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7月, 2025の投稿を表示しています

参政党を極右政党と評するBBC氏に忠告する。

<日本の政治は通常、安定した船のようで、だいたいいつも退屈だ。  しかし、もう違う。20日にあった参議院選挙で、これまでほとんど目立つことがなかった極右政党の参政党が、議席数を公示前の2から15に急増させ、日本の政界における有力政党の一つとなった。  ドナルド・トランプ米大統領の「アメリカ・ファースト」をもじった「日本人ファースト」をスローガンに、参政党は与党・自民党と、苦境にある石破茂首相を大いにいら立たせた。 日本での極右の台頭、トランプ大統領と外国人旅行者によって急加速  石破首相にとって、この1週間はジェットコースターのようだった。参院選では、自らが率いる自民党主体の連立政権が過半数を失った。すでに昨年の衆議院で同政権は過半数を失っており、党内からは首相辞任を求める声が上がった。  日本時間23日には、アメリカと関税で合意。トランプ大統領は「大規模」なものだとした。これにより、日本の経済は必要としていた安定を一時的に得たが、政治が混乱から脱することにはならなかった。  日本は世界で最も安定した民主主義国の一つだ。選挙で驚くことはめったにない。自民党が1955年以来、わずかな時期を除き、政権を担い続けてきた。他国で見られるようなポピュリズムとは無縁と思われた。  しかし、自民党は現在、戦後史上最も深刻な課題に直面している。では、何が政治的に退屈な国を激しい政争の地に変えたのか。何が多くの人々を極右へと引き寄せたのか。 コメ戦争:スーパーでの怒り  日本の家庭はここ数年、厳しい状況に置かれている。インフレ、物価高、賃金の伸び悩み、景気の低迷と闘い続けている。米の価格は高騰し、昨年の2倍に。一般的な5キロ入りの袋が、スーパーで4000円以上で売られている。  これは、2023年の不作による供給不足が一因だ。だが、強い地震の発生で「巨大地震」への警戒が呼びかけられ、人々がパニック状態で米の備蓄に走ったことも、状況を深刻にした。  テレビやソーシャルメディアでは、米を買うために人々が長い列を作っている映像が流れた。東京北部のスーパーで生後4カ月の娘と買い物をしていた女性(36)は、「お米は私たちの主食。いつも当たり前だと思っていたけど、これはみんなに影響している。私や、私の赤ちゃんが食べるものだけでなく、みんなのビジネスにも影響している」と話す。「短期間に値段がこんな...

トランプ関税により米国から未来業界が静かに、しかし確実に撤退している。

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< 日本国内の半導体企業の世界シェア  かつては世界シェア50%以上もあった時代があった。日本がバブル経済だった時期と半導体がピークだった時期は、ぴったり重なる。その時代から日本の半導体シェアは坂道を転がるかのように落ちて2021年には10%まで低下した。22年には円安の影響によって、さらに9%に落ちた。   日本国内の半導体生産能力は他国に劣らない  ところが、日本の半導体工場における生産能力は、台湾と比べて、それほど劣っているわけではない。市場調査会社Knometa Research(アメリカ)によれば、2021年末時点での最新の数字は15%程度である。つまり、日本を本社とする半導体企業の半導体製品出荷額は9%のシェアしかないのにもかかわらず、日本国内の工場の生産能力は台湾の21%シェアに対して15%といい勝負をしていることを表している。これは国内にMicron TechnologyやTexas Instruments, UMC, Onsemiなど外資系企業の工場も生産しているからだ。ほぼ日本と並んでいる中国は国家号令で半導体製造能力を上げてきたが、日本も法案が整備され、これからは世界のコンペティタと一緒に、さらに生産能力を上げていくことになる。 [図3 2021年末における世界の半導体の生産能力出典:SKnometa Research  それだけではない。日本の半導体生産能力は2017年時点でさえ世界で18%のシェアを持っていたのである。この図はIC Insights(アメリカ)(現TechInsights(カナダ))のデータを基に市場調査会社Statista(イギリス)がまとめたもの。 [図4世界の半導体ファブ生産能力の推移出典:IC Insights、Statista 日本国内の半導体生産をリードしている主な工場  日本での半導体工場といえば、三重県の四日市と北上に巨大な工場を持つキオクシア、iPhoneのカメラ用イメージセンサを生産しているソニーセミコンダクタソリューションズ、ルネサスエレクトロニクスの那珂工場、ロームの京都本社工場や滋賀工場など多くの地方工場などが話題になるが、アメリカのMicron Technology、Texas Instruments、onsemi 、台湾のUMCなど、外資系半導体企業も日本に工場を持っている。特にonse...

中国もソ連と同じ道を歩むのだろうか。

< 旨みなき中国ビジネス  最近、先進国企業の中国事業は重大な転換点を迎えている。  多くの海外企業が中国から撤退したり、合弁事業を解消したりする動きが目立っている。わが国企業の中でも、TOTOが中国にある2つの製造拠点の閉鎖を発表した。ここへきて、中国の不動産バブル崩壊の影響は住宅設備分野にも及んでいる。中国ビジネスにこれまでのメリットがなくなっているとみられる。  その背景には、中国では生産年齢人口の減少により、労働賃金が上昇していることがある。  バブル崩壊により、経済全体にデフレ圧力は高まっている。新エネルギー車の購入補助金によりEVの販売は堅調のようだが、市場の競争は一段と激化している。BYDや浙江吉利(ジーリー)は値下げを繰り返し、シャオミなども新規参入している。過度な値下げにより企業の収益性は悪化しており、国務院が競争激化の監督を強めなければならなくなった。  また、中国当局は反スパイ法違反で海外企業の社員を拘束したり、出国禁止にしたりしている。2023年には、企業調査会社のミンツグループやコンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーといった米国企業の事務所が強制捜査の対象となり、ミンツの従業員は身柄を拘束された。拘束された側が泣き寝入りせざるを得ないケースは多く、米国政府も中国で活動する自国企業に注意喚起を行っている。  チャイナリスクを軽減するため、製造拠点を中国からアジア新興国にシフトする動きは増えるだろう。中国市場で一定のシェアを維持しながら、中長期的に個人消費の増加期待が高い米国やインドでの売り上げ増加を目指す企業も増えると考えられる。テスラは、早くもインドでショールームを開設した。企業の脱中国は、わが国企業の戦略転換のきっかけとなるはずだ。 ドイツを甦らせた過去も  ここ数年で、中国の合弁事業を見直し、一部の拠点を閉鎖する主要先進国や韓国の企業が増えた。  売上高48兆円超のトヨタ自動車ですら、一時、販売減少に悩まされるほど中国の需要は落ち込んだ。中国の化粧品需要増加のため中国事業を拡大した資生堂も、2024年には同事業低迷が鮮明化し、一部の店舗や事務所の閉鎖に踏み切った。  これは、世界経済における中国の地位が変化していることを意味する。  1978年の改革開放以降、中国政府は経済特区を設定した。海外企業の直接投資を誘致し、主に鉄...

