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8月, 2025の投稿を表示しています

中国企業までも中国から逃げ出す中国の惨状。

<中国で中小零細企業、個人経営者らに対する社会保険料の取り立てが9月1日から徹底されることになった。中国では五険一金(養老保険、医療保険 労災保険、失業保険、出産養育保険、住宅積立金)などの社会保障制度が導入されており、このうち2021年の段階で養老保険の加入率は90%以上とほぼ全民保険加入の成功を謳っていた。  だが、実のところ、最近の中国経済の低迷や地方政府の社会保障基金の横領問題の発覚で、保険料の支払いを拒否する労働者が若い世代を中心に増えている。  この点を改善すべく、人民最高法院(最高裁)は8月1日の記者会見で、社会保障制度をめぐる労働争議に関する新たな法律解釈を発表。それによれば、たとえ雇用側と労働者側が社会保険料の納付義務と給付を受ける権利を放棄することに合意していても、それは無効で、労働者は離職時に社会保険金を請求できることになった。  つまり労働者が社会保険料を支払っていなくても、企業・雇用者はその分も含めて社会保険料を納付せねばならず、労働者が保険金を請求する訴訟を起こせば、勝訴する、という。だから、政府当局も企業側から徹底的に社会保険料を徴収するという方針を打ち出したのだ。  労働者の社会保障を強化する政策ということになるが、これが中国の一般庶民、つまり労働者側からも大きな反発を受けている。なぜなら、これは事実上の民営中小零細企業に対する増税であり、結果的には民営企業の倒産が加速し、失業率が上がり、中国経済にトドメをさすことになる可能性が濃厚だからだ。  中国の社会保険料は、雇用主と労働者(被保険者)がそれぞれ決められた割合を支払う形になっている。たとえば養老保険については、賃金の16%に当たる保険料を企業・雇用側が支払い、労働者が8%を支払う。それぞれ公的な社会保障基金と社会保障専門銀行の個人口座に積み立てされ、運用され、15年以上継続して納めると、定年退職後に平均賃金の6割を目安に年金(養老金)が支払われることなる。  医療保険は賃金の7.5%前後を企業・雇用側が納め、労働者が賃金の2%を納める。失業保険は企業・雇用主側が賃金の0.7%前後、労働者側が0.3%。そんなふうに五険一金を全部納めると、企業・雇主側の負担は賃金の30~42%に上る。労働者側は給与から、10%あまりの社会保険料を納付する。  たとえば上海市で額面給与1万元の場合、企...

日本の人手不足は日本国内で解決すべきだ。

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<鈴木馨祐法相は29日、外国人政策に関する私的勉強会の中間報告書を公表した。少子高齢化に伴い、推計通り総人口に占める外国人比率が10%台となる場合を想定し、政策を検討する必要があると明記。出入国在留管理庁内にプロジェクトチーム(PT)をつくり、外国人の受け入れ上限数を設定する是非を含めて検討を行い、複数の受け入れシナリオを作成するとした。  入管庁によると、経済成長や産業・労働政策、治安など七つの観点で受け入れの在り方を検討する。外国人が増えた場合に社会保障制度や教育などに与える影響も分析。10%台の受け入れが可能かどうかも議論する>(以上「時事通信」より引用)  遅ればせながら日本でも「 外国人10%想定し政策検討 入管庁、PT設置へ 」という動きが出てきた。外国人移民先進地・欧州諸国では外国人移民が大問題になっている。ちなみに欧州諸国の外国人移民の人口比を示しておこう。  上図から分かるように欧州諸国で外国人移民の受け入れに温度差があることが分かる。ポーランド、チェコ、ハンガリー、ルーマニアといった東欧諸国の移民受け入れの人口割合が低くなっている。東欧といったが、正確には旧ソ連時代にソ連の支配下にあった国々で外国人移民の受け入れが少ないことに気付くだろう。ただポーランドの名誉のために、ポーランドはウクライナ戦争勃発以降200万人のウクライナ難民を受け入れていることを特記しておく。  東欧諸国が外国人移民の数が少ないのは偶然ではない。それらの諸国が外国人移民の受け入れを厳しく制限したからだ。なぜならソ連崩壊まで外国人・ロシア人による支配下にあったからだ。「外国人移民=入植」という観念が彼らのDNAに深く刻み込まれている。  その実例がウクライナだ。ウクライナはロシア帝政以来、歴代ロシア民の国家による「入植」を強制されてきたため、ついにはウクライナ東部地域からクリミア半島までロシア住民による住民投票でロシアへの帰属を決めてしまった。そうした実例を目のあたりにしているだけに、東欧諸国は外国人移民に対して拒否感が強い。  つい最近では英国で外国人難民に対して「我慢の限界だ」と抗議活動が全国的に展開されている。まさに外国人排斥運動といってよいほど、パレスチナ難民の居住地域に掲げられていたパレスチナ国旗を引きずりおろして、英国国旗を掲げる居に出たり、外国人移民の多い地域でも...

「プーチン考」ーー独裁者プーチンの足跡。

<ウクライナの首都キーウでは28日、ロシアによる大規模な攻撃があり、子どもを含む少なくとも22人が死亡しました。キーウへの大規模攻撃は先月末以来で、ウクライナやヨーロッパ側は、ロシアが停戦などの交渉に応じる姿勢がないことのあらわれだとして非難を強めています。  ウクライナ空軍によりますと、27日夜から28日朝にかけてウクライナの各地でロシア軍によるミサイル31発と無人機598機を使った大規模な攻撃があり、このうちキーウの当局は、子どもを含む少なくとも22人が死亡したと発表しました。  攻撃を受けたキーウの中心部では、建物の窓ガラスが割れたり、がれきが散乱したりしていて、重機を使った撤去作業が続けられていました。  また、EU=ヨーロッパ連合は28日、キーウにある代表部からおよそ50メートル離れた場所に2発のミサイルが命中し、建物が被害にあったと明らかにしました。  フォンデアライエン委員長は「激しい憤りを覚える」と述べ、EUとしてロシアへの圧力を強めるため新たな制裁を準備していることを強調しました。  また、イギリスの文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」の責任者は、キーウ市内の建物が被害を受け、1人がけがをしたとSNSで明らかにしました。  キーウでは、先月末に30人以上が死亡する大規模攻撃がありましたが、米ロ首脳会談やアメリカとウクライナ、それにヨーロッパの首脳などによる会合が行われた今月は攻撃の回数は減る傾向にありました。  一連の会合以降、ロシアは、自分たちの主張を尊重すべきだと強調するなどして、ウクライナとの首脳会談に向けた調整は進んでいません。  こうした中で起きた今回の攻撃について、ウクライナやヨーロッパ側は、ロシアが停戦などの交渉に応じる姿勢がないことのあらわれだとして非難を強めています。 キーウ中心部市民 “あまりにもつらく 大きな苦痛”  ミサイル攻撃があったキーウ中心部の地区では、広範囲にわたって建物などに被害が出て、重機を使って割れた窓ガラスやがれきを撤去する作業が行われていました。  子どもたち向けのボランティア施設も被害を受けました。  施設を運営しているルサーナさん(24)は、朝のニュースで建物が被害を受けたことを知り、夫と急いで車で出勤したということです。  防犯カメラが捉えた当時の映像には、ミサイル攻撃の激しい衝撃によって家具や...

