足元に付け入る商売を笑う。

 武漢肺炎の以前には使い捨てのマスクは一箱65枚入りが税込みで500円前後だった。それが今は税込み価格50枚入りが3,500円から4,000円で売られている。
 確かに自由市場では需給関係で物価は決まることになっているが、これは「足元に付け込む」アコギな商売といわざるを得ない。日本国民がこうしたアコギな商売に手を染めるとは驚くが、これこそがグローバル化というものなのかも知れない。

 グローバル化とは「金」が世界的に不変な価値を持つものだから、世界の何処かで金鉱を見つけて発掘したなら、本国へ持ち帰って大儲けできると考え、大航海時代が始まった。或いは「金」は「胡椒」になったり「綿織物」になったり「宝石」になったりした。
 そうした本国へ持ち帰ることで高く売れる品物を運ぶ(貿易)ことで利を手にする競争が展開された。ある時は物資の売り捌きの利ではなく、一刻でも早く届けることで「時の利」を得られることから帆船の速度を競い合うことにもなった。それで誕生したのがウィスキーの名称にもなっている「カティサーク」号だ。

 しかし現代のグローバル化は必ずしも「物資の輸送」を伴わない。為替や先物市場相場で稼ぐ投機家は世界に張り巡らせたネットと情報さえあれば瞬時にして大金を稼げる。大金さえ手にすれば欲しいモノは大抵のモノが手に入る。
 豪邸や豪華クルーザーやプライベートジェット等々。いや、そうした物品だけではない。大抵のモノが手に入るといったが結婚相手に当代絶世の美女を得ることだって可能だ。日本でも億万長者になったスポーツ選手やIT社長が女優と結婚して週刊誌を賑わしている。

 そうした欲望に憑りつかれた者を、かつての日本では「浅ましい」と軽蔑したものだ。権力者の武士階級は階級が低いとみなしていた商人よりも概ね質素な暮らしに甘んじていた。日本では「清貧」こそが美徳とされた時代が二百年以上も続いた。
 しかし近年になって、ことに戦後米国流の価値観が日本に持ち込まれるようになって日本国民の価値観が大きく変わった。カネ万能主義が静かに深く浸透してきた。結果として「保有する資産の多寡」こそが社会で評価される基準になってしまった。

 「足元に付け込む」商売はかつての日本では「卑しい」と社会的な評価を下げたものだ。しかし戦後世界で日本はポツダム宣言締結後に火事場泥棒行為による旧ソ連によって北方領土を不法占拠されたままだ。世界の大国ですら「足元に付け込ん」で恥じないではないか、まして個人おや、という思考回路が出来上がっても不思議ではない。
 しかし、それは恥ずべきことだ。「笑納」という言葉がある。「笑って収める」ということだ。贈り物をする人が「つまらない贈り物です」とへりくだって用いる熟語だ。明治時代まで日本人は「笑われる」ことは死ぬよりも辛いことだった。叱られるも批判されるよりも、笑われることの方が人格を否定される辛い仕打ちだった。しかし現代では自らを「お笑い芸人」と自称して憚らない人たちがテレビ画面に毎日のように登場している。なぜか、カネが儲かるからだ。カネが恥の概念を思考の脇へ押しのけてしまった。

 カネ万能の社会は「足元に付け込む」商売人を「やり手」と評価するようになった。株真相場などで一山当てた「山師」を「兜町の寵児」と持て囃している。かつて「山師」とは「詐欺師」の隠語だった。
 いつの間にか、日本国民は「詐欺師」の世界人類に仲間入りしたのだろうか。誇り高い、人から笑われれば腹を切るよりも辛いと考えていた高潔な人格は戦後社会で脆くも崩れ去ったかのようだ。使い捨てマスクが50枚入り一箱が3500円で売られているとは。これも感染症対策に必要なマスクの製造工場を有史以来グローバル国家であり続ける中国へ移転させたのが間違いだ。

 彼らは「機を見るに敏」を旨とする世界で生きて来た。日本国民とは異なるメンタリティーを持っている。国家主席・習近平氏が率先してマスク外交を展開して、中国製の粗悪なマスクを「援助物資」と称して外国へプレゼントして歓心を買い、日本向けで邦人企業が製造したマスクは接収して中国内に備蓄している。
 一国の元首が「機を見るに敏」として国民から拍手を浴びている、というのは日本人の感覚では考えられないことだ。「足元に付け込む」国家が隣国にある、ということを忘れてはならない。経済界が金儲け優先で親中政策を政権に強要しようと、政権は日本国民を優先して「国民の生活が第一」の政治を行うべきだ。安倍自公政権もそうすべきだった。

 残念ながら安倍自公政権は「足元に付け込ん」で国民からカネを巻き上げる財務省のポチに成り下がっている。政権とは何か、国家とは何か、人はいかに生きるべきか、といった哲学を思惟する青年時代を過ごさなかったであろう貧困な思考回路しか有しない人たちの群れだ。
 「足元に付け込む」人たちを笑おう。マスク50枚入り3500円で売っている店があったら笑って買わないで我慢しよう。少しの間我慢すればマスクはドッと市中のドラッグストアや各店頭に溢れるほど出て来る。買占めている連中を破産させることこそが「足元に付け込む」アコギな商売を根絶させる最も有効な方法だ。

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