ジャングリア沖縄・考

<沖縄県今帰仁村(なきじんそん)と名護市にまたがる大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」が25日午前9時15分、ついにオープンした。  開演前から園入り口は500人を超える来場者が列をなし、開園すると同時にゲートに向かって走り出す姿も。ナビゲーターが大きく手を振りながら「いってらっしゃい」と来場者たちを迎えた。来場者は、メインゲートにあるジャングリアツリーをうれしそうにくぐるとお目当てのアトラクションに向かった。   混雑を予想してか、開園1時間前には、来場者が園入り口を埋め尽くすほどに。先頭に並ぶ名護市在住の屋良朝彦さん(50)は、渋滞を予想していたため、午前3時前に自宅を出た。渋滞はなく、3時に着いたという。「名護市の発展を期待していて、うれしいかぎりだ。ジップラインやバギーなど、1カ所で楽しめるのがいいところだ」と笑顔。午前4時から並んでいた金武町在住の島袋桃緋さん(28)と弟の仁義さん(17)は1カ月前にチケットを購入し、きょうの日を心待ちにしていた。大自然のオフロードを疾走する「バギーボルテージ」が気になると語り、「今日は閉園まで楽しむ」と意気込んだ。   ジャングリア沖縄の7月中の入場チケットは予約ですでに埋まっており、当日販売は行っていない>(以上「琉球新報」より引用)  私はソロキャンプを趣味にしている。年に数回は近場のキャンプ場に出かけている。キャンプ場の宿泊料金はオートキャンプ場では一泊数千円という所もあるが、おおよそ一泊数百円から千円ほどだ。  キャンプ場にも様々なタイプがある。微に入り細に入り細々と手を入れたキャンプばから、殆ど人の手が入っていないキャンプ場まで。人の手が入っていない無料キャンプ場もあって、それはそれで楽しい。ソロキャンでは最低限の水場とトイレがあれば、他に必要な施設など何もない。ただ自由な時間と自然の森や海があれば、それだけで満足だ。  沖縄にレジャー施設が新たに出来たようだ。「 ジャングリアがオープン 行列は500人、先頭は3時から ゲートで「いってらっしゃい」 」という記事が目についた。しかし自然豊かな沖縄にレジャー施設が必要なのかと疑問に思った。  ジャングリア沖縄は沖縄県民をターゲットにしてはいないだろうが、そうすると入場者は県外の人たちということになる。つまり飛行機で沖縄に来た観光客が沖縄の自然を満...

自民党も右派から左派までいるし、野党も右派から左派までいる。対立軸を明確にした政界再編を待つしかない。

<衆参両院で与党が過半数を割り込む異常事態となった今こそ、野党の存在意義が問われている。  事実上の政権選択選挙と位置付けられた参院選で、与党の自民、公明両党が大敗を喫した。 石破茂首相に対する自民党内からの退陣要求は強まる一方で、辞任は不可避の情勢だ。本来であれば、衆参で多数派を占める野党が政権奪取を目指す局面である。自公政治に「ノー」を突き付ける意味で、野党に票を投じた有権者も少なくないはずだ。ただ、現時点で具体的な動きは出ていない。 参院選で浮き彫りになったのは、多党化が進む政治状況だ。  自公への批判票の多くは、国民民主党と参政党に向かった。減税など分かりやすい政策を当初から掲げ、議席を大幅に増やした。  一方、立憲民主党は反自公の受け皿となれずに、改選議席の維持にとどまった。とりわけ党勢が反映されやすい比例代表の得票数は、国民民主と参政を下回った。無党派層や若者から支持を集められなかったことを、真剣に受け止めなければならない。  政権を担うのであれば、政策や理念が異なる各党で連立を構成する必要がある。束ねる役割を担うべきなのは、野党第1党の立憲であるはずだ。しかし、野田佳彦代表は当面、石破首相の進退などを見極める構えで、野党の結集に向けたリーダーシップを発揮していない。  懸念されるのは、参院選でポピュリズム的な政策を競い合う場面が目立ったことだ。物価高対策として各党が減税や現金給付を掲げたが、財源の裏付けは十分だったとは言えない。  国政運営にあたっては、国の方向性を示す骨太の政権構想が欠かせない。社会保障や安全保障、財政など長期的な視野に立った政策を練り上げなければならない。  特定の支持層に向けた施策の実現に血眼になるのではなく、将来の国家像や体系的な政策を打ち出すことが求められている。どのような政党の枠組みで政権を担うのか青写真を提示する責任がある。日本政治は転換点を迎えている。政権を託すに足る責任政党に脱皮することができるか。野党にとっても正念場だ>(以上「毎日新聞」より引用)  参院選で「多党化」したのは一目瞭然だ。だから「 自公大敗後の野党 政権託せる構想が必要だ 」というのなら、毎日新聞氏はマトモな政治観測者ではない。なぜなら野党に初の憲法草案を示す政党が出たのに、全く従前通りの見解を繰り返しているからだ。  毎日新聞氏が「ポピュリズム的な...

トランプの「CHIPS Actはゴミだ」発言が、半導体の世界地図を塗り替えた。

<ーーAIは雇用喪失や経済混乱のリスク伴う、各国の協力が必要-李首相  ーー今後はグローバルサウスにおけるAI開発の促進にも取り組む  中国の李強首相は、人工知能(AI)の共同開発に向けた国際組織の創設を主導する方針を示した。世界を変化させるAI技術が、限られた国や企業だけのものとならないようにする狙いがあるという。  李氏は26日、上海で開かれた「世界AI大会」で演説し、AIには大規模な雇用喪失や経済の混乱といったリスクが伴うため、各国が協力して対応する必要があると強調。そのためには国際的な交流を一層深めることが重要だと述べた。  演説では特定の国名には言及しなかったが、中国政府当局者や企業幹部らはこれまで、米国による中国のハイテク産業への規制強化に対して懸念を表明している。  李氏はこの日、半導体不足が大きなボトルネックになっていると認めた上で、今後は各国が知見や人材を共有できる新組織の創設に向けて政府が支援すると指摘。「現在、重要な資源や能力が一部の国や企業に集中している。技術の独占や管理、制限に陥れば、AIはごく少数の国と企業だけの排他的なゲームになる」と語った。  中国と米国は、経済の向上や地政学的な力の均衡に影響を及ぼす可能性を秘めたAI技術の開発を巡り、激しい競争を繰り広げている。  トランプ米政権は23日、AIの開発強化を推進する「AI行動計画(アクションプラン)」を公表し、実行に移すための大統領令にトランプ大統領が署名した。一方、中国では今年1月に登場したDeepSeek(ディープシーク)が多くの開発者を鼓舞し、国内全体にAI投資とイノベーションの波が巻き起こっている。  李氏はまた、今後はブラジルやアフリカ諸国などグローバルサウス(新興・途上国)におけるAI開発の促進にも取り組むと述べた>(以上「Bloomberg」より引用)  中国は闇雲にAI技術開発を急いでいるようだ。「 中国首相、AI国際組織の創設提唱-技術「独占」に対抗姿勢 」との見出しが米紙に出た。  中国が「AI技術」の独占に反対するとは、どの国がAI技術を独占すると考えているのか。云うまでもなく米国だろうが、しかしAI技術開発しているのは米国だけではない。世界的に事業展開する自動車企業や家電企業などは政府とは別に独自でAI開発を行っている。  だから中国が「AI国際組織」を設立しよ...