日本人の日本を子々孫々の日本国民に継承させる責任が今を生きる私たちにはある。

< この国に生きて、暮らすために重要なこと ペマ :日本の文化をぶち壊すような形で外国人を入れ、外国人に合わせ始めるともうだめだと思う。 石 :私も全く同じ認識です。 ペマ :伝統文化をはじめ、日本の主権国家としての立場を全て理解して来る外国人はいいのです。時々、「日本は遅れている」と言う西洋人がいますね。本当にけしからんと思う。それならば自分の国で勝手にやればいい。 石 :向こうが勝手に決めた基準に合わなければ、遅れている、と言うわけです。 ペマ :アメリカ人はよく、アイラブユーと言いますね。もちろんラブはあるけれども、日本人は恥ずかしくてあまり口にしない。でもアメリカ人は、アイラブユーと言う相手に対していったん怒り出すと車を蹴飛ばしたり、冷蔵庫を蹴飛ばしたりする。ドアをバーンと締めて、しばらくして、後でアイムソーリー、アイラブユーなどと言う。それはやはり日本の文化には馴染まないわけです。 石 :普通の日本人にはそういう意識のない人が多いようです。われわれはむしろ帰化人だからこそ危機感がある。良き日本を守る、大事にする、というのはわれわれ帰化人の方が得意な、一種の良点かもしれません。 ペマ :少なくとも僕たちは、日本人になりたい、日本人になった方がいい、と思って日本人になったのです。少なくとも日本に対し憧れがある。  それから、かつての日本の、アジアで唯一植民地にならなかったという実績が大きいのです。先輩たちから学ぶことがある。先輩たちを尊敬する気持ちもある。総合的に見て、やはり日本っていいな、と思って僕たちは日本人になったのです。 石 :全くその通りです。 ペマ :人は自分の背中を見ることはできません。誰かに見てもらって背中の様子が分かる。外からやってきた僕たちが、日本人のこういうところが素晴らしい、と言うのはそういうことです。僕たちしか気がつけないこともあるはずです。日本生まれの日本人の人たちに対して、忠告と言うと大袈裟ですが、指摘していくことは大事だと思いますね。 石 :生まれついての日本人には往々にして無頓着なところがある。 ペマ :戦後70年あまり、日本は戦争を経験していません。クーデターも起こっていません。きわめて危機的な自然災害はありましたが、国難といえばせいぜい経済的な問題がいくつかあったぐらいです。ましてや外国が侵略して来るというようなことはなか...

ロシア原油爆買いのインドを関税50%で制裁するトランプ氏。

<米国政府は8月27日からインドからの輸入品に対して関税を25%から50%に引き上げた。トランプ大統領が6日、インドによるロシア産原油の購入を理由に21日以内にインド製品への関税を25%から50%へと2倍に引き上げることを決定したことを踏まえての措置だ。  関税引き上げが回避されるとの見方があったが、米国とインドの間の貿易協議自体が進展しなかったことが災いした。25日から29日にかけて予定されていた米通商交渉官によるインド訪問がキャンセルされるなど、両国の貿易交渉は暗礁に乗り上げている。 米国によるインドの農業分野の市場開放の要求が最大の障害だ。  モディ首相は独立記念日にあたる15日に首都ニューデリーで演説し、「インドの農家、漁師、畜産農家に関する有害な政策に対し、壁のように立ちはだかる」と強調した。米国との関税交渉を念頭に農家の利益保護のために一切妥協しない姿勢を示した形だ。  モディ氏が率いるインド人民党(BJP)は昨年の総選挙で議席を大幅に減らしているため、票田である農家・酪農家の利益を死守したいところだ。  若年層の深刻な雇用状況も関係している。インドの人口は2023年4月に中国を抜き、世界最大となったが、雇用創出に問題を抱えているため、この強みを生かせないでいる。世界銀行によれば、全人口に占める労働力人口の比率の世界平均は約60%であるのに対し、インドは49%にとどまっている。  モディ政権は雇用吸収力が大きい製造業の振興のために2020年以降、総額1.5兆ルピー(約2.6兆円)の補助金を支給している。だが、GDPに占める製造業の割合を25%に高める目標には遠く及ばない(2023年度時点の実績は14%)。  このため、農業分野が若年層の雇用の受け皿となる状況が続いており、雇用環境のさらなる悪化につながる市場開放などもってのほかだ。  ロシア産原油の購入をとがめられていることもインドとしては納得がいかないだろう。 米国の理不尽な対応に不満  インドのジャイシャンカル外相は23日「中国や欧州連合(EU)などの他の主要な買い手にはインドに対するような懸念を示していない」と米国の対応を強く非難した。インドと同規模のロシア産原油を購入している中国や、ロシアとの貿易額がインドよりも大きいEUに対して、インドと同等の制裁を講じないのは理不尽に思える。  ベッセント財務...

森山幹事長に「暫定税廃止反対の緊急提言」とは、ボンクラ全国知事会。

<ガソリンの暫定税率廃止をめぐる与野党協議が続くなか全国の知事や市長らが自民党の森山幹事長に対し、「財源論なき減税」に反対する緊急提言を行いました。  全国知事会会長 村井・宮城県知事 「間違いなく安定的な代替財源をここにするんだということを、与党も野党もしっかり示した上でですね、暫定税制の廃止に向けた議論をしていただきたいなと。 どの党とは申し上げませんけれども、(財源なき減税論は)無責任ではないかなというふうに思っております。」   全国知事会など地方6団体と全国20の政令指定都市の代表らが、自民党の森山幹事長や宮沢税調会長らに申し入れを行いました。 緊急提言ではガソリン減税の廃止による地方の減収はおよそ5000億円で、「安定的な地方財源が確保されなければ地方の存続が危ぶまれる」としています。 そのうえで村井知事は「(野党が主張する)税収の上振れ分ではなく景気に左右されない財源を確保していただきたい」と述べました。   これに対し、森山幹事長は「拙速に進めるわけにはいかないのではないか。 地方には極力迷惑をかけないよう努力する」などと応じたということです。 後日、野党側にも申し入れを行う予定だということです>(以上「テレビ朝日」より引用)  全国知事会が政府に対して「 知事・市長ら「財源論なき減税」に反対 ガソリン暫定税率めぐり 」との見出しにある通り、暫定税の廃止に反対であると意見表明した。私たちの全国都道府県知事はこれほど低脳で国民負担軽減に消極的だったとは驚く。自分たちは高級を食み、高待遇でヌクヌクとしているが、国民は貧困に喘いでいる。  その貧困から抜け出すために可処分所得を増やして消費を刺激しなければならない、と云うのはデフレ対策のイロハだが、ボンクラ知事諸氏には簡単な経済理論すら理解不能のようだ。そして財務省も「道路維持管理のために揮発油税は不可欠だ」と言い募る。  しかし長年道路維持を放置して老朽化させたのは財務省ではないか。道路財源として設けられた揮発油税を一般財源にして何にでも使えるようにした挙句、道路維持管理に必要な財源だ、とは何をかいわんや。  ちなみに2025年度道路関係予算は2兆5285億円で、揮発油税は2兆2251億円だ。道路財源として少しばかり揮発油税が足りないように見えるが、そもそも石油に課税されている諸税は総額で4兆円を...

