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逆走事故を防ぐために。

<東北自動車道で逆走車が正面衝突するなどして、3人が死亡した事故。逆走が始まったとみられるインターチェンジについて、栃木県が今後、対策を検討する方針であることがわかりました。  この事故は今月26日、東北道上り線で逆走車が別の乗用車と正面衝突するなどして、逆走車の無職・前原勇太さん(42)が死亡するなど、あわせて3人が死亡、10人が重軽傷を負ったものです。  前原さんは、現場からおよそ3キロ離れた黒磯板室インターの進入禁止の道路から逆走を始めた可能性があるとみられています。  この場所について、栃木県がきのう、警察などと共に現地を確認し、今後、必要な対策を検討していく方針であることがわかりました。  また、捜査関係者によりますと、前原さんが運転していたとみられる車が事故の直前、このインターの料金所を一度出て、すぐに戻る様子が監視カメラに写っていたこともわかりました。警察は、引き続き逆走の経緯を調べています>(以上「TBSニューズ」より引用) 「 東北道3人死亡の逆走事故、栃木県が対策を検討へ 逆走始めたとみられるICについて 」との見出しにあるように、逆送の事故が後を絶たない。当初は高齢者が認知症などにより進入路を明確に認識しないまま逆走しているのではないか、といった主旨で報道されていたが、東北道の逆走では運転手が42歳だったため「高齢者=認知症」キャンペーン報道にならなかった。  その代わり、真摯に逆走の原因を掘り下げる「本来の報道」がなされるようになった。それによると高速道路での逆走は、全国で年間約200件発生しています。このうち、事故に繋がる件数は約2割程度だという。確かに逆走を起こした運転手の約7割は65歳以上の高齢者によって占められているが、約三割は65歳未満の者が起こしている。  つまり高速道路は構造的に逆走を誘発しやすい原因が潜んでいる、と思わなければならない。高齢者だけでなく若いことも逆走する要因の一つに、向かう方向とは逆向きの進入路が造られている箇所が挙げられる。  即物的に向かう方向に誘導するの進入路を選択するのが人情だ。しかし高速道路を跨ぐなどして大きく迂回して向きを変え逆の進入路だったと気付かないまま、向かう方向とは逆の路線に入ってしまうケースがある。それを防ぐには進入口だけでなく、進入路が大きく向きを変える途中でも注意を喚起する看板を設置し...

トランプ関税の「落としどころ」は。

< <東アジアで関税が製造業の基盤作りに役立った事例はあるが、そもそもの前提がアメリカと異なっていることにトランプは気づいていないようだ>  トランプ米大統領が「相互関税」を発表したことを機に、アメリカでは関税が自国にもたらし得る深刻な悪影響が議論されている。1930年のスムート・ホーリー法の失敗など過去の経験も引き合いに出される。  一方で東アジアには、製造業の強固な基盤を築くために関税をうまく利用してきた歴史がある。しかし東アジア(特に韓国)で成功したやり方と、トランプ政権が取ろうとしている手法には重要な違いがある。  まず、韓国の関税は「非対称的」なものだった。輸出産業として促進しようとした家電製品などの消費財には高関税を課したが、製造業に必要な機械などの資本財には低い関税を適用した。この非対称の関税と低賃金の組み合わせがなければ、韓国は低コストの製造拠点という地位を確立できなかったかもしれない。  それに対して、アメリカは既に労働コストが高い。そこに幅広い品目を対象とした高関税が加われば、事業を行う上でコストが極めて高くつく国になる。事実、一部の韓国企業はコスト高に耐えかねて、アメリカに新工場を設立する計画を断念したと報じられている。  トランプ関税は国内の製造業に対外直接投資(FDI)を呼び込むどころか、その妨げになっているのだ。米政権は国別の関税率を算出する際、FDIを考慮する必要がある。貿易赤字から対象国のFDIを引けば、FDIが多いほど関税は低くなる。  とはいえ、関税自体はパズルの一部でしかない。韓国で製造業の基盤を築いた戦略におけるもう1つの重要な要素は、金利の抑制と製造業向けの低金利融資の割り当てだ。民間投資が確実に製造業に流れるようにしたのだ。  アメリカの場合、たとえ低金利を維持し、製造部門により多くの資金が流れるようにしたとしても、製造部門の長期的な競争力を確保するのは容易ではないだろう。だが韓国は閉鎖的ともいえる金融システムと、政府の厳しい監視下にある「財閥」が支配するビジネス環境を活用することによって、これを確保した。  家族企業である財閥は、長期的な視点を持つ傾向がある。韓国政府は、財閥が国内市場の保護によって得られた余剰利益を長期的な固定資本投資に充てるようにし、一方で金融部門にも長期的なアプローチを促した。これにより現代自動車の...

トランプ氏の様々な提案は米国が自由主義諸国の盟主を降りる予告なのか。

< トランプへの報復見せる欧州  トランプ大統領は前政権時代から、北大西洋条約機構(NATO)脱退を示唆するなど、欧州同盟諸国に対する批判を繰り返してきた。だが、「トランプ2.0」がスタートして以来、それがさらにヒートアップしてきている。  今回大統領は就任早々に、「グリーンランド買収」構想を打ち上げ、デンマーク国民の怒りをかきたてたほか、ロシアのウクライナ侵攻をめぐっては、プーチン大統領の肩を持つ一方、ウクライナのゼレンスキー大統領批判を行い、西欧諸国に波紋を広げた。  また、バンス副大統領が去る2月14日、米欧間の安保対話「ミュンヘン安全保障会議」(MSC)で行った激しい欧州批判にも各国が一斉反発するなど、米欧間の対立を一層深める事態となっている。  とくにバンス氏は同会議席上、「欧州にとっての最大のチャレンジは、(ロシアなど)外的脅威ではなく、欧州の内部的民主主義体制の劣化だ」「欧州諸国は、米国と共有する核心的価値観から遊離している」「欧州における選挙制度、市民権の実態、言論の自由は憂慮の対象」などと高飛車な批判を繰り返した。  これに対し、ショルツ独首相がただちに「内政干渉は断じて許しがたい」と猛反発したほか、出席したフランス、イタリア、フィンランド各国外相も一斉に、バンス批判のコメントを発表した。英BBCはニュース解説で「バンスの居丈高な欧州批判は、安保面のみならず、文化、社会面にまで踏み込んでおり、米欧間亀裂の深刻さの象徴だ」と報じた。  さらにバンス氏の対欧軽視姿勢は、その後のホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)における対イエメン反政府勢力攻撃作戦に関する事前協議の際にも明らかにされた。  米誌「The Atlantic」編集長が暴露したもので、協議の中でバンス氏は「欧州諸国の利益確保のためにわが国納税者の浄財を使いたくない」「欧州諸国は貿易の40%をスエズ運河の安全通航に依存しているが、わが国はたったの3%だ」などとして、米国による外国紛争関与への懐疑的姿勢を打ち出した。  その後も、3月に入り、トランプ政権は日欧はじめ各国に対する突飛な関税措置を相次いで打ち出し、経済、金融面で世界を大混乱に陥れている。このうち欧州諸国に対しては、先月、一律20%課税が打ち出された。  これに反発した欧州連合(EU)は去る9日、ただちに蔵相会議を開催、報復措置と...