せいじ氏の罵りはオールドメディアの「日本人ファースト」批判の延長線だ。

<お笑いタレント・千原せいじ(55)が窮地に陥っている。   発端は18日にユーチューブチャンネル「せいじんトコ」でライブ配信した埼玉・戸田市議会議員の河合悠祐氏との対談。同氏と川口市のクルド人問題について議論を開始したものの、噛み合わず、大ゲンカに発展した。   双方「おまえ」呼びを連発し、ついにはせいじがトークテーマであるクルド人問題について「興味ない」と宣言。河合氏の追及が、よぼど頭にきたのか「おまえ、いじめられっ子やったやろ? おまえ、いじめられっ子のオーラいかついぞ」などと〝暴言〟を吐いた。   河合氏は「この男はいじめられっ子をバカにしてます! こういう人間を私は糾弾していきたいと思っています!」と断罪。問題発言の一部始終は〝切り抜き動画〟で拡散され、批判が殺到している。   せいじは23日に都内の劇場で弟の千原ジュニアと恒例の「チハラトーク」を開催。ジュニアが一連の騒動に触れ、せいじにクギを刺したそうだが、当の本人から釈明や、河合氏に対する謝罪の言葉はなかったという。   河合氏はタレント・フィフィとのライブ配信で、せいじ側から一切連絡がないことを明かしている。   一連の騒動で、それまでチャンネル登録者数51・3万人を誇った「せいじんトコ」は区切りの50万人を割り込むなど、視聴者離れが進んでいる。マメに続けてきた動画の更新も滞っている。   せいじ側の立場にたてば、一刻も早く問題の動画は削除したいだろう。しかし、動画のコメント欄には河合氏自ら「動画絶対消さないでくださいね」と書き込んでおり、安易に消せない状況となっている。  「何の説明もなく削除すれば、視聴者に『逃げた』と解釈され、さらなる炎上を招くことは間違いない。かと言って、騒動と無関係な新動画をアップすれば『まずは説明しろ』と声が上がるのは必定。身動きがとれなくなっている」(ワイドショー関係者)   打開するには、きちんと自ら説明する機会を設けるしかないが、せいじにそれができるかどうか…。   問題の動画は130万回再生を突破。つまり、日を追うごとに、せいじの悪態を目にする人が増えていることになる。  このままズルズル行けば、仕事にも影響が出ること必至。せいじの決断に注目が集まる>(以上「東スポ」...

重商主義の亡霊に憑りつかれた米国を、トヨタはデカップリングした。

〇様々な「嫌がらせ」に耐えて来たトヨタの歴史。  トヨタのみならず、日本の自動車企業は対米輸出で様々な「嫌がらせ」に耐えてきた。先ずは米国の先進的な自動車企業の技術力に追いつくのが当面の課題として、米国の工業規格NHTSAが日本自動車企業の前に立ちはだかった。  それを乗り越えて米国の自動車企業と対等の技術力を獲得して、米国市場に日本車が参入し始めると、米国連邦政府は新たに「排ガス規制」輸出障壁を持ち出した。代表的なのはマスキー法だ。その「排ガス規制」を乗り越えるために日本企業の技術者は死力を尽くした。やっとホンダ・シビックが独創的な燃焼システムの導入で乗り越えたのは象徴的だった。  それ以後も厳しい排ガス規制を課せられ、トヨタは世界初のHVプリウスを投入した。それにより米国の厳しい排ガス規制を乗り越えた。そうすると、今度はプリウスが「暴走した」という事件が提起され、当時のトヨタ社長・豊田章男氏は米連邦議会の公聴会に引っ張り出された。そこで「欠陥車ではないか」という厳しい追及を受けたが、後に米国女性運転手の勘違いで、トヨタ車に欠陥は認められないという米国陸運省から報告が出た。しかし米国民のトヨタ車に対する信頼は落ちて、売り上げも減少する憂き目にあった。  一次トランプ政権下で「米国ファースト」が叫ばれ、トヨタは米国内に製造工場を展開した。主要工場だけで米国トヨタ車販売の75%を供給する体制を確立し、テネシー州メンフィスに大型部品サプライ倉庫を建設した。そして全米にディーラー網を構築して、米国ユーザーへの迅速なサービスを提供できる体制を構築した。  そうした努力をトヨタは積み重ねて、自動車米国販売でトップの地位を築いた。だが第二期トランプ政権が始まると再びトランプ関税を持ち出した。今度は25%という高い関税率を貿易輸入製品に課すとしたため、ついにトヨタは米国市場からの撤退を決断した。 〇トランプ関税に対するトヨタの回答。  それは米国にとって国際的な地位を覆しかねない決定だ。端的に云えば、トヨタによる対米デカップリングだ。トヨタは何かと面倒な米国市場を捨てて、アジアおよび欧州でEV戦略を展開する決断をした。  それはまさに対米デカップリングだ。トヨタは米国での自動車販売を諦めただけではない。米国でも生産を諦めたが、それだけではない。米国経由で欧州に輸出していた「米国型...

ハマスとプーチン、独裁政権の辿る道は同じだ。

<トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は25日、パレスチナ自治区ガザの停戦交渉でのイスラム組織ハマスの対応に不満を表明し、交渉を断念する構えを示した。 トランプ大統領は、ハマスが「合意を望んでいない」とし、ハマス指導者は「追い詰められるだろう」と述べた。  ネタニヤフ首相は、人質の帰還と、ハマスの支配を終わらせるという目標を達成するために「代替」の選択肢を検討していると述べた。  ハマスが停戦を巡り新たな回答を示したことを受け、イスラエルは24日、交渉団を帰国させた。関係筋は当初、交渉団の引き揚げは必ずしも交渉の危機を示すものではないとしていたものの、ネタニヤフ首相の発言は、イスラエルが強硬姿勢を強めている可能性を示唆した。  米国のウィットコフ中東担当特使も24日、「仲介者は多大な努力を払ってきたが、ハマスは協調性や誠実さを欠いているように見受けられる」と批判。人質の解放とガザの情勢安定化に向けて「代替案を検討する」とし、米代表団を引き揚げた。  フランスのマクロン大統領は24日、9月の国連総会でパレスチナ国家を承認する意向を表明。トランプ氏は「マクロン氏の発言に重みはない」と一蹴。パレスチナの国家承認について、英独は今のところまだその準備はできていないとしている。  ガザ地区で食料不足による飢餓がまん延する中、イスラエル軍は25日、ガザ地区への人道支援物資の空中投下を認めると発表。ハマスは見せかけの行為にすぎないと非難している>(以上「REUTERS」より引用)  停戦協議に関してハマスもプーチンと同じ軌跡を辿るようだ。「 米・イスラエル首脳、ガザ停戦交渉断念を示唆 ハマスは「合意望まず」と批判 」との見出しを見て、そのような感慨を抱いた。ハマスにとって停戦は組織の解体を意味し、ハマス幹部たちの「暖衣飽食」生活が終わることを意味するからだ。  独裁者たちにとって最も座り心地の良い椅子は「権力の座」だ。何しろ命令一つで多数の人命を左右することが出来るし、絶対的な権力はこの世に比べるもののない陶酔感をもたらすのだろう。だから彼らは瀬戸際まで独裁者の椅子を放棄しない。  ハマスは最大の米軍のB-2によるイランの核開発施設攻撃によりスポンサーを失ったはずだ。ハメネイ師はいつでも米軍のB-2空爆により殺害される恐怖を身近に感じた。だから欧州諸国が呼び掛ける核開発協...

