政府と会社との相違を理解すべきだ。

<トランプ米大統領は22日、ホワイトハウスで行われた予算に関する会議の冒頭で「われわれが引き継いだ予算、米国の財政はめちゃくちゃだ」と語り、20兆ドル(約2260兆円)近い米国の債務に不満を漏らした。自らが取り組む大統領専用機や最新鋭戦闘機の値下げ交渉などで、歳出抑制に努める意向も示した。

 トランプ氏は「米国の債務は過去8年間に2倍に増えた」と指摘。その上で、優先順位を付けて政策を進めることが重要とし、「もう浪費できない。注意深く金を使っていく」と強調した。会議にはムニューシン財務長官らが出席した。

 トランプ氏の交渉により、最新鋭ステルス戦闘機F35は当初価格から15%程度安くなる見通し。一方、米メディアはトランプ氏が就任後1カ月弱で、フロリダ州の別荘への移動で1000万ドルの税金を使ったと分析。この金額はオバマ前大統領在任中の旅費の10カ月分に相当するとみられる>(以上「時事通信」より引用)

 トランプ氏が米国政府の巨額債務に驚愕したようだが、政府債務と対外債務とは異なるし、ましてや混載基軸通貨発行国の米国は特別だということを理解しておられないようだ。
 確かに「不動産王」トランプ氏の企業経営感覚からすれば巨額政府債務は企業における借入金であるかのように映るだろう。確かに政府債務理大半を形成する国債は金利の支払いを伴い借入金と酷似しているが、借入金には償還期限があるのに対して国債は償還と同時に新規発行が繰り返しできる点が異なる。

 企業経営では借入金は設備投資や資産購入に振り替わる。そうしたプラスの借入金があるのとは別に企業損失による「運転資金」を借り入れる場合が多々ある。企業経営ではそれが問題で、借入金が総資産を上回ると債務超過となって金融機関は新規借り入れを制限し、企業は倒産の危機に見舞われる。
 しかし政府債務に関しては国債発行の主体が別組織で自律的に行われるという建前だが、日本政府と日銀の関係を見るまでもなく、米国政府とFRB("Federal Reserve Board"の略で、日本語では「連邦準備制度理事会」と呼ば れ、アメリカ合衆国(米国)の中央銀行である)は別組織で自立しているが、米国内にあることに違いはない。
 対外債務に関してはその多くを日本や中国などが米国債を買うことによって円や元を発行する裏付けとしている。つまり国際通貨のドルに準じて自国通貨を国際決済通貨として国際金融に流通させるための担保としている。

 トランプ氏が政府債務の額の多さに驚いたのは民間企業経営者としての感覚に過ぎない。政府は民間企業とは異なる。政府債務残高は必ずしも財政悪化の指標とはならない。
 トランプ氏が雇用増進と景気浮揚のために公共事業を行い財政支出をする、という政策は誤っていない。そのために必要となるのは政府支出だ。政府債務が巨額だからといって金出財政に舵を切るのは景気浮遊策と矛盾する。それは日本の安倍自公政権が「財政規律」を掲げて消費増税を強行して総需要不足に陥らせデフレ経済からなかなか脱却できないでいる愚策と重なる。

 トランプ氏の「米国第一主義」は国際通貨発行国としての立場の上でのものでなければならない。それが嫌なら海外諸国に保有させている米国債を買い取ることだ。そうすればどんな事態が起こるか、金融の素人にも解ることだろう。
 大統領になったトランプ氏に金融の専門家はしっかりとレクチャーしたのだろうか。間違ってはならないのは財政当局のレクチャーだけを聞いて安倍氏のように「財政規律至上主義」に陥らないことだ。国内需要を喚起するためには政府支出が必要だ、ということを理解すべきだ。そして企業経営と国家経営とは別物だということも併せて理解すべきだ。


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