失われた百年に突入した中国。

投資への期待は霧散……
 中国のEV業界は、まさに中国経済のいまを象徴している。
 李強首相が主宰する国務院の常務会議は16日、電気自動車(EV)産業への監督を強める方針を示したが、これは、自動車企業による値下げ競争を抑止するためだ。主に、下請け企業への適時支払いを求めるという。
 中国の政府幹部は「中国の自動車業界は年間3000万台売っても、900万台を販売したトヨタ自動車の利益に及ばない」と認識している。トヨタの昨年の純利益は約4兆7650億円だったが、中国の上場自動車企業全体の昨年の純利益が900億元(約1兆8000億円)にとどまっているからだ。
 薄利多売のデフレ競争に陥った中国EV界は、「親亀が転ければ、皆転ける」という状態。しかし、この構図は中国の製造業全般に見られることだ。
 デフレの大本の原因が不動産市場の低迷であることは言うまでもない。6月の新築住宅価格は前月比0.3%下落し、8ヵ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。上半期の不動産開発投資も前年比11.2%減と低迷している。経営破綻に陥った恒大集団などの処理も一向に進んでいない。一方、中国の株式市場は3年半ぶりの高値を付けた。「不動産市況対策が打ち出される」との思惑が広がっていたからだ。
 習近平国家主席は10年ぶりに「中央都市工作会議」を開催した(14~15日)。10年前に開かれた同会議で国家支援による大規模再開発が決定されたことから、「今回もてこ入れ策が決まる」との観測が広まっていた。だが、会議の結論は「老朽住宅などの改修を着実に進める」であり、投資の期待は露と消えた。中国の不動産市場を巡る環境は大きく変化し、10年前のような市場活性化をもはや打ち出すことはできなくなっているのだ。

より一層進む少子化
 思い返せば、中国の都市部の28~32歳の人口は2019年にピークを迎え、その直後に不動バブルが崩壊した。不動産部門はピーク時に中国のGDPの3割、政府歳入の4割を占めていた。世帯の総資産に占める不動産の割合も1990年の日本が約半分だったが、2020年の中国は7割近くに達していた。「バブルの崩壊後の不動産価値の下落幅は中国の年間GDPに匹敵する」との試算もある。
 日本は不動産バブル崩壊後の少子化も経済の足を引っ張ったが、中国も同じ道を歩んでいる。過去10年間で中国の出生数が1880万人から902万人(2023年)に減少しており、少子化のペースは日本よりはるかに速い。 
 将来の買い手の減少は不動産市場にとって重荷だ。買い手である若年層の窮乏化も頭の痛い問題だ。6月の若年層(16~24歳)の失業率は14.5%と相変わらず高水準だ。少子化が災いして今後10年間で200万人余りの教員が減ると予測されている。教員は公務員の対数の半数近くを占め、最も安定した就職先と見られてきたが、この「鉄板碗(鉄の食い扶持)」が壊れてしまうというわけだ。
 若年層を中心に多額の債務を抱える個人が急増していることも気になるところだ。中国の家計債務はGDP比で60%強に達しており、先進国のレベルに近い状況だ。このように、中国が直面する危機は当時の日本よりはるかに深刻だ。不動産バブル崩壊後、日本に「失われた数十年」が到来したが、中国に待っているのは「失われた百年」なのではないだろうか>(以上「現代ビジネス」より引用)




中国・虎の子「EV」で「トヨタに惨敗」…!デフレ地獄に陥った中国経済は「失われた百年」に突入する」と藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)氏は見ているようだが、この見出しには「但し条件」が付く。それは「中共政府が100年後もあるならば」という条件だ。不動産バブル崩壊が波及して金融崩壊が起きて、現在では社会崩壊が進行している。そのため政権が不安定化して習近平氏の独裁体制が揺らぎ、現在では習近平氏の退陣騒ぎに発展している。
 未確認情報だが、軍は張又侠氏が実権を握り、政治は劉源氏が握ったとも云われている。習近平氏は次期中全会で正式承認がされるまでの「お飾り」主席としてその地位にいるが、すべての実権は奪われているという。そうした措置は中国共産党の「一党独裁体制」を維持するためだという。

 中共政府は習近平氏に経済政策の失敗の責任を負わせて、中央政府から追放するのだろうが、責任追及だけで経済が好転するものではない。具体的な効果的な対策が打たれない限り、経済崩壊は止まらない。
 具体的な経済対策とは、一日も早い債務の確定とその処理だ。経営破綻した恒大集団など数多の不動産企業が「破綻処理」されずに存続しているのは奇怪と云うしかない。政府が強力に破綻処理すれば、それが中央政府の経済政策が誤っていたことを認めることになるため、習近平政権は破綻処理しないで一日延ばしにしている。

 しかしそれにより不動産バブル崩壊が金融破綻へと波及し、「預金封鎖」などの取り付け騒ぎになっている。もちろん金融崩壊は金融収縮をもたらし、不動産資産価格の暴落と相まって信用収縮が起きて、中国は深刻なデフレ経済に陥っている。
 エコノミストの中には中国のGDPは公式発表では報値で前年比5.0%増の134兆9084億元(約2770兆円)たとされているが、実際はその半分どころか1/4程度ではないかと主張する人まで現れている。さらに人口に関しても12億人(中共政府の公式発表は14億人)とされているが、実際は3億8千万人ほどではないか、と推計する学者まで現れている。

 失業率に到っては中共政府発表と現実との乖離が大き過ぎて、若年層(16~24歳)の失業率は14.5%だとする当局発表をエコノミストの誰も信じていない。現実は50%を超えていて、中国経済は奈落の底へと墜落している、と見ている。
 各地の警察官が一般道路を封鎖して、通行する車両を止めて「通行料」を徴収する国家が存在すると、日本国民の大多数は思わないだろう。しかし中国ではそれが現実だ。警察官への給料支払いが遅配しているため、彼らは生きるために彼らに付与されている警察権を最大限活用するしかない。しかし、それによりトラック運転手は「通行料」の補償を荷主に求め、それを拒否されれば運送しないとして、多くのトラックが路上に止まっているという。

 中国は不動産企業を破綻処理することから始めなければならないが、それは不動産企業に貸し付けている金融機関の破綻に繋がる。そうすると政府が公的資金を注ぎ込んで助ける金融機関と、破綻処理する金融機関に選別しなければならない。その選別を誤れば中共政府に信任そのものが揺らぐことになり、それは通貨「元」の信任否定につながる。
 中共政府は責任問題を習近平氏に負わせて、経済政策の失敗から逃れられるかも知れないが、それにより崩壊した経済が立ち直るわけではない。まず具体的な経済再生の道筋を国民に示して、そのための施策を着実に進めるしかない。そうした経済テクノクラートが中共政府にいるだろうか。統制経済が殆ど無能だったことは既に実証済みだ。そうすると経済の自由化を進めるしかなく、経済の自由化は社会の自由化を容認せざるを得ないことを中共政府が容認できるか。もちろん社会の自由化は政治の民主化に繋がることを中共政府は覚悟しなければならないが。

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