参政党は極右ではなくマトモな中道政党だ。そもそも日本の右派が媚中に偏っていただけだ。

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<参議院選挙で国民民主党と参政党が大きく躍進した。とりわけ、参政党が掲げた「日本人ファースト」とグローバル化や外国人受け入れに抑制的な姿勢は、欧米主要国で近年高まっている動きに呼応するものであり、関心を集めている。  欧米主要国で広がる反グローバル化や移民問題は、日本では縁遠いものとされてきた。日本は経済的に輸出や対外投資で恩恵を受けてきたし、人口に占める外国人の割合2%はOECD加盟国中最下位レベルの少なさ(OECD、「移民統合指標 2023年版」)で、移民に仕事が奪われるといった状況とはほど遠い。  しかし、主要先進国で反グローバル・反外国人受け入れの動きが強まる背景には新興国からの移民や輸入の増加があり、産業空洞化がある。これには日本も無縁ではない。  このうち移民だが、OECD統計(“International Migration Outlook 2024”)では、OECD加盟国への流入移民数(除く一時滞在者)は2023年に650万人以上となり、過去最大を2年連続で更新している。  背景に、コロナ禍明け後の各国の景気回復やウクライナ戦争などによる難民増といった特殊要因はある。しかし、高収入や豊かな生活を期待して先進国を目指す新興国の人々が年々増えており、移民増に伴って欧米諸国では雇用・社会不安による反発が強まっている。  一方、移民に劣らず欧米各国への影響が大きいのは、中国を中心とした新興国の輸出拡大である。欧米主要国では、各国での産業空洞化と相まって新興国とりわけ中国からの輸入増に不安や危機感が高まっている。  その不安や危機感は、世界輸出に占める新興国割合が上昇するのに反比例して主要先進国の製造業就業者数が減少していることに見て取れる(図1)。 【図1 日米ユーロ圏製造業雇用者数と途上国輸出割合】 (注)途上国輸出割合は、IMF(DOTS)が公表する世界輸出額を途上国輸出額で割ったもの (出所)OECD、IMF 製造業雇用者、日米欧で1200万人減のインパクト  製造業雇用減の要因は多様で複合的である。製造業の生産性は高いので、サービス業と同じ価値の財を生産していても、時とともに相対的なウエイトは減じていく。製造業企業内でのサービス業ウエイトが一般的に高まっていることもある。また、製造業企業のグローバルサプライチェーン構築と海外展開もあり、中国など新興国...

失われた百年に突入した中国。

< 投資への期待は霧散……  中国のEV業界は、まさに中国経済のいまを象徴している。  李強首相が主宰する国務院の常務会議は16日、電気自動車(EV)産業への監督を強める方針を示したが、これは、自動車企業による値下げ競争を抑止するためだ。主に、下請け企業への適時支払いを求めるという。  中国の政府幹部は「中国の自動車業界は年間3000万台売っても、900万台を販売したトヨタ自動車の利益に及ばない」と認識している。トヨタの昨年の純利益は約4兆7650億円だったが、中国の上場自動車企業全体の昨年の純利益が900億元(約1兆8000億円)にとどまっているからだ。  薄利多売のデフレ競争に陥った中国EV界は、「親亀が転ければ、皆転ける」という状態。しかし、この構図は中国の製造業全般に見られることだ。  デフレの大本の原因が不動産市場の低迷であることは言うまでもない。6月の新築住宅価格は前月比0.3%下落し、8ヵ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。上半期の不動産開発投資も前年比11.2%減と低迷している。経営破綻に陥った恒大集団などの処理も一向に進んでいない。一方、中国の株式市場は3年半ぶりの高値を付けた。「不動産市況対策が打ち出される」との思惑が広がっていたからだ。  習近平国家主席は10年ぶりに「中央都市工作会議」を開催した(14~15日)。10年前に開かれた同会議で国家支援による大規模再開発が決定されたことから、「今回もてこ入れ策が決まる」との観測が広まっていた。だが、会議の結論は「老朽住宅などの改修を着実に進める」であり、投資の期待は露と消えた。中国の不動産市場を巡る環境は大きく変化し、10年前のような市場活性化をもはや打ち出すことはできなくなっているのだ。 より一層進む少子化  思い返せば、中国の都市部の28~32歳の人口は2019年にピークを迎え、その直後に不動バブルが崩壊した。不動産部門はピーク時に中国のGDPの3割、政府歳入の4割を占めていた。世帯の総資産に占める不動産の割合も1990年の日本が約半分だったが、2020年の中国は7割近くに達していた。「バブルの崩壊後の不動産価値の下落幅は中国の年間GDPに匹敵する」との試算もある。  日本は不動産バブル崩壊後の少子化も経済の足を引っ張ったが、中国も同じ道を歩んでいる。過去10年間で中国の出生数が1880万人から90...

PayPayから相次ぎ撤退する小売業、キャッシュレス化を阻むものは。

<全国で190店舗以上あるスーパーマーケット「ダイエー」が、PayPayなどQRコード決済への対応を5月31日で終了した。 古書店チェーンの「ブックオフ」は「キャッシュレス買取サービス」におけるPayPayの扱いを5月19日に終了。青森県を中心にスーパーマーケットなどを展開する紅屋商事も6月30日で、全店舗でPayPayを終了すると発表した。 QRコード決済終了の理由  ダイエーの広報にPayPayなどQRコード決済をやめたことについて週刊女性が問い合わせると、 「今回、2025年5月31日をもってPayPay、auPAY、d払い、メルペイの取り扱いを終了した経緯につきましては、イオングループとして『AEONPay』へ集約していくという方向性の中で、そのほかのコード決済の取り扱いを終了するというものです。(中略)   イオングループのコード決済である『AEONPay』に集約することにより、キャンペーンのご利用やポイントの還元など、お客さまへのサービス機能が拡充できると考えております」  との回答があった。   PayPayなどQRコード決済から撤退する小売店が、相次いでいるのはなぜなのか。  「QRコード決済端末を契約する際に、最初は手数料を低めにして、途中から本来の料率に上げるというのはよくあることです。   そこで、小売店側は手数料が上がると利益が圧迫されるので、もうやめようとなったのでは。ダイエーのように、自社グループでの独自決済による顧客の囲い込みという動きも見られます。ファミリーマートのファミペイもそうですね」   と話すのは金融事情に詳しく、多数の著書を持つ山崎俊輔さん。 独自決済による店側のメリット  独自決済の店側のメリットについては、 「クレジットカードや他社のQRコード決済の手数料が独自決済だと、自社グループに還元されます。独自決済はプリペイド方式を採用することが多く、企業が早く現金を手に入れられ、資金繰りができます。店側としては、自社のプリペイド方式を導入したいのが本音でしょう」(山崎さん、以下同)   PayPayの登録ユーザー数は6900万人(2025年5月現在)。日本の人口の2人に1人以上が利用していることになる。サービスを開始したのは2018年10月だが、どうしてここまでPayP...

欧州諸国は日本の対トランプ関税協議を他山の石とするだろう。

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<ーー中国の投資、英独仏といった主要国から中国に友好的な国にシフト  ーー中国巡りEUは一枚岩にあらず-欧中関係は「デリケート」との見方  大西洋に面したポルトガルの港湾都市シネスは、欧州からアジアへの初の海上交易路を切り開いた探検家バスコダガマの生誕地として知られている。  米国と中国の対立が世界を揺るがす今、シネスは欧州が中国との関係を見直す動きを象徴する場所となっている。かつて中国企業は港湾や送電網といった欧州のインフラ資産の買収に力を注いでいたが、現在は欧州側の政府補助金を活用し、自社工場を建設する方向にシフトしている。  シネスでは中国のリチウム電池メーカー、CALBが最新の進出企業となり、5月に22億ドル(約3230億円)規模の工場建設に着手した。完成すれば1800人の雇用創出が見込まれている。  中国勢が投じる資金は、ギリシャのピレウス港株式の過半数を取得するなどした2016-18年のピーク時に比べればわずかだ。  しかし今の対欧投資は電気自動車(EV)やその動力源となるバッテリーなど、バリューチェーンの上流へと移ってきており、投資先や誘致側にも明確な変化が見られる。  欧州各国はこうした分野の工場の誘致を重視。トランプ米大統領の関税政策に苦しむ中で、そのスタンスを一層強めている。ただ、欧州連合(EU)加盟国の多くは、米国から中国に軸足を移すことに依然として極めて慎重な姿勢を示している。 欧州が中国との関係を考え直している  特に、中国の習近平国家主席がウクライナに戦争を仕掛けたロシアを公然と支持しているとEUが受け止めていることや、レアアース(希土類)鉱物を戦略的に利用する中国の傾向が強まっていることに対するEU側の懸念は根強い。  今後の方針は、北京で24日に予定されている欧中の関係樹立50周年を記念するEU・中国首脳会談でより明確になるとみられる。  中国の対欧輸出は今年に入り回復しており、25年1-6月(上期)に7%近く増加した。中国にとって、欧州市場が引き続き要であることを示している。  一方で、摩擦の兆しも否定できない。EUの行政執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、重要分野での中国などへの依存度を下げる「デリスキング(リスク低減)」の重要性を繰り返し訴えている。  EUが最近発動した対ロシア制裁は、中国の企業や銀行も対象として...

