石破氏はイタリア首相メローニ氏のトランプ会談をお手本にすべきだ。
<焦っているのはトランプ
「大統領は焦っています。日本を皮切りに75ヵ国もの国々と取引を急ぎ、7月4日の独立記念日には、自らの成果として発表したいはずです」
ニューヨーク在住のジャーナリストからこんなメールが送られてきたのは4月18日。日本時間で言えば、トランプ大統領が赤沢経済再生相とホワイトハウスで会談した翌日のことだ。
筆者は、トランプ氏が就任3か月で実行してきた猫の目のように変わる関税政策や一方的な外交には、3つの「〇〇したい」が隠されていると見ている。
(1)中間選挙で勝ちたい
関税政策でアメリカに投資を呼び込み、中国を叩いた後、法人税や所得税の大減税に踏み切れば、今は40%前半まで落ち込んでいる支持率も回復するはず。
(2)ノーベル平和賞をもらいたい
ウクライナ戦争とガザ・イスラエル紛争を、「禁じ手」を使ってでも早期に終結させられれば、オバマ元大統領でも取れたノーベル平和賞が見えてくるはず。
(3)もう1期やりたい
現行憲法では「2期まで」となっている大統領職を、「自分は連続2期ではないから」と解釈。実績さえ積めば、「もう1期」を求める声が上がるはず。
これらは、昨年11月の大統領選挙でトランプ氏が勝利した当初から、アメリカ国内で囁かれてきたことだが、トランプ氏は変わらず、「〇〇したい」の実現に邁進しているように見える。
「トランプ氏は、関税をめぐる取引を長引かせたくないのです。早く減税のフェーズに進んで株価を爆上げしたいと考えています。中国に対しても関税145%からの大幅な引き下げを匂わせ、習近平国家主席との直接交渉を狙っています。ですから、日本はじっくり構えて交渉すれば、トランプ氏のほうが焦ってくると思います」(前出のジャーナリスト)
「大統領は焦っています。日本を皮切りに75ヵ国もの国々と取引を急ぎ、7月4日の独立記念日には、自らの成果として発表したいはずです」
ニューヨーク在住のジャーナリストからこんなメールが送られてきたのは4月18日。日本時間で言えば、トランプ大統領が赤沢経済再生相とホワイトハウスで会談した翌日のことだ。
筆者は、トランプ氏が就任3か月で実行してきた猫の目のように変わる関税政策や一方的な外交には、3つの「〇〇したい」が隠されていると見ている。
(1)中間選挙で勝ちたい
関税政策でアメリカに投資を呼び込み、中国を叩いた後、法人税や所得税の大減税に踏み切れば、今は40%前半まで落ち込んでいる支持率も回復するはず。
(2)ノーベル平和賞をもらいたい
ウクライナ戦争とガザ・イスラエル紛争を、「禁じ手」を使ってでも早期に終結させられれば、オバマ元大統領でも取れたノーベル平和賞が見えてくるはず。
(3)もう1期やりたい
現行憲法では「2期まで」となっている大統領職を、「自分は連続2期ではないから」と解釈。実績さえ積めば、「もう1期」を求める声が上がるはず。
これらは、昨年11月の大統領選挙でトランプ氏が勝利した当初から、アメリカ国内で囁かれてきたことだが、トランプ氏は変わらず、「〇〇したい」の実現に邁進しているように見える。
「トランプ氏は、関税をめぐる取引を長引かせたくないのです。早く減税のフェーズに進んで株価を爆上げしたいと考えています。中国に対しても関税145%からの大幅な引き下げを匂わせ、習近平国家主席との直接交渉を狙っています。ですから、日本はじっくり構えて交渉すれば、トランプ氏のほうが焦ってくると思います」(前出のジャーナリスト)
日本政府に必要な「スコーピング」
とはいえ、7月4日の独立記念日までそれほど時間はない。日本では、前日の7月3日、参議院選挙の公示日を迎えるだろうし、7月8日には、トランプ氏が90日に設定した相互関税一時停止の期限を迎える。
すでに日本側は、交渉担当の赤沢経済再生相がトランプ氏と会談したのに続き、加藤財務相もベッセント財務長官との協議を終えた。
今後は、赤沢氏が再渡米しての協議が注目されるが、在日アメリカ軍の駐留経費負担、アメリカ製自動車の販売促進、貿易赤字の解消に加え、コメ市場の開放やドル安への誘導まで求める姿勢に変化はないだろう。