AGIが仕事現場に進出する日。

< 人間の感情を理解するスーパーAI  近年、AI(人工知能)はこれまでにはない急激なスピードで進化し、私たちの暮らしやビジネスにおいて身近なものになりました。  さらなる進化が期待されるAIの中でも、いま特に注目を集めているのが「AGI(汎用人工知能)」です。  AGIとは「Artificial General Intelligence」の略称で、人間のような高度で幅広い知能を持つ、極めて汎用性の高いAIです。  AGIが従来のAIと大きく異なるのは、まるで人間のように思考し、なおかつ人間の感情を理解する能力を持っていること。本来人間が持つ「喜怒哀楽」といった特有の感情を学習しながら自ら進化できる。まさに、万能型の「スーパーAI」とでもいうべき存在がAGIなのです。  例えば、仕事をしているあなたの顔色や声のトーンから疲労度を察知してコーヒーを淹れてくれたり、肩が凝ったなという表情や動作を察知してマッサージをしてくれたりするヒューマノイド型AIを想像したら、何だかワクワクしてきませんか。  あるいは、今日は子どもの誕生日だから残業せずに早く家に帰りたいといったときに、 「今日はお子さんの誕生日ですね。あとの仕事はお任せください」とその日のうちに片づけなければならないタスクをAIが引き受けてくれたら、「なんて気配りができるAIだ!」と、最高のビジネスパートナーとして迎え入れるのではないでしょうか。  AGIはある特定のタスクをこなす従来の特化型AIとは異なり、ありとあらゆる知的活動をこなすことができるため、その応用範囲は計り知れないといわれています。このような能力をビジネスや日々の生活に応用すれば、AGIは私たちが生きるこの世界に大きな革命をもたらす可能性があるのです。 AGIで私たちの未来はどう変わるのか? 「コーヒーを淹れてくれるだけのAIなら、あまり役に立たないのでは?」  そんな声も聞こえてきそうですね。では、AGIがいったいどのようにビジネスで役立つのかについて、もう少し深く切り込んでみましょう。  人間のような高度で幅広い知能を持ちながら感情を理解する能力を持っているAIと聞いて、まず思いつくのがコミュニケーションの領域です。AGIが実現すると、より人間に近いコミュニケーションが可能となります。  AIによるコミュニケーションと聞いて、皆さんが真っ先に頭...

石破氏はイタリア首相メローニ氏のトランプ会談をお手本にすべきだ。

< 焦っているのはトランプ 「大統領は焦っています。日本を皮切りに75ヵ国もの国々と取引を急ぎ、7月4日の独立記念日には、自らの成果として発表したいはずです」  ニューヨーク在住のジャーナリストからこんなメールが送られてきたのは4月18日。日本時間で言えば、トランプ大統領が赤沢経済再生相とホワイトハウスで会談した翌日のことだ。  筆者は、トランプ氏が就任3か月で実行してきた猫の目のように変わる関税政策や一方的な外交には、3つの「〇〇したい」が隠されていると見ている。 (1)中間選挙で勝ちたい  関税政策でアメリカに投資を呼び込み、中国を叩いた後、法人税や所得税の大減税に踏み切れば、今は40%前半まで落ち込んでいる支持率も回復するはず。 (2)ノーベル平和賞をもらいたい  ウクライナ戦争とガザ・イスラエル紛争を、「禁じ手」を使ってでも早期に終結させられれば、オバマ元大統領でも取れたノーベル平和賞が見えてくるはず。 (3)もう1期やりたい  現行憲法では「2期まで」となっている大統領職を、「自分は連続2期ではないから」と解釈。実績さえ積めば、「もう1期」を求める声が上がるはず。  これらは、昨年11月の大統領選挙でトランプ氏が勝利した当初から、アメリカ国内で囁かれてきたことだが、トランプ氏は変わらず、「〇〇したい」の実現に邁進しているように見える。 「トランプ氏は、関税をめぐる取引を長引かせたくないのです。早く減税のフェーズに進んで株価を爆上げしたいと考えています。中国に対しても関税145%からの大幅な引き下げを匂わせ、習近平国家主席との直接交渉を狙っています。ですから、日本はじっくり構えて交渉すれば、トランプ氏のほうが焦ってくると思います」(前出のジャーナリスト) 日本政府に必要な「スコーピング」  とはいえ、7月4日の独立記念日までそれほど時間はない。日本では、前日の7月3日、参議院選挙の公示日を迎えるだろうし、7月8日には、トランプ氏が90日に設定した相互関税一時停止の期限を迎える。  すでに日本側は、交渉担当の赤沢経済再生相がトランプ氏と会談したのに続き、加藤財務相もベッセント財務長官との協議を終えた。  今後は、赤沢氏が再渡米しての協議が注目されるが、在日アメリカ軍の駐留経費負担、アメリカ製自動車の販売促進、貿易赤字の解消に加え、コメ市場の開放やドル安への誘導...

ニューヨークタイムズが大阪万博を猛批判。

<大阪・関西万博が4月13日開幕し、様々な話題を振りまいている。開幕から7日目までの総入場者数は60万人を超えたが、混雑に伴う通信障害や暑さ対策など課題が次々と浮き彫りになり、運営や建設費にも疑問の視線が送られている。メディアやSNS上で取り上げられるのはパビリオンよりも、「メタンガスが検出」「警備員が土下座した」「まだパビリオンの開館が間に合わない」といったネガティブ情報で、デマや不正確な情報も飛び交う。経済アナリストの佐藤健太氏は「コンセプトはあるものの、一体なにを発信したいのか、誰に見てもらいたいのかが分かりづらい」と指摘する。1970年以来55年ぶりとなる大阪での万博は「成功」なのか―。 NYタイムズの辛辣な意見  今回の大阪・関西万博は、人工島・夢洲(大阪市此花区)を会場に4月13~10月13日の184日間開催される。テーマは「いのち輝く 未来社会のデザイン」で、コンセプトは①展示をみるだけでなく、世界80億人がアイデアを交換し、未来社会を「共創」②万博開催前から、世界中の課題やソリューションを共有できるオンラインプラットフォームを立ち上げ③人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場―の3つだ。   公式サイトをのぞくと、万博には「人・モノを呼び寄せる求心力と発信力がある」とし、「2020年東京オリンピック・パラリンピック後の大阪・関西、そして日本の成長を持続させる起爆剤にします」と開催目的をうたっている。持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献や日本の国家戦略「Society5.0」の実現を目指すのだという。   もちろん、理念や目標を高く設定するのは構わない。ただ、そもそも万博の開催意義がどれほどあるのか疑問を持つ人も少なくないだろう。時事通信は4月21日、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が大阪・関西万博に関し、1970年の大阪万博の記憶を呼び起こすものであり、かつての熱気を取り戻そうとするイベントだが、日本の現在の経済環境は「70年の時とは全く異なる」と報じたことを紹介している。それによれば、日本が高度経済成長期にあった70年代は「経済的な奇跡として歓迎された」と指摘した上で、「日本は90年代初めの不動産・株式バブル崩壊以来、経済が停滞。人口は減少し、急速に高齢化した。債務は膨れ上...