石破氏は選挙に大敗した責任と、バカげたトランプ関税合意の責任と二重の意味で退陣すべきだ。

<参院選で大敗した石破茂首相の進退を巡り、自民党内で亀裂が生じている。退陣が不可避な情勢となりながら続投を重ねて表明した首相は24日、日米関税交渉合意への対応に意欲を示した。一方、旧安倍派と旧茂木派、麻生派の有志議員らが首相の責任を問うため、両院議員総会の開催へ署名活動を展開し、辞任圧力を一層強めた。麻生太郎最高顧問や岸田文雄前首相が23日の石破首相との会談で続投に難色を示したことも判明した。関係者が明らかにした。  首相は24日、官邸で開いた都道府県議会議長との懇談会で、関税合意を踏まえ「影響を見定めつつ、地方の声を聞きながら一つ一つ課題に必要な対応を行う」と述べた。自民内では、合意により続投する理由が薄まったとの見方がある。だが首相は、影響を受ける事業者への追加支援に今後も全力を挙げるとしている。  同懇談会の終了後、官邸に首相を訪ねた鈴木宗男氏によると、首相は退陣論に関し「いろいろな意見があっていい」と語った。関税合意に基づき「日米関係をまた発展させたい」とも強調した>(以上「共同通信」より引用)  自民党内が揺れているようだ。「 石破首相の進退巡り自民内に亀裂 旧安倍、茂木派が辞任圧力強める 」との見出しが語っている。  二度に渡る国政選挙で過半数を割り、それでも政権を維持しようとするのは潔くない。石破氏は退陣すべきだが、野党が一枚岩でないため、石破氏には部分連合で乗り切れる、との思惑があるようだ。  本来、自民党は保守政党だ。しかし実際の政策を見ると選択的夫婦別姓やLGBTQ推進など、決して保守政党とは思えない。むしろ左派ではないかと目を疑うが、さらに中国富裕層に対して10年間のビザ拡大など、親中政策が際立っている。  そうした自民党の左派傾向に反発する国民の多くが自民党支持から離れて参政党を支持へ回った。オールドメディアは参政党をポピュラー右派政党と規定したいようだが、参政党の勢いは一時的なものではないように見える。  オールドメディアは欧州の右派台頭と照らし合わせて、移民に対する民族意識の高揚が同じだと批判しているが、本来なら自民党がとっくの昔に成立させているべきスパイ防止法を参政党が推進している点を見逃してはならない。  つまり野党が野党連合として纏まれないのは左派から右派まで幅広くなったからだ。従来は自民党が右派を自認し、野党は左派政党が乱立してい...

トランプ関税協議は15%で合意したが、関税撤廃に向けて引き続き協議すべきだ。

<トランプ米大統領は22日、日本との貿易交渉で大規模な合意を締結したと明らかにした。交流サイト「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、日本に対する相互関税は15%になると表明。また、日米両政府は、自動車の税率を15%へ引き下げることで合意したと、日米の政府、業界関係者が明らかにした。   市場関係者に見方を聞いた。   ◎政府交渉を評価、相互関税は数量・価格どちらに影響か注視  <SMBC日興証券 シニアエコノミスト 宮前耕也氏>   自動車関税の引き下げがそもそも難しいと言われていた中で、米国が15%への引き下げに応じたのはサプライズだった。もちろん、もともと2.5%だったことを考えると引き上げとも言えるが、トランプ米大統領のこれまでの言動からは、25%のまま維持されると思われていただけに、日本政府はよく交渉したと思う。   農産品の分野でも大きな妥協があるかとも思ったが、コメについてはミニマムアクセスの枠を維持するという。米国産作物への関税を引き下げることもないようなので、国内のコメ農家への影響も今のところ限定的ではないか。 一方、多額の対米投資を行うとのことなので、中長期的にみれば国内企業の投資先が米国に移り、国内が空洞化する懸念はあると思う。  ただ、一度に5500億ドルを投じるわけではないはずで、どう影響が出てくるのかは現状では不透明だ。中長期の視点で見ていく必要がある。 注視するべきなのは、相互関税が15%となる点だ。これまでの10%から引き上げられることになる。この上乗せが日本の輸出に対し、数量として響くのか、価格に響くのかで経済への影響が変わってくるだろう。前者であれば実質GDP(国内総生産)を押し下げる要因になり得る。 足元の状況を見ると、追加関税が課されて以降も輸出数量自体はさほど落ちていない。そう考えると、15%になったとしても数量への影響は限定的かもしれないが、今後も注視が必要だ。  ◎最善に近い合意内容、日本の景気後退は回避  <明治安田総合研究所 フェロー チーフエコノミスト 小玉祐一氏>   朝方に一報を聞いた時は参院選直後の合意ということもあり厳しい内容を想定したが、ふたを開けてみれば、最善に近い結果だったのではないか。8月1日から25%の相互関税がかかった場合、日本経済は深刻な...

政治家の使命とは。

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<れいわ新選組の山本太郎代表は21日の不定例会見で、20日に投開票された参院選比例代表で3議席を獲得したことについて「これだけ(党に)逆風の中で、議席を減らすことなく増やせたのはよくできた。多くの方が力を貸してくれた結果だ」と評した。れいわは改選2議席から1議席積み増し、非改選と合わせて6議席とした。山本氏は「結果として負けはしなかった」と述べ、前回2022年参院選と比べ、比例代表で約157万票増やしたとして「けして十分ではない議席と思うが、大躍進した政党をのぞいて議席を減らす党がある中で、土俵際で踏ん張った」とも述べた。   一方で、今回の選挙戦について「選挙が始まる少し前くらいから外国人問題みたいなものが、大きく取りざたされるようになり、かなり話題の中心になっていった。申し訳ないんですけど、この国にとっての最優先事項は外国人問題ではないですよ」と、外国人問題が争点化されたことに、強い疑問を呈した。   「もちろん問題はあるかもしれないが、あったとしても法令に違反する部分は罰せられるということが基本。外国人の流入に関して、行き当たりばったりに近い形でどんどん広げてきた経団連や自民党が土下座する話で、ある意味、争点には本来はなり得なかった」と述べ、「本来、(争点の)1丁目1番地は経済だ」と述べた。   れいわは参院選で、結党以来主張する消費税の廃止を訴え、山本氏は街頭演説で「今すぐに消費税を廃止すれば、あなたの使えるお金は平均的世帯で1年間に30万円になります」などと主張した。会見では「30年死んでいる国をどう生き返らせるんですか、失われた40年にしないためにはどういう経済政策を打っていくかという議論に各党がしのぎを削るということがいちばんの話だったと思う。それに対し(外国人問題に)話題がすり替えられてしまっているような、ある意味スケープゴートみたいな、という風に私はとらえている」と不満を示し、「そういう状態の中でも、目の前の1票を広げていくという活動に専念したとしか、いいようがない」と語った。   過去の選挙戦との違いを問われると「これまでと同じで(党には)無風でした。そこに加えて、論点ずらしみたいなものが大々的に行われた。それに加担したのは、もちろん多くは、マスコミの責任があると思っています」と主張した。>(以上「日刊スポーツ」より引...

