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トランプ大統領を「瘋子」(頭のオカシイ奴)と呼んで面白がっている習近平氏はトランプ大統領の相手ではない。

< 世界がトランプの言動に振り回されるなか、習近平は、対トランプのための特別な部隊まで作って虎視眈々と対米戦略を練り上げている。 突如飛び出した「爆弾発言」 「アメリカはガザ地区を占領し、われわれもこれに責任を負う。われわれはこの地を所有するのだ!」  アメリカ東部時間の2月4日午後、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との会談を終えたドナルド・トランプ大統領は、共同記者会見に臨んだ。  アメリカがガザ地区を所有する―この「爆弾発言」が飛び出したのは、共同記者会見のさなかだった。  すぐに太平洋の彼方の中国でも、速報が流された。5日朝(北京時間)のことだ。  中国は前日の4日まで春節(旧正月)の8連休で、この日が仕事始めだった。中国共産党中央政治局委員(トップ24)、党中央外事工作委員会弁公室主任、外相という3つの輝かしい肩書を持つ王毅は、そそくさと「南院」に駆けつけた。 王外相の提言  南院とは、北京の最高幹部の職住地である「中南海」(天安門広場の西北)の南側に位置する中国共産党本部を指す。つまりは習近平総書記の弁公室だ。  ここへ入れるのは、ごく少数の最高幹部のみ。王外相は習近平総書記に深々と頭を下げると、要件を伝えた。 「新春早々ですが、『瘋子』がまた、とんでもない発言をしました。中東のパレスチナ自治区であるガザを、アメリカが所有すると宣言したのです。いま世界中で、怒りの声が上がり始めています。中国政府として改めて、『巴人治巴』(パレスチナ人がパレスチナを統治すること)を主張した方がよいかと思われます……」  習総書記はうんうんと肯き、二人はしばし「瘋子」談義に耽った。  「瘋子」とは、「頭のオカしいやつ」のことで、このところ中国政府内部で、トランプ大統領の隠語として使われている。実際「瘋子」のせいで、少なからぬ外交部(外務省)や商務部(経済産業省)などの官僚たちが、春節休暇返上となった。 対トランプのために作られた「特別な部隊」  外交部には、「特信班」と俗称で呼ばれる数十人規模の部隊まで作られた。「特朗普」(トランプ)の「信息」(情報)を収集する「班」(グループ)だ。  彼らは24時間365日、交代で北京朝陽門の外交部に待機し、トランプ大統領の発言やXの投稿などをチェックしているのだ。もしも急を要する「つぶやき」が出れば、深夜だろうが明け方だろうが、直ち...

「水素化マグネシウム」は内燃機関自動車の未来やFCVのカギとなる。

<水素社会の電動モビリティの最有力候補として期待される燃料電池車(FCV)だが、その出荷台数は電気自動車やプラグインハイブリッドなどと比べると遥かに少なく、とても普及しているとは言い難い。その理由はハンドリングの難しい水素を燃料としていることや、水素インフラのコストが高いことなどが挙げられる。  そんなFCVだが、ここに来て追い風が吹いている。それが国内外で注目される水素キャリア「水素化マグネシウム(MgH2)」の存在だ。常温・常圧で安定し、より安全に水素を貯蔵・運搬できる。従来の水素キャリアの課題を払拭し、FCVひいては燃料電池(FC)バス、FCバイクなどの普及を後押しする可能性を秘めている。 マグネシウム内に水素を貯蔵  FCは水素と酸素の化学反応で発電し、排出物が水のみであることからクリーンエネルギーとして幅広く認知されている。また、化石燃料の3倍以上の燃焼エネルギーを有し、地球温暖化や大気汚染の心配もないことから、近年そのニーズはますます高まっている。  一方で、水素は貯蔵や運搬などハンドリングの難しさが指摘されている。水素キャリアとしては現在主流である圧縮水素をはじめ、液化水素、有機ハイドライド、金属系吸蔵材料(水素吸蔵合金)などがあるが、それぞれで課題を抱える。  具体的には、圧縮水素は35MPaや70MPaといった高い圧縮エネルギーにより水素を圧縮するため危険性が高い。液化水素はマイナス253℃環境下で貯蔵するため膨大なエネルギーを要するほか、容易に気体に変化する可能性がある。有機ハイドライドは白金触媒の被毒により耐久性が下がることがある。そして金属系吸蔵材料は重いことが指摘されている。  加えて、水素インフラが高いことも課題となっている。圧縮水素に対応した水素ステーションは、水素製造装置、圧縮機、蓄圧器、冷凍機、ディスペンサーなど数多くの機器を設置し、建設費用は1基当たり数億円にのぼる。  一方、MgH2は常温・常圧で安定し、安全性が高い。従来の水素キャリアと比較して同等またはより多くの水素を貯蔵できる。コスト面では資源量が豊富で安定調達が可能なマグネシウムを採用し、かつ水素ステーションなどの高価な水素インフラが不要なため低くできる。さらに、マグネシウムは生産プロセスも確立しており、工業化へのハードルも低い。  MgH2は金属系吸蔵材料のひとつだが、...

中国政府の金融崩壊への対策は「あまりに遅く」「あまりに少ない」

< 習近平の「異変」  中国の習近平国家主席は2月17日、大手テクノロジー企業幹部と座談会を開いた。  トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争に対抗するため、習氏がこれまで峻烈な汚職追放と、がんじがらめの規制を強いてきた民間セクターに、より「自由な行動」を認める方向に舵を切るのではないかとの期待が高まっている。 「デイープシーク」が示した生成人工知能(AI)分野における画期的な進歩が起爆剤となって、中国の株式市場の時価総額は1兆3000億ドル(約198兆円)も増加した。中国政府はハイテク主導で経済回復を図ろうとしているようだ。  しかし、それは期待外れに終わる可能性が高いと言わざるを得ない。 「生成AI」で広がるリストラ  このところ投資マネーがハイテク分野を中心とする製造業セクターに大量に流れ込んでいるため、生産過剰がさらに深刻化する懸念が生じているからだ。  中国の半導体受託製造最大手のSMICは「昨年第4四半期の純利益が前年同期に比べて38.4%減少した」と発表した。業界全体の生産能力が拡大しており、企業間の価格競争が激化しているのが主な理由だ。  中国の大手企業はこぞって生成AIの導入を進めているが、「職場で大規模なリストラが実施されるのではないか」との不安が広がっている。カスタマーサービス担当者の95%を削減する企業も出てきており、専門家は「中国の雇用状況はさらに悪化する」と指摘する(2月17日付RecordChina)。  中国経済が電気自動車(EV)やAIなどミクロ面の強みを有しているのは確かだが、筆者は「史上最大規模の不動産バブル崩壊がもたらすマクロ面の負のインパクトをオフセットすることはできない」と考えている。 「ケタ違い」の不良債権  中国政府が19日に発表したデータによれば、1月の新築住宅価格は前月比横ばいだった。政府の支援策にもかかわらず、不動産セクターは依然として苦戦している。  中国政府は民間大手不動産開発企業がデフォルトに陥るのを4年間傍観していたが、ようやく重い腰を上げた。政府は1月末、資金繰り難に陥っている万科に対し、約500億元(約1兆円)規模の支援を行うための検討を開始した。  中国の不動産セクターには現時点で1600億ドル(約243兆円)の不良債権が発生していると言われており、中国の金融システムにストレスを与えつつある。  中国政...

