国会は国民の負託にこたえて、不透明な払い下げの経緯を解明すべきだ。

<評価額より大幅に安く売却された大阪府豊中市の国有地で学校法人「森友学園」(大阪市淀川区)が新設する小学校の認可を巡り、府の私立学校審議会は22日の臨時会で、最終判断を持ち越した。審議会は小学校設置を条件付きで認可答申していたが、会合では入学希望者が定員の半数程度であることなどが報告され、委員からは「法人の財務状況に不安がある」などの指摘が相次いだ。3月の定例会で改めて判断する。

     臨時会は非公開で、終了後に記者会見した梶田叡一会長(奈良学園大学長)によると、府側が財務状況や入学希望者数などを報告した。学園側は「瑞穂の国記念小学院」の校名で4月開校を予定。各学年定員は80人で、開校時に1年生45人、2年生5人が入学・転入する見通しだったが、売却問題を巡る報道後、1年生5人程度が辞退したという。

     財務面では想定以上の寄付金が集まっているが、「財務計画が寄付金に頼りすぎ」などと疑問が出された。学園が経営する幼稚園で、保護者向けにヘイト表現と受け取れる文書を配布したことへの懸念も聞かれた。

     梶田会長によると、3月上旬に府職員が現地で財務状況や教員態勢などを確認。審議会が問題ないと最終的に判断すれば、府が認可手続きに入る>(以上「毎日新聞」より引用)


     学校法人の認可には一定の基準が定められている。以下文科省に定める「設置基準」を掲げる。

    一 法人の資産について

    1 基本財産(私立学校法施行規則(昭和二五年文部省令第一二号)第三条第二項に規定するもの)

    (1) 次の施設及び設備又はこれらに要する資金を有すること。

    イ 施設

    (イ) 校地(校舎敷地、屋外運動場、実験実習地等)

    (ロ) 校舎

    校地及び校舎の面積は、学校の種類及び生徒数に応じて相当のものであること。

    この場合

    校舎の床面積は、一五〇坪程度以上であること。ただし、課程または、地域の特殊性その他特別の事由によりこの要件によりがたい場合は、あらかじめ、文部省に協議して下まわることができる。

    ロ 設備

    (イ) 教具(教育上必要な機械、器具、標本、模型等)

    (ロ) 校具(教育上必要な机、腰掛等)

    (2) 基本財産は、原則として負担付(担保に供せられている等)又は借用のものでないこと。ただし、特別の事情があり、かつ、教育上支障のないことが確実と認められる場合には、この限りでない。

    2 運用財産(私立学校法施行規則第三条第二項に規定するもの)

    運用財産としては、学校の種類、規模に応じて毎年度の経常支出に対し授業料、入学金等の経常的収支その他の収入で収支の均衡が保てるものであること。

    二 その設置する各種学校が次の基準を充していること。

    1 修業年限は一年以上、授業時数は一年六八〇時間以上であること。

    この場合

    (1) この要件は、当該学校の臨時的または附随的な課程を除く課程について該当することを要すること。

    (2) 「修業年限」は、一定の時期に就学し、修了することとなつており、かつ、学則で定められていること。

    (3) 授業時数については、学則で定める教育の内容に従つて組織的系統的に計画されている時数が一年六八〇時間以上であること。

    (4) 課程の特殊性によりこの要件によりがたい場合は、あらかじめ文部省に協議すること。

    2 生徒定数は、一五〇人以上であること。

    この場合

    (1) 「生徒定数」は、学則で定める収容定員のうち1の要件に該当する各課程において同時に収容する生徒の収容定員の合計とする。

    (2) 課程または地域の特殊性その他特別の事由によりこの要件によりがたい場合は、あらかじめ、文部省に協議すること。

    3 生徒定数に応じ相当数の専任教員を有すること。

    この場合

    (1) 「専任教員」とは、もつぱら当該学校に勤務して教育に従事する者(助手およびこれに類する者を除く。)をいう。

    (2) 専任教員の数は、各種学校規程の趣旨にかんがみ、特別の場合(たとえば、国語、数学等おおむね講義による科目を主として教授する課程である場合)を除き、おおむね生徒定数四〇人につき一人以上であること。ただし、昼夜の課程をおく場合は、これらの課程の間において兼務とするもさしつかえない。