トランプ氏の対イラン政策と対ロ対中政策の違い。

<イランのアラグチ外相は21日、米イスラエルの攻撃でイラン核施設は「深刻な損害を受けた」と述べた一方、「国家の誇りの問題」としてウラン濃縮活動は放棄しないと強調した。米FOXニュースのインタビューに答えた>(以上「共同通信」より引用)  短い外電が報じられた。見出しは「 核施設に「深刻な損害」とイラン外相 』というものだが、B-2爆撃以後ハメネイ師が対米交渉で柔軟姿勢に転じた理由が良く解る。  米軍当局が発表した通りB-2爆撃機のイラン核開発施設への攻撃はピンポイントで確実に重要施設を破壊していた。イランは攻撃以前に必要機器等は核開発施設から移動させた、として移動しているらしき航空写真まで披露したが、それは子供騙しでしかなかった。  ウラン濃縮の段階が相当進んでいる状態で、移動が簡単にトラックで普通の引っ越しのように出来るわけがない。なぜなら濃縮したウランを段ボールや木枠の箱で運ぶことなど論外だ。もちろん濃縮されたウランは放射能を遮断するブ厚い鉛の箱に入れられなければならない。そして運搬トレーラーも重装備でなければならない。普通のトレーラーで運搬できる代物でないことは素人でも解るだろう。  だからイラン当局が発表した「濃縮イランを事前に他の場所に移動していた」とする「証拠写真」は偽物だと簡単に解かる。つまり核開発施設に濃縮ウランもそのままあったし、濃縮する遠心分離機などもそのままあった、と考えるのが妥当だ。  結果としてイランは「英仏独 イランと核開発巡り新たな協議へ」との記事が昨日付で配信されたように、核協議に復帰するという。それはイランの核開発が完成から遠のいた証拠だ。あるいは核開発が継続困難な状況にある、ということだ。  日本のマスメディアは例外なく米国がB-2でイランの核開発施設を空爆したのを「他国の主権を無視した暴挙だ」と非難した。しかし空爆でしか事態を打開できない事だってある。対話を重視する日本政府は日本国内から北朝鮮工作員によってに拉致された数百人もの日本国民を、北朝鮮から帰還させられないまま半世紀以上も経過した。これほど日本の国家主権を侵害された事件があっただろうか。  B-2の核開発施設への空爆によりイランはイスラエルとの紛争終結に同意した。他の手段でイイ紛争を終結させる道筋が付けられたと思うなら、日本のマスメディアは提起して欲しい。ダラダラとミサ...

決して若者たちはSNSの浅薄な情報を鵜呑みにして参政党を支持したのではない。

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<元テレビ朝日社員の玉川徹氏(62)が21日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)に生出演。投票率が上がった参院選について「投票率が上がるのはいままではいいことだと思っていたけど、果たしてどうだろう」と、疑問を投げかけた。   玉川氏は「投票率なんですけど、今回上がってるんですよ。6・47%も上がっているんですね。参院選に関して言うと、平成19年(2007年)あたりからずーっと右肩下がりで下がってきている。今回、その(下がる前の)レベルに戻ってるんです。昭和でも参院選58%くらいのことある。そのレベルに戻った。これはなんだと考えないといけない」と、急激に投票率が上がった今回の参院選について、問題を提起。「ここ10年くらい、選挙に行かなくなった人、そういう人が行ったんですね。今回。誰が行ったんだろうということは分析しないといけないと思うんです」と語った。   投票率が上がった理由はまだ詳細は不明だが、玉川氏は「(評論家の)古谷経衡さんがずーっと最近分析している話を聞いていて僕もなるほどと思ったんですけど」と紹介した上で「いままで、選挙にぜんぜん興味が無い人、選挙どころか、政治に興味ない人、さっき(番組の)VTRの中で、参政党に投票した人の話も、『いままで興味なかったんだけど』という人が「たまたまSNS見てたらショート動画を見て』そこで触れて、ということなんですよね」と参政党支持者の発言と古谷氏の分析の共通点を指摘した。   続けて「だから、今までと全然違うのは、選挙に行く人という人は、政治とか選挙に関しての基本知識を持っている人が行っていたんですよ。それで大体5割くらいの人が行っているという。ところが、まったく今までそういうものがない、学校だって教えないわけですから、近現代史教えないんだから。だからそういう風なことさえ知らない、与党と野党がどうなっているかも知らない、そういう人が、SNSで初めてふれて、アルゴリズムで飛んできた、そういうふうな情報に触れて、そこに感化されて、行動を起こしたという人が相当数いるということなんですよね」と、今回の参院選のSNSの影響と、投票行動の変化について、推察した。   玉川氏は、こういった経緯で投票率が押し上げているとしたら、それが「社会にどんな影響を与えるかというのは僕ち...

性同一性障害の発症割合は出生時男性の成人では0.005~0.014%、出生時女性の成人では0.002~0.003%ほどだ。

<女性を自認するトランスジェンダーの高校生が、米カリフォルニア州の女子陸上競技会で2冠を達成した。州高体連は次点の選手も優勝とする特別ルールを適用。女子競技へのトランスジェンダー選手の参加に道を拓く「合理的」な手法との見方がある一方、トランプ大統領は州への補助金の取り止めに言及して反対した。  論争の中心にいるのは、ABヘルナンデスさん(16)。5月下旬の州大会で、高跳びと三段跳びの2種目で優勝した。走り幅跳びでも2位に入り、表彰台に上がった。  米世論でも、トランスジェンダー選手の女子競技への参加には反対の声が多い。女子選手が身体的に不利になる上、接触を伴う競技で負傷する危険も増すためだ。出場を見合わせたり、抗議のボイコットをする選手も少なくない。  トランプ氏は、こうした声を重視して2月、トランスジェンダーの選手が女子競技に参加することを禁じる大統領令に署名した。AP通信によると、少なくとも24の州が女子競技へのトランス選手の参加を禁じている。  ただ、カリフォルニアは州法でトランスジェンダー選手の女子競技への参加を妨げてはならないとしている。これに従い、州高体連は、ヘルナンデスさんの参加を認めたうえで、今大会に限りトランスジェンダー選手に次ぐ成績を収めた選手の順位を繰り上げる異例の対応を取った。ヘルナンデスさんの参加に伴う女子選手の出場辞退を防ぐための措置だとみられている。  カリフォルニア州のニューサム州知事は、州高体連の対応を「合理的だ」と評価した。一方、米司法省は、州高体連や州側の対応に連邦法上の非違行為がなかったかを調査している。  州大会の期間中、会場周辺にはヘルナンデスさんの参加に抗議する人たちが集まった。競技場の上空を「女子スポーツへの男子の参加は禁止だ」という横断幕を垂らした飛行機が通過する場面もあった。  ヘルナンデスさんは大会後、地元メディアの取材に「たくさんヘイト(憎悪感情)コメントがあったけど、あまり気にしていない」と語り、トランスジェンダーであることを受け入れてくれた母親の支えが大きいと明かした>(以上「産経新聞」より引用)  昨日付の「 トランスジェンダー選手が2冠 米高校女子陸上州大会、トランプ氏は補助金取り止めに言及 」との記事が目に止まった。実はこの記事が出る前、今年2月6日に「米、トランスジェンダー選手の女子競技参加を禁止 ...