「財務省解体デモ」は倦むことなく続くだろう。なぜなら国民の貧困化は絶望的なまま続いているからだ。

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< 自民党に大変革が訪れようとしている。これまで対立してきた党内の二大勢力が一つに統合されるのだ。それは「自民崩壊」への序曲だった。 正反対の主張をするグループを1つに統合 〈自民党は、財政再建派と積極財政派の二つの組織を近く一本化する方向で調整に入った〉  1月7日、読売新聞は朝刊でこう報じた。  一見、地味なこのニュース。しかし、この決定がのちに永田町全体を巻き込む「大騒動」へと発展しかねないことを多くの人はまだ知らない。  そもそも財政規律(再建)派と積極財政派とはなにか。この2つは日本に対する現状認識の違いによって分かたれている。 「今は国の借金が大変なことになっているから、これ以上、借金をしてはいけない」と考えるのが規律派だ。一方、「今は経済が大変なことになっているから、国が借金をしてでも市中におカネをまわすべき」と考えるのが積極派である。  そして自民党内には、規律派が主導する「財政健全化推進本部」と、積極派からなる「財政政策検討本部」の2つのグループがあり、財政や経済運営を巡って対立してきた。  そこで党内の融和を図るため、両者をまとめて新たに「財政改革本部(仮)」を作ろうというのが、自民党の方針だ。  そもそもなぜ財政政策を扱うグループが党内に2つもあるのか。これには事情がある。 安倍派vs.岸田前総理「水面下の暗闘」  '21年当時、党の政務調査会に、財政規律を重視する「財政再建推進本部」があった。ところが高市早苗氏が政調会長に就任すると、財政政策検討本部に改組され、「再建」の2文字が消えたのだ。これを主導したのが、現在、財政政策検討本部の本部長を務める西田昌司氏だった。 「西田氏が、高市氏に積極財政を推し進める新たな組織に作り変えるよう提案した。最高顧問には、アベノミクスで積極財政を推し進めた安倍晋三元総理を迎えました」(全国紙政治部記者)  すると党内の規律派がこれに反発。急遽、調整に動いたのが幹事長だった茂木敏充氏だ。茂木氏は当時の岸田文雄総理に、総裁の直轄機関として財政健全化推進本部を設置することを提案。最高顧問には、9年近くにわたり副総理兼財務大臣を務めた麻生太郎副総裁を据えた。  こうして2つのグループができたのだが、これは政局的な動きが関係していたとも言われる。 「当時、安倍派は95人と圧倒的多数派で、岸田さんは安倍さんに頭が...

ロシア人の”本音”、ある中年女性は「世界は狂ってしまった。年を取った2人の“バカ”が世界を共有してしまうなんて。うんざりする」。

<ロシアのプーチン政権がウクライナで続ける「特別軍事作戦」は4年目に入った。ウクライナの最大支援国である米国のトランプ大統領は、対露交渉に前のめりな姿勢だ。ロシアの人々は現状をどのように捉えているのか。首都モスクワの街角で探った。 「解決すると思いたい」「うんざり」  作戦開始から丸3年となった24日、モスクワは雲一つない冬晴れとなった。表面上は戦争を感じさせない日常が続く。通りで話を聞くと、取材に応じた多くの人が米国とロシアの交渉開始を肯定的に受け止め、ウクライナでの戦闘終結に期待を寄せた。  18歳の男性は笑顔でこう言った。「トランプ氏を信じたい。ロシアとウクライナの対立も、露米の対立も、解決すると思いたい。そして、(正規の輸入が止まっている米国ブランドの清涼飲料)コカ・コーラに戻ってきてほしい」  一方、ある中年女性は「世界は狂ってしまった。年を取った2人の“バカ”が世界を共有してしまうなんて。うんざりする」と米露首脳へ向けたとみられる痛烈な非難を吐き捨てるように言い、足早に立ち去った。  厳しい言論統制が敷かれている今のロシアで、この女性のような発言を人前でする例はかなり珍しい。取材に応じない人も多く、街頭で本音を聞き出すのは難しい状況だ。 「母親として、終わってほしい」  24歳の息子がいるという中年女性は、「ウクライナでのことは早く終わってほしい。母親として願っている」と切実な様子で語った。息子は軍事を専門に大学院で研究を続けていたが、昨年8月の卒業と同時に徴兵された。「(戦闘が)終われば心配もなくなる。米露の交渉に期待している」  米露首脳の電話協議のニュースが流れた際にはテレビにくぎ付けになったといい、「(前米大統領の)バイデンとトランプはやはり違う。私たちはバイデンとは戦わなければならなかった」と振り返り、「全てがうまくいく可能性は90%くらい。何もかも今年中に終わってほしい」と訴えた。  外資系企業に勤める38歳の男性も「最低限、戦争は終わってほしい。人道的な理由からも、みんなが終わりにしたいと望んでいる。交渉が悪いという人がいれば不可解だ」と話した。対露経済制裁の解除にも期待を示し、「一度に解除されることはないだろうが、徐々に進むだろう」と述べた。  27歳の男性は「もううんざりだ。これ以上、人が死なないでほしい」と戦争に否定的な思いを率直に語...