プーチンの「負けない戦争」もそろそろ終焉を迎えそうだ。

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<米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は8月15日、アラスカのアンカレッジで会談した。  会談では、プーチン氏がウクライナ軍のドンバス地域からの撤退と割譲を求め、見返りに再攻撃をしないと書面で約束する提案を行ったという。  トランプ氏は、即時停戦ではなく和平合意を追求すべきという点で、プーチン氏と一致したと語った。  8月18日、トランプ氏とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、英国・フランス・ドイツ・イタリア首脳を交えて会談を行った。  その後、10日以内に安全保障の詳細決定、2週間以内に米国とロシア、ウクライナの首脳会談が行われるのではないかという希望的な予測が出ている。  ロシアは、侵攻の経済負担とウクライナからのエネルギー施設などへの無人機攻撃で、混乱し弱体化しつつある。  だからといって、ロシアが侵攻をやめ停戦へと進むかどうかは未知であり、プーチン氏の意思と決断次第とみられている。  米欧とウクライナでは、ウクライナの安全保障について検討が進められている。「近い時期に、米露とウクライナの間で停戦の話が決まるのではないか」という希望的観測も出てきている。  このように、交渉の話が進む中、実際のところロシア軍の地上戦に動きの変化がみられるのだろうか。  交渉が進んでも、ロシアの地上作戦が止まらなければ、口先だけの交渉事であるということになる。  そこで、「ロシアの地上作戦の実態はどうか、ロシアが侵攻を停止する予兆はあるのかないのか」を考察する。  特に、ロシア地上軍の動き(戦闘の回数の変化)、地上作戦を支援する空爆回数、自爆型無人機の攻撃回数の変化をもとに分析する。 1.ロシア地上作戦はドネツクが主攻撃  ロシアは主に、東北部のルハンスク州からハリキウ州、ドネツク州で攻撃を行っている。現在の主な攻撃は、ドネツク州の南部であり、中北部ではほとんど進展していない。  だが、攻撃は続行中であり、昨年6月から約50万人の損失を出しても止まることはなかった。  毎日多数の損失を出して弱体化しても攻撃し続けている。  ロシア軍の攻撃とウクライナの防御の戦況推移予測で判断する限り、ドネツク州全域を占拠するには早くて1年、遅くて2~3年はかかるだろう。  地上戦だけをみても、ロシアは現在、全正面の攻撃を停止する様子は全くない。 図1...

芬々たる腐敗終漂う日本の支配層。

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< これこそ、石破がやめない原因  自民党の参院選の大敗。この原因としてメディア上で取り沙汰される言説が「裏金問題こそ、自民党大敗の原因である」という説です。  例えば、東京新聞は、「派閥裏金事件」についてケジメをつけていないから参院選も大敗したのだと主張していますし(東京新聞、8月9日「<社説>総裁選前倒し論 裏金事件の総括が先だ」)、野党(立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長)からも裏金問題こそが、自民大敗の直接的原因だとの声がでています(朝日新聞、7月28日「立憲・斎藤参院国対委員長『裏金当事者が首相の責任を問うのは滑稽』」)。  ネット界ではより直接的に「自民党の負け続けは、お前ら(著者注:裏金議員達の意)のせい」だと非難する声も上がっています。  同様の声は自民党内部からも漏れ聞こえており、時事通信では自民党内にも「参院選惨敗について裏金事件のけじめが付いていないためと指摘する向きは多い」と指摘する声があることが報道されています(東京新聞、7月25日「『降ろし』策す旧安倍、旧茂木派 石破首相と因縁、『裏金』批判も」)。  そして何より、石破茂本人が、「派閥の裏金問題など石破政権以前からの問題が自民の支持離れにつながった」との思いが強いようです(朝日新聞、7月31日「首相の責任?石破政権以前からの問題? 自民の敗因巡り党内に深い溝」)。  要するに石破茂本人にしてみれば、「僕が選挙に負けたのは僕が悪いんじゃ無い。悪いのは僕と関係のない裏金議員達のせいだ。僕は何も悪くない」と思っているのであり、それをサポートするような言説が、オールドメディア上からも野党からもSNSからも、さらには自民党内からも出ているという次第です。  したがってこれこそが石破氏が辞めない重大な原因となっていることは間違い有りません。 「裏金議員」の方が当選率が高い  しかし…こういう言説は全て単なる「事実誤認の主観的思い込み」「勘違い」であり、有り体にいって「ウソ」ないしは「フェイク」「デマ」と判断せざるを得ないものなのです。  以下、その理由を詳しく解説さし上げます。  まず、もしも裏金問題が、今回の自民の敗因なら、所謂「裏金議員」達はとりわけ激しい批判に曝され、激しく落選している筈です。  実際、下記報道では、裏金議員達15人のうち、5人も落選しており、裏金問題が今回の選挙結果に重く響...

外務省や日中友好議連の議員諸氏は何をしているのか。

< 日本人学校に関する悪質なデマが  2025年年7月末、中国・蘇州で再び邦人親子が襲撃され、母親が負傷した事件が起こった。  3年ほど前に、日本人学校に関するデマが中国のネット上に大量に出回っていることに気づき、これはまずいと思った。私も家人が中国駐在を経験しており、子供の日本人学校の入学を検討したことがあるので、他人事ではなかった。  日本人学校へのデマの多くは、中国各地の日本人学校をリストアップして「治外法権を持つスパイ養成機関だ」と決めつける大変悪質な内容だ。  ほかにも例えば、日本の小学校の運動会の動画が盗用され、宣誓式で「正々堂々と戦うことを誓います!」という音声に「『上海は我々のものだ、浙江省も我々のものだ』と日本人学校の小学生が宣言している!」という意味の中国語の字幕が付けられ、「日本人は子供まで中国乗っ取りを狙っている」とデマをばらまく動画が出回った。その動画の再生数は10万回以上あり、コメント欄に、激しい日本人ヘイトの書き込みが読み切れないほど寄せられた。同じ内容の動画を別の人が再投稿してまた10万回以上の再生数を得るなど、拡散が延々と続いている。     また、中国各地でビル火災など不幸な出来事があるたびに、「日本人学校のOBがやったのだろう」との書き込みがよく見られる。私は中国人が使うSNSを日常的に観察しているが、特に検索しなくても、タイムラインに勝手に流れてくる。  こういったヘイトが日常的に中国のSNSで出回っている状況を、観察すればするほど、「これは大変だ、ヘイト事件が起きそうだ」と感じた。そのことをX(旧Twitter)で発信して注意喚起をしてきた。 日本人と日本に関するデマ 「蘇州だけで10万人の日本人が住んでいる、乗っ取る気だ。」(実際は、2023年10月の時点の中国在留邦人総数は約10万人、その後さらに減っている)、「地震多発の日本は近いうちに大地震が起きるので絶体絶命のピンチ。住めなくなるので国ごとブラジルに引っ越してブラジルを乗っ取る計画がある。同時に中国をも狙っている。」(実際はコロナ後半からも日本に移住する中国人が急増中)など、実在の映像とAIを利用した事実無根、事実と正反対の動画投稿が数限りなく出回り、その閲覧回数が優に10万を超えるものが多い。  反日的なデマ内容だと、ほかの動画よりもネット民の関心が高く、人民は大...

俱知安町農業委員会の「外国人団地計画」への農転反対に対して、北海道農業会議は「許可相当」だという。

<後志の倶知安町で外国人労働者らが住む住宅街の開発計画をめぐって、25日、北海道農業会議は農地転用に問題はなく許可相当と判断しました。   倶知安町にあるおよそ2・7ヘクタールの農地では外国人労働者らが住む住宅街を開発する計画が持ち上がっています。 町によりますとこの農地は転用が原則認められている「第3種農地」で、農地転用のための複数の基準も満たしているといいます。しかし町の農業委員会では先月、農地転用に反対する意見書を道に送ることを全会一致で総会で議決しています。   一方で町の農業委員会が意見を求めた北海道農業会議では、25日、農地転用に問題はなく許可相当と判断しました。 これを受け町の農業委員会は北海道農業会議の意見と合わせて道に意見書を提出し農地転用を許可するか、道が10月上旬にも判断する方針です>(以上「北海道新聞」より引用) 「 北海道・倶知安町 外国人労働者らの住宅街開発計画 北海道農業会議は農地転用に問題はなく許可相当と判断 」との見出しに驚いた。俱知安町は外国人との共生に関するガイドラインを策定して、町開発構想計画に基づいて実施している。その中で浮上した大規模外国人団地造成計画に対して、俱知安町の農業委員会は反対意見を全会一致で可決していた。  それに対して、決断を迫られた道農業会議は「問題なし」との結論に達したという。北海道庁は北海道がどれほどの土地を外国人によって買われ、水源地や自然環境が危機に瀕しているか分からないのだろうか。釧路湿原では大規模開発してメガソーラー設置計画に対して、地元住民による反対運動が起きている。そうした北海道の自然や環境や農作地を守るべき行政が開発に安易に賛同する姿勢は解せない。  ただ問題となっている農地転用に関して、俱知安町は転用申請地が町立小学校の近くであり、外国人が多く居住すれば治安の問題も無視できないとの意見が付されていた。ニセコスキー場も近くにあって外国人の流入が多い俱知安町は地元住民との共生に関する構想まで示している。道は俱知安町の意向を最大限沿うべきだろう。  道農業会議は開発申請は許可相当と判断したそうだが、北海道各地で外国人による無許可開発や広大な山林売買などが行われている現状に対して何ら危機感を持っていないと多くの国民から思われても仕方ないだろう。行政の姿勢こそが問われるべきで、形式的な書類...

