大前研一氏の「習主席が賛美する米キッシンジャー氏の〝負の貢献〟 国連安保理の常任理事国に中国を推挙、台湾を追い出した張本人」
<中国の習近平国家主席は17日、北京の釣魚台国賓館でフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ前大統領と会談した。習主席はドゥテルテ前大統領について、「大統領在任中、中比の友好交流に重要な貢献をした」と称賛、今後も友好協力を進めてほしいと表明した。 6月に米国のアントニー・ブリンケン国務長官が訪中したとき、向かい合った長テーブルに並ぶ米中双方の閣僚の中、習主席は議長役のように座っていた。つまり、ブリンケン長官を「ワン・オブ・ゼム」の格下扱いする演出。ブリンケン長官は文句を言うべきだった。ああいう座らせ方をされたら席を蹴って出てしまうべきだったと思う。 一方、今回の習・ドゥテルテ会談では、2人は隣り合わせに座って親密さをアピールしていた。習主席の態度も「私はあなたが好きだ」という雰囲気だった。 フィリピンの〝ボンボン〟ことフェルディナンド・マルコス・ジュニア現大統領は、元々中国と近かったのに、昨年6月の大統領就任後、安全保障面で日米韓との協力を強め、中国とは距離をとっている。そんなマルコス現政権をけん制する狙いもあるのだろう。 南シナ海での領有権を主張するため、中国は地図上に9本の境界線を勝手に設定し、ベトナムやマレーシア、インドネシア、ブルネイなどと対立した。この境界線については、2016年にハーグの常設仲裁裁判所が「法的根拠がなく、国際法違反」と判断を下している。 そんな中、フィリピンの当時のドゥテルテ政権だけはこの南シナ海判決を棚上げする合意を中国とした。「麻薬犯罪者は逮捕状なしで殺していい」という人権無視の政策を実践させた最悪の人間を中国が大歓迎したのも、こういった背景がある。 この会談の3日後の20日、習主席は今度は米国のキッシンジャー元米国務長官と同じく釣魚台国賓館で会った。やはり隣り合わせに座って歓迎した。 習主席はまろやかな顔で100歳を迎えたキッシンジャー氏が100回以上も訪中したことを強調、「あなたが両国人民の友好を増進するために行った歴史的貢献を忘れない」と賛美した。11月に米国で開かれる国際会議に合わせて訪米することを模索する習主席は、「古くからの友人」のキッシンジャー氏に仲介役になってもらおうとしているのだろう。 キッシンジャー氏は国家安全保障問題担当大統領補佐官だった1971年に中国を電撃訪問し、翌年のリチャード・ニクソン大統領(当時...