総理大臣は経済界の「番頭さん」ではない。
< 安倍晋三首相による緊急事態宣言発令後、日本は今後の行方を大きく左右する大型連休に突入する。 3 月 20 日に小中高校などの一斉休校は延長しない方針を決めて「 3 連休の気の緩み」を誘った同じ轍は踏むまいと、首相は大型連休中の「オンライン帰省」などを呼び掛けているが、安倍政権が頭を抱えるのは 5 月 6 日までと設定した宣言期間の延長の是非だ。増加する感染者数や陽性率の高さを踏まえれば、「延長」が濃厚との見方は強いが、そもそも宣言発令に否定的だった政府はさらなる経済への打撃を懸念する。命を最優先とするか、経済とのバランスをとるのか――。 究極ともいえる「 2 択」をめぐる綱引きは激しさを増している。「夏までに終息できなければ日本社会は崩壊しかねない」との声も漏れる中、首相はいかなる決断をするのか。そのタイムリミットは刻々と近づいている。 「急速に悪化しており、極めて厳しい状況」。政府が 4 月 23 日に発表した 4 月の月例経済報告には、リーマン・ショックで苦境に立たされた 2009 年 5 月以来、約 11 年ぶりに「悪化」という文言が使われた。西村康稔経済再生担当相は「過去に例を見ない極めて厳しい状況だ」と語ったが、その表情は先行きへの焦りを感じさせるものだった。 新型コロナウイルス危機で曖昧なのは、「出口」をどこに設定するのかという点だ。これまで安倍首相は「人と人との接触機会を最低 7 割、極力 8 割削減できれば、 2 週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と繰り返してきたが、その「出口」には触れてこなかった。感染者数や陽性率、死者数などがどの程度落ち着けば良いのか、その「目安」が設定されることはなく、自粛や休業をひたすら我慢する「出口なき戦略」を突き進んでいる。 いつまで外出を自粛し、店を閉め、在宅勤務を続けなければならないのか。学校はいつから再開されるのか――。安倍首相は 4 月末からの大型連休中に宣言の延長の是非を判断するが、緊急事態宣言を「解除」すれば感染再拡大のリスクをいかに防ぐのか、「延長」ならば日本経済への影響をどのように最小限に抑えるのか、その「目安」の設定とともに国民への説明が求められることになる。元大阪府知事の橋下徹氏は 4 月 21 日放送の TBS 系「あさチャン!」で、経済...