ウクライナ停戦協議に、プーチンは乗り気ではないが。

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< 8月15日の米ロ首脳会談  まず、理解してほしいのは、本当にウクライナ戦争を一刻でも早く終結させようとしている(といっても、どうやらノーベル平和賞の受賞をめざしてのパフォーマンスにすぎないようだが)ドナルド・トランプ米大統領に対して、ウクライナおよび欧州諸国はそうした立場にないことである。彼らは、即時停戦・その後の和平締結を主張することで、ウラジーミル・プーチン大統領による拒否を誘導し、それを理由にトランプにより厳しい制裁と戦争継続を働きかけようとしつづけてきた。その前提には、ウクライナはロシアにまだ負けていないし、制裁や軍事支援を継続すれば、ロシアの弱体化やプーチン政権崩壊も可能だという信念があるようにみえる。  だが、8月15日のトランプとプーチンによるアラスカ州での会談によって、二人はウクライナや欧州諸国が求めていた即時休戦や一時停戦を放棄し、最終目標であった和平協定の締結に向けて直ちに進むことで一致した。前述の拙稿にも書いたように、ウクライナは「目に見えて戦争に負けている」以上、ロシアにとって停戦は「大きな譲歩」を意味する。そのため、ウクライナがこれに見合う譲歩をするのは当然であり、即時停戦や一時停戦は現実的ではない(こんなバカバカしい要求をすることで、ウクライナも欧州諸国も戦争継続しようとしてきたのである)。ゆえに、ウクライナや欧州諸国の主張の誤魔化しに気づいたトランプは、和平協定をめざすべきだというプーチンの立場に理解を示したことになる。  この結果について、トランプがプーチンに騙されたとか、プーチン寄りだ、とオールドメディアはさかんに非難する。つまり、メディアもウクライナや欧州諸国と同じく、ウクライナが「目に見えて戦争に負けている」現実を否定し、戦争継続に賭けているのだ。  米ロ首脳会談によって、さらに二つの方向性が固まった。一つは、ウクライナ軍をドネツク州から撤退させること、すなわち、すでに占領済みのルハンスク州とドネツク州を合わせたドンバスをロシアに明け渡す見返りに、プーチンは他のすべての戦線での停戦、およびウクライナのスームィ州やハリキウ州の一部地域からの自軍撤退も受け入れる(いわゆる「土地交換」[スワップ])――というプーチン提案に対して、トランプは協議ないし受け入れる用意があるとしたのである。  もう一つは、ウクライナの北大西洋条約機構(...

日本へのアフリカ移民計画と、不可解な「石破政権支持率急上昇」。

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<日本政府が主導する第8回アフリカ開発会議(TICAD8)が今年8月、チュニジアをホスト国として開催されます。今回のTICAD8は、新型コロナウイルスの脅威が続き、ロシアのウクライナ侵攻に世界の耳目が集まる中での開催となります。 「世界の目がウクライナに注がれ、アフリカへの関心が薄れがちな現在の状況は、ある意味、第1回目のTICADが行われた冷戦直後の時代に似ています。こうしたタイミングだからこそ、アフリカの国際社会における重要性を再確認することが必要です」と国際協力機構(JICA)加藤隆一上級審議役は話します。 TICADの出発点  冷戦の後期、アフリカは東西陣営の勢力争い、代理戦争の場となりました。両陣営ははアフリカの人々の心を掴むために、さまざまな援助活動を行いました。しかし冷戦が終わると、アフリカが持っていた戦略的な意義が薄れ、、先進国からの援助や支援が減少するなど、アフリカは周辺化されました。こうした状況で、アフリカに寄り添い、国際社会の関心をアフリカへ呼び戻すことを目的に、1993年にTICAD Iが開催されました。  細川護煕首相(当時)はTICAD Iの基調演説において、「世界的な相互依存関係がますます深まりを見せている中で、アフリカが直面する問題は国際社会全体にとっての問題なのであります。私は、こうした対話を通じて、自助努力に対するアフリカ諸国の確固たる意思が示され、また、それを支援する政治的コミットメントがアフリカの開発パートナーより示されることを強く期待したいと思います。」と述べました。  この演説で示されたのは、アフリカ協力の基本となる「オーナーシップ(自助努力)」と「パートナーシップ」の概念です。TICAD Iから10年後となるTICAD IIIでは、日本の外交の柱となる「人間の安全保障」の概念が導入され、日本の対アフリカ協力では「人間中心の開発」「経済成長を通じた貧困削減」「平和の定着」が3つの柱として確立されました。  日本のアフリカ開発協力の理念は日本国憲法に根差している、と加藤氏は言います。 「日本国憲法の前文には、『平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ』と書かれています。私はいろいろなところで講演をするとき、日本の開発協力の理念はここにあると言うの...

環境破壊に驀進するメガソーラ。

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< はじめに:現場で感じる違和感  エンジニアとして、斜面に無造作に並べられたソーラーパネルや、環境影響が検討されていないと思われる設置例に接し――これは「技術的問題」を超えた重大事案ではないか、との直感を持っている。しかし、その違和感を法的な言葉で説明できなければ、議論は抽象のまま空転してしまう。  そこで本稿では、法律の枠組みを交えながら、設計・施工や審査の杜撰さに対して、事業者や行政の責任をどう問えるかを、中立的に整理してみたい。 法的責任の整理 【A. 事業者の責任 — 民法709条による「過失」に基づく不法行為】  民法第709条によれば、“故意または過失”によって他人に損害を与えた者には、賠償責任があるとされる。従って、設計ミスや施工不備、環境アセス不備によって崩落や火災、景観破壊などが生じた場合、事業者には技術的過失として法的責任が及ぶ可能性がある。 【B. 行政の責任 — 国家賠償法による「監督過失」または行政処分の違法性】  行政が杜撰な設計を確認せずに許認可した場合、これは国家賠償法第1条で規定された“職務上の過失”として問われ得る。  さらに、法令の枠組みや審査基準を逸脱して認可を出した場合、「行政処分の違法」として取り消しを求められる事例も理論上はあり得る。 【C. 制度的抑止策 — 地方条例や基準の強化】  それに対して、技術的責任や行政責任の枠組みだけでなく、制度そのものの整備も進んでいる。自治体による「太陽光発電設備の規制条例」は、2025年7月時点で315件、市町村では全国で約273件が制定済みである。  これらは住民説明会・抑制区域・禁止区域などを規定し、地域環境の保全を図る重要なツールとなる。福島市などでは、従来1ヘクタール超の林地伐採に許可が必要だったのを、0.5ヘクタール超にも適用するよう規制を厳格化している。 現実の課題:住民訴訟と制度の穴  現在も、住民による差止訴訟や行政訴訟を通じた対抗手段が模索されている。例えば、奈良県平群町の大規模メガソーラーを巡る差止訴訟では、森林伐採による土砂災害の懸念が法廷で提起されたが、条例がない状況下では、認可差止の力は限定的だった。  また、先述の通り条例を制定した自治体では、住民への説明義務や景観保護の仕組みなどが整備されたが、実行力や対象地域の限定など、課題も残されている。 現地住民...

