破綻した「中国製造2025」。

相変わらず厳しい不動産市場
 中国政府は技術開発を柱に経済のテコ入れを図ろうと躍起だが、不況の大本の原因である不動産市場の不調は相変わらずだ。  
 7月の新築住宅価格は前月比0.3%下落した。中古住宅の下落幅も拡大しており、6月時点で前年同月比7.2%減と大幅な落ち込みを見せた。1~7月の不動産投資も前年同期に比べ12%減少した。1~6月は11.2%減だった。
 地方政府による住宅購入支援策が功を奏さないため、中国政府は新たな対策を講じざるを得なくなっている。ブルームバーグは14日、「中国政府は国有企業を動員し、苦境にある不動産開発企業から売れ残った住宅を買い取らせる計画を進めている」と報じた。

巨額の政府資金でも不十分
 中国人民銀行(中央銀行)が昨年用意した3000億元(約6兆円)の資金を活用するとしているが、不動産市場の活性化には不十分だと言わざるを得ない。中国で売れ残っている住宅在庫は約20億戸に達しており、桁違いの資金が必要だとされているからだ。中国の不動産市場に再び春がやってくることを期待するのは無理なのだ。
 気がかりなのは、不動産危機の象徴となっている中国恒大集団の株式の香港市場での上場が8月25日に廃止されることが決定したことだ。昨年1月に裁判所から清算手続きを言い渡された際の負債額は2500億元(約50兆円)だったが、不良債権の処理はほとんどなされていない。 
 中国ではその後も大手不動産企業の経営破綻が相次いでおり、金融システムに悪影響が及ぶリスクは日増しに高まるばかりだ。

中国でも貸し渋りが始まった
 中国人民銀行によれば、7月の人民元建て新規融資は500億円(約1兆円)のマイナスになった。銀行の新規融資額が借り手からの返済額を上回ったのは2005年7月以来20年ぶりのことであり、前月からのマイナス幅も1999年12月以降で最大だった。 
 内訳をみると、家計向け融資は4893億元(約9兆8000億円)減少し、企業向け融資は6月の1兆7700億元(約25兆4000億円)から600億元(約1200億円)に急減した。
 バブル崩壊の日本が経験した銀行の貸し渋りが、中国でも本格化した証左だ。
 その弊害が既に現れている。中国では今年4月以降、起業家の自殺が4件も起きている。中には中国最大の家具小売りチェーン「居然之家」の董事長(社長やCEOにあたる)だった汪林朋氏ら著名経営者も含まれていた。専門家は「貸し渋りが民営企業の経営を圧迫している」と危惧している。
 日本の例にならえば、貸し渋りは金融危機の予兆だ。中国経済がさらに悪化するのは間違いないのではないだろうか>(以上「現代ビジネス」より引用)





中国で経営者が相次いで自ら命を絶つ異常事態が発生…バブル崩壊後、多くの日本企業にトドメを刺した大問題が中国でも起こっていた」と、藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)氏はバブル崩壊1990年当時の日本と現在の中国を重ね合わせているが、中国の状況は当時の日本よりも遥かに絶望的だ。
 なぜなら当時の日本は不動産投資に金融市場が沸き上がり、市中流通マネーが日銀マネー約250兆円に対して、貸出マネーが500兆円を超えるマネーの過剰供給があった。しかし現在の中国はいかに中共政府が消費者金融の貸出促進策を講じようとも、銀行では貸出を上回る償還があって、市中貨幣流通量は減少の一途をたどっているからだ。

 それは何を意味しているかというと、中国経済が強烈なデフレに陥っている証だ。もしくは金融収縮に陥っている証拠だ。それは不動産価格暴落によって誘引された信用の収縮であって、中国経済全体が収縮しているからに他ならない。
 いかに中共政府が直近の四半期経済成長が5%を僅かに下回る経済成長だと発表しても、西側諸国のエコノミストは誰一人としてその数字を信用していない。現在の中国経済がどのように贔屓目に見ても、プラス成長しているはずがないからだ。大学新卒の就職率が50%程度で、しかもかつての高給待遇の働き口はなく、新卒者が憧れる公務員ですら給与は半減しているし、ボーナスは望めない状態にある。

 藤氏が指摘しているように「昨年1月に裁判所から清算手続きを言い渡された際の中国恒大集団の負債額は2500億元(約50兆円)だったが、不良債権の処理はほとんどなされていない」という有様では、今ですら銀行の倒産が絶えないが今後さらに金融機関の財務状態が悪化することになる。なぜ中央政府は公的資金を投入して金融機関の救済をしないのだろうか。火事になったら炎に水を掛けるのではなく、燃えている火元に水を掛けなければならないのは自明の理だが。
 しかし恒大集団一社で50兆円もの負債額であれば、既に公的資金投入による不良資産処理は不可能なのだろう。だからなのか、不動産バブル崩壊が現実のものとなっても中共政府は「改革開放」経済の成功体験を追い続けた。「製造2025」を掲げて半導体製造やEV製造に補助金を出し続けた。しかし確たる技術の研究・開発に補助金を出すのではなく、企業のプレゼンを信用して補助金を出したため、雲霞の如く出現した半導体開発企業に補助金を投じて、砂に吸われる水のように補助金は消えて、同時に一万社近くもあった半導体企業までも消えた。

 さすがにEVは成功しているかのように見えていたが、今年になってBYDが債務超過に陥っていることが明らかになった。昨年2024年度には売り上げが7,710億元(15兆4280億円)に対して、負債は285.8億元(5,780億円)と健全経営だと報告していたが、香港の会計会社が監査したところ負債総額は5,500億元(約11兆円)あることが判明した。BYDの純資産は1,500億元(約3兆円)であることから、BYDは深刻な債務超過に陥っていることが判明した。
 BYDの財務状態が突如として債務超過であることが判明したのは製造部品のサプライヤーへの支払いを台風手形にし、販売ディーラーに製品を押し込んで手形を回収して社内で資金調達していたと判明したからだ。

 中国のEV各社もBYDと同様な財務状態にあると思われる。なぜなら中国全体のEV生産量は年間約2,000万台だが国内需要は1,200万台で輸出が800万台とされているが、2024年実績で欧州市場へ輸出されたのは1万台に満たなかった。つまり中国のEV各企業も会計を粉飾していて、実際には破産の瀬戸際にあると推測される。
 なぜ中国の製造業はこうした事態に陥っているのか。理由は明らかだ。長年にわたり中国の製造業は先進諸国から製造ノウハウを剽窃しコピーして来たからだ。科学技術の基礎研究や素材会の研究開発を疎かにして来たからだ。確かに発表される学術論文の数ではダントツで世界一だ。しかし査読すると内容のお粗末さに呆れるものばかりだという。

 間もなく夏が終わり職のない中国民が寒さと飢えに震える季節になる。中国全土に溢れるホームレスが暴徒にならないと誰にも断言できない。

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