無能な指揮官の下では前線の将兵が無駄に戦死するだけだ。

<政府は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、5月6日を実施期限としている緊急事態宣言について、4月29日からはじまる大型連休中に延長の是非を判断する予定だ。複数の政府・与党関係者が明らかにした。政府・与党が来週末を目指す2020年度補正予算成立のタイミングに合わせたいとの声も出ている。予定通りに6日解除に踏み切る場合感染が再拡大するリスクと、延長による休業要請の長期化が経済に与えるコストを慎重に吟味する。専門家による諮問委員会の判断を踏まえて決める。

政府は当初、4月7日の緊急事態宣言発令から2週間を経過した21日ごろの感染状況を踏まえ、23─24日に予定されていた補正予算の成立に合わせ、延長の是非を判断する方向だった。しかし公明党の強い要請を受け、対策に一律10万円の現金給付が盛り込まれることに伴い、補正予算の審議入りが27日以降にずれ込んだ。16日には緊急事態宣言の対象地域も全国に拡大され、これら新たな対象地域での外出自粛の効果を見極めるには2週間後となる30日前後のデータが必要となり、延長是非の判断時期がずれ込むことになった。

緊急事態宣言の実施期間の延長には、諮問委員会の判断が必要。諮問委員会の尾身茂会長は、延長や解除の判断にあたっては、1)累計の感染者数、2)感染者が2倍になるまでに要する時間、3)経路を追えない感染者数の割合─を基準として示してきた。

東京や大阪の都心のオフィス街ではテレワーク拡大などにより、人との接触は7-8割の削減が実現しつつある。一方、これら大都市圏でも公園や商店街、ショッピングセンターなどでは削減幅が小さいエリアがある>(以上「REUTERS」より引用)



 武漢肺炎が終息する見通しを政府が公表して、それまで国民に隠忍自重して欲しい、と要請するのにも飽き飽きしてきた。確かに武漢肺炎の感染拡大を国民が一丸となって阻止する必要があるが、そのためには科学的な根拠を示して明確に見通しを示すべきではないか。
 当初、全国の小・中・高を一斉休校「要請」した段階では、休校の期限は3月20日過ぎの三学期の終了まで、としていた。それが四月末どころか五月の連休までと延期された。子供たちは新学期を迎えても登校できないで「自宅待機」させられたままだ。教育課程の遅れに関して、文科省はいかなる見解を持っているのだろうか。

 そして深刻なのが日々来店する顧客相手に日銭を稼いで経営している商店や料飲業を生業としている人たちだ。政府の「要請」を忠実に履行して、廃業あるいは破産するしかない事態に追い込まれている。
 武漢肺炎の感染患者を治療する病院の医療従事者は2月から3ヶ月も緊急事態に対処してきて、疲労の極限に達している。病院によっては医療従事者が院内感染して、治療に当たる人員不足に陥っている。

 政府・厚労省は「緊急事態宣言」を発令して国民に「武漢肺炎ウィルスと戦うぞ」と命令しても、明確な戦略と終息目標を示さなければダラダラといつまでも隠忍自重することは出来ない。
 そして「緊急事態宣言」を発令するからには国民が武漢肺炎ウィルスから身を守る最低限のマスクを十分に市場へ供給する態勢を確保する責任がある。もちろん医療機関に対して医療用マスクや防護服や消毒液なども不足しないように必要物資調達の責任を政府・厚労省が持つべきだ。

 そうした兵站も整えないで国民に「突撃命令」だけ発出する政府・厚労省は「無能」の誹りを免れない。そして政府・厚労省に助言している専門家会議とは一体何の「専門家」の集まりなのか。
 少なくとも感染症の臨床専門医の団体なら感染拡大防止の対策は「検査と隔離」が基本だと百も承知のはずだ。あるテレビディレクターが武漢肺炎に感染し、軽症だったから政府・厚労省の「指針」通りに自宅療養していてフリーアナウンサーの妻や同居している祖父母を感染させてしまった。さらに同居している乳児も感染するのではないかと危惧されている。こうした事態を招く可能性が高いことは「自体待機」を基本とする専門家会議の対処方法には当初からこのブログで疑義を呈してきた。専門家の医療従事者ですら院内感染するのに、素人が感染患者と自宅で同居し介護していたら感染する可能性が高いのは誰の目にも明らかではないか。

 いずれかが優劣か韓国方式だ米国方式だいや日本方式だと愚かな議論をする前に、感染拡大を防ぐには早期の「検査と隔離」を行って、感染の実態を把握する必要がある、という感染症を蔓延させないための基本を確実に履行すべきだ。
 PCR検査は精度が低いなら検査しても無駄だ、と論評する評論家や医師がいるが、それなら薬も万人に効くわけではないから投薬するのも無駄なことになりはしないか。制度の低い検査なら、なおさら繰り返し検査する必要がある。それが科学的な対応だ。

 大勢を検査すれば医療崩壊する危険がある、という検査抑制の論拠とする評論家が多数テレビに登場していたが、検査を抑制する方が爆発感染を起こして医療が麻痺する可能性が高い。さらに、検査を抑制することによって、政府・厚労省は武漢肺炎の感染拡大の実態を知らないまま、チマチマと各種対処策を打ち出し、国民にダラダラと自粛要請することになっている。
 既に感染拡大して遅きに失しているかも知れないが、政府・厚労省が検査を拡大する方針に転じたという。今からでも「検査と隔離」を確実に履行するしか、何であれ感染症の蔓延を抑え込むことは出来ない。専門家会議の「専門家」たちのシロウト対策に振り回されるのではなく、政府・厚労省は感染症の臨床医に対策を聞くべきだ。そして医療物資の手配に全力を尽くして、病院で医療用マスクや防護服が不足するような事態を決して起こしてはならない。レインコートで防護服の代用をするなど論外だ。そんなことをしていては医療従事者を感染させるだけだ。医療物資を確実に補給できないようでは政府・厚労省は万死に値する。無能な指揮官の下では前線の将兵が無駄に戦死するだけだ。

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