農水省と農協は日本のコメ作りをどうしようとしているのか。

< なぜもっと早く放出しなかったのか  昨年の夏以降、コメを買いにスーパーに行くと、品切れや“1家族、1袋”と購入量制限がつくことが増えた。そうした米の状況は、かつて1970年台の狂乱物価の時期、多くの主婦がトイレットペーパーを買い漁った光景を思い出させる。まさに“令和のコメ騒動”といえるだろう。  コメ不足がここまで深刻になった背景には、近年の異常気象の影響などで収穫量が伸び悩んだり、減少したりしたことがある。それに加えて、コメの流通経路が上手くワークしなかったことがある。そのため、供給が円滑に需要に対応することができなかった。そこに価格高騰を見込んで、コメの流通に関係のない業者までも多数加わって価格上昇に拍車をかけた。  今回の騒動に対応するため、政府が保有する備蓄米を市場に放出することで鎮静化を図る対策が出た。しかし、なんといっても、政府の対応は遅すぎる。コメの需給関係がタイトになりそうな段階で、農林水産省が迅速に備蓄米放出に踏み切っていたなら、状況は違っただろう。 昨年夏から10%超値上がりしている  もともと、わが国の農業政策は、コメの価格を下げないことを目的にしてきた。そのため、価格引き下げ効果を狙う政策を上手く運用することができなかった。3月中旬以降、価格上昇は一服する可能性はある。ただ、中長期的なコメの価格動向は見通しづらい。備蓄米放出の効果が一巡すると、再度コメの価格が不安定化するリスクは残りそうだ。それは、消費者物価の上昇に大きな影響を与える可能性がある。  消費者物価指数を構成する“うるち米A(コシヒカリ)”の価格推移を見ると、2022年11月以降、価格は前年同月の実績を上回るようになった。2024年夏場から上昇は鮮明化し10%を上回る上昇を記録した。  農林水産省によると、2024年、国内のコメ相対取引価格の平均値は60キロあたり2万3715円に上昇した。1993年、冷夏の影響で生産量が減少し上昇した価格(2万3607円)を上回り、統計開始以来の最高を更新した。相対価格とは、出荷団体(代表はJA全農)と卸売業者間の主食用米の取引価格を指す。 まるで「マスクの買い占め」の時のようだ  昨年12月単月で見ると、全国平均のコメの相対価格は前年同月比60%上昇の2万4665円に達した。値上がりが鮮明になるにつれ、先々のコメ不足に備えわれ先に米を買い求...

ドイツで劇的な政権交替が起きた。ドイツ社会民主党(SPD)や「緑の党」は閣外へ。

<ドイツでは23日に総選挙が行われ、最大野党の保守「キリスト教民主・社会同盟」のメルツ党首が勝利宣言し、政権交代する見通しとなりました。移民排斥を掲げる極右政党も第2党に躍進しています。   記者(ドイツ・ベルリン) 「地元メディアが出口調査の結果を報じていまして、保守政党『キリスト教民主・社会同盟』が第一党になる見通しだということです」 公共放送「ARD」は出口調査の結果、最大野党の保守「キリスト教民主・社会同盟」が得票率29%で、第1党になる見通しだと報じ、メルツ党首は勝利を宣言しました。 キリスト教民主・社会同盟 メルツ党首 「最も重要なのは、できるだけ早く組閣することです。内政を立て直し、ヨーロッパで再び存在感を発揮できるように」 また、移民排斥を掲げる極右政党「AfD=ドイツのための選択肢」も19.5%で、前回の選挙から倍増し、第2党に躍進すると伝えられています。 一方、ショルツ首相率いる与党は、得票率が16%と伸びず、政権交代する見通しとなりました>(以上「TBSテレビ」より引用)  ドイツで政権交替が起きる。「 ドイツ総選挙、最大野党の保守「キリスト教民主・社会同盟」メルツ党首が勝利宣言 政権交代へ 極右政党も第2党に躍進の見通し 」との速報が伝わった。前日ドイツの総選挙でショルツ政権が続くだろう、という川口氏の絶望的な論評を取り上げた直後だが、これはドイツ国民にとって朗報だ。  極左政党や環境派「緑の党」は妙な国民運動を展開して、国家と国民と社会を分断し破壊してきた。ことに自称・意識高い系の環境運動は徒に生産性を阻害し、国民生活を高コスト化して喜ぶ、という反国民的な社会運動を狂信的に広めてきた。もはや限界に達した感のあるドイツ社会で、以前から受け入れて来た大量の難民・移民政策によりドイツ国民生活の秩序が耐えられなくなっている。  さらにトランプ氏のウクライナ戦争に対する援助から等価交換への切り替えにより、欧州諸国がウクライナ戦争後の利益分割で割を食いそうだとの懸念が生じている。日本の能天気な政治家諸氏はウクライナ利権を確保しようともしないで、国民の税金をフンダンにウクライナに支援してきた。  だが、ロシアの継戦能力が枯渇してきた現状から、トランプ氏がウクライナ利権に割って入る「隙間づくり」にプーチンを利用して、強引に米ロで停戦協議を進めてゼレンスキー...

日本の戸籍の国籍欄に「台湾」表記を認めたのは一歩前進だ。

< 戸籍に「台湾」表記を認める決定。中国への「台湾問題」牽制、日米で強化の動き ● 米国務省「台湾独立支持しない」文言削除 中国「国際法に違反し、台湾独立勢力に誤ったシグナル」  次々と大統領令を発布し、改革を進めているトランプ大統領ですが、台湾問題でも行動力を見せています。アメリカ国務省がホームページで公開している米台関係に関する「ファクトシート」を更新し、ある文言を削除しました。以下、報道を一部引用します。 「米国務省がホームページで公開している米台関係に関する情報をまとめた文書「ファクトシート」を更新し、「台湾独立を支持しない」との文言を削除したことが16日、分かった。台湾の国際機関への参加についても、より強く支持する内容に変わった。台湾を不可分の領土とする中国の反発は必至だ。」  文書の更新は13日付。中台問題を巡り「強制を伴わない平和的手段」による解決を望むと指摘。「加盟を含め、台湾による国際機関への有意義な参加を支援し続ける」と明記した。  米台関係筋は「台湾にとっては前向きな兆候だ」と歓迎。一方「トランプ政権が米国の『一つの中国』政策を変えたのか判断するにはもう少し時間が必要だ」と述べた。  中国外務省によると、ルビオ国務長官は1月24日に王毅外相と電話会談した際、「台湾独立」を米国は支持していないと説明していた。  国務省はバイデン前政権下の2022年、ファクトシートから「台湾独立を支持しない」との文言をいったん削除。中国の反発もあり、復活させたことがある。 ● 米国務省、「台湾独立不支持」を削除 中国の反発必至  もちろん、中国は即座に不満を述べています。  中国外務省 郭嘉昆 報道官 「アメリカ国務省が米台関係の『ファクトシート』を変更したことは、台湾問題における立場で大きく後退し、一つの中国の原則に著しく違反している」  中国外務省の郭嘉昆報道官は17日の定例会見で、「国際法や国際関係の基本規範に違反し、台湾独立勢力に誤ったシグナルを送った」と批判。「中国をコントロールするために台湾を利用するという誤った政策にアメリカが固執している一つの実例だ」と主張しました。  また、日本とアメリカ、韓国の3か国の外相がドイツで会談し、台湾問題で「力による現状変更への反対」を盛り込んだ共同声明を発表したことなどに対し、郭報道官は「関係国家が中国の内政に干...

