インドの経済大国を阻む最大の障害はインド社会にある。

<女性2人が裸にされたうえ、体を触られながら引き回される様子を撮影した動画が2カ月以上経った今になって流出>
 インド北東部のマニプール州で今年5月、女性2人が暴徒によって全裸にされたうえ、そのままの姿で体をまさぐられながら街中を引き回されるというおぞましい事件が起きた。7月19日にはこの様子を捉えた動画が流出し、インド全土から怒りの声が上がっている。
 こうしたなか、同国のナレンドラ・モディ首相も、事件の背景にある同州で長引く部族間の対立について遂に沈黙を破った。モディは7月20日、議会での審議に先立ち、「マニプールの娘たちに起きたことは、決して許されないこと」だと述べた。彼がこの問題についてコメントしたのは、今回が初めてだ。
 マニプール州では2カ月以上前から部族間の激しい衝突が続いており、事態は治まる気配がない。これまでに大勢の人が命を落とし、何千人もの人が住むところを追われているが、モディはこれまでこの問題について奇妙なほど沈黙を貫き、公の場で言及することはなかった。
 こうしたなか、7月19日に問題の動画が流出した。5月4日に撮影されたこの動画には、マニプール州在住の2人の女性が暴徒たちに取り囲まれ、体を触られ、引き回された上に水田に連れていかれる様子が映っている。さらに現地の警察によれば、暴徒の集団は一連の騒動の中、女性たちの家族である男性2人を殺害したという。

2カ月以上前に撮影されていた動画

 モディは「今回明るみに出たマニプール州での事件は、どのような文明社会にとっても恥ずべきものであり、この国の恥だ。全ての州首相に対して、特に女性に対する犯罪への対処や法律を厳格化するよう促したい。このような罪を犯した者は、この国のどこにおいても、処罰を免れることがあってはならない」と述べ、さらにこう続けた。
「罪を犯した者が、処罰を免れることはないと断言する。マニプールの娘たちに起きたことは、決して許されることではない」
 マニプール州はインド北東部のミャンマーとの国境近くに位置しており、370万人が暮らしている。同州では5月に2つの部族――メイテイ族とクキ族――の衝突が勃発した。
 メイテイ族は州政府に対して、自分たちを就職などで優遇される「指定部族」のリストに含め、またクキ族が暮らしている山岳地帯の土地を購入できるようにするよう要求。クキ族がこれに抗議したことが両部族間の衝突に発展し、これまでに130人以上が死亡する事態となっている。さらに数千人が暴動によって避難を余儀なくされ、中には帰る家を失った人もいる。
 警察によれば、2人の女性が暴徒によって裸で引き回される様子を捉えた動画は、部族間の衝突が暴動に発展した翌日に撮影された。マニプール州のある部族組織は、問題の女性2人はクキ族のコミュニティー出身だとしている。AP通信によれば、2人は現在、難民キャンプに身を寄せているということだ。
 5月18日に警察に登録された犯罪被害証明書には、被害女性の家族も暴徒に襲われ、このうち男性2人が死亡したことが記されており、警察はレイプと殺人について、「身元不明の悪党」の仕業だとしている。
 マニプール州のビレン・シン首相は20日、ツイッターへの投稿で、マニプール警察が「迅速に行動し、20日朝に1人目の容疑者の身柄を拘束した」と述べた>(以上「NEWS week」より引用)




 これがインドの現実だ。「「この国の恥だ!」 インドで暴徒が女性を裸にし、街中を引き回す...悲惨な動画に怒りの声が殺到」と題する記事がNEWS weekに掲載された。
 暴徒というよりも、深刻な部族間対立と女性蔑視の社会が未だに存在していることがインドの深刻な現実問題だ。こうした社会を一掃しない限り、インドの急成長などあり得ないし先進国入りもあり得ない。

 さらに暴徒たちはカースト制の下層民たちだったことを忘れてはならない。カースト制度は独立後まもなく禁止されたが、インド社会は未だにカースト制度の残滓によって支配されている。それと根強い女性蔑視が女性の社会進出を阻んでいる。治安の悪さもインドへの投資意欲を削ぐ一因になっている。
 そして現代になっても下層階級の社会では未だに遺体を野焼きしたり、川に流す葬式が行われている。そうした旧習を一掃して近代社会へ改習しなければ国際社会への参加は困難だ。先進諸国の社会制度を採り入れて、国際標準に沿った社会へ脱皮しない限り、高度経済成長などあり得ないだろう。

 さらに鉄道や道路の混雑ぶりは想像を絶する。社会インフラの立ち遅れも経済成長を阻む要因に一つに上げられるだろう。それは物流の停滞と生産現場への適宜を得た部材供給を阻むからだ。さらに通信や電力などの社会インフラの不備も指摘しなければならない。
 記事にある事件に関して「5月18日に警察に登録された犯罪被害証明書には、被害女性の家族も暴徒に襲われ、このうち男性2人が死亡したことが記されており、警察はレイプと殺人について、「身元不明の悪党」の仕業だとしている」というのも理解できない。警察は「悪党の仕業」だと判断したが、犯人の身元は分かってないという。インドの社会に防犯カメラは未だ普及してないのだろうか。誰かがスマホで撮った動画を提供すれば、犯人の特定にそれほど時間はかからないだろう。それともインドの警察は「悪党」に忖度でもしているのだろうか。

 インド社会では詐欺や盗みは日常的だという。商取引でも常に詐欺に気を付けなければならない、という。外国投資や外国企業進出を促進するのなら、インド政府は国が窓口となって外国投資や企業進出の手助けをして、外国人相手の詐欺や盗みを排除すべきだろう。さもなくばインドは投資対象国として相応しくない、との烙印を押されかねない。
 さらにインド政府の外交姿勢も問題だ。利益さえあればロシア原油を爆買いする、というのでは先進自由主義諸国が対ロ制裁している「掟破り」に加担している国との印象を持たれてしまう。つまり先進自由主義諸国の価値観を共有しない国との烙印を押されてしまうだろう。それがどれほどの経済損失をもたらすか、インド政府は考えないのだろうか。目先の利益を追って、未来を失ってはならない。

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