米国の世紀が幕を閉じようとしている。

<2025年夏の参院選で躍進し、国内メディアの注目を独占した参政党。しかし、その熱狂とは裏腹に、海外メディアの反応は驚くほど冷淡であったという。なぜ、これほどの温度差が生まれるのか。国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏は、その背景に日本の地政学的な存在感の低下と、米国を揺るがす巨大な国内問題があると指摘する。 アメリカで進行する「静かなるクーデター」国家の中枢が崩壊寸前に  アメリカの関心が日本に向かない理由は、エプスタイン事件だけではありません。トランプ政権下のアメリカは、国内の様々な問題で深刻な混乱に陥っています。   一つは、政権によるあからさまな国家機関への介入です。トランプ氏は、自らが喧伝する好景気にそぐわない客観的なデータを出したとして、雇用統計の担当局長を解任しました。これは、政権にとって不都合な真実を力で捻じ曲げようとする、国家の信頼性を根幹から揺るがす行為です。   同様の圧力が、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)にも向けられています。トランプ氏は、景気を刺激するためにFRB議長に対して公然と「利下げ」を要求し、毎日のように罵倒しています。さらに、FRBの理事が不可解な辞任を遂げ、その空いたポストをトランプ氏の息のかかった人物で埋めることができる状況が生まれています。中央銀行の独立性は、その国の通貨と経済の信用の礎です。それを政権の都合で歪めようとする動きは、アメリカ経済に深刻な信用不安をもたらしかねません。 トランプ関税で日本車が有利になる皮肉なカラクリ  鳴り物入りで導入された関税政策も、矛盾を露呈し始めています。トランプ氏は、関税によってアメリカ国内に製造業を取り戻し、「偉大なアメリカの復活」を実現すると豪語しました。しかし現実は、多くの企業が関税発動前に中国などから商品を「爆買い」して倉庫に在庫を積み上げており、短期的な効果は限定的です。そして、いずれ在庫が尽きたとき、関税分は価格に転嫁され、インフレとなって消費者の生活を直撃します。これは実質的な「増税」であり、有権者の不満を高める劇薬です。   さらに皮肉なのは、日本の自動車メーカーの動向です。円安という追い風もあり、日本の自動車は関税をかけられてもなお、国際的な競争力を維持しています。一方で、フォードのようなアメリカの自動車メーカ...

縮められたバネは、元に戻るために、いつかは跳ね返る。

< <新疆ウイグル自治区の独立を掲げる過激派組織「東トルキスタン・イスラム党(Turkistan Islamic Party; TIP)」が、シリア内戦の混乱を利用して影響力を急拡大している>  TIPは、新疆ウイグル自治区の中国からの独立を掲げ、国際的なテロ組織として国連安保理の制裁対象に指定されている。しかし、シリア内戦やアサド政権の崩壊など背景に、TIPは新たな戦略を展開し、地域および国際社会に影響を及ぼしている。 TIPの概要  TIPは、新疆ウイグル自治区の独立を目標とするウイグル人を中心とした武装組織である。アルカイダとの関連が深く、国連安全保障理事会の決議1267(1999)に基づく制裁リストに指定されている。2011年のシリア内戦開始以降、シリア北部を中心に活動を展開し、反政府勢力として戦闘に参加してきた。  2024年12月のアサド政権崩壊後、ハヤト・タハリール・シャーム(HTS)が主導する暫定政府の連合に参加し、影響力を拡大している。  TIPの主な目的は、新疆での「ジハード(聖戦)」を通じて独立を実現することである。シリアの混乱した状況を活用し、戦闘員の訓練、資金調達、国際的なネットワーク構築を進めている。今日、TIPはダマスカス、ハマ、タルツースにメンバーを配置し、HTSの支援を受けて活動を継続している。 最近の活動状況 軍事訓練の実施  2025年2月、TIPはシリアのラタキアにおいて海上戦闘技術の訓練を実施した。この訓練には、スピードボートを用いた攻撃、海上救助、武装した水泳および潜水技術が含まれており、複雑な戦場環境での生存能力向上を目指している。  これらの高度な訓練は、HTSの後援がなければ実現が困難であり、TIPが暫定政府と密接に協力していることを示している。海上戦闘能力の強化は、陸上戦闘に加え、多様な戦場環境への対応力を高める戦略の一環である。 シリア暫定政府への統合  アサド政権の崩壊後、TIPはHTSが主導する暫定政府の軍事構造に組み込まれつつある。一部のメンバーはシリア国防省の職員として雇用され、ダマスカス、ハマ、タルツースに配置されている。これにより、TIPはシリア社会に一定程度溶け込み、活動基盤を強化している。  しかし、メンバーの中にはアルカイダに近い過激なイデオロギーを保持しており、暫定政府の統制が及ばない場合、さ...

暫定税廃止の財源論に「経済効果」を考慮しないのは何故だろうか。

<与野党6党は21日、ガソリン税の暫定税率廃止に関する3回目の実務者協議を国会内で開き、税収減を補う財源確保策について議論した。野党が「新たな負担増は受け入れ難い」として税収上振れ分の活用などを主張したのに対し、与党は一時的な財源にすぎないと反論。双方の隔たりは埋まらず、28日に改めて協議することになった。  暫定税率廃止は野党各党が参院選公約に掲げたもので、参院選での与党過半数割れを受け、与野党6党が7月末に「今年中のできるだけ早い時期に実施する」との合意を交わしている。野党は11月1日の廃止を目指しており、実務者協議の妥結を急ぎたい考えだ。  協議に参加したのは、自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党。財源確保策は与党が前回、野党に提示を求めていた。  立民の重徳和彦政調会長は21日の協議で、野党共通の見解として「新たな負担増は国民目線では受け入れ難い」と強調。各種剰余金、税外収入、与党が公約に掲げた現金給付の財源を活用し、歳出改革を進めることで対応すべきだと主張した>(以上「時事通信」より引用) 「 与野党、ガソリン減税で財源巡り平行線 立民「負担増受け入れ難い」 」との見出しに驚く。暫定税の廃止に向けての議論で、財源を与党が問うとはいかなる根拠からだろうか。暫定税を提起して導入した当時は、揮発油税は道路財源の目的税だった。しかし今では一般財源化にされ、暫定税の役割は一般財源になった時点で終わったと見なすべきではないか。  それを「暫定税廃止なら財源を示せ」とは厚顔無恥も甚だしい。道路財源から一杯財源になった時点で、揮発油税は一度全廃してしかるべきだったのではないか。なぜなら社会インフラ整備は一般財源で手当てすべきだからだ。  しかし百歩譲って財源を示すべきだとしても、暫定税を廃止すれば当然ながら、その分だけガソリン価格が引き下げられる。そうするとガソリンを購入している人々の可処分所得が増える。それだけではない、ガソリンが安くなれば家族で自動車に乗って近場の温泉地へでも出かけよう、という心理が働く。それが経済効果だ。もちろん宅配便のガソリン代も引き下げられて、物流コストも減少する。  軽油揮発油税の暫定税が入ってないではないか、という議論があるが、もちろん軽油の暫定税も歩調を合わせて廃止すべきだ。そうすると物流コストも引き下げられて、あら...

