トランプ氏の平和会談提起はロシアの独裁体制を延命させるだけだ。

<ロシア政府は、侵攻したウクライナでの約3年半に及ぶ戦闘による国防費が高止まりする一方、西側諸国からの制裁を受けて経済が低迷している中で、増税と歳出削減の準備を進めているもようだ。当局者やエコノミストらが指摘した。
 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナでの戦闘がロシア経済を破壊しているとの見方を否定する。しかし、軍事費の支出の増加に伴って財政赤字が拡大する一方、欧米の制裁措置を受けて石油・ガス収入は減っている。
 ロシア経済は冷え込んでおり、当局者の一部は景気後退に陥るリスクを警告。財政赤字は約4兆9000億ルーブル(約610億米ドル)に拡大し、債務を履行しながら現在のペースで軍事費を調達することに苦戦している。
 ロシア連邦議会上院予算委員会のアナトリー・アルタモノフ氏は7月下旬に「経済指標の見通しがより悲観的になっており、石油・ガス収入の減少も考慮すると、緊急の財政再建に乗り出す必要がある」と警鐘を鳴らした。

 ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻して以来、予算支出は名目値でほぼ倍増し、インフレの加速を招いた。このため中央銀行は主要政策金利を最大で21%に引き上げることを余儀なくされた。
 25年の国防と国家安全保障の支出は計17兆ルーブルに達し、米国との冷戦終結後の最高水準にある。これは支出全体の41%を占め、民間部門の生産が減少する中で軍需が経済成長の主なけん引役となっている。
 プーチン氏は6月にロシアが軍事費を削減する計画だと主張したが、当局は現時点で依然増加を見込んでいる。
 アルタモノフ氏も「国家防衛への支出を削減することはできず(中略)おそらく増加する必要がある」と語った。
<快適な生活の糧が低減>
 2026年予算案は今年9月に提出される予定だ。防衛・安全保障支出は国内総生産(GDP)の8%に設定しているが、政府関係者は実際の数値は若干高いと明らかにした。
26年の防衛支出は削減されないとした上で「27年に戦闘が停止した場合、他の支出分野が予算を分捕ろうとする中で、削減される可能性はある」と指摘した。
 アルタモノフ氏は日刊経済紙RBCへの寄稿で、ロシアが28年まで毎年2兆ルーブルの非防衛支出を削減し、その削減分を防衛予算に振り向ける必要があるとの考えを示唆。その上で「今後3年間は、現在のように快適に生活するための糧を持てなくなる」と訴えた。
 ロシア中銀の元副総裁で、ロンドンのNESTセンターのシニアフェロー、セルゲイ・アレクサシェンコ氏は、ロシア中銀が25年に6―7%になると予測しているインフレ率を下回るペースで年金などの支出を物価に連動させることで、実質的な税金の引き上げと支出削減を実施することが予想されると語った。
 政府関係者は、増税が不可避だとして「そうでなければ防衛費を削減しても、単純に収支が合わなくなる。石油・ガス収入は減っており、経済はこれを完全に穴埋めできないからだ」と言及した。
 予算の緊縮措置は最終的にロシアの経済成長を押し下げるものの、ロシアの純債務残高の対GDP比率が約20%と依然低いことが政府に一定の財政余地を与えている。
 キャピタル・エコノミクスの新興市場担当シニアエコノミスト、リアム・ピーチ氏は「ロシア経済は高金利と戦闘が続く中での努力の重圧に苦闘している」とし、「弱い成長の長期化が予想される」との見解を示した。
 アナリストらは25年1―7月にロシアの財政赤字が年間目標を1兆ルーブル超上回ったのに続き、赤字超過額がさらに拡大すると予想している。
 政府関係者は、25年の財政赤字がGDPの2.5%に相当する約5兆ルーブルになると推計している。
 セントロクレジットバンクのエコノミスト、エフゲニー・スボロフ氏は赤字額が8兆ルーブルに達する可能性があると指摘した。
 財務省の計画に精通した高官は「財政赤字が計画を上回る可能性があるなどの理由により、中銀は主要政策金利の引き下げを急いでいない」と解説した。>(以上「REUTERS」より引用)




 「ロシア、増税と歳出削減を準備か 軍事費高止まり」と米国紙が報じている。国家予算の41%も軍事費に割けば民生部門への支出が逼塞するのは明らかだ。欧米諸国による対ロ経済制裁が効いてロシアの原油と天然ガスの貿易収入が減少していることもロシアの財政悪化を招いている。
 インドと中国でロシア原油の90%以上を輸入していたが、中国は経済崩壊により原油消費量が急落している。残るインドに対してはつい先日トランプ氏はモディ首相に、ロシア原油の輸入を削減しなければトランプ関税の引き上げもあると警告した。これでインドもロシア原油の輸入を削減すれば、いよいよロシアの国家財政は破綻の危機に直面する。

 プーチンの戦争を止める最も有効な手はウクライナ領の割譲を条件としてディールではない。それはロシア経済を締め上げることだ。既にロシアの戦時経済はハイパーインフレを国内に誘発している。辛うじて国家財政破綻を防いでいるのは資源輸出による外貨収入だ。それを止められれば前線へ物資を輸送している兵站が止まる。つまり継戦能力が枯渇することになる。
 もちろんウクライナを支援して対ロ軍事圧力を強めなければならないが、ウクライナ軍によるロシア制圧は到底望めない。そうすると、経済制裁によりロシア内部からロシアを崩壊させる方策こそが戦争を終結させる最も有効にして唯一の手段だ。しかも人的損耗を伴わない、人道的手段でもある。

 最後に一言。引用記事に「ロシアの純債務残高の対GDP比率が約20%と依然低いことが政府に一定の財政余地を与えている」という分析は適切でない。なぜなら純債務残高がGDPに比して20%と低いことと、ロシア財政の余裕とは殆ど関係ないからだ。戦時経済の名目GDPは絶えず高い成長率を維持するからだ。つまりハイパーインフレにより経済を回すしかないから、経済エンジンの能力以上の価値創造によりGDPは急膨張している。だから中銀は20%前後の金利を引き下げられないでいる。
 トランプ氏がプーチンに平和会談といった余計なことをしなければ、ロシア国内でプーチンに対する反対勢力が力を持ちロシア国民の政権に対する支持が離れていく。だが平和会談が近いと思えば、ロシア国民は多少の生活苦には目を瞑って、プーチンを支持しようとする。もうこれ以上トランプ氏は余計なことはしないで、黙ってウクライナに兵器支援を続けていれば良い。その方が平和会談よりも早く、恒久的な平和が実現される。

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