プーチンがウクライナに侵略侵攻して3年が経過した欧州の現在。

< 脅威はヨーロッパ内部にあり  スイスのジャーナリスト、ロジャー・キョッペル氏は、2月14日のミュンヘン安全保障会議でJ・D・ヴァンス米副大統領の演説を聞いて動揺するヨーロッパのエリートたちの様子を、「狐が入り込んだ鶏小屋」と形容した。ただ、この演説を胸の透くような思いで聞いていた政治家もたくさんいたことは間違いない。   同会議は国際安保を扱うものでは世界最大、1963年からほぼ毎年開催されているが、ヴァンス氏はまず、そこで、ヨーロッパ、およびミュンヘンを褒め称え、居並ぶヨーロッパのエリートたちを喜ばせた。すると氏は、「この拍手が、今日、私の得る最後のものでないことを祈る」と意味深なことを言い、会場の人々がその意味を飲み込めないうちに、唐突に攻撃を開始した。  聴衆は、米国とヨーロッパの結束、ウクライナ戦争、あるいはイスラエルとガザの和平といったテーマを想定していたに違いない。ところが、ヴァンス氏は突然、EUの言論の自由が抑圧されている問題に切り込んだ。 「脅威はロシアでも中国でもなく、ヨーロッパ内部だ。言論の自由という最も大切な価値観が後退している」  言論の自由は民主主義の基である。つまり、ヴァンス氏は、EUには民主主義が足りないと言っているらしい。見る見るうちに聴衆の顔にクエスチョンマークが浮かび上がった。 東ドイツ化が進むドイツ  ヴァンス氏がまず、例に挙げたのは、昨年11月に行われたルーマニアの総選挙。極右と言われていた親ロシアの候補が最多得票で決選投票に進むことになったが、12月、不正があったとして、その1回目の選挙自体が無効とされた。「気に入らない候補が勝ちそうになると、それをひっくり返すのが民主主義か?」とヴァンス氏。ロシアの不正介入が主な理由と言われたが、何となく聞き覚えのある“理由”だ。  ヴァンス氏はさらに、ドイツの憲法で認められ、議会で多数の議席を持っている党(AfD・ドイツのための選択肢を指す)が、政治から完全に締め出されていることも強く批判した。ドイツは早急に民主主義に立ち戻らねばならないと、ヴァンス氏。「よくぞ言ってくれた!」と憂さを晴らしたドイツ人と、「大きなお世話」と気分を害したドイツ人がいたことは、想像に難くない。  ちなみに、昨年末にはイーロン・マスク氏も同じことを言っていたし、憚りながら私も数年前から、ドイツ、およびEUの...

実際に消費税を廃止したマレーシアで起きたこと。

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< ポイント  2018年5月に実施された総選挙で、消費税廃止を掲げたマハティール元首相率いる希望連盟が勝利し、2018年6月1日より6%の消費税が事実上廃止された。  2018年9月1日より消費税に代わって売上サービス税(SST)が「再導入」された。これは、2015年の消費税導入に伴って廃止されていた従来の仕組み。税率はサービスが6%、財が10%で従前どおり、また、新政権の選挙公約どおり。  SSTは食品や生活必需品など非課税品目が多いため消費者の負担感は軽く、消費税からSSTへの移行で、税収は220億リンギ(約5500億円)減少した。マレーシア政府は様々な方法でこれを埋めることに腐心している。  マレーシアの民間消費は堅調で、税率が0%になった期間は特に好調だった。ただ、長期的に見るとマレーシアの民間消費は好ましい人口動態が支えており、消費税からSSTへの移行のみが要因ではない。  所得税の課税ベースが極端に小さいマレーシアの税収構造を前提とすれば、財源安定化の観点からは消費税の廃止は望ましくないが、それぞれの国で財政の条件は異なり一般化できない。 #マレーシア は本当に #消費税廃止 したのか?  2018年5月9日に投票が行われたマレーシアの第14回総選挙では、与党連合・国民戦線が政権を維持するとの大方の予想を覆し、マハティール元首相が率いる野党連合・希望連盟(PH)が議席の過半数を占め、マレーシア史上初の政権交代が現実となった。これに伴い、事前にPHが発表していた選挙公約のひとつであった「消費税の廃止」が2018年6月1日に実現した。  ただし、話はここで終わらない。消費税が廃止されたといっても、当然、代替の財源がなければ財政に穴が開くわけで、新政権が選挙公約の段階で公言していたとおり、2018年9月1日から売上・サービス税(SST)が再導入された。消費税廃止の経済効果は好調な民間消費として確かに観察されるが、消費税廃止以外の要因も大きく、慎重に議論する必要がある。  本論は、マレーシアで消費税が廃止されSSTが再導入された経緯とその影響について、事実を整理し、統計に基づいて論じることを目的とする。2019年10月1日に実施される日本の消費税引き上げと関連し、ネット上ではマレーシアの消費税廃止についての断片的な情報があふれており、実際にマレーシアで何が起こ...

トランプよ、西側諸国の協調関係なしで米国一国だけでMAGAが実現できると思うなら、やってみろ!!