「日本人ファースト」を選挙期間中に批判したオールドメディア。

<参院選で外国人の規制強化を公約に掲げる政党が相次ぐ中、筆頭格である参政党の街頭演説に集う人たちからは「外国人は優遇されている」「外国人に不安を感じる」という声があふれていた。ただ、詳しく話を聞くと、その不安は必ずしも正確な情報に基づいているとは言い難いことがみえてきた。そうした「日本人ファースト」に引き寄せられた不安は、日本で暮らす外国籍の人たちのリアルな不安を生み出している。 「ユーチューブ見な」  「あんたもユーチューブ見て勉強せなアカンで」。4日、大阪市阿倍野区の繁華街。参政新人、宮出千慧(ちさと)候補の演説を聞いていた70代女性が記者に諭した。自民党政権が気に入らず日本維新の会を支持していたが、「橋下(徹・元代表)が中国にこびていると聞いてアカンと思ったんや」と言う。情報源はユーチューブ。留学生は皆、生活費を年300万円出してもらっている――。これは誤った情報だが、「ユーチューブで元外務省職員が話してるんや」と自信ありげに言う。  なぜ参政を応援するのか。外国人が優遇されているのではないかと不満を募らせる中、神谷宗幣代表がテレビ番組の党首討論で自民が賛成する政策に毅然(きぜん)と反対する姿を見て、一気に共感するようになったという。 「外国人優遇」言説と不満が結びつき  7日、同じ場所で再び宮出候補が演説をしていた。選挙運動員の腕章を付けた60代の男性は建設関係の仕事をしており、以前は維新を支持していたという。「維新が大阪で首長となって、仕事の売り上げもよくなった」と感じていたが、最近は魅力を感じていない。  自身の生活圏内ではインバウンド(訪日外国人客)の増加で公共交通機関の混雑に拍車がかかっているように感じ、不満だという。そんな中、ユーチューブで「日本政府は外国人留学生に返済不要の奨学金を出すのに、日本人は冷遇している」という情報に触れた。これは正確ではない情報だが、男性は「日本人は大事にされていない」との思いを強めるようになったという。今では「新しい政党の力で大阪が良くなれば」と支持政党を変えた。  日常生活の中で外国人が存在感を増す中で覚えた不安が支持に結びついた人は他にもいる。  40代の女性は「子どもの習い事の送り迎えに行くと、親は日本語の話せない中国人ばかり。何をしに日本に来ているんだろうと思う」と話す。そんな時、交流サイト(SNS)で参政のこ...

外国人移民によって破壊されるドイツ国民の社会。

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< ドイツ人にとって公営プールはオアシスだった  ドイツでは6月から7月の初めにかけて、素晴らしい夏日と例年にない高温が続いた。そのため政治家やメディアは、「猛暑だ、気候温暖化だ、このままでは地球が沸騰する、CO2を削減しなければならない、すでに高温による死者が出ている」と怖いメッセージを発信し続けていたが、ドイツ人は元々、猛暑の中で働くのが嫌なだけで、猛暑自体は大好きだ。戸外のレストランでも、好んで日向に座る人は多い。  だから、夏は公営プールも大人気。ドイツのプールは、たいてい広々とした緑地に作られていて、周りは芝生で、木がたくさん茂っている。そこに家族連れやカップルが、浮き輪やパラソル、クールボックスに飲み物や食べ物を詰めて訪れては何時間も過ごす。ドイツの夏の夜は9時過ぎまで明るいので、勤めを終えた後、ひと泳ぎしてリフレッシュする人もいる。料金は格安だし、まさにオアシスである。いや、オアシスであった。  私も、子供たちが小さかった頃、夏休みによくプールに行き、木陰に陣取った。子供たちは、お腹が空いたり、くたびれたりすると戻ってきては、しばらく休憩するとまた水遊びに行った。私はその間、木陰で何時間も本を読んで過ごした。かつての子育ての日々の楽しい思い出の一つだ。 数年前から性犯罪の温床に  ところが数年前から、公営プールに狼藉者が出没しているという話が聞こえ始めた。最初は、難民として入った中東の若者のグループがプールで衝突し、乱闘騒ぎになったなどという話。しかし、そのうち、その若者たちが水着の女の子たちにイタズラをしているというとんでもない話までが伝わってきた。  すでに一昨年、乱闘騒ぎのせいでプールが一時的に閉鎖され、客が退場させられたとか、ベルリンのどこかのプールでは、入場時に身分証明書の提示が必要になったなどという話もあった。しかし、難民や外国人を非難するような話はタブーというのがドイツの風潮だ。したがって、それらは特殊な例外であるかのような扱いとなり、主要メディアが大きく取り上げることもなかった。ただ、実際には、プールには警官が常駐するようになっていた。スリや喧嘩を防ぐためではなく、痴漢や性的犯罪を防ぐために。 逮捕された犯人は全員がシリア難民  6月22日、ヘッセン州のゲルンハウゼンという町の公営プールで、4人の若い男性(18〜28歳)が、プールで遊ん...

なぜオールドメディアは参政党を攻撃したのか。

<今回の参議院選で若者たちから“熱狂的”な支持を得ているといわれる参政党。代表は神谷宗幣(そうへい)、47歳。キャッチフレーズは「日本人ファースト」。トランプの「アメリカファースト」のモノマネだが、あちらは世界ナンバーワンの大国で、こちらは日沈むファーイーストの小国。人口減少に歯止めがかからず、食料自給率(カロリーベース)はたったの38%。1人あたりのGDPは韓国にも抜かれた斜陽国の住人が、他国の協力なしで生きていけるはずはない。  神谷代表は29歳で大阪・吹田市の市議に当選。この頃「同性カップルは生産性がない」と問題発言した杉田水脈前衆院議員と知り合い、意気投合したといわれる。  その後何度か落選を繰り返し、活躍の場をユーチューブへと移す。2020年に政治系ユーチューバーらの協力を得て、政治団体「参政党」を結成。  陰謀論や過激な反ワクチン運動を展開して熱烈な「支持者」を獲得。22年の参院選では全国比例で初当選を果たしている。  SNSなどを駆使する選挙戦が得意。だが、都知事選で160万票を集めた石丸伸二や出直し選挙で当選した斎藤元彦兵庫県知事を見ればわかるように、SNSの「熱狂」は一時的なものでしかない。  神谷代表には失言も多い。「申し訳ないが高齢の女性は子供を産めない」(7月3日、銀座で行われた第一声=週刊文春7月17日号)、「結婚制度を見直して、多夫多妻制みたいなものにして」(22年10月の街頭演説・同)、「天皇には側室を持っていただいて」(23年6月のユーチューブ)。 「参政党の政策」の中には首をかしげたくなるものが多くある。反ワクチンは揺るがないようだが、私のような年寄りには「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」が気になる。過度の延命治療は望まないが、年寄りは“さっさと死ね”といっているように思える。 「外国人排斥」ではないかといわれている外国人規制に関する項目はずらりと並んでいる。SNSでは「生活保護世帯の3分の1は外国人」というデマが流れているが、外国籍世帯の割合は全体の2.9%(厚労省発表)。  外国人による刑法犯は、「人口が急増したここ10年ほどでもほぼ横ばい」(朝日新聞7月16日付)。「外国人の増加は『経済が活性化』すると考えている日本人はほぼ半数いる」(同)。  参政党は5月に「新日本憲法(構想案)」を発表している。主権は国民になく「国...