ブラフをカマシてくる相手に、ブラフをカマシ返さないでどうする。ディールを持ち掛ける相手に対して、ディールを倍返ししないでどうする。

<関税攻勢から始まって、ウクライナ停戦まで、トランプ大統領は、公約で掲げた政策を矢継ぎ早に実行しているが、思い通りの成果は上がっていない。副作用のほうが大きいし、アメリカ国内でも批判が強まっている。 損失の数々  トランプ関税には、アメリカの生産者も消費者も困り切っている。物価は上がるし、アメリカ製品の輸出も捗らない。カリフォルニア州、ニューヨーク州、アリゾナ州など12の州が、トランプの関税政策の停止を求めて裁判を起こした。  トランプ関税は世界中から反感を買い、アメリカ製品のボイコットや観光客のアメリカ旅行取りやめなどが起こっている。  ハーバード大学などへの「リベラル狩り」については、先週の本コラムで解説したが、世界の若者が留学先を他国に変更している。  私の経験からしても、若い頃に留学した国は、第2の故郷のようになるもので、トランプは、次の世代の有為な人材を反米にしてしまう。  アメリカのビザを申請すると、スマホやパソコンを調べられ、反米的発言が見つかると、ビザをもらえない。これは、独裁国家と同じで、民主主義国家の行うことではない。  関税については、朝令暮改で、方針を次々と変える。市場は混乱するし、世界中が迷惑を被っている。4月23日は、中国に対する145%の税率を大幅に引き下げると意向だということが報道された。具体的には、50%〜65%に引き下げ、安全保障上の脅威にならない商品については、35%にするという。  中国は、報復としてアメリカに125%の関税を課しているが、1年前から周到に報復の準備をしており、どの商品を禁輸対象にすればアメリカが困るかを見極めてきた。レアアースなどがその典型例である。我慢比べで、先に音を上げたのはアメリカのほうである。  朝令暮改のもう一つの例は、パウエルFRB議長の解任問題である。トランプがパウエルの解任を目論んでいると報じられると、ドルへの信頼が失われ、株式市場が急落した。そこで、急遽、方針を転換し、解任する気はないと述べたのである。 ウクライナ停戦…公平さを欠く仲介役  関税をはじめ、トランプの経済政策は経済学的にもデタラメであるが、まだ経済分野については、「取引(ディール)」を主張するのは理解できないことではない。しかし、政治や安全保障は、ディールには適切でない点が多々ある。政治はビジネスとは異なるのである。この点をト...

対中国防衛の要石「馬毛島」。

< 放置されたサトウキビ畑  3月下旬、鹿児島空港を飛び立った小型プロペラ機は、約40分のフライトの間、悪天候の影響で揺れに揺れ、種子島空港へ到着した。  空港でレンタカーを借りて、島内最大の市街地がある西之表市へ向かう。長閑な田舎道を進んでいる途中、サトウキビ畑にポツンと佇んでいる高齢男性の姿があった。 「あんた、基地の関係者か?」  記者が声をかけると、男性はそう警戒心を示したが、東京から取材で来たと告げ、質問を重ねていくと、ぽつりぽつりと本音を語ってくれた。 「本当なら今は、種子島の特産品であるサトウキビの刈り取りが行われている時期です。でもご覧のとおり、放置された畑が多いでしょう。若い人たちがみんな、基地の仕事に行ってしまったからです。基地に行って作業員として働けば、月に40万円がもらえるそうです。跡取りと思っていた私の倅も、基地に行ってしまいました。  しかし、基地建設が終わればどうなるのか。荒れた畑を耕すのは、膨大な時間がかかる。それまでの間は食っていけないし、一時でも派手な暮らしをしていた人はもとの生活には戻りたがらないでしょう。  基地なんて来なければよかった。それが私たち古くからいる島民の本音です。でも、国が決めたことですからね。反対しても、もう意味はないでしょ……」  鹿児島の南約45kmに位置する種子島は、人口約2万6000人、南北に約60km伸びたひょうたん型の島だ。鉄砲伝来の地として知られ、近年はJAXAのロケット発射場としても有名なこの島がいま、「基地バブル」に揺れている。  種子島の沖合約12kmにある馬毛島で基地建設が始まったのは、'23年1月のことだ。以来、種子島には多くの作業員がやってくるようになった。 「馬毛島には、自衛隊基地と米軍空母艦載機の離着陸訓練施設が建設される予定です。基地建設地として馬毛島の名前が浮上したのは、'11年6月の日米安全保障協議委員会。種子島住民らの反対を押し切る形で、政府は'19年に用地取得にこぎつけます。馬毛島の買収額は160億円に及びました。日本政府が馬毛島にこだわったのは、アメリカからの強烈な要請があったためだと見られています。アメリカは馬毛島を中国包囲網の「要衝」と見ていて、何としても基地を建設したがっていました」(全国紙防衛省担当記者) 基地作業員が明かした「月給」  ...

中共と中華文化は別物なのか?

<4月20日、日本で法輪功の支持者が平和的なパレードを実施し、中国共産党(中共)による長年の迫害に抗議した。パレードの出発前には集会が開かれ、在日中国人で水墨画家の宇宙大観氏も参加した。同氏は法輪功の活動を「中華文化の素晴らしさを広げる取り組み」として高く評価し、中国共産党の価値観とは全く異なると主張した。  宇宙大観氏は、平和的抗議活動は法律で保護されるべきであると主張した。「中国共産党にとって法律は鎮圧の道具にすぎず、公平性も透明性も全くない。人々を恐怖に陥れるだけだ」と述べた。そして、法輪功の活動について「平和的に行動し、素晴らしい文化を作り出している団体」と評価した。伝統的な教えを現代に融合し、社会に良い影響を与えていると述べた。  特に、神韻公演を通じて共産主義以前の中華文化を世界に発信する法輪功の取り組みを「民族の誇り」と称賛した。「法輪功は中華文明を新たな形で発展させる重要な役割を果たしている」と述べた。 中共と中華文化の違いを理解する重要性  中共については「中国で自然に発生したものではなく、ソ連から輸入されたマルクス主義に基づいている」と指摘した。階級闘争を軸とした中共の政策が、社会全体を闘争へと駆り立て、正常な判断力を失わせたと批判した。こうした背景から、中共の指導のもと、人々は迫害や暴力を「当たり前」として受け入れる状況に陥った。  さらに、中共は政権掌握後、共産党組織や青年団(中国共産主義青年団)や少先隊(中国少年先鋒隊)などの関連団体を通じて子供の頃からの洗脳を徹底してきた。これにより「小粉紅(ピンクちゃん)」や「五毛党」と呼ばれる中共を擁護する人たちが生まれ、中国人のイメージが歪められた。  宇宙大観氏は、「中共と中華文化は本質的に別物であり、日本人にもこの違いを理解してほしい」と強調した>(以上「大紀元」より引用)  またしても「 著名中国人水墨画家 「共産党と中国は別物」 」という謎論理が出た。かつて日本では中国に対して「政経分離」なる言葉も多用された。つまり政治では対立しても経済では協力する、という謎理論と同類項だ。  現に親中派を自称する日本人に、そうした謎理論を展開する輩が多い。恰も中国共産党と中国人は別物だ、という理論は国家と国民という統合された関係ではないという。しかし、そんなことなどあり得ない。  引用記事に「中共は政権掌...