<ヨハネスブルクで開かれていた主要20か国・地域(G20)外相会合は21日、閉幕した。ロシアによるウクライナ侵略を非難する欧州各国に対し、中国はロシアに寄り添う姿勢を示すなど、侵略を巡るG20内の亀裂の深さが改めて浮き彫りとなった。  議長国の南アフリカは21日、ウクライナやパレスチナなどの紛争について、全ての当事者が国際法を順守する義務があるなどとした議長総括を発表した。  ウクライナ紛争の停戦に向け、米露協議が進む中で行われた今回の外相会合では、欧州諸国がウクライナへの支持を訴えた。世界の地政学的な状況をテーマにした20日の会議では、英国のデビッド・ラミー外相が「侵略による無実の犠牲者への同情を聞きたかった」と語るなど、対露批判も相次いだ。  これに対し、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相も「(ウクライナへの)無秩序な財政支援、武器投入が紛争の終結を妨げている」と西側批判を展開して対抗した。会議は予定を超過し、約4時間20分続いた。  一方で、中国は王毅(ワンイー)外相(共産党政治局員)が20日、ラブロフ氏との個別会談に臨むなど、ロシア寄りの立場を鮮明にした。会談は外相会合の開幕直前に実施され、各国外相を待たせる形となり、中露の接近ぶりが際立った。  ウクライナ停戦を巡る米露協議の開始後、中露外相会談の開催は初めてで、中国外務省は「最新の進展状況と露側の考えが紹介された」とした。協議内容を踏まえ、中露間ですり合わせが行われた可能性がある。  露外務省は「王氏はウクライナ紛争の平和的解決のため、根本原因を排除することが不可欠だと強調した」との声明を発表。ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題など、ロシアの安全保障上の懸念に中国が理解を示したことを示唆する内容となっている>(以上「読売新聞」より引用)  トランプ氏のロシア接近とは裏腹に、西側諸国は厳しく中ロと対峙している。それを象徴しているのが引用した記事の見出しにある「 ウクライナ侵略巡り欧州各国と中露の亀裂浮き彫り…「当事者は国際法順守の義務」G20議長が総括 」そのものだ。  ことにNATO諸国はロシアと陸地続きにある。ロシアがウクライナを恣に侵略すると、次は自分たちの番になる、と第二次世界大戦の悪夢が欧州全般に甦っているようだ。しかしトランプ氏は欧州・ユーラシア大陸とは大西洋で隔てられているため「対岸...

米価高騰は日本農政が招いた制度不良によるものだ。

<備蓄米がついに放出される。スーパーによっては税込みで5キロ5000円を超すような状況にもなっている。日本人の食事に欠かせない米の大騒動になぜ政府はここまで放置したのか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。 カロリーベースの自給率は「農水省の戦後最大の発明」  農林水産省の政策は、食料危機を招く危険性を孕んでいる。農政関係者の間でも、その問題点を認識している者は少なくない。   日本人にとって米は極めて重要な食料である。食の多様化が進んでも、米は依然として日本人の食卓の中心にあり、主食の地位は揺らいでいない。何より、天皇家は日本の歴史と深く結びついた稲作文化を重視し、長きにわたりその継承に努めてきた。   新嘗祭は、天皇がその年の新穀(新米)を神々に供え、自らも食すことで五穀豊穣に感謝する宮中祭祀である。その起源は古く、『日本書紀』にも記されており、飛鳥時代から続く伝統行事だ。毎年11月23日に執り行われ、天皇が米を供えることで、日本の農耕文化における米の重要性を示している。   日本は明治維新以降、重工業の発展を遂げたが、文化的・歴史的に米文化は日本人の生活の根幹にあり続けている。   しかし、この米文化を衰退させかねないのが、農林水産省の施策である。特に、「カロリーベースでの米の自給率100%の維持」という政策は、日本の稲作文化を弱体化させ、農家の競争力を奪い、食料危機においては日本人の生命を危機にさらす愚策と言わざるを得ない。  まず、カロリーベースの自給率は「農水省の戦後最大の発明」(農水関係者)と揶揄されている。これは、お米の保護政策を維持するための口実に過ぎず、「自給率100%」という数字を掲げることで、政策の正当性を装っているに過ぎない。 人間の食生活に必要なのは炭水化物だけではない  しかし、言うまでもなく、人間の食生活に必要なのは炭水化物だけではない。タンパク質、ビタミン、鉄分、亜鉛など、多様な栄養素が不可欠である。米さえ確保すれば食料安全保障が成り立つかのような発想は、あまりにも稚拙であり、無責任極まりない。米だけを食べ続ければ、栄養失調に陥るのは自明の理である。   例えば、世界的に権威のある調査レポート『潜在的自給率と多様性の世界的分析が示す多様な供給リスク』(2023...

盛り上がる「財務省解体デモ」と、それを一切報道しないオールドメディアの乖離は何か。

<財務省解体デモが盛り上がっている。大手メディアはほとんど報じないが、報じないことすらも財務省権力の強力さの証拠であると解釈されることにより、デモはますます熱気をあげる結果となっている。  さて、今回論じたいのは、この状況を傍観する人々の態度についてである。知的水準が高いと自認する人間であればあるほど、多くの人々が熱狂している状況を一度冷ややかな目線で観察してみたいという欲望に抗うのは難しい。ついつい「財務省解体だって? そんな簡単なことでお前たちの生活がどうにかなるわけがない。世の中はそんなに単純ではないのだよ・・・」とシニカルな態度で斜に構えたくなるのだ。  なるほど、財務省悪玉論はいささか陰謀論じみている。「財務官僚は増税すれば出世できるから、財務官僚は増税のために躍起になり、その結果、不況時にも増税するといった経済学のセオリーに反する悪政を政治家が強いられている」だとか「国税庁が財務省管轄にあることによって、財務省に批判的な政治家は税務調査で罪をでっち上げられ潰される」といった主張は、Qアノンやフリーメイソンの陰謀で世界が支配されているといった主張と同じように見える。  もちろん、実際のところ、どこまで財務省悪玉論が正しいかはわからない。財務省解体を訴える人々の願い通り、財務省と歳入庁を切り離すことに成功したとして、その後、「財務省さん・・・あなたはもう用済みです」と、拍手をしながら真のラスボスが登場する可能性だってあるわけだ(そっちの方が陰謀論じみているのだけれど・・・)。  とはいえ、陰謀論がバカっぽく見えることは陰謀が存在しないことを意味しないことも、僕たちは弁えるべきであろう。とくに、財務省解体論は、財務省というシステムに向けられた批判であることは念頭に置いておいて損はない。あらゆる悪は特定の個人の強欲に引き起こされているのではなく、システムによって生み出されると考えることが、反陰謀論的な態度である。もし「財務一族の○○がすべてを支配している」といった主張なのであれば、それは現実味のない陰謀論である可能性が高いが、財務省というシステムによって悪が為されていると考えるのは、植民地政策というシステムが戦争という悪を引き起こしたと考えることに近いのではないか?  それはシステムの不具合を取り除こうとする、理性的な判断である可能性も十分に存在するのではないか...

