残業上限「月100時間」は余りに過酷だ。

<政府が検討する残業時間の上限規制について、連合内で繁忙期に月100時間を超えないとする案の条件付き容認が議論されていることが分かった。連合の逢見直人事務局長は23日、経団連の椋田(むくた)哲史(さとし)専務理事とこの問題を巡って協議を始めた。

 協議は東京・大手町の経団連で約30分行われ、協議後に逢見事務局長は「現状のままだと何も世の中変わらない。やっぱり変えなければ」と話した。

 現行では労使協定によって月45時間、年間360時間まで残業が可能で、特別条項を付ければ最大半年まで無制限となるため「青天井」「過労死の温床」との批判がある。

 政府は上限時間を明記して労働基準法を改正する方針。既に月平均60時間、年間720時間とする案については、労使とも容認している。経済界は「1カ月間に限れば100時間まで残業を認める」方向なのに対し、連合は「とうていあり得ない」(神津里季生会長)と反発してきた。

 安倍晋三首相は14日の働き方改革実現会議で「労働側、使用者側が合意を形成しなければ、残念ながらこの法案は出せない」と発言。経団連と連合が合意しなければ残業時間の「青天井」が続くと、協議を促した>(以上「毎日新聞」より引用)

 過労死を招かないための法案審議かと思ったら、過労死を招く法案審議をしていた。月上限残業100時間とはあまりに過酷だ。
 実際に経験したことのない人は月25日勤務、あるいは月20日勤務で100時間なら一日4時間ないし5時間という残業がいかに過酷かをご存知ないのだろう。

 朝八時から勤務なら通勤時間を含めて六時前後には起床しなければならない。そして提示就業が五時だとして、それから五時間残業なら会社を出るのは夜の10時だ。家にたどり着くのは11時を回ることになる。
 人間が人として生きるために必要な「生活時間」が殆どない状態で一月過ごせば心理的にかなり追い込まれてしまう。フラフラになりながらも働くモーレツ社員を称賛したのは昔のことだ。官主導で下らないプレミアム・フライデーを設けるほどなら、すべての労働者が人間的な暮らしを送れるように残業規制を行うべきだ。

 正規就業時間から業務命令で労働を課す「残業」は現行ですら月平均60時間とされている。それより超える残業を取り決めるのは労働条件の後退でしかない。
 政府は口先では「育児」だの「育児への男性参加」だのと調子のいいことを言っているが、それは概ね公務員向けの話でしかない。労働者が一年もの「育休」を取ればいかなる事態になるか、厳しい現実を知らない者の戯言だ。ましてや非正規や派遣社員には縁のない話だ。つまりここでも格差は拡大し、総じて労働条件は悪化している。安倍自公政権が推し進めている「改革」は現実を知らない者の労働強化でしかない。

 連合は労働組合最大の組織として一体何をしていたのだろうか。正規社員という恵まれた構成組合員の暮らしと働く者の権利すら守れないようなら連合の存在意義はない。
 非正規や派遣、パートタイム労働者まで含めたナショナルセンターを目指していた連合の姿勢はどこへ行ったのだろうか。原発の存続を民進党に強いるなど、日本の未来と国民のことを考えない言語道断のジコチューではないか。そんな労働組合など存在し続ける必要があるのだろうか。


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