国民のための政権樹立のために、すべての野党は連合せよ。

<“ゆ党”の立場では、飽き足らなくなったようだ。  国民民主党の玉木代表が22日の会見で、参院選後にいずれかの政党との連立政権に参加するかを問われ「手取りを増やす。そのために協力できるところとはしていく」と発言。連立入りに含みを持たせた。  こうした発言を受けて、時事通信が「玉木氏『政策同意なら政権参加も』」との記事を配信すると、気に入らなかったのか、玉木氏は即反応。X(旧ツイッター)で「時事通信さん、飛ばし過ぎですよ。『協力する』と言いましたが、『政権参加する』とは言っていません」と文句を垂れたのだ。  18日にはデイリー新潮が「国民×公明タッグで『玉木雄一郎首相』誕生の可能性」と報道。これにも即座に反応し、Xで「デイリー新潮さん、想像力たくましいのは結構ですが(中略)事実に反するものが多くないですか」と投稿していた。見せ方を気にしているのか、随分とメディアへの注文が多い。 「国民民主は参院選に向けて与党と対決姿勢をとることで支持を得る戦略ですから、『連立入り』と報じられると困るのでしょう。ただ、本音ではまんざらでもないはずです。玉木さんは与党入りして大臣就任を切望していると囁かれています。『次の首相』の呼び声まで上がり、本人は“絶頂”のはずです」(官邸事情通)  産経新聞とFNNが19、20日に実施した世論調査で、今後の望ましい政権の枠組みについて聞いたところ「自公両党に野党の一部が加わった政権」との回答が48.3%で最も多く、「自公政権の継続」の13.9%を引き離した。この結果にも内心はニンマリに違いない。  会見で見解を聞かれると、「国民の脳内では政権のありようの変容が起きている。何らかの形で今の野党が加わってくれということだと思う」とミョーにうれしそうに答えていた。 不倫、パワハラ問題もくすぶったまま  しかし、玉木氏の思惑通りにコトが運ぶとは限らない。22日、党所属の平岩征樹衆院議員が過去、名前と職業を偽ってマッチングアプリで知り合った女性と不倫していた問題が発覚。週刊現代電子版が報じた。千葉県連のパワハラ問題もくすぶったままだ。「いつまでも好調が続くとは思えない」(国民民主関係者)という声も上がる。  そもそも「首相就任」「連立入り」などと囁かれて浮かれているなんて、あまりにフザケた話である。裏金問題の解明に後ろ向きで、トランプ関税や物価高無策の自公を...

高齢者の免許返納は本当に必要なのか?

< 「薬のせい」では都合が悪いか?広末涼子の絶叫錯乱劇を斬る  予想通りと言おうか。広末涼子さんは何もなかったかのように釈放された。  警察は今のところ一切薬物には触れていない。確かに違法薬物も睡眠剤も検査で検出されなかったのだろうが、まだまだ風邪薬とかアレルギー薬など、運転禁止薬は飲んでいた可能性は高い。(という証言があるようだ)  広末さんの事務所は、精神的に不安定で医者にかかっているという風なことで説明している。また暴行の被害者との示談も成立したようだ。  私には、裏になんらかの力が働いているという気がしてならない。  一般の市販薬(アレルギー剤、かぜ薬)が運転禁止薬に指定されているからといって、それで意識障害を起こして、危険運転致死傷罪が適応されるとすれば、前代未聞の話だ。もちろん、処方薬の運転禁止薬で同じような事故を起こしても、そういうことになるだろう。  ただ、警察はそれに熱心でないと私は見ている。  実際、前警察庁長官も薬局チェーンの顧問に天下っている。  池袋の事故でも福島の事故でも、ふだん安全運転の人が暴走したのだから、意識障害が疑わしいが、警察はその線では一切調査や捜査をせず、年齢のせいで片づけてしまった。そのおかげか警察幹部は薬関係の天下りが多いと聞いている。 日本で隠蔽され続ける「薬害による交通事故」  そしてそれ以上に問題なのはテレビ局だ。  池袋の事故でも福島の事故でも、意識障害についての疑いを語るコメンテーターを一切排除し、被害者を利用して「こんな高齢なのに運転するのは許せない」と言わせ続けた。  被害者の方は気の毒だが、事故原因については専門家でない。彼らが事故原因を歳のせいだと決めつける資格がないのは明らかだ。  女性の運転する自動車で自分の子どもが死んでしまった被害者が「女のくせに運転するな」「女は危険だから運転するな」と感情的に論じたら、どこのテレビ局が報じるだろうか?同性愛者や外国人に子どもがはねられた時だって同様だろう。  でも、高齢者のときだけはそれが許される。そして、善良な人は免許を返納して6年後には要介護状態になっていく。  今回も、薬の危険性や運転禁止薬のことを世の中の人に知ってもらうチャンスだったのに、テレビ局は一時的に、警察が発表するだろうと考え、風邪薬やアレルギー薬を飲んでいたことを報じたが、警察が発表しないの...