果たして「日本まで損する」か否か、真壁氏は米中貿易戦争の帰趨を見届けるが良いだろう。

<米中貿易戦争の初動は、大方の予想よりも慎重で拍子抜けするほど穏やかな開戦となった。しかし、経済専門家の間では、ある企業が「制裁の切り札」になると指摘される。また、中国はレアメタルとレアアース生産量で世界トップ。どちらも半導体や車載用バッテリーに重要な部材だ。米中貿易戦争が本格化すれば、世界的な株価下落により急激な円高が発生し、日本企業に業績悪化をもたらすだろう。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)  ● 米中貿易戦争の「切り札」となる企業は…    自らタリフマン(関税男)を自任する米トランプ大統領は、大方の予想通り関税政策を振りかざしている。2月1日、カナダとメキシコからのほぼ全ての輸入品に25%、中国に10%の追加関税を課す大統領令に署名した。9日には米国が輸入する鉄鋼やアルミニウムに25%の関税をかけると表明した。   最も注目したいのは、米国と中国の貿易戦争の行方だ。両国の初動は思ったよりも慎重だった。米国は追加関税率を10%に抑える一方、中国が報復関税の対象を影響が少ない分野に絞った。事前予想では、トランプ大統領と習近平国家主席は、もっと派手にやり合うかと思いきや、拍子抜けするほど穏やかな開戦となった。   しかし、先行きは決して楽観できない。3カ国に対する関税は、合成麻薬フェンタニルの流入や不法移民の入国を阻止することを大義名分にした。今後、トランプ大統領は徐々にトーンを上げて、本格的な戦闘モードに突入するとみられる。   特に、中国製品に対する関税、IT先端分野での規制をじりじりと強化するはずだ。米国の対中締め付けが強くなると、当然のことながら、中国も対抗措置を繰り出すだろう。   経済専門家の間では、「中国サイドの報復措置の中で、切り札となり得るのは米エヌビディアへの制裁かもしれない」との指摘もある。米中の貿易戦争が激化すると、わが国をはじめ世界経済には重大な影響が及ぶことが懸念される。 ● 思ったよりも慎重だった!?米中の「関税」合戦   メキシコ、カナダ、中国に対する関税発表の後、トランプ氏は3カ国の首脳と協議する意向を示した。交渉の結果、相手国から満足のいく提案が得られれば、関税引き上げの実行に猶予期間を設ける考えを持っているという。   その時点で、トランプ氏は関税を取引(デ...

今月末までか、来月上旬までの動きがプーチンの去就を決めるだろう。

< ウクライナと欧州に冷淡なトランプ大統領。日本も近い将来の日米安保消滅を絵空事と笑えなくなってきた。これに関して、「日本の最善手は現状維持である」としながらも、在日米軍撤退シナリオにも真剣に備えるべきだと指摘するのは米国在住作家の冷泉彰彦氏。わが国に中国とロシアを“同時に”敵に回す余力はない。アマチュア商業右翼のようなファンタジーではなく、より現実的な外交・軍事戦略が必要になると警鐘を鳴らす。 ウクライナを見捨てるアメリカ。日本への影響は?  アメリカ国内において、イーロン・マスク氏の主導するDOGE(政府効率化省)のリストラ策が、ほぼ日替わりで提案されており、社会を激しく揺さぶっています。ちなみに、日本をはじめ、多くの国が財政の悪化に伴って行政改革をしなくてはと思うのは、実に良くある話です。  その場合にターゲットとなるのは、例えば国立公園保護だとか、国立博物館、国立楽団といった文化的な支出、この辺りが最初に来ることが多いわけです。また、各種の産業に向けた補助金、あるいは外国へ向けた援助なども削減対象になるのが普通です。今回のDOGEにおいても、こうした「削減しやすい」省庁については真っ先に手をつけています。  ところで、過去のアメリカもそうですが、多くの場合は「行政改革」だとか「小さな政府」を目指す運動というのは、保守的な立場が推進するケースが多いようです。そうなると、治安とか安全保障というのは、どちらかと言えば強化するという立場を伴っています。そこで出てくるのが「夜警国家」という考え方です。  これは、政府の多くの官庁は削減するし、公務員も減らす。けれども安全保障を担う軍と、治安を担う警察はしっかり予算を確保するという考え方です。もっといえば、経済成長とか福祉というのは民間に任せて、国家というのは軍隊と警察を中心とするのがいいというわけです。  今回のトランプ運動が画期的なのは、この夜警国家という考え方も捨てようとしている、ということです。そこは保守ですから「強いアメリカ」というようなスローガンはあります。ですが、特に連邦政府(中央政府)のリストラにあたっては、軍も容赦はしないという考え方があり、これはあまり前例はないと思います。  具体的には、マスク氏の率いるDOGE、あるいはトランプ政権の全体としては、軍事というのも削減対象になっています。今回のウクライ...

米中関係はヤバくはならない、ただ対中デカップリングが進むだけだ。

< 米中分断から「断絶」へ…  トランプ大統領の対中関税の発動は、いよいよ米中の本格的な断絶をもたらすことになりかねない。それは、表むきの政治的対立だけでなく、人的交流の欠乏によってもたらされる。  いま、まさにその事態が加速度的に進行していることを、私たちはもっと警戒するべきかもしれない。  トランプ氏は2月10日、すべての鉄鋼・アルミニウム製品の輸入に25%の追加関税を適用するための大統領令に署名した。 追加関税は3月12日から発動される。  すべての国を対象とするとしているが、「その狙いは中国だ」との見方が一般的だ。  米国政府が高関税を課したことにより、昨年の中国の鉄鋼製品の輸入量は約51万トン、全輸入量の1.8%に過ぎない。だが、「カナダやメキシコなどの第三国を経由して中国の安価な製品が米国に輸出され、米国の鉄鋼・アルミ産業に打撃を与えている」と判断して、米国政府は例外のない関税措置に踏み切ったと言われている。  中国の昨年の鋼材の純輸出量(輸出量マイナス輸入量)は初めて1億トンの大台を超えた。不動産バブルの崩壊による内需の低迷を受けて中国の鉄鋼業界は輸出に活路を見いだそうとしていたが、これに「待った」がかかった形だ。 トランプと習近平の「個人的関係」の深層  米連邦議会でも中国バッシングが激化している。  下院の中国特別委員会のムーレナー委員長(共和党、ミシガン州選出)は、中国との恒久的正常貿易関係(いわゆる最恵国待遇)を撤回する法案を1月23日に提出した。  中国に対する最恵国待遇は2000年から適用されているが、これが撤廃されると中国の輸入品に対する関税は平均で約60%上昇する可能性がある。  第1次トランプ政権以降、中国に対する最恵国待遇を撤廃する法案が提出されたが、いずれも廃案となっていた。だが、通商専門家は「今回は成立する可能性が高い」と考えている(2月7日付ロイター)。  トランプ氏は2月10日に放送されたFOXニュースのインタビューで「1月20日の就任以降に中国の習近平国家主席と電話で協議した。我々は非常に良好な個人的な関係を築いている」と述べたが、中国との首脳会議の開催には言及しなかった。  中国側も米国の話し合いの必要性について再三言及しているが、一向に米国との協議が始まらないのはなぜだろうか。 ヤバすぎる…!民間部門の「対話が消滅」 ...

