自動車を差別しているとキャンペーンを張っている。それに応じて日本政府は自動車税軽減の財源としてという屁理屈を付けて軽自動車税を倍増しようとしている。
 この国はTPPに前のめりになる余り、この国独自の政策まで平気で葬り去ろうとしているようだ。軽基準がケシカランというのなら、米国も日本の軽基準に適合した自動車を製造して日本に輸出してはどうだろうか。米国社会でも街乗りとして需要はそれなりにあるのではないだろうか。何も街中を日本の六畳間ほどもあるフルサイズの乗用車を排気容量が4リッターも5リッターもあるバカでかいエンジンで動かす必要があるのだろうか。

 なにもかも米国基準を押し付けるTPPは百害あって一利なしだ。日本には日本の農業があるし、日本の農政がある。それが時代に適合しなくなったのなら日本国民が選挙で各政党の政策を吟味して選べばよい。政策決定権は日本国民の手の中にあるべきだ。
 それらをすべて米国の1%に委ねる新自由主義的な発想には反対する。彼らの手にかかれば社会保障も「負担は一律に、給付は応能に」に本末転倒してしまう。現に社会保障の財源として「消費税」が最も適しているなどというプロパガンダを国民の大半が信じているようだ。
 いうまでもなく消費税はすべての国民に一律課税される。たとえホームレスであろうと食糧を求めれば課税される。消費金額が貧乏人は少ないから少額しか負担していないというのは屁理屈で、すべての消費に5%来年4月からは8%課税されるのだから「一律課税」ではないだろうか。

 しかも年金の支給に関しては公務員などの共済年金と国民年金とでは雲泥の差で、就職で公務員に巧みに入り込む能力のあった者には高額な年金が用意されているという、つまりは「応能支給」となっている。これでは社会保障のあり方として本末転倒といわざるを得ない。あくまでも社会保障は「負担は応能で、支給は一律」というのが大原則だ。そこも米国流の「自己責任社会」に変えられてはかなわない。


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