未来AIの限界。

< AIは人類の脅威となるか  生成AIがシンギュラリティを獲得したら人間に敵対し、人類の脅威になるのでは、という危惧がよく流れてくるが、これについても非常に懐疑的である。  まず、今の生成AIやLLMは入力に対して出力を返すだけの受け身のシステムであり、自律的に動作する原理は内包されていない。出力をまた入力につないでループを構成すれば形式的に自律的なシステムは確かに構成できるだろう。しかし、それでも生成AIは非線形非平衡多自由度系の一種であることは免れない。  すでに非線形非平衡多自由度系においては自律的なダイナミカルシステムであっても固定点(静止)、リミットサイクル(なにかの繰り返し)、そしてカオス、以外の軌道はないことが確立された事実として判明している。この3つでは人類を脅かすような自律的な心を持ったシステムは構成できないのはあまりにも明らかだろう。  実際、非線形非平衡多自由度系では自己意思を持った自律的なシステムは無理という話は業界の常識になっており、逆にどうやったらそのようなシステムが構成できるかというのは、人工知能とは別の人工生命という分野だと認識されている。  シンギュラリティを起こした生成AIが人類の脅威となるにはまず自律した存在でなくてはならないだろう。ならばまず知能を持つ前に生命に相当するなにかを持っていなくては始まらないはずだ。生命とはなにか、というのは、知能とはなにか、と同じくらい昔から人類が追求してきて、いまだにちゃんとした答えが得られていないという点では知能に勝るとも劣らない問題である。  なので、ここで生成AIがシンギュラリティを迎えて人類の脅威となるために生命を獲得するにはどうするか、という話を始めるのは、あまりにも無理があるように思う。  私に言えるのは今の生成AI、基盤学習+転移学習という枠組みはどんなに高度に発展したように見えても、所詮は非線形非平衡多自由度系の枠内の話であり、その外側に出て行かない限りは、固定点でも、リミットサイクルでもカオスでもない動力学は実現できるはずもなく、したがって自律した意識を持って人類の脅威になったりは決してできないだろう、ということだけだ。 自我と知能の違い  そんなことより、人間が高性能AIを悪用するほうがよっぽど起こりやすく、危惧すべきことだと思う。  実際、多くの場合、この自我や自律の有無...

東南アジア三ヶ国歴訪は習近平氏が中国の不人気を確認する旅だった。

< 何のための東南アジア歴訪  2月にトランプ政権が10%の対中関税を発動して以来、対米交渉はせず、抗議と対抗措置を打つだけという強気姿勢を続けてきた中国の習近平国家主席が、4月9日、追加で145%にまで関税を引き上げられたことを受けて、とうとう動き出した。もちろん、より強気の行動である。  4月11日公開の「習近平、無策と無謀の結果が大誤算…!トランプ関税125%がもたらす『中国経済の絶望』」で既に解説したように、習主席は、国内の政治抗争で劣勢に立たされており、国内向けにも「強い指導者」をアピールするために対外強硬姿勢を示さねばならない事情がある。だが、それだけでは、結局、習主席の独りよがりに終わることになる。  4月14日から18日までの5日間、習主席はベトナム・マレーシア・カンボジアの東南アジアカ国を歴訪した。今年に入ってからの習主席の初めての外遊である。史上最大規模の米中貿易戦争が勃発し、この3カ国も米国の相互関税発動(90日間休止)の対象となっている。習主席と中国の最大の外交目標はすなわち、訪問先の国々と抱き込んでトランプ政権の相互関税政策に共同で対抗し、「対米共闘体制」の構築を目指すことであった。  習主席は歴訪先の各国で、トランプ政権による相互関税の発動を「一方的ないじめ行為(覇凌行為)」だと非難した上で、各国に、共同で反対・対抗するよう呼びかけた。  習主席はまた、トランプ関税を「一国主義(単辺主義)」、「覇権主義」だと決めつけ、それに対して「多国間主義」と「自由貿易体制の堅持」を持ち出し、対立軸を明確にした上で各国との共闘戦線作りに強い意欲を示した。  しかし、習主席の歴訪に関する人民日報の公式報道を読み込んでも、習主席の「共闘呼びかけ」に対して3カ国は概ね冷淡にして曖昧な態度を取っていることが分かるのである。 和せど同ぜず  人民日報が報じたところでは、トー・ラム・ベトナム共産党書記長との会談で、習主席は「一方的ないじめ行為(覇凌行為)に共同で反対し、自由貿易体制とサプライチェーンの安定を守らなければならない」と語った。だが、それに対し、トー書記長は「ベトナム側は中国と連携し、多国間主義を堅持し、国際貿易のルールを守りたい」と応じたという。また、習主席はファン・ミン・チン・ベトナム首相との会談では「共同で覇権主義、一国主義、保護主義に反対すべきだ...

ガソリン補助金よりも暫定税率廃止を!!

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<政府は物価高対策として、ガソリン価格を来月22日から1リットルあたり10円引き下げ、冷房需要が高まる7~9月に電気・ガス料金への補助金を再開する方針を固めた。  複数の政府関係者が明らかにした。自民、公明両党による申し入れを受けた後、石破首相が22日にも表明する方向で調整している。  ガソリン価格への補助は政府が石油元売りに補助金を支給する形で2022年1月に開始し、レギュラーガソリンの全国平均価格が1リットルあたり185円程度になるように抑制してきた。今後は価格の目安を設けず、185円を大きく上回る場合あるいは下回る見込みでも、1リットルあたりの引き下げ幅を10円に固定する方式に見直す。補助継続の期限はガソリンなどに上乗せされる暫定税率の廃止に向けた与野党協議の状況を踏まえて検討する。  電気・ガス代への補助は今年3月分で終了していたが、夏の猛暑を見据えて再開する。昨年8~9月に実施した際は1キロ・ワット時あたり4円を補助した。エネルギー価格が下落傾向のため、同4円を下回る額を軸に、5月中に補助額を決める。  政府は補正予算案は編成せず、既存のガソリン補助金向けの基金を活用し、電気・ガス料金補助には今年度の予備費(約7000億円)を充てる方向だ>(以上「読売新聞」より引用) 「 ガソリン価格、来月22日から1リットル10円引き下げへ…電気・ガス代補助も再開の方針 」というが、なぜ石破内閣はトリガー条項を発令しないのか。補助金支出なら自公政権の利権になるが、暫定是率停止では、何処の利権にもならない。  しかも原油価格が一時1バレル60ドルを割り込んだ。現在、先物価格は62.85ドルだ。円も139円台に上昇した。1バレル60ドルを下回ったのは2021年4月以来、およそ4年ぶりだ。ちなみに2021年4月の為替相場は、ドル円で1ドル109円台後半から110円台前半の範囲で推移していた。またガソリン価格はレギュラーガソリンの全国平均が約146.6円だったことから、現在の円安を勘案したとしても1lが180円を超えているのは石油元売りの談合を疑われても仕方ないだろう。  トランプ関税により円安は終わり、円高ドル安に誘導される。おそらく円ドル総貨幣発行量の比率により弾き出される「適正相場」(図1)に円価格は近づくと思われる。  全ての円貨幣発行量をすべての取り貨幣発行量で除した...