トランプ氏が分断された米国を正常化する。

< ドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任してから1ヶ月が経つ。内政も外交も、次々と新しい政策を繰り出し、世界を混乱に陥れている。  その政策の原則はアメリカ第一主義であるが、バイデン政権の政策を転換し、反古にすることに狙いがあるようだ。しかし、トランプの方針は、アメリカ建国の精神や理念から大きく乖離している。 LGBTなど少数派を無視するトランプ  イギリス国内での宗教弾圧から逃れたピューリタンは、メイフラワー号でアメリカ大陸に到着した。1620年のことである。その後、多くのイギリス人が移住して植民地を建設し、1776年、東部13州がイギリスから独立してアメリカ合衆国を誕生させた。  建国の発端は宗教弾圧であり、少数派の人々は本国から逃れ、新天地で自らの信仰を守ろうとした。アメリカの建国の理念は、「自由、平等、フロンティア精神」である。  このアメリカの建国の歴史を振り返ると、LGBTなど少数派を無視するトランプの方針は承服しがたい。  トランプは、バイデン政権下の多様性・公平性・包括性(DEI)政策を終わらせるとして、連邦政府内のDEIを促進する部署を閉鎖した。バイデン政権の政策の全否定である。トランプは、とくに連邦政府の職員には民主党支持者が多いと反感を募らせている。すでに多くの職員が解雇されている。  反DEIの理由は、性別や人種などの少数派であることが、能力よりも優先されているのは公平でないと考えるからである。2023年には、保守色の強い連邦最高裁が、大学入試で志願者の人種を考慮するアファーマティブアクション(積極的差別是正措置)を違憲と判断している。  トランプは、連邦政府が認める性別は男性と女性のみだと宣言し、性的マイノリティ、LGBTを敵視している。 移民の制限は大きなマイナスに  アメリカは移民によって作られた国であり、トランプの祖父、フルードリッヒ・トランプもドイツのババリア地方から1885年にアメリカに移民している。  トランプは不法移民の取り締まりのみならず、合法的な移民に対しても規制を強化する。治安も悪化し、アメリカ人の職が奪われるといった様々な問題から、不法移民問題が、米大統領の最大のテーマの一つとなった。トランプは、選挙に勝つために、この問題を最大限に活用した。  トランプは、国籍について出生地主義を見直し、不法移民の子どもなどには国...

「国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ」ではなく、好機到来だ。

<やっぱり石破自民党は、「国民民主」ではなく、「維新の会」をチョイスしたということか。国民民主の玉木代表(役職停止中)は真っ青になっているに違いない――。2025年度予算案の年度内成立が、ほぼ確実になってきた。維新の会の「賛成」が見えてきたからだ。  17日の衆院予算委員会。維新の会が、予算案に賛成する条件のひとつにあげている高校授業料の無償化について、石破首相が予算案の修正に応じる考えを表明した。  現在、高校授業料の就学支援額は、公立高は授業料相当額の年11万8800円、私立高は最大39万6000円が支給されている。維新の会は、私立高について「最大63万円」への引き上げを求めている。  17日の予算委で、維新の会の前原共同代表が、「我々は63万円を提示しているが、この点についてはどういう考えか」と質問すると、石破首相は「直近の全国平均授業料、45万7000円をベースとし、安定財源の確保とあわせて検討を深める必要がある」と答弁してみせた。  この「45万7000円」という金額は、自民と維新が、予算案「賛成」で合意したサインだとみられている。2日前の15日、 テレビ出演した前原氏が「45万円を超えた金額で無償化することは大きな一歩だ」と明言していたからだ。石破首相は、前原氏が口にした金額に「満額回答」した形だ。  前原氏は、予算委の後「予算案の賛否を決めるには情報が足りない」と記者団に語っていたが、もはや「反対」することはないとみられている。 「17日の審議では、首相と前原さん、2人とも手元のペーパーを丁寧に読み上げていた。事前に入念な調整をしたのは間違いないでしょう。これから自民と維新が話し合い、金額は45万7000円ではなく、最終的には50万円に乗せるという話も流れています。ポイントは、自民と維新との交渉に、途中から遠藤敬・前国対委員長が加わったこと。外様の前原さんは、維新の会を掌握しているのか不安視されていましたが、馬場伸幸・前代表の側近である遠藤さんが交渉に加わったことで党内もまとまるとみられています」(政界関係者) 「103万円の壁」はどうなる?  石破首相が維新の要望を、ほぼ「丸のみ」したことで焦っているのが、国民民主だ。はやくも「維新とまとまるなら、うちと協議しなくてもいいだろう」と神経をとがらせている。実際、維新の会が予算案に「賛成」するなら、野党第...

