ジャングリア沖縄・考
<沖縄県今帰仁村(なきじんそん)と名護市にまたがる大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」が25日午前9時15分、ついにオープンした。
開演前から園入り口は500人を超える来場者が列をなし、開園すると同時にゲートに向かって走り出す姿も。ナビゲーターが大きく手を振りながら「いってらっしゃい」と来場者たちを迎えた。来場者は、メインゲートにあるジャングリアツリーをうれしそうにくぐるとお目当てのアトラクションに向かった。
混雑を予想してか、開園1時間前には、来場者が園入り口を埋め尽くすほどに。先頭に並ぶ名護市在住の屋良朝彦さん(50)は、渋滞を予想していたため、午前3時前に自宅を出た。渋滞はなく、3時に着いたという。「名護市の発展を期待していて、うれしいかぎりだ。ジップラインやバギーなど、1カ所で楽しめるのがいいところだ」と笑顔。午前4時から並んでいた金武町在住の島袋桃緋さん(28)と弟の仁義さん(17)は1カ月前にチケットを購入し、きょうの日を心待ちにしていた。大自然のオフロードを疾走する「バギーボルテージ」が気になると語り、「今日は閉園まで楽しむ」と意気込んだ。
ジャングリア沖縄の7月中の入場チケットは予約ですでに埋まっており、当日販売は行っていない>(以上「琉球新報」より引用)
私はソロキャンプを趣味にしている。年に数回は近場のキャンプ場に出かけている。キャンプ場の宿泊料金はオートキャンプ場では一泊数千円という所もあるが、おおよそ一泊数百円から千円ほどだ。
キャンプ場にも様々なタイプがある。微に入り細に入り細々と手を入れたキャンプばから、殆ど人の手が入っていないキャンプ場まで。人の手が入っていない無料キャンプ場もあって、それはそれで楽しい。ソロキャンでは最低限の水場とトイレがあれば、他に必要な施設など何もない。ただ自由な時間と自然の森や海があれば、それだけで満足だ。
沖縄にレジャー施設が新たに出来たようだ。「ジャングリアがオープン 行列は500人、先頭は3時から ゲートで「いってらっしゃい」」という記事が目についた。しかし自然豊かな沖縄にレジャー施設が必要なのかと疑問に思った。
ジャングリア沖縄は沖縄県民をターゲットにしてはいないだろうが、そうすると入場者は県外の人たちということになる。つまり飛行機で沖縄に来た観光客が沖縄の自然を満喫するのではなく、観光業者が設えた施設で「遊ぶ」ということになる。
本土から沖縄へ来る観光客は、沖縄の自然そのものを楽しみたいのではないだろうか。 しかもジャングリアは沖縄本島北部の今帰仁村にあって、那覇空港からは車で約90分から120分という距離でアクセスがあまり良いとは云えないようだ。しかもジャングリア沖縄の多くのアトラクションが屋外に設置された亜熱帯の自然を活かした体験型アクティビティが中心となっているため、天候に大きく左右されるようだ。
また料金設定だが、国内在住者の1デーチケットが6,930円、訪日観光客向けが8,800円という価格設定だ。家族連れの場合は4人家族で約25,000円以上となるため、沖縄への飛行機料金と合計すれば、国内にある他のアトラクションとの競争に負けるのではないだろうか。さらにジャングリア沖縄は1日最大1万人の来場者を想定しているようだが、テーマパークのキャパシティ・マネジメントの観点からアトラクションの安全性と処理能力との関係で待ち時間が長時間化するリスクが心配される。現にプレオープン期間中でも一部のアトラクションで120分待ちの表示が実際には300分以上かかったという報告もあったようだ。来場者による「つまらない」という評価をSNSに書き込むようになると、ジャングリア沖縄の経営が失速する可能性すらある。
当然ながら地元住民からジャングリア沖縄について世界自然遺産「やんばるの森」に隣接する大規模開発施設で、環境保護の観点から懸念を表明するもあるようだ。また交通渋滞や生活環境への影響を心配する意見も出ているようで、このような地域住民感情が施設への印象に影響を与える可能性も無視できないのではないだろうか。
ただ自然体験を重視するファミリー層にとっては都市型テーマパークでは味わえない本格的な自然体験を子どもたちに提供できるだろう。またアクティブなカップルにとっては「思い出づくり」の一環として、一緒にスリルを共有し美しい自然の中で特別な時間を過せるだろう。また健康志向の大人にとってもアクティビティとスパリゾートを組み合わせた総合的なリフレッシュ体験が楽しめるし、従来の沖縄観光では物足りなくなった上級者向けの新体験を求めるには格好の施設と云えるかも知れない。