巨像と素人像使い集団が、トランプ政権の実態ではないか。

<ー交渉未開始だが合意は可能-JPモルガン主催の会合で投資家に語る  ートランプ氏は中国と合意する環境整えている-ホワイトハウス報道官  ベッセント米財務長官は22日、投資家との非公開の会合で、関税を巡る中国との対立は長くは続かず、緩和していく見通しだと述べた。会合の出席者が明かした。  会合は、JPモルガン・チェースがワシントンで主催した。国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季総会のサイドイベントで、メディアなど一般には非公開だった。出席者によると、ベッセント氏は、中国との交渉はまだ始まっていないが、合意は可能と述べたという。  ベッセント氏は、中国とのデカップリング(切り離し)が米国の目標ではないと発言。今後数カ月で米中間の緊張が緩和する可能性があるとの楽観的な見方を示した。ただ、より包括的な合意に至るには時間がかかるとも述べ、慎重な姿勢もにじませた。 米財務省は、コメントの求めに今のところ応じていない。  ベッセント氏の発言が報じられた後、米国の主要株価指数は上げ幅を拡大。S&P500種株価指数は一時2.9%上昇した。投資家らは同氏の発言を、米中対立の暗い見通しを変える材料として受け止めた可能性がある。  この日はベッセント氏以外のトランプ政権当局者からも、関税を巡る交渉の進展を印象づけようとする発言が続いた。ホワイトハウスのレビット報道官は記者会見で、現時点で18カ国から貿易を巡る提案が示されており、今週中に政権の担当チームが34カ国との協議を予定していると述べた。  また同報道官は「貿易を巡る中国との合意の可能性については非常に順調に進んでいる」とトランプ氏から説明を受けたとも語った。ただ、トランプ氏と中国の習近平国家主席との間で実際に電話協議が行われたかどうかについては明言を避けた。  ニュースサイトのポリティコはこの日、トランプ政権が日本およびインドとの貿易交渉で基本合意に近づいていると報じた。ただ、争点に関する詳細の多くは今後の協議に持ち越される可能性が高いという。報道によると、政権当局者は今後の合意に向けた包括的な「枠組み」や「覚書」の形で合意文書を交わす方向で調整を進めている>(以上「Bloomberg」より引用)  米紙Bloombergに「 米財務長官、中国との緊張緩和に期待感示す― 合意の可能性に言及 」との見出しがあった。開始以来三ヶ月が...

隈研吾氏の木造デザインは醜悪であるだけでなく、木造建築に対する冒涜的ですらある。

< 世間を騒がせた「腐る建築」とは  しばらく前のことだが、「腐る建築」というワードがSNS上で話題になり、TVニュースを賑わす事態になった。普段の日常なら生鮮食品などの腐敗で耳にする「腐る」という言葉と、鉄やコンクリートで建てられる強固なイメージのある「建築」という言葉の、互いに似つかわしくない言葉の取り合わせは、多くの人々に衝撃を与えた。  それは、本当に建物の屋根や壁が腐ってこぼれ落ちている映像が流されていたからである。その姿は、まるで住民のいなくなった村や閉鎖された鉱山に放置された廃屋の老朽化のような光景で、これがまだ20年ほどしか経過していないという事実。それが公共の美術館で、実際に栃木県那珂川町にある「那珂川町馬頭広重美術館」だという事実にも皆、驚かされた。  我が国の高度成長期、昭和の時代に全国に数多く建てられた美術館、博物館で、築後40から50年が経過し、扉の枠や窓の一部、外壁の金具などが錆びたり劣化して、補修されたものを見たことがあっても、およそ20年ほどというまだまだ短期間で、屋根の材料が腐って崩れ落ちている公共建築など見たこともなかったからである。 業界関係者の反応は全然違った  仮にも公共の施設で、有名な建築家の手による美術館で、なぜこんなことになっているのか、なぜそれを放置しているのか、そのこと自体になにか現代の日本を象徴するような不可解な出来事として、多くの人が不吉な印象をもったであろうことは疑いの余地もないだろう。  しかしながら、筆者を含む多くの建築関係者は、報道で紹介された那珂川町馬頭広重美術館については、「やはりそうなったか……」、「できたときは綺麗だったのに……」、「隈さんだしな……」という、半ば諦めた感じ、醒めた反応であった。  このような事態に至ってしまった著名な建築家による建築作品の姿、いくつかの建築賞も受賞した建築作品の今の有り様に驚くだけでなく、この建築の今後の取り扱いについても複雑な印象をもったのである。 素材自体に問題があったわけではない  特に筆者の場合は、長く建築や公共施設の話題で、テレビやラジオ、新聞雑誌等でコメンテーターや解説員を務めていたこともあって、この事件ではすぐにテレビのニュース番組やインターネットの情報サイトなど、多くのメディアより解説コメントを求められることになった。その度におおむね以下のような...

トランプ関税の敗者は米国だと舛添氏は云うが。

<トランプ大統領の関税攻勢に世界が翻弄されている。アメリカの同盟国であるヨーロッパや日本、そしてアメリカのライバルの中国は、どう対応するのか。 トランプの関税攻勢  アメリカは、中国からの輸入品に145%の関税を課し、報復として、中国はアメリカからの輸入品に125%の関税措置を実行する。世界第一位と第二位の経済大国間の関税戦争である。  中国は、これ以上はもうアメリカの相手はしないと突き放した。  EUは、20%の相互関税は90日間猶予されたものの、10%の相互関税や鉄鋼・アルミニウムや自動車に対する25%の関税は維持されたままである。日本も、EUと同じような状況にある。  石破首相は、赤沢経済再生大臣を対米交渉の責任者に抜擢し、アメリカに派遣する。トランプとどのような「ディール(取引)」をすれば、相互関税の復活を阻止できるのか、明確な方針は決まっていない。  EUもまた同様で、報復関税の実施を一時保留した。ヨーロッパは、安全保障も経済もアメリカに依存しすぎていたことを反省している。安全保障では、防衛費を増やして、アメリカ抜きでもヨーロッパを守る体制を築こうとしている。フランスは自国の核の傘をヨーロッパ全体に広げようとしている。  経済についても、アメリカとの相互依存関係を弱める方向で動き始めた。  では、日本はどうするのか。イギリスやフランスのように核を持っていないし、NATOのように多数の国が参加する集団安全保障機構に加盟しているわけでもない。自立を目指すヨーロッパとは対称的に、日本は対米従属関係を維持していくしかない。アメリカへの従属路線維持が唯一の選択肢である。  トランプの関税がきちんとした経済理論に基づくものではなく、極めて政治性の強い施策である。世界経済を収縮させるし、物価高などアメリカ国民にも多大な負担を強いることになる。  通貨(ドル)、株、債券のトリプル安を引き起こし、慌てたトランプ政権は、相互関税の90日間停止を決めた。とくに、国債価格の下落は、長期金利を上昇させ、アメリカの威信の低下につながるため、急遽方針を転換したのである。  さらに、4月11日には、スマホなど電子機器類を相互関税の対象から外すことを決めた。これらの機器は、中国からの輸入に大きく依存しており、相互関税を実施すれば米国内での価格が高騰する。そうなると、アメリカ国民の不満が高ま...