そんな中、ヒントになりそうなのが、今から約6年前、1期目のトランプ政権で通商代表を務めたライトハイザー氏と茂木経済財政再生相(当時)の交渉である。
トランプ氏から「タフネゴシエーター」と称されることになる茂木氏は、日米貿易交渉の直前、2019年4月12日に行った記者会見で次のように語っている。
「テタテの交渉(通訳だけを入れた秘密交渉)になると思いますので、本当にやってみないと分からない、これが率直なところでありますが、まずはスコーピングを決めていくと。それぞれ重視する項目があるわけですから、ライトハイザー氏と胸襟を開いて話し合い、お互いの意見を率直に交換することで理解を深めたいと思います」
茂木氏が言うスコーピングとは、優先順位を決め、対象を絞って交渉するということだ。
たとえば、トランプ氏がアメリカ軍の駐留経費問題を見せ球に、「アメ車が売れない」「貿易赤字も相当なものだ」と不満を言い続けるなら、安保と貿易は切り離し、貿易面に絞ることだ。
そのうえで、アメ車の燃費やサイズ等、日本で売るための改善点を示し、「液化天然ガス(LNG)や、大統領閣下にちなんだF-47と呼ばれる次世代戦闘機なら購入します」と提案してみればいい。
液化天然ガスのようなエネルギー資源の輸出入は複数年の契約が普通で、F-47戦闘機も、開発を前に、トランプ氏が第47代大統領であることから命名された戦闘機だ。トランプ氏にとって悪い気はしないだろう。
とはいえ、7月4日の独立記念日までそれほど時間はない。日本では、前日の7月3日、参議院選挙の公示日を迎えるだろうし、7月8日には、トランプ氏が90日に設定した相互関税一時停止の期限を迎える。
すでに日本側は、交渉担当の赤沢経済再生相がトランプ氏と会談したのに続き、加藤財務相もベッセント財務長官との協議を終えた。
今後は、赤沢氏が再渡米しての協議が注目されるが、在日アメリカ軍の駐留経費負担、アメリカ製自動車の販売促進、貿易赤字の解消に加え、コメ市場の開放やドル安への誘導まで求める姿勢に変化はないだろう。
そんな中、ヒントになりそうなのが、今から約6年前、1期目のトランプ政権で通商代表を務めたライトハイザー氏と茂木経済財政再生相(当時)の交渉である。
トランプ氏から「タフネゴシエーター」と称されることになる茂木氏は、日米貿易交渉の直前、2019年4月12日に行った記者会見で次のように語っている。
「テタテの交渉(通訳だけを入れた秘密交渉)になると思いますので、本当にやってみないと分からない、これが率直なところでありますが、まずはスコーピングを決めていくと。それぞれ重視する項目があるわけですから、ライトハイザー氏と胸襟を開いて話し合い、お互いの意見を率直に交換することで理解を深めたいと思います」
茂木氏が言うスコーピングとは、優先順位を決め、対象を絞って交渉するということだ。
たとえば、トランプ氏がアメリカ軍の駐留経費問題を見せ球に、「アメ車が売れない」「貿易赤字も相当なものだ」と不満を言い続けるなら、安保と貿易は切り離し、貿易面に絞ることだ。
そのうえで、アメ車の燃費やサイズ等、日本で売るための改善点を示し、「液化天然ガス(LNG)や、大統領閣下にちなんだF-47と呼ばれる次世代戦闘機なら購入します」と提案してみればいい。
液化天然ガスのようなエネルギー資源の輸出入は複数年の契約が普通で、F-47戦闘機も、開発を前に、トランプ氏が第47代大統領であることから命名された戦闘機だ。トランプ氏にとって悪い気はしないだろう。
10年前のTPP交渉は大きなヒント
「交渉するときは相手が嫌がることをするのが常套手段。相手に同調することなく、最後までわからず屋を通すほうが必ず勝ちます」
これは、2015年10月のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉のとりまとめに奔走した責任者の1人、西川公也元農相が語ってくれた言葉である。
当時、アメリカはオバマ政権。トランプ政権を相手にこの交渉術は通用せず、複数の国と行うTPP交渉と日米2国間の交渉とでは難しさも異なる。
