東芝に公的資金を注入して「日本の半導体事業」を守れ。
< 経営再建中の東芝が、半導体事業を分社化して設立する新会社の株式を100%売却することで、最大2兆5000億円前後の資金調達を見込んでいることが27日、わかった。完全買収を希望する企業に上乗せ金(プレミアム)を要求することで、売却額の上積みを目指す。実現すれば財務の抜本改善につながる一方、入札結果次第では絵に描いた餅に終わる可能性もある。 東芝は米原発事業で7125億円もの巨額損失を計上し、2017年3月末に約1500億円の債務超過に転落する見通しとなっている。同社は財務基盤の抜本的強化のため、優良事業である半導体事業を売却して資本増強に充てる方針で、現在は入札に向けた準備作業を進めている>(以上「毎日新聞」より引用) 稼ぎ頭の半導体事業を手放しては、一時的に経営危機を回避できても東芝が今後とも存続するのは困難になる。ましてや東芝の半導体事業は一企業の問題ではない。日本の半導体の開発・製造にかかわる重大な問題だ。 かつて金融危機の時には各銀行に公的資金を注入して経営を安定化させた。そうすることによって日本の金融を安定させる必要があったからだ。今回は日本の未来の産業の根幹にかかわる半導体事業に今後とも主体的に日本企業が取り組むのか、それとも企業存続のために手放して良いのか、といった価値判断が問われている。 間違いなく未来はIT、IAの時代になる。いかなる製品にも半導体が組み込まれ、半導体の塊のCPUやGPUが大量に必要とされる時代が到来する。 その必要性は現在の水準の話ではなく、既存の製品に新たな機能が付加されるとしたら、それは必ず半導体を必要とするから幾何級数的に半導体需要は高まる。日本産業と日本の雇用のために半導体事業を日本企業が手放してはならない。 東芝は現在でも参加の企業を含めれば17万人もの雇用を擁する巨大企業だ。半導体事業はそうした巨大企業のあらゆる方面の製品開発を行っている企業体の中で新製品開発とともに成長するものだ。東芝から切り離した単体事業としてでは開発力は格段に落ちるだろう。 東芝の半導体事業は東芝だけの問題ではない。米国の原発会社の買収に手を出して失敗したのは論外だが、だからといってローテクの原発事業と抱き合わせに未来の金の卵の半導体事業を手放すのは本末転倒だ。それもそれほど遠い未来ではない。 自動車も自動運転が導入...