「習得主義」と「履修主義」の違いとは。

<大学なのに、まるで義務教育のような授業だ」  4月15日に開催された財政制度等審議会での財務省による指摘です。 「こんな低レベルが大学だというのなら、私学助成を見直さなければならない」という趣旨で、「教育の質の評価が必要だ」という指摘らしい。  過去30年、様々な大学の教壇に立ってきた一教官としては「よく指摘した、財務省」と評価すべきと思います。  ただ、同時にどうして「大学なのに、まるで義務教育のような授業」をしなければならないのか、その理由を分かっていないとすれば、財務省もまたやや現状把握に不足があります。  そもそも 「大学」にあるのは「講義」と「演習」「ゼミナール」などで、「授業」というのは高等「学校」以下の中等教育の持ち分。 「授業」とは「授ける業」で、「教師」から「生徒」が、もっぱら教わるだけの建付けが「学校」。  これに対して、大学「教授」や「講師」は、単に既存の内容を「授ける」だけでなく、未知の新たな知見を開拓する「研究者」が、若者とその場を共有する「高等教育機関」であるはずです。  ところが、日本の現状は先生からしてサラリーマン化してしまい、およそそんな旧制大学みたいな話にはなっていない話ではあります。  これに対して、文部科学省サイドは「粗い考えだ」と反論しているようですが、文科省サイドが過去何十年にもわたって「考えのない教育行政」をだらだらと続けて来た結果、生じている事態でしかありません。  たとえて言うなら、穴の開いたバケツに水を入れて、いつまで経ってもいっぱいにならない、と言っているのと同じこと。  満タン前提で次に進む話を財務省がしているのに、バケツの穴が開いたまま「粗い考え」もへったくれもないわけで、大本は文科行政の改善、改正にあることが明らかです。  では、いったい何が「穴の開いたバケツ」なのか?   我が国の教育課程が完全に底の抜けたバケツになっているから、必然としてこのようなことが発生しているのです。  そのメカニズムから、丁寧に追ってみましょう。 四則演算を大学で教えなければならないわけ  財務省は、定員割れに陥っている私立大学の授業例で、「四則演算や方程式の取り扱い」(数学)、「現在形と過去形の違い」(英語)などを、大学の公開情報から抽出、評価。 「教育内容の質や人材育成の観点で私学助成額を検討する仕組みへの転換」を唱え、「...

クリミア半島はウクライナのものだ。ロシアへの割譲を停戦条件にしてはならない。

<ートランプ氏が停戦合意をまとめたい意向であること示す  ー国際承認を求めてきたプーチン氏にとっては追い風の可能性  米国はウクライナのクリミア地域に対するロシアの支配を認める用意がある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、ロシアとウクライナの和平合意の一環だという。  こうした譲歩の可能性は、トランプ米大統領が停戦合意をまとめたいとの強い意向を持っていることを新たに示している。トランプ氏とルビオ米国務長官は18日、早急に進展がなければ、米政府は和平に向けた仲介から手を引く構えであることを示唆した。  クリミアは2014年、ロシアによる侵攻と、それに続く住民投票によって一方的に併合された。国際社会はこの違法な併合の正当化を避けるため、クリミア半島をロシア領とは認めていない。  ロシア領と認めることになれば、武力による領土獲得を禁じた国際法や条約を損ねる恐れがある。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアへの領土割譲の考えは一切ないと繰り返し表明している。  一方、クリミアをロシア領と認めるよう国際的に求めてきたロシアのプーチン大統領にとっては、今回の動きは大きな追い風となり得る。プーチン氏は今のところ、トランプ氏の広範な和平案に同意していない。  関係者によると、この件について最終的な決定はまだ下されていない。ホワイトハウスと国務省にコメントを求めたが、返答はなかった。一連の交渉に詳しい米当局者はクリミア承認の可能性に関して質問を受けたが、協議の詳細についてコメントを控えた。 ウクライナ難色も  米国は17日、ロシアとウクライナの和平合意の実現に向けた提案をパリで同盟国に提示。これには、戦闘の終結ならびに恒久的な停戦が成立した場合の対ロシア制裁緩和の条件に関する概要が含まれていたと、ブルームバーグは先に報じていた。  関係者によれば、同提案では前線がおおむね凍結され、ロシアが現在占領しているウクライナの多くの領土は事実上、ロシアの支配下にとどまる形となる。また、ウクライナが強く望んでいた北大西洋条約機構(NATO)加盟も議論の対象から外れるという。協議は機密だとして、これ以上の具体的な内容は明かされなかった。  パリではマクロン仏大統領と米国のウィトコフ中東担当特使の会談が行われたほか、ルビオ氏とフランス、ドイツ、英国、ウクライナの国家安全保障顧問や交渉当...

近未来日本は自らの足で立つ国になる。

<間近で最先端の国産技術に触れる貴重なチャンス! 国産の巡航ミサイルも展示予定  防衛省は2025年4月15日、千葉市の幕張メッセで開催される、日本唯一の防衛・セキュリティに関する総合展示会「DSEI Japan 2025」に、車両搭載高出力レーザ実証装置の実機を展示すると発表しました。  これは、防衛装備庁が2021年から2024年にかけて試作したもので、対ドローン用の自走迎撃システムです。高出力のレーザーによってドローン対処に必要な全機能を自衛隊車両1両に集約・搭載しているため、一般道や高速道路、不整地でも自走して移動することができます。  捜索標定および照準については、付属するレーダーを用いて360度全方位から接近するドローンを捜索。発見後は車両上部から高出力のレーザーを照射するビーム指向部がドローンに狙いを定めると、車両後部のシェルター内でオペレーターが最終確認したうえでレーザー照射を開始します。その後、目標であるドローンを継続的に追尾しながら、高出力レーザーを照射することでドローンを破壊します。 「DSEI Japan 2025」の開催期間は5月21日(水)から5月23日(金)までの4日間で、防衛省は前回と同じくブースを設け、各種装備品を展示する予定です。防衛装備庁では、前出の「車両搭載高出力レーザ実証装置」の実機だけでなく、同装置の体験型コンテンツも用意するとしており、ほかにも「12式地対艦誘導弾能力向上型」「レールガン」「戦闘支援型多目的USV」それぞれの模型を展示したり、「島嶼防衛用高速滑空弾」の動画をブース内で流したりする予定です。  また、このほかに陸海空自衛隊の主要装備品も展示するとしています>(以上「乗りものニュース」より引用)  日本が開発した防衛兵器が幕張メッセでお披露目されるという。「千葉県に日の丸「レーザー砲」「レールガン」が集結! 幕張メッセで一体なにが?」との見出しがあった。日本が世界に先駆けて開発した 対ドローン対ミサイル迎撃防衛兵器をいよいよお披露目するという。  対ドローン用の「車両搭載高出力レーザ実証装置」は車両に搭載した移動型のシーザー砲で、襲来する小型ドローンに対して照射することによりドローン本体ではなく搭載した電子回路や半導体を破壊する。  他にも「12式地対艦誘導弾能力向上型」「レールガン」「戦闘支援型多目的...