行き過ぎたトランスジェンダーを正常化すべきだ。

<トランプ新政権誕生直後から、大統領令によるトランスジェンダーの権利剥奪の動きが強まっています。それを象徴するのが、これまで使われていた性的マイノリティを包括する言葉「LGBTQI(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・クイア・インターセックス)」が、政府のウェブサイトで「LGB」に変わったことです。  大統領令はまず、19歳以下のトランスジェンダーの若者に対し、性別適合のための治療や手術を禁止・制限しました。続いて小学校から大学までのスポーツへの、トランス女性の参加禁止、同時にトランスジェンダーが兵役につくことも禁止しました。またアメリカは男性と女性の2つの性しか認めず、それらは出生時に割り当てられ変更不可能であると宣言しています。  これを受けて、先週まで 「LGBTQI旅行者 」のための情報を提供していた国務省のサイトでは、今では 「LGB旅行者 」のみに対応。LGBTQI+の養子縁組希望者のための情報ページも「LGB」だけになっています。  もっと極端なのは、CDC疾病対策予防センターのサイトにあるLGBTQ+の人々のタバコ使用に関するページ、労働省にあった性的指向による差別を回避するための資料、司法省と商務省のLGBTQ+専用ページなども軒並み姿を消していることです。  アメリカでトランスジェンダーとノンバイナリーを合わせた人口はわずか1.6%。 テレビや映画でしか見たことがないという人がほとんどです。トランス擁護派は、「トランプ政権と保守派は、人々の未知の存在への恐れを煽り、トランスジェンダーを社会の脅威として攻撃し、政治の道具に使っている」と強く批判しています>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)  トランプ氏が果敢にも「 男と女以外の性は認めない 」と発言して以来、米国では「 トランプ政権でトランスジェンダーへの攻撃強まる 」傾向にあるようだ。そうした米国の性風俗の変化をシェリー めぐみ(ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)氏が伝えている。  シェリー氏が指摘するようにトランプ氏は果たして「大統領令によるトランスジェンダーの権利剥奪の動き」を強めているのだろうか。むしろトランスジェンダーの権利を声高に叫ぶ人たちによる健常者に対する権利侵害が進行していたのではないだろうか。  ことに、女性側からトランスジェンダーの権利を叫ぶ人たちによ...

コメ高騰の元凶はスクラップ業者が21万トンも買占めたからなのか? 真犯人は「コメ不足」ではないか?

< 投機筋がコメを買い占めた?  農水省見解が胡散臭い  レアな人気商品を大量に買い占めて抱え込み、価値が高騰したところで一気に売りさばく――。そんな「転売ヤー」が、ついに「コメ」にまで手を出し始めたのかと衝撃が広がっている。  きっかけは、昨年の「令和の米騒動」からコメの価格が一向におさまらず高騰を続けている問題を、国会で繰り返し追及された、江藤拓農林水産大臣が述べたこの言葉だ。 「米はあると。(中略)どこかにスタックしていると考えざるを得ない」(1月31日) 「今回は、今まで米を扱ったことがないような人が参入している気配がある。どこにどれだけあるか、いま、調査を一生懸命かけています」(2月3日)  要するに、コメの生産は十分に足りているにもかかわらず、一部のけしからん投機筋の人々が買い占めて抱え込んでいるために、価格が下がらないというのだ。  この根拠としているのは、「消えた21万トン」だ。農水省は、農協を含む大手の卸の集荷量が低下していることをもって、他の業者がコメをためこみ、本来はあるはずの21万トンが従来の流通から消えたと主張をしている。官僚からの情報に「依存」するマスコミもそんな「買い占め説」を盛んに広めている。 《コメの高騰が続く背景には、一部の生産者や業者が、コメをより高く売れるタイミングまで市場に出さずいるとみられています。そこで、農水省は、備蓄米をJAなどの集荷業者に販売。コメを抱える業者に「価格が下がるかもしれない」とけん制して、市場に出回るよう、促そうという狙いがあります》(テレ朝news 2月12日)  このような話を聞くと、「買い占めているのはどの業者だよ、みんなが困っているときにとんでもないヤツらだ」と怒りが込み上げてくる人も多いだろう。実際、ネットやSNSでは「米を買い占めているのは誰だ」と「犯人探し」まで始まっている。  ただ、個人的にはこの「投機筋の買い占め説」はかなり胡散臭い話だと感じている。  多くの専門家が指摘しているが、この説の大前提である「米自体は足りている」という農水省の主張自体がどうにも疑わしいからだ。  今回の米高騰のきっかけは昨年8月に、スーパーの棚から一斉に米が消えた「令和の米騒動」だ。これは前の年の猛暑の影響もあってコメの供給量がシンプルに減少したことで発生した。  農水省によれば、23年秋の主食用米の収穫量...

The NY Timesも「EVゴリ押しが失敗しそう…「トヨタは時代遅れ」論調転換」

< ★ ゴリ押し“EVシフト”が失敗しそうな裏事情、米紙が「悪者トヨタ」叩きをやめたワケ  米EV市場で大きな異変が起きている。2022年は世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱で、需要に見合うだけのEVを生産できなかった。だが2023年は打って変わって、ディーラーの在庫が積み上がっている。テスラも、生産台数が販売台数を上回る事態だ。そうした中、急速かつ完全なEVシフトを拒んできたトヨタを悪者企業として急先鋒で叩いてきた米ニューヨーク・タイムズ紙が、ハイブリッド車を再評価する論調へと立場を変えた。こうした流れにはどんな事情があるのか、ゴリ押しされてきたEVシフトは今後どうなるのか。  米自動車市場におけるEV販売が急拡大中だ。2023年1〜3月期に25万7000台、4〜6月期には29万5000台のEV新車登録があり、それぞれ2022年同期比で66%増、49%増を記録している。自動車業界の分析を行う米コックス・オートモーティブは、米国でのEV新車販売台数が2023年の通年で100万台を突破すると予想し、国際エネルギー機関(IEA)は前年比35%増の140万台に達すると強気の予測を立てている。  コックス・オートモーティブが全米約1000人の消費者に対して行った最新のアンケート調査では、回答者の51%がEVの新車あるいは中古車の購入を検討すると答えており、2021年の38%から13ポイントも上昇した。  このように表面的には好調が続く米EV市場だが、懸念すべき「黄信号」が点灯し始めている。米ニュースサイトのアクシオスが7月10日に報じたところによると、全米のEV在庫が合計で9万2000台と、92日分も積み上がっているというのだ。  これは、大きな驚きである。なぜならつい最近まで、深刻な在庫不足により、ディーラーがEVを販売したくても、現物がないと説明せざるを得なかったからだ。そして同記事では、販売店における適正在庫のレベルが70日分であると指摘した上で、ガソリン車の平均在庫が54日分に過ぎないことから、EV平均在庫の92日分という数字がいかに異常事態であるかを伝えた。  一方、2022年6〜11月に行った全米801店の自動車ディーラーに聞き取り調査では、66%が1台もEVを販売しておらず、EVが少なくとも1台以上置いてあったのは残り34%に過ぎなかった、との報告が2...