中国の挑発を毅然として無視せよ。

 昨日26日米軍のB52爆撃機2機が中国が新たに定めた防空識別圏を飛行したと発表した。これまで存在していた防空識別圏を勝手に動かして、中国が尖閣諸島もその内ないだというのは余りに無理がある。
 本来なら防空識別圏を飛行する場合は飛行予定航路を伝えて許可を得ることになっているが、国際慣行を無視して勝手に中国が宣言した防空識別圏を認めるわけにはいかない。中国が本気で防空識別圏を実のあるものにするつもりなら、ただちに中国攻撃機がスクランブル発進して侵入した航空機に警告を与えるべきだ。

 しかし中国は防空識別圏を犯す機には警告ではなく攻撃を覚悟せよ、と宣言していた。これもまた国際慣行に反する。防空識別圏とは「飛行禁止空域」ではなく、それに続く「領空」侵犯の恐れがあることを相手に警告するのが運用慣行だ。
 日本政府も航空機会社に対して防空識別圏を航行する旅客機の飛行予定ルートを中国政府に通告するとしたことを批判し、通告し許可を得るべき「防空識別圏」は尖閣諸島周辺に存在しないと通告した。中国政府は防空識別圏を犯す機に攻撃も辞さじと脅しているが、航行の自由を定める国際航空法を中国が犯せばいかなる事態になるかを考えるべきだ。

 中国は国際社会の中で自由貿易を主力エンジンとして経済発展してきた。その主力エンジンを停止することになりかねない国際紛争を自ら招けば、国際紛争の甚大な悪影響を中国は甘んじて受けなければならない。
 中国社会の格差問題が表面化しないためには8%を超える経済成長が不可欠だとされて来た。しかし既に中国の経済成長は7%台に落ち込み、それすらも粉飾統計数字に過ぎず、実態は金融バブル崩壊により深刻なインフレと景気後退に見舞われているといわれている。だからこそ海外に対して、とりわけ日本に対して強気な外交を展開して国内世論が反政府運動へと向かうのを逸らすのに必死になっている。

 しかし一握りの官僚が富の大半を略奪している中国社会のありようを変革しない限り、中国の反政府運動の高まりを抑え込むことは不可能だ。しかも急激な超高齢化社会の鳥羽口にある中国社会は社会保障に国家予算を割かなければならない歳出圧力が強まっている。
 中国が勝手に線引きした防空識別圏を米軍機が2機も堂々と飛行した。それに対して中国空軍機はスクランブル発進すらしていない。ミサイルの照準をロックオンすらもやっていない。なぜなら米軍機は日本の自衛隊と異なり無用な挑発に対しても当然採るべき反撃を実際に行う可能性が高いからだ。ミサイルをロックオンすれば米軍機は攻撃と見なして反撃のミサイルを直ちに発射する。だから中国空軍機はスクランブル発進もロックオン行動もしなかった。米軍は自衛隊と異なり具体的に反撃することを承知しているからだ。

 中国に対して毅然とした態度で臨むべきだ。勝手に宣言した防空識別圏なぞ無視すれば良い。それで中国が攻撃した場合、それにより引き起こされる事態のすべての責任は中国政府にある。
 中国は張り子の虎だ。中国国内政治は二進も三進もいかない状態になっている。反日を繰り広げたくてもこれ以上日本企業の撤退や日本からの投資が減少すると中国政府そのものの存在が危うくなる。だからこの期に及んで日本の経営者団体を150人も北京に招いたのだ。しかし日本の企業人も明治の先人たちの気概を少しは見習って頂きたい。ちょっとでも頭を撫でられると嬉々として団体で北京を訪問するなぞ、反日行動の際の焼き討ちや略奪の拠る損害賠償を中国政府が実施しない限りは、日本企業はチャイナリスクに対応すべく中国から撤退すると宣言するぐらいの気骨を示すべきだ。中国に対しては妥協や譲歩は禁物だ。


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