トランプ氏の平和会談提起はロシアの独裁体制を延命させるだけだ。

<ロシア政府は、侵攻したウクライナでの約3年半に及ぶ戦闘による国防費が高止まりする一方、西側諸国からの制裁を受けて経済が低迷している中で、増税と歳出削減の準備を進めているもようだ。当局者やエコノミストらが指摘した。  ロシアのプーチン大統領は、ウクライナでの戦闘がロシア経済を破壊しているとの見方を否定する。しかし、軍事費の支出の増加に伴って財政赤字が拡大する一方、欧米の制裁措置を受けて石油・ガス収入は減っている。  ロシア経済は冷え込んでおり、当局者の一部は景気後退に陥るリスクを警告。財政赤字は約4兆9000億ルーブル(約610億米ドル)に拡大し、債務を履行しながら現在のペースで軍事費を調達することに苦戦している。  ロシア連邦議会上院予算委員会のアナトリー・アルタモノフ氏は7月下旬に「経済指標の見通しがより悲観的になっており、石油・ガス収入の減少も考慮すると、緊急の財政再建に乗り出す必要がある」と警鐘を鳴らした。  ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻して以来、予算支出は名目値でほぼ倍増し、インフレの加速を招いた。このため中央銀行は主要政策金利を最大で21%に引き上げることを余儀なくされた。  25年の国防と国家安全保障の支出は計17兆ルーブルに達し、米国との冷戦終結後の最高水準にある。これは支出全体の41%を占め、民間部門の生産が減少する中で軍需が経済成長の主なけん引役となっている。  プーチン氏は6月にロシアが軍事費を削減する計画だと主張したが、当局は現時点で依然増加を見込んでいる。  アルタモノフ氏も「国家防衛への支出を削減することはできず(中略)おそらく増加する必要がある」と語った。 <快適な生活の糧が低減>  2026年予算案は今年9月に提出される予定だ。防衛・安全保障支出は国内総生産(GDP)の8%に設定しているが、政府関係者は実際の数値は若干高いと明らかにした。 26年の防衛支出は削減されないとした上で「27年に戦闘が停止した場合、他の支出分野が予算を分捕ろうとする中で、削減される可能性はある」と指摘した。  アルタモノフ氏は日刊経済紙RBCへの寄稿で、ロシアが28年まで毎年2兆ルーブルの非防衛支出を削減し、その削減分を防衛予算に振り向ける必要があるとの考えを示唆。その上で「今後3年間は、現在のように快適に生活するための糧を持てなくなる」と訴えた...

破綻した「中国製造2025」。

< 相変わらず厳しい不動産市場  中国政府は技術開発を柱に経済のテコ入れを図ろうと躍起だが、不況の大本の原因である不動産市場の不調は相変わらずだ。    7月の新築住宅価格は前月比0.3%下落した。中古住宅の下落幅も拡大しており、6月時点で前年同月比7.2%減と大幅な落ち込みを見せた。1~7月の不動産投資も前年同期に比べ12%減少した。1~6月は11.2%減だった。  地方政府による住宅購入支援策が功を奏さないため、中国政府は新たな対策を講じざるを得なくなっている。ブルームバーグは14日、「中国政府は国有企業を動員し、苦境にある不動産開発企業から売れ残った住宅を買い取らせる計画を進めている」と報じた。 巨額の政府資金でも不十分  中国人民銀行(中央銀行)が昨年用意した3000億元(約6兆円)の資金を活用するとしているが、不動産市場の活性化には不十分だと言わざるを得ない。中国で売れ残っている住宅在庫は約20億戸に達しており、桁違いの資金が必要だとされているからだ。中国の不動産市場に再び春がやってくることを期待するのは無理なのだ。  気がかりなのは、不動産危機の象徴となっている中国恒大集団の株式の香港市場での上場が8月25日に廃止されることが決定したことだ。昨年1月に裁判所から清算手続きを言い渡された際の負債額は2500億元(約50兆円)だったが、不良債権の処理はほとんどなされていない。   中国ではその後も大手不動産企業の経営破綻が相次いでおり、金融システムに悪影響が及ぶリスクは日増しに高まるばかりだ。 中国でも貸し渋りが始まった  中国人民銀行によれば、7月の人民元建て新規融資は500億円(約1兆円)のマイナスになった。銀行の新規融資額が借り手からの返済額を上回ったのは2005年7月以来20年ぶりのことであり、前月からのマイナス幅も1999年12月以降で最大だった。   内訳をみると、家計向け融資は4893億元(約9兆8000億円)減少し、企業向け融資は6月の1兆7700億元(約25兆4000億円)から600億元(約1200億円)に急減した。  バブル崩壊の日本が経験した銀行の貸し渋りが、中国でも本格化した証左だ。  その弊害が既に現れている。中国では今年4月以降、起業家の自殺が4件も起きている。中には中国最大の家具小売りチェーン「居然之家」の董事長(...

欧州諸国の危惧はトランプが現代のチェンバレンになることだ。

< 仏大統領「プーチンが和平を望んでいるとは思えない」  ドナルド・トランプ米大統領はウラジーミル・プーチン露大統領との首脳会談を受け8月18日、米ホワイトハウスでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と欧州首脳と会談した。  米紙ニューヨーク・タイムズ(同日付)は主なポイントを次のように整理している。 (1)米欧首脳は「表向きの結束」を強調。フリードリヒ・メルツ独首相は「さらなる交渉の前に停戦を先行させるべきだ」と主張したが、トランプ氏はやんわり拒否。エマニュエル・マクロン仏大統領は「プーチンが和平を望んでいるとは思えない」と懐疑的な見方を示す。 (2)安全保障の保証は「曖昧」。トランプ氏は「強力な保護と安全保障を与える」と述べたが具体策はなし。欧州側は北大西洋条約機構(NATO)5条(集団防衛)型の安全保障を求める。米軍派兵の可能性を問われたトランプ氏は「支援はする」と明言を避ける。 (3)トランプ氏は「プーチン大統領にゼレンスキー氏との会談の調整を開始したと伝えた。その後、三者会談を目指す」とSNSに投稿。しかしプーチンがゼレンスキー氏を「正統な交渉相手」と見ていないため実現可能性は不透明。 戦略的に重要なドネツク州の非占領地域 (4)ロシアの執拗なミサイル攻撃に苦しむゼレンスキー氏は欧州を通じてパトリオット防空システムの追加導入など900億ドル規模の米国製兵器の調達を表明。米国がウクライナ製ドローンを購入する計画もあるが、正式合意には至っていない。  プーチンは停戦合意の一環としてウクライナが東部ドネツク州の非占領地域を明け渡せば、その他地域の前線を凍結すると主張していると報じられたが、その虚実はわからない。プーチンが「ドネツク州の非占領地を丸ごと寄越せ」と強硬なのは戦略的に極めて重要だからだ。  米シンクタンク、戦争研究所(ISW)は8月12日付レポートで「ドネツク州の要塞地帯を放棄するとロシア軍の攻撃再開を防ぐ手立てがなくなる。プーチンの提案は、ロシア軍が迅速に包囲・突破する手段を持たない要塞地帯について、何の見返りも与えないままウクライナに明け渡しを求めるのと同じ」と解説する。  ウクライナ軍は、2014年に親露派に攻撃されたドネツク州のスロビャンスク、クラマトルスク、ドルジュキーウカ、コスチャンチニウカを奪還した後、要塞地帯を構築。22年にロ...