    4 学校の経営が営利企業的でないこと。

    この場合

    「営利企業的でない」とは、公益法人として適正な経理および運営が行なわれ、営利的な仕組みとなつていないことをいい、少なくとも、次の要件をみたしていることを要するものとする。

    (1) 当該法人が生徒から経常的に受け入れる授業料その他の金額の総額は、教職員の給与、研究費および共済組合等の掛金、生徒諸費(支給教材費およびこれに関連する費用、支給奨学金およびこれに類する費用、生徒の保健費および福利厚生費ならびに生徒の娯楽運動に要する費用をいう。)ならびに教育用備品費(図書費、教具費および校具費をいう。)の総額のおおむね一・五倍相当額の範囲内であること。

    (2) 財産の寄附者、役員および管理的地位にある職員の各々について、その者ならびにその配偶者および三親等内の親族(以下「特定の者およびその関係者」という。)が当該法人から受ける給与(本棒のほか、手当、賞与等を含み、実費弁償費を除く。以下同じ。)その他の金品の合計額は、当該法人が教職員その他の者(校務を担当する常勤の役員を含む。)に対して支給する給与・報酬の総額のおおむね二割(その額が特定の者およびその関係者以外の常勤の教職員の平均給与の月額の三倍(特定の者およびその関係者である校務を担当する常勤の役員または教職員が二人以上の場合は四倍)に相当する額よりも低い場合は、当該額とする。)の範囲内であること。

    (3) 校長その他教職員としての勤務に対する給与を除き、校務を担当する常勤の役員以外の役員は、その地位について報酬(給与に準ずるものに限る。)を受けないこと。

    (4) 学校の施設には教育目的以外の目的のために継続的に使用される施設(財産の寄附者ならびにその配偶者および三親等内の親族が居住その他の用に供しているもの等)が含まれていないこと。

     以上、文科省に定める「学校法人認可基準」からの引用を終える。

     上記記事から明らかなように、学校法人の認可には「資産」と「施設」が大きく係ってくることが容易に解る。そこで国有財産の処分が「不当」に行われたことが明らかになれば、森友学園は「不当」部分の支払い義務が発生する。

     同時に、払い下げ価格が不動産鑑定士が評価した価格を大きく下回った理由に適法性がないと判断されれば払い下げを実施した所轄官庁のしかるべき担当者と決裁権限を有する者は損害賠償責任を負うことになる。

     学校法人としての認可を森友学園に下ろす場合で、資産に問題がない場合にこうした疑義を生じているケースも当てはまるのか、そうした検討はなされないのだろうか。少なくとも毎日新聞の記事では府職員が3月上旬に現地で資産と施設を見分して審議会に報告し、問題なければ認可する運びのようだが、国会で払い下げの経緯と価格に関して疑義を生じている段階で「問題なし」と府職員は判断できるのだろうか。


     どう考えても不透明な払い下げといわざるを得ない。鑑定評価9億5800万円の土地がゴミが埋設されているとして処理費用1億3000万円ほど減額され、その後に想定以上の大型ダンプ4000台分に相当する大量のゴミがあったとして、いきなり8億円も減額される、というのは前代未聞だ。

     実質的に森友学園は200万円で8790㎡の土地を手にしたことになる。10億円近い土地がほとんどタダで払い下げられるとは疑義を感じない人は鈍感というよりも利害関係者としか思えない。


     徹底的に調査すればゴミ処分に関する値引きが適正かはすぐに判ることだ。ダンプ4000台分の産廃処分を闇から闇に実施するのは不可能だ。その費用として値引きした8億円が適正かも、専門家に聞けばすぐに判明することだ。

     国会は何をもたもたしているのだろうか。時恰も東京都は百条委員会を設置して前知事の石原氏の証言を聞こうとしている。国会も特別委員会を設置して「証人喚問」を行うべきだ。決して有耶無耶にしてはならないし、公務員の独断で10億円近い国有財産を勝手にタダ同然で処分して良いはずがない。検察が動かないというのなら、国会議員が国民の代表として不透明な経緯を解明すべきだ。



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