野田氏の「消費税食料品だけ2年間ゼロ」は本気の減税策か。

<立憲民主党の野田佳彦代表(68)が14日配信のTBS NEWS DIG公式YouTube動画のインタビューに答え、消費税減税について持論を語った。   同局の参院選特番「選挙の日2025」でスペシャルキャスターを務める「爆笑問題」太田光のインタビューに対応。収録は6月25日に行われた。   参院選公約で物価高対策として消費税減税をアピールする野党に対し、自民党総裁の石破茂首相は「消費税減税は法律通して日本中のシステム変えて、下手したら1年かかっちゃう」と時間がかかると主張し、現金給付の意義を強調している。   立憲民主党は食料品の消費税率を1年間0%に引き下げることに加えて、国民1人当たり2万円の「食卓おうえん給付金」を支給することを公約としている。野田代表は「トータルで兆単位の財源をつくれる」と財源に触れ、「食卓おうえん給付金はすぐできる。だから当面はそれで…予備費を使えば補正予算組まなくてもできる。その後税制改正やらなきゃいけないんで、来年4月1日以降。その先には給付付き税額控除、3段構えで考えている」と改めて説明した。  太田から消費税率引き下げ実現の可能性を聞かれると、「他の国は日本の消費税にあたる間接税を柔軟に上げたり下げたりしている。日本だけできないなんてあり得ない」ときっぱり。「1回上げたら下げることはできなくなるという言い方が一番の反論なんです。でも雨が降ったら傘を差し、止んだらたたむという柔軟な税財政運営ができるようにすべきだと思う」と持論を語った>(以上「スポニチ」より引用) 「 立民・野田代表「日本だけできないなんてあり得ない」 世界では消費税減税の国も…「柔軟な税財政運営を」 」とは、デフレ経済下で10%消費税率引き上げを提唱した者の発言とは思えない。  まず野田氏は現在の景気判断から述べるべきだった。なぜなら政府や日銀当局は日本経済を進行している物価高騰から「インフレ基調」にある、と判断している者も少なくないからだ。現に、日銀は春に金利引き上げを行ったではないか。  しかし現在の物価高騰は円安などによるコストプッシュ・インフレだ。決して経済成長に伴う適正なディマンドプル・インフレではない。その証拠に労働者所得は39ヶ月連続対前年比減になっているではないか。  そうした経済の現状認識を示した上で税を語るべきだ。な...

世紀の愚策、重商主義者トランプの関税政策。

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< 限界が見え始めた「対中デカップリング」。 トランプ関税が変える国際社会の流れ  7月12日、アメリカのドナルド・トランプ米大統領が欧州連合(EU)とメキシコに対し、8月1日から30%の新税率を適用すると表明した。  メキシコはさておき、相互関税などさまざまな分野の関税をめぐり、直前までアメリカとギリギリの詰めの交渉を行ってきたEUにとっては、ダメージの大きな決定となったはずだ。  第2次トランプ政権(2.0)は、とにかくEUに冷淡だとささやかれてきたが、どうやら前評判通りの性質を備えていることがまたしても証明された形だ。  トランプ2.0の特徴の一つは、「友好国だから」という甘えが通用しないことだと早い段階から指摘されてきた。現状を見る限り、敵対国よりもむしろ友好国に対する風当たりの強さが際立っている。  そのことは、関税をめぐる対米交渉で苦戦を強いられている日本ならば、あらためて説明の必要もないだろう。  実際、11日には、関税の期限を前に各国へのアドバイスを記者たちから訊ねられたトランプは、「ただ努力し続けることだ」と語った後に、「多くの場合、友好国の方が敵対国よりもアメリカに対しひどい扱いをしてきた」と持論を改めて披露した。  こうしたなかで発表された対EUへの30%の新税率だった。  これが単純な貿易への不満を解消するためなのか、それとも別の目的があるのかはまだ判然としない。  というのも現在のトランプ政権内部には、EU政界への不満がくすぶっているとの見方が拭えないからだ。  関税は単純に貿易不均衡改善のためだけではなく、政治的なメッセージが含まれているということだ。  象徴的なのは、ブラジルに対する50%の関税だ。対ブラジルでアメリカは貿易不均衡問題を抱えていない。アメリカにとっての貿易黒字国だ。それなのに高関税を課す理由は、政治的プレッシャーにある。  トランプ氏が個人的に親しいジャイール・ボルソナーロ前大統領を援護するためだ。「ミニ・トランプ」とも呼ばれたボルソナーロは、クーデターを企てた罪などで起訴されている。  トランプはSNSで「世界から尊敬されたボルソナーロ前大統領に対するブラジルの扱いは、国際的な恥だ。この裁判は行われるべきではない。魔女狩りは即刻やめるべきだ」と発信している。  これほど露骨な内政干渉も珍しいと言わざるを得ない。  トラ...

日本は様々な税が花盛りだが、国民は負担増にブチ切れそうになっている。

< 独身税? また子持ちの特権を増やすのか! 「独身税」にブチギレる人が増えている。2026年度から社会保険料に上乗せされる形で徴収される「子ども・子育て支援金」のことだ。  社会保険料の一種なのでなにも「独身」の人だけが払わされるものではない。だが、ネットやSNSでは、子どものいない人々にとっては見返りゼロでカネを奪われるというのは実質的な「独身税」だとして批判が殺到している。  そういう話を聞くと、「見返りがないと言いだしたら復興所得税とかもそうだし、同じ日本人同士みんなで協力をし合っていくのが当たり前だろ」と顔を顰(しか)める方もいらっしゃるだろうが、独身の方たちがブチギレるのも無理はない。  日本は「独身」や「おひとりさま」をずっと冷遇してきたという動かし難い事実があるからだ。それを象徴するのが、配偶者控除や扶養控除である。  ご存じのように、これは結婚をしているというだけで税金が優遇される。しかも、「年収の壁」議論でも注目されたように、年収や労働時間をうまくコントロールすれば社会保険料なども払わなくていい。つまり、既婚者というのは国から「合法的な免税」を推奨されるほど特権的な立場なのだ。  しかも、結婚をして子どもを育てる場合、国や自治体から「子ども手当」「住宅支援事業」だなんだと定期的にバラマキも頂戴(ちょうだい)できる。「おひとりさま控除」も「単身者手当」もない独身の皆さんからすれば、こんな不平等な話はない。  そう聞くと時節柄、「政治が悪い」「子ども家庭庁などとっとと解体しろ」という話になりがちだ。しかし、この「独身冷遇」ともいうべき差別政策は、そういう上っ面の話ではなく、日本国民の根っこにある「思想」に基づいたものなのだ。  まだ自民党が存在していない大正8年(1919年)、立憲政友会の原敬が内閣総理大臣を務めていた日本で一部から「独身税」の必要性が訴えられた。  その代表が教育者・西山哲治。文部省から委託を受けて欧米に行き、現地の教育を学んで「児童中心主義」「子どもの権利」を唱え、自ら教育現場で実践していた人物である。今、子ども家庭庁が「子どもまんなか社会」と唱えているが、実は100年以上前の教育者が主張していたことの「再現」に過ぎないのだ。 「児童中心」「子どもの権利」を実現するにはカネがかかる。当然、大人がそれを負担しなくてはいけない。しかし...