在留資格「経営・管理」の要件厳格化を歓迎する。

<日本で起業する外国人向けの在留資格「経営・管理」について、出入国在留管理庁は取得の要件を厳格化する方針を固めた。資本金の要件を現在の「500万円以上」から6倍の「3000万円以上」に引き上げることを検討している。他国並みに要件を引き上げ、本来の目的から外れた取得を防ぐ狙いがある。   「経営・管理」は外国人の起業を後押しし、国際競争力を高めるのが目的。「資本金500万円以上」または「2人以上の常勤職員」の要件を満たし、日本に事業所を確保すれば取得できる。最長5年の滞在や家族の帯同も可能で、何度でも更新できる。   一方で、国会では、要件が緩い日本でペーパーカンパニーを設立し、移住目的で「経営・管理」を取得する外国人が出ているとの指摘も出ていた。   20日に開かれた入管庁の有識者会議では、委員から「制度の趣旨から外れた外国人の入国を招いている。資本金要件の大幅引き上げが必要」との意見が出た。一方で「悪用防止には実態調査の強化が最も効果的」という見解や、まずは目的外で「経営・管理」を取得している外国人がどの程度いるのかを調べるべきだとの慎重な意見も示された。   入管庁は有識者の意見も踏まえてパブリックコメント(意見公募)を実施し、年内の省令改正と施行を目指す。   入管庁によると、2024年末時点の「経営・管理」による在留外国人は約4万1000人。5年間で約1万4000人増加した。他国の類似制度では、韓国が3億ウォン(約3000万円)以上、シンガポールが10万シンガポールドル(約1100万円)以上などの資本金を求めている>(以上「毎日新聞」より引用) 「 在留資格「経営・管理」の要件厳格化へ 目的外取得防ぐ狙い 入管庁 」との見出しがあった。やっと日本も先進諸国並みになるのか、と安どした。  ちなみに先進諸国のE-2ビザの取得に必要な費用は、投資額、専門家費用、公的費用などを含め、一般的に20万ドル(約3,000万円)から30万ドル(約4,400万円)程度とされている。韓国ですら3億ウォンであることと比べて、日本の500万円はあまりに低いバーゲンセールだったことが分かる。  在留資格「経営・管理」に分類されるE-2ビザの取得に資金を要件にしているのは、入国目的が事業創設であるなら、ある程度の長期滞在が必要だ。当然なが...

国際社会はロシア下油取引をしている中国とインドを厳しく指弾すべきだ。

<ベッセント米財務長官は、インドで「最も裕福な一族」の一部がロシア産原油購入で利益を得ていると主張、インドからの輸入品に対し関税を引き上げる計画をあらためて確認した。  ベッセント氏は19日、CNBCとのインタビューで「インドに対する関税を引き上げる予定だ。これは、制裁対象であるロシア産原油の購入を受けての二次的な関税だ」と語った。  同氏によれば、ロシアが2022年にウクライナへ侵攻する以前、インドの石油に占めるロシア産の割合は1%未満だったが、「現在では42%にまで増加していると考えている。つまり、インドはただ利益を得ているだけだ」との見方を示した。  さらに同氏は「インドで最も裕福な一族の一部が石油の転売を行い、160億ドル(約2兆3640億円)の超過利益を上げている」と付け加えた。  ベッセント氏の発言は、インドに対して強硬姿勢を強めるトランプ政権の意向を示すと同時に、アジアで最も裕福な富豪ムケシュ・アンバニ氏をも意識したものだ。  アンバニ氏率いるリライアンス・インダストリーズは、インド西部で世界最大の石油精製施設を運営し、ロシア産原油の購入者の一つとなっている。同社に業務時間外にメールで問い合わせたが、直ちに回答は得られなかった>(以上「Bloomberg」より引用) 「 ベッセント氏、インド富裕層に矛先-ロシア産原油の転売利益を問題視 」 < ベセント米財務長官は19日、インドがウクライナ戦争中にロシア産石油の購入を大幅に増加させることで不当な利益を得ていると非難、米国はこの状況を容認できないと述べた。 ベセント長官はCNBCのインタビューで、インドの原油輸入量全体のうち、ロシア産原油は現在42%を占めており、ウクライナ戦争前の1%未満から大きく増加していると指摘。 「インドは転売によりひたすら暴利をむさぼっている。安価なロシア産石油を購入し製品として転売する、いわゆる裁定取引(アービトラージ)が急増しており、到底受け入れられない」と述べた。  トランプ米大統領は今月、インドがロシア産原油の購入を続けているとして、インドからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令に署名。インドからの輸入品に対する関税率はこれまでに発表されていた25%の相互関税に上乗せされ最大50%と、米国の貿易相手国の中でも非常に高い水準となる。  こうした中、インドが7月にロシアか...

安易な「労働力」としての外国人移民拡大に反対する。

<総務省と厚生労働省の統計から、日本で働く労働者のうち外国人の割合を算出したところ、リーマン・ショック後の2009年は「112人に1人」だったが、24年には「29人に1人」に高まった。小学校にあてはめれば、4クラスに1人から、1クラスに1人の割合となった。人口減と高齢化で、15~64歳の生産年齢人口が減る中、外国人の割合が急速に高まっている。   参院選で外国人問題が争点の一部となる中、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの加藤真研究員の協力を得て、総務省の「労働力調査」と厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況」から、外国人の割合を算出した。全就業者6781万人のうち、外国人は230万2587人で、「29人に1人」の割合となった。   都道府県別では、東京都の「14人に1人」が最も高く、愛知県と群馬県の「18人に1人」が続いた。   09年との比較では地方の伸び率の高さが目立ち、沖縄県は8.1倍、鹿児島県は7.8倍、北海道は7.0倍だった。   産業別では、食料品製造業の「7人に1人」が最も高い。人手不足が深刻とされる宿泊業では「14人に1人」、飲食業では「13人に1人」。一次産業の農業は「30人に1人」、漁業は「19人に1人」だった。   国立社会保障・人口問題研究所の推計では、生産年齢人口は、2025年の7310万人から40年に6213万人、70年には4535万人まで激減する見通し。現状の生産活動を維持するには、日本人労働者だけでは賄えない状況だ。   政府は24年3月、一定の知識や技術が必要な「特定技能」の受け入れ枠について、24年度から5年間の上限を、これまでの2.4倍にあたる82万人に拡大することを決定。対象分野に、自動車運送業や鉄道など4分野も追加し、計16分野に広げた。   また、途上国への技術移転による国際貢献を目的としていた「技能実習」制度を廃止し、27年4月から人材の育成と確保を目指す「育成就労」制度を始める。在留期間は原則3年だが、在留期間の上限が5年の特定技能1号や、家族を帯同でき、永住も視野に入れた特定技能2号へと段階的に移行できるよう一体的な運用をめざしている>(以上「朝日新聞」より引用) 「 日本で働く「29人に1人」が外国人 割合急増、産業維持へ不可欠 」との見出しに...

以前と変わってゼレンスキー氏の紳士的な態度は、事前のEU諸国会議の賜物だろう。

<ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、アメリカのホワイトハウスでトランプ大統領との首脳会談を行うにあたり、ジャケットを着用するなど前回の訪問時よりもよりフォーマルな服装で臨みました。   ゼレンスキー大統領は18日、ホワイトハウスを訪れ、黒の襟付きのシャツとジャケットを着用してトランプ大統領と会談しました。 ゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、軍への連帯を示すとして公の場でもスーツを着用していません。今年2月にホワイトハウスで行われた首脳会談にも軍服風の服装で臨み、アメリカ側から揶揄(やゆ)されていました。   今回はネクタイはしていないものの、ジャケットを着用するなどよりフォーマルな服装をしていて、会談の冒頭で報道陣からの質問に答える際、前回、服装を揶揄した記者が「とても似合っていますね」と声をかけました。トランプ氏も「私も同じことを言った」と述べ、服装を褒めていて、会場は和やかな雰囲気となりました。   アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、ホワイトハウス側が「スーツを着用してほしい」と要請したということです。ゼレンスキー氏は今回、服装で否定的な注目を浴びないよう、対処したとみられます>(以上「日テレニュース」より引用) 「 ゼレンスキー大統領、前回よりフォーマルな服装でトランプ大統領と会談 」とゼレンスキー氏の服装が注目されるなど、トランプ-ゼレンスキー会談の中身について記者会見で明かされることはなかった。ただ事前にゼレンスキー氏がEUオブライエン委員長と会談した内容から、ある程度プーチン案に譲歩した「領土の割譲と交換」でウクライナ側が妥協すると観測されていた、との報道があった。  しかしウクライナとロシアの間で交わされる条約は幾つ目だろうか。ソ連がロシアに変わってから短い歴史の中で、主要な条約だけで三回も交わされている。その三回とはベロヴェーシ合意 (1991年)と友好協力とブダペスト覚書 (1994年)とパートナーシップ条約 (1997年)だ。  ベロヴェーシ合意 (1991年)はロシア、ウクライナ、ベラルーシの首脳が、ソビエト連邦の解体と独立国家共同体の創設に合意したものだ。この合意の第5条では加盟国の領土の一体性と国境の不可侵を尊重することが明記されていた。  次にブダペス...

