就任一月のトランプの米国は何処へ向かうのか。

<19日閉幕した「ミュンヘン安全保障会議」で、ペンス米副大統領はロシアにウクライナ情勢を巡る和平合意の履行を改めて求め、北大西洋条約機構(NATO)重視の姿勢も強調した。一方、ラブロフ露外相はNATOを「冷戦時代の組織」と酷評。関係改善を模索しているとされる米露両政府だが、ここにきて対立の根深さも浮き彫りになっている。

     ペンス氏は18日の演説で、トランプ米大統領がロシアとの関係改善に向け「共通の基盤」を模索していることに触れながら、「ウクライナ問題で、ロシアにはミンスク合意(和平合意)の履行を求める」と明言。欧米が科す対露制裁解除などの関係改善の下地は、あくまでも合意の履行にあることを強調した>(以上「 毎日新聞」より引用)


     当初トランプ氏はプーチン氏と協調する姿勢を示していたが、ここに来てトランプ政権は対ロ強硬姿勢に転じている。ウクライナ侵攻に対しても和平合意の履行を強く求め、欧州諸国と歩調を一にした。

     世界であからさまな膨張主義を採っている国はロシアと中国だ。その二ヶ国が近隣諸国に軍事的脅威を与え、地域の不安定化を招いている。


     旧ソ連と比較するなら既にロシアは大国ではない。版図こそ広大なシベリアを有しているから広いものの、人口1億4千万人でGDPは日本の半分しかない。しかもこれといった輸出品は原油と天然ガス以外にはなく、軍需品を除く民生品は貧弱そのものだ。

     版図を広げて何をするのか、ロシア政府に「国民の生活が第一」の姿勢はあまり見られない。国力=軍事力といったマキャベリズムの信奉者が政治を執っているとしか思えない。


     中国も広大な版図は軍事力により切り従えたチベットと新疆ウィグル地区の西域と内モンゴルが寄与しているに過ぎず、さらにかつての満州を除くと中国はそれほど広大な国土を擁しているわけではない。

     そこに14億人もの人たちが暮らし、自称日本の二倍ほどのGDPの経済力を持っているようだが、実際のところは日本のGDPにも及ばないのではないかと指摘する経済学者もいるほどだ。


     中露とも核兵器を有し数多のミサイルを各地に配して軍事力を誇示している。しかし国民の暮らしは軍事力に見合うほど豊かとは思えない。ロシアは月収2万円以下の貧困層が4割に達して深刻な社会問題になっているし、中国もバブル崩壊による深刻なスタグフレーションに見舞われるのは必至の状況になっている。

     国民生活向上の糧とならない軍備を増強して、それを国民にアピールして政権基盤を固めようとする古典的な政治手法に固執する中・ロは軍事費の増大にいつまで国富を回せるのだろうか。民主化して「普通の国」になるべきだが、洗脳教育により軍事力が国力だ、という刷り込みが国民大衆に浸透しているため現政権が容易に否定されそうにない。

     同様に日本のマスメディアも日本国民を「日米同盟こそが日本の安全保障」でほかの選択肢はない、と安倍自公政権・戦後保守政党のプロパガンダを繰り返し繰り返し国民に吹き込み洗脳している。それこそGHQの戦後統治のための自虐史観・洗脳でしかないのだが、未だに米国GDQ様の集団催眠から覚醒しないままだ。

     帝国主義は先の大戦の教訓として世界は放棄しようとしたのではなかったのか。しかし国連は「戦勝国クラブ」として戦勝の美酒の味が忘れられない連中のたまり場となり、戦中の状況を維持しようとしているかのようだ。


     彼らにとってすべての戦争が終結して軍事力不要の世界が訪れることが脅威であるかのようだ。持続的に何処かと敵対して国民に発意掲揚を洗脳し続けないと彼らの敵意が自分に向かってくるのではないかと不安でならないかのようだ。

     絶対権力は絶対的に腐敗する、とはけだし箴言だ。だから絶対権力を創ってはならない。そうした仕組みを各国は用意しておくべきだ。


     日本は民主主義国家として絶対権力は出来ない仕組みになっているが、マスメディアが扇動して安倍氏という現代の絶対権力らしきものを作ってしまった。だから絶対的な腐敗が始まっている。この腐敗の責任の大半は腐り切って役目を忘れた日本のマスメディアにある。

     米国はトランプ氏に嫌われながらも批判し続けるマスメディアが存在する。彼らが米国の1%の拡声器だとしても、政権批判は必要だ。

     ともあれトランプの米国はグローバル化から舵を切って、米国民をどこへ導こうとしているのだろうか。



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