トランプ氏の対イラン政策と対ロ対中政策の違い。
<イランのアラグチ外相は21日、米イスラエルの攻撃でイラン核施設は「深刻な損害を受けた」と述べた一方、「国家の誇りの問題」としてウラン濃縮活動は放棄しないと強調した。米FOXニュースのインタビューに答えた>(以上「共同通信」より引用)
短い外電が報じられた。見出しは「核施設に「深刻な損害」とイラン外相』というものだが、B-2爆撃以後ハメネイ師が対米交渉で柔軟姿勢に転じた理由が良く解る。
短い外電が報じられた。見出しは「核施設に「深刻な損害」とイラン外相』というものだが、B-2爆撃以後ハメネイ師が対米交渉で柔軟姿勢に転じた理由が良く解る。
米軍当局が発表した通りB-2爆撃機のイラン核開発施設への攻撃はピンポイントで確実に重要施設を破壊していた。イランは攻撃以前に必要機器等は核開発施設から移動させた、として移動しているらしき航空写真まで披露したが、それは子供騙しでしかなかった。
ウラン濃縮の段階が相当進んでいる状態で、移動が簡単にトラックで普通の引っ越しのように出来るわけがない。なぜなら濃縮したウランを段ボールや木枠の箱で運ぶことなど論外だ。もちろん濃縮されたウランは放射能を遮断するブ厚い鉛の箱に入れられなければならない。そして運搬トレーラーも重装備でなければならない。普通のトレーラーで運搬できる代物でないことは素人でも解るだろう。
だからイラン当局が発表した「濃縮イランを事前に他の場所に移動していた」とする「証拠写真」は偽物だと簡単に解かる。つまり核開発施設に濃縮ウランもそのままあったし、濃縮する遠心分離機などもそのままあった、と考えるのが妥当だ。
結果としてイランは「英仏独 イランと核開発巡り新たな協議へ」との記事が昨日付で配信されたように、核協議に復帰するという。それはイランの核開発が完成から遠のいた証拠だ。あるいは核開発が継続困難な状況にある、ということだ。
日本のマスメディアは例外なく米国がB-2でイランの核開発施設を空爆したのを「他国の主権を無視した暴挙だ」と非難した。しかし空爆でしか事態を打開できない事だってある。対話を重視する日本政府は日本国内から北朝鮮工作員によってに拉致された数百人もの日本国民を、北朝鮮から帰還させられないまま半世紀以上も経過した。これほど日本の国家主権を侵害された事件があっただろうか。
B-2の核開発施設への空爆によりイランはイスラエルとの紛争終結に同意した。他の手段でイイ紛争を終結させる道筋が付けられたと思うなら、日本のマスメディアは提起して欲しい。ダラダラとミサイル攻撃を双方が続けることの方が米国がB-2空爆よりも良かったのだろうか。
独裁国家を民主主義国家の中で生活している者の常識で図らない方が良い。独裁国家には独裁国家の常識がある。そこでは民主的な手続きなど一切存在しない。ロシアを見れば良く解るだろう。たとえ政敵を次々と粛清しても、国民的な反政府の世論は湧き上がらない。それが独裁国家のあり方を良く示している。だからロシアを停戦協議の席に着けるには、ロシアを徹底的に弱体化するしかない。中国を民主化するには、中共政権の国家が崩壊するのを待つしかない。そうした意味で、トランプ氏はロシアと中国に対する対応を間違っている。