国家間取引は物品の輸出入取引だけではない。

<●赤沢再生相「1時間に1億円ずつ損失が出ている企業がある」  ●「このままならEUは報復を迫られるだろう」-元欧州委員  英国のスターマー首相は5月、トランプ米大統領との貿易合意によって鉄鋼関税がゼロになると発表したが、実際にはまだ実現していない。英鉄鋼業界団体のピーター・ブレナン氏は先週、「合意の最終確定が英米双方の優先順位から外れているのではないか」と懸念を募らせた。  同様の不満と経済的損失は日本と欧州連合(EU)、韓国でも広がっている。いずれも8月7日に発効した新関税について、自動車輸出に関する譲歩をトランプ大統領から得たと発表した。しかし実際には、安全保障を理由とした米国の25%関税は続いている。鉄鋼・アルミでも50%の関税を課されており、打撃は深刻だ。  赤沢亮正経済再生担当相は15日、自動車関税について「現にダメージが出続けているので、血が流れている状態だ」とし、「1日も一刻も早く大統領令を出してもらいたい」と語った。  ホワイトハウスと米通商代表部(USTR)、米商務省にコメントを求めたが現時点で返答はない。  ドイツ自動車工業会(VDA)のヒルデガルト・ミュラー会長は14日、ブルームバーグ・ニュースへの声明で「数十億ユーロ規模のコストが積み上がっており、増える一方だ」と指摘した。元欧州委員(通商担当)のセシリア・マルムストローム氏も「このままならEUは報復を迫られるだろう」と話す。「交渉は永遠に続き、時間稼ぎばかりになる」と警告した。  日米は7月22日、包括関税と自動車関税を15%にすることで合意したが、自動車については25%が依然賦課されている。さらに既存関税への「スタッキング(上乗せ)」解消を明確にするような公式文書も、まだ発出されていない。赤沢再生相は「1時間に1億円ずつ損失が出ている企業がある」と述べている。  経営立て直しを進める日産自動車は7月、期初に最大4500億円としていた今期の米国関税の影響見通しを、3000億円に修正した。しかしイバン・エスピノーサ社長は関税の見通しが不透明なことから、正確な予測は立てにくいと指摘した。  赤沢氏は先週の訪米で、関税率上乗せを是正する大統領令の発出と、徴収済みの関税が払い戻されることを米閣僚と確認していた。しかし、いずれもまだ実施されていない。  韓国も7月末に15%関税で合意したが、自動車に...

観光立国論に多くの日本国民はウンザリしている。

<2025年8月25日、香港証券取引所は中国恒大集団(Evergrande Group)の株式上場を廃止すると発表した。   これは、中国の不動産危機が依然として長いトンネルから抜け出せていないことを鮮明に示した。そしてさらに、日本へ大挙してやって来る中国人観光客への影響も――。  ■中国にとって一企業の経営破綻にとどまらない恒大問題   恒大は2000年代、中国の都市化ブームを背景に急成長した。  地方都市で低価格の土地を取得し、着工前販売による資金回転を最大化しつつ、巨大プロジェクトを次々と立ち上げていった。   2009年には香港市場で巨額の資金を調達し、不動産事業からサッカークラブ、電気自動車まで事業を多角化。   しかし、この成長モデルは「借入による拡大」を前提としており、2020年に中国政府が導入した不動産業者の借入制限策「三条紅線」により資金繰りが急速に悪化した。   2021年には社債返済が不能となり、2024年1月には香港高裁から清算命令を受けた。   最終的な債務総額は3000億ドル(約49兆円)超に達したが、清算による資産売却額はわずか約2億5500万ドルと見込まれ、回収率は1%未満と推定される。   不動産が中国GDP(国内総生産)の約4分の1を占め、家計資産の約7割が住宅という経済構造の中で、資産価格の下落は消費の冷え込みを招く。   恒大の破綻は、一企業の経営失敗にとどまらず、中国が抱える構造的リスクを映し出す象徴的な「事件」となったのである。 中国人観光客一人あたりの旅行消費額は約20万円  ところで、ご存知の通り、日本では訪日中国人観光客が急増中だ。   日本政府観光局(JNTO)によると、2025年6月に日本を訪れた中国本土からの旅行者は約80万人で、前年同月比でほぼ2割増となっている。年初からの累計では470万人を超え、韓国からの観光客数を上回る可能性もある。   さらに、中国人観光客は一人あたりの旅行消費額が高く、観光庁の調査では2024年の平均は約20万円に達する。   免税店でのブランド品購入、家電量販店での大量購入、高級料亭での食事など、高単価消費が特徴だ。   この傾向は地方経済にも波及しており...

トランプ氏の失政により国際貿易からもウクライナ停戦協議からも孤立する米国。

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< 迫るトランプ・プーチン会談  8月8日、ドナルド・トランプ大統領は自身のSNSにおいて、ウラジーミル・プーチン大統領との会談が8月15日アラスカ州で開催されると発表した。これは、スティーブ・ウィトコフ米特使が6日、モスクワを訪問して行った、プーチンとの3時間ほどの会談(下の写真)の成果と言える。  7月、トランプは、ウクライナでの戦闘を50日以内に終結させるようロシアに要求すると発表し、その期限をすぐに10日に短縮した。そうしなければ、経済制裁を科すとするトランプの脅しは、この訪ロの結果、急転直下、まったく反故になったかにみえる。  さまざまな情報から判断すると、ウィトコフのモスクワ訪問まで、米ロ間で草案が交換されていた。会談のなかで、プーチンは、クリミアと、ルハンスク州とドネツク州を含むウクライナのドンバス地域全体(ロシアが現在支配していない地域を含む)の支配を求め、その見返りとして、ロシア軍が一部地域を支配しているヘルソン州やザポリージャ州の周辺を含む、他の地域での現在の戦線を凍結する停戦に同意するという提案をした。ほかにも、プーチンは空と海における限定的な停戦を申し出たというThe Economistの独自情報もある。  おそらくトランプは、「プーチン提案」に満足し、直接の首脳会談開催を受け入れたのだろう。とくに、興味深いのは、8日の記者会見(下のビデオの5分後あたり)で、トランプが「我々はいくつかのものを交換(スワップ)するつもりだ。双方にとって有益な領土の交換が行われるだろう」と語った点だ。具体的には、ドネツク州の一部をロシアが占領しているスームィ近郊の地域やハリキウ州の一部などとスワップするといったことが想定できる。  同じ記者会見で、トランプはさらに、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が「何かを署名する準備をしなければならない」とも話し、米ロ会談後に、ウクライナを交えた合意が成立する可能性を示唆した。ただし、トランプ、プーチン、ゼレンスキーの3者会談ではなく、とりあえず、トランプとプーチンとの直接会談が行われる。土壇場で、ゼレンスキー大統領も招待するという説もあるが。 ウクライナと欧州の反応  8月9日、ロンドン郊外において、米国側からJ.D.ヴァンス副大統領、ウクライナ側からアンドリー・イェルマーク大統領府長官とルステム・ウメロフ国家...