相手を見て法を説け

<「何を寝ぼけたことを言ってんの」──。岸田政権が国際会議などで繰り返し批判している中国や北朝鮮も呆れているに違いない。中東3カ国を歴訪している岸田文雄首相(65)が17日にアラブ首長国連邦(UAE)を訪れた際、首都アブダビでムハンマド・ビン・サルマン皇太子(37)と会談し、「法の支配」を訴えていたからだ。

 この時の様子について「首相官邸」のホームページには、笑顔の岸田首相とムハンマド皇太子の写真を掲載し、こう説明している。
<サウジアラビアのムハンマド皇太子兼首相と会談を行いました。わが国へのエネルギー安定供給はもとより、脱炭素など多様な分野で協力を深め、また、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持していくことで一致しました>
 ムハンマド皇太子といえば、同国の政治・経済全般の権力を握り、次期国王と目される人物だが、同時に自身に逆らう者に対しては容赦しないという「恐ろしい」側面も持つ。
 知られているのは、サウジ政権に批判的な論説を米紙ワシントン・ポストに寄稿していたサウジアラビア人記者、ジャマル・カショギ氏が2018年にトルコ・イスタンブールのサウジ領事館で暗殺された事件だろう。
 この事件について、米情報機関を統括する国家情報長官室は21年、ムハンマド皇太子がカショギ氏の「拘束もしくは殺害する作戦を承認した」とする報告書を公表。「ムハンマド皇太子は2017年以降、サウジの情報機関を完全に掌握していた。こうした状況下は、ムハンマド皇太子の承認なくしてサウジ当局者がこのような活動を実施できる可能性は極めて低い」と結論付けていた。
 批判する人物は秘密裏に処刑する。北朝鮮の将軍様と考えや行動は何ら変わらないだろう。
《暗殺指令を出す人に対して「法の支配」「国際秩序の堅持」を訴えてどうするの》
《おめでたいとしか言いようがない。岸田さん、カショギ記者の暗殺事件を知らないのでは》
《保守系はなぜ、いつものように岸田さんに対して平和ボケと言わないのかな》
 ネット上では、岸田外交の“成果”に首をかしげる人が少なくないようだ>(以上「夕刊フジ」より引用)




 岸田氏はボケたのか。サウジアラビアで会談したムハンマド皇太子は国際的に有名なジャーナリストといえども、自分を批判した者は容赦なく暗殺し、その遺体まで薬品で溶かして下水に流してしまう男だ。その殺人などヘとも思わない人物に「法の支配」を訴えるとはどうかしている。
 そしてサウジアラビアはOPECプラスの盟主として原油価格引き上げに躍起になっている張本人だ。官邸のホームページには「(ムハンマド皇太子との会談で)脱炭素など多様な分野で協力を深め、また、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持していくことで一致した」と書いているが、産油国の独裁者一族と「脱炭素社会」に関して話し合うとはピント外れもいいとこではない。

 なぜ日本に対して原油の安定供給と価格維持をお願いしなかったのだろうか。なぜ果物屋へ行って高級霜降り肉を注文したのだろうか。65才にして、早くも岸田氏は深刻なボケが進行しているのだろうか。
 原油の長期的・安定的確保のために中東を歴訪するのを否定するわけではないが、日本各地が豪雨災害に見舞われているのに、総理大臣が外遊三昧で日本を留守するのは如何なものだろうか。中東の各国はオイル・マネーを支払ってくれさえすれば付き合うのであって、オイル価格は自分たちの都合で決める、というのが彼らの政治だ。OPECプラスで原産の取り決めをしても、オイルマネーにドップリと漬かった浪費体質が今後是正されるとは思えない。なにしろ王様が外遊する際には百台もの高級ベンツを空輸し、自前の車列を連ねるお国柄だ。

 かつて1バレル1ドルの時代があった、とは誰も想像できないだろう。現在の高額な原油価格が彼らの贅沢三昧な暮らしを維持している。海水を真水化した水で都市部を緑化し、王宮を噴水で飾っている。しかし、それもオイルマネーがあってのことだ。
 1バレルが100ドルを越えれば、当然ながら代替石油がペイし始める。だからe-fuelの開発に先進国が乗り出している。日本では民間企業が実証装置を製造して、原理的にはガソリン価格1リットル14円で出来ることを証明しようとしている。ただし1リットル14円のガソリンが販売されるわけではない。日本には揮発油税、というバカ高い税金がガソリン価格にオンされ、さらにそれに消費税もオンされている。しかも道路財源ではなく一般財源化されている、というタチの悪い税金だ。

 サウジアラビアの国民世論調査で日本よりも中国に「近しい」と感じる国民が多かった、というのは当然ではないか。しかし、それがどうしたというのだろうか。日本は中国が経済大国になる以前から中東諸国と良好な関係を築き、様々に支援を行って来た。しかしご多分に漏れず「俺がやってやった」と押しつけがましく自慢しない日本国民の性格から、相手国の国民から日本の貢献を正当に評価されていない恨みがある。
 だが真実は必ず露見する。心配することはない。中国の「お為ごかし」の貢献がいかに底の浅いものか、「一帯一路」で関わった国々は既に中国の底意に気付いている。日本は日本らしく実直な姿勢ですべての国と対応していけば良い。岸田氏は揉み手をして通り一遍な外交的主張をするのではなく、相手を見て法を説くべきだ。

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