親中派自公政権に任せ続けた結果が、この有様だ。

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<大阪市内で認定を受けた「特区民泊」5587件(昨年末)のうち、中国人または中国系法人が運営している施設が41%に上ることが、阪南大の松村嘉久教授(観光地理学)の調査でわかった。コロナ禍後に急増しており、経営者向けの在留資格「経営・管理」で同市に住む中国人も増えている。同資格は資本金などの要件を満たせば取得でき、民泊経営を手段に中国人の移住が急激に進んでいる実態が浮かぶ。  市によると、市内には昨年末現在、住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく民泊が5044件、国家戦略特区に基づく特区民泊が5587件あり、それぞれ2020年末から25~73%増えている。  特区民泊は、営業者名が公開されており、松村教授は全5587件の営業者について、法人登記簿などを基に1件ずつ調査した。 大阪市内の特区民泊の営業者  その結果、営業者または営業法人の代表の名前が中国人だったり、住所が中国にあったりした中国系施設が2305件(41%)、その他の外国系が99件(2%)あった。日本人の個人や法人は2343件、判別できないケースは840件あった。中国系はコロナ禍後に急増し、半数は22年以降に市から認定を受けていた。  大阪では経営・管理ビザで滞在する中国人が急増している。在留外国人統計によると、24年6月までの過去5年間の増加数は都道府県別で大阪府が最多の2889人。2位の東京都(1862人)を1000人以上上回っていた。特区民泊を営業できる区域は限られ、大阪市に全国の95%が集中している。  調査では、ビザを取得するため、民泊の運営法人を設立したとみられるケースが多数確認されており、松村教授は「民泊経営と移住が結びつき、今後も移住が進む可能性がある」と指摘している。  ◆ 特区民泊 =訪日外国人客の増加に伴う宿泊施設不足解消を目的に、2014年に始まった。国家戦略特区に認められた大阪府や東京都大田区などで営業できる。住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく民泊は年間の営業日数が180日に制限されるが、特区民泊は制限がない>(以上「読売新聞」より引用) 「 大阪市「特区民泊」施設の4割、中国系が運営…経営ビザを取得し移住する中国人も急増 」という見出しに驚いた。いよいよ中国移民が本格的になるのか、と自公政権が親中政策を採り続けた成果が実ろうとしている。  500万円で日本への事業者ビザが取れるのなら、親...

トランプ関税の本旨は対中デカップリングだ。

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<中国と米国が全面的な貿易戦争に入った。投資家たちの悩みは深く、「どちらが金融カードを切って優位に立てるのか」という点に関心が集まっている。中国の米国債保有は巨大だ。だが実際のところは、中国が米国債売却という伝家の宝刀を抜くのは容易でなく、両国ともに緊張関係の中で均衡を保つ方が自国の利益になるというのが現実だ。  中国国営メディアのコメンテーターは長年、中国政府は米国債を利用して米政府に圧力をかけるべきだと主張してきた。外交問題評議会(CFR)のブラッド・セッツァー氏の推定では、中国の保有残高は1兆1000億ドルに上る。ただ、ベッセント米財務長官は今週、中国の米国債保有は全く影響力を持たないと述べ、歯牙にもかけなかった。  しかし投資家にはベッセント長官のような確信はない。先週、米国債に投げ売りが出て10年物国債利回り(長期金利)が一時4.59%に急騰するのを目の当たりにしたからだ。  資産運用会社には顧客らから質問が殺到している。「かねてから恐れられてきた最悪シナリオ」なのかと。つまり、中国が保有米国債を武器化し、一部または全部を売却することで、米金利を押し上げるという展開だ。目的は貿易交渉で優位に立つためか、中国製品に3けたの輸入関税率を課したトランプ米大統領に報復することか、あるいは両方だ。  こうした懸念は、中国がここ数年外貨準備の多様化を進めてきたことによって、さらに高まっている。しかし、外国為替市場で人民元相場が対ドルで大幅下落し始めた場合、中国は人民元安定化の一環としてドル建て債券を売却することに備え、手元に大量に保有しておく必要がある。  確かに中国人民銀行(中央銀行)は、人民元急落と闘って外貨準備の多くを失った2015年以降、こうした目的で米国債を直接的に売却することには慎重になってきた。だが、中国が通貨防衛の一環で米国債を売却する以外の手段を用いたとしても、結局は米国債という外貨準備の裏付けがなければ実効性はない。  たとえ中国が対米警告として米国債保有残高を限定的に削減したとしても、深刻な危険が伴うだろう。中国人民銀行が米国債を極秘裏に売却するのは困難である上、売却情報が出ただけで、市場では全面売却への懸念が拡大し、世界の金融市場はパニックに陥りかねない。その場合、中国が保有するドル建て資産の価値は落ち込み、人民元の相対的な価値が上昇し、中国の...

中国社会を直撃するトランプ関税。

< 疑わしい時にはブロック体の大文字を使うといい。  ドナルド・トランプは13日、「NOBODY is ‘getting off the hook’(誰も『難を逃れる』ことはない」と投稿した。これは米国がスマートフォンと家電製品を関税の対象から除外することを明らかにした先の発表への紛らわしい追加説明だった。  この適用除外自体が、中国からのすべての輸入品に145%の「相互関税」をかけると発表した前週の政策からの転換だった。そして、この政策自体が、ほんの数日前に発表された関税率を劇的に引き上げる内容だった。読者の皆さんは話についていけているだろうか。 米中が繰り広げる関税ポーカーゲーム  成り行きをそれとなく見守っている人は、関税政策のこうした唐突な変更はホワイトハウスのカオスの証拠だと考えるかもしれない。  トランプファンの考えは違う。金融界の大物のビル・アックマンは以前の唐突なUターンを「鮮やかに実行された・・・教科書通りのディールの技巧」と称賛した(編集部注:『The Art of the Deal』はトランプ自伝の原題)。最も熱心なトランプ支持者は相変わらず、大統領は手練れの戦略家だと主張している。 そうではないと言う人は「トランプ錯乱症候群(TDS)」を患っていると批判される恐れがある。残念ながら、筆者はまだTDSに侵されている(ワクチンは禁止された)。  熱に浮かされた筆者の頭で考える限り、トランプは中国を相手に繰り広げている関税ポーカーゲームで、自分が持っていると考えていたカードよりはるかに弱い手札しか持っていない。 トランプがこれをはっきりと認めるのに時間がかかればかかるほど、トランプ自身と米国が失うものが大きくなっていく。  トランプとその配下の「貿易戦士」が起点とするのは、関税をめぐる紛争では中国が自動的に不利な立場に置かれるという想定だ。財務長官のスコット・ベッセントは、中国は「2のペアで勝負している・・・(中略)我々が向こうに輸出しているものは向こうが輸出してくるものの5分の1に過ぎないため、これは相手にとって不利な手札だ」と主張した。 トランプのロジックに欠点、値上げで苦しむのは米国人  トランプとベッセントのロジックに潜む欠点は、アダム・ポーゼンがフォーリン・アフェアーズ誌に寄せた最近の論文で明快に説明されている。  ポーゼンが指摘するよう...