ただ、西川氏はのちに、著書『TPPの真実〜壮大な協定をまとめあげた男たち』(開拓社)の中で、TPP交渉も、日米が参加国全体のGDPの8割以上を占めていた現状から、事実上、「日米のFTA(日米2国間の自由貿易協定)交渉」だったと明らかにしている。
このとき、日本側は、アメリカ産よりも安くて良い製品や農産品を見つける戦術をとっている。「他国産のほうが安くて上質」と具体例を示せば、アメリカも「攻め」一辺倒ではいかず、「これはまずい」と焦り始める…という戦法だ。
TPP交渉で言えば、「それなら牛肉や砂糖は豪州産を買うよ」とアメリカのゴリ押しをのらりくらりとかわした点、あるいは、結果を急ぐアメリカに対し、日本側は「別に急いで決めなくてもいい」という姿勢で、じらし続けた点などは、今後の日米交渉でも参考にしたいところだ。
「交渉するときは相手が嫌がることをするのが常套手段。相手に同調することなく、最後までわからず屋を通すほうが必ず勝ちます」
これは、2015年10月のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉のとりまとめに奔走した責任者の1人、西川公也元農相が語ってくれた言葉である。
当時、アメリカはオバマ政権。トランプ政権を相手にこの交渉術は通用せず、複数の国と行うTPP交渉と日米2国間の交渉とでは難しさも異なる。
ただ、西川氏はのちに、著書『TPPの真実〜壮大な協定をまとめあげた男たち』(開拓社)の中で、TPP交渉も、日米が参加国全体のGDPの8割以上を占めていた現状から、事実上、「日米のFTA(日米2国間の自由貿易協定)交渉」だったと明らかにしている。
このとき、日本側は、アメリカ産よりも安くて良い製品や農産品を見つける戦術をとっている。「他国産のほうが安くて上質」と具体例を示せば、アメリカも「攻め」一辺倒ではいかず、「これはまずい」と焦り始める…という戦法だ。
TPP交渉で言えば、「それなら牛肉や砂糖は豪州産を買うよ」とアメリカのゴリ押しをのらりくらりとかわした点、あるいは、結果を急ぐアメリカに対し、日本側は「別に急いで決めなくてもいい」という姿勢で、じらし続けた点などは、今後の日米交渉でも参考にしたいところだ。
学ぶべきはイタリアの女性宰相の営業トーク
もう1つヒントになるのが、イタリアのメローニ首相の交渉術だ。トランプ氏が日本の次に交渉相手として選んだのがイタリアで、ホワイトハウスに招き入れて会談したのがメローニ氏である。
3年前、45歳で首相の座に就いたメローニ氏は、右派連合を束ねる政治家だ。首相就任時には、欧州の極右政党がこぞって歓迎の意を表明したが、極端に右旋回することなく、中道右派勢力やリベラル色が強い他のEU首脳とも上手に付き合ってきた。
トランプ氏ともソリが合うらしく、トランプ氏が大統領選挙で勝利した後、フロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」に招いたEUの首脳はメローニ氏だけである。
そんな彼女が、トランプ氏との会談で、「私の目標は西洋を再び偉大にすることだ」と述べ、「双方を強くするベストな方法を探すために来た」と明言したことは、媚びるでもなく、ひれ伏すでもなく、見事と言うしかない。
メローニ氏との会談中、トランプ氏が彼女の首相としての仕事ぶりや移民に強硬な姿勢をとってきたことを称え、「他の多くの政治家もメローニ氏のようならいいのに」と述べたのは最上級の賛辞ととらえていい。
イタリアはアメリカに自動車や高級バッグ、ワインやチーズなどを輸出している。その額はドイツやフランスに次ぐ3番目の大きさだ。当然ながら追加関税は痛い。
ところが、メローニ氏自ら訪米し、イタリアの国益ばかり主張せず、トランプの口ぐせを真似たり、トランプ氏が欲している言葉で接したりしたことで、このところ不仲のアメリカとEUの橋渡しまでできた。この外交姿勢は日本にとって学ぶべきものだ。
もう1つヒントになるのが、イタリアのメローニ首相の交渉術だ。トランプ氏が日本の次に交渉相手として選んだのがイタリアで、ホワイトハウスに招き入れて会談したのがメローニ氏である。
3年前、45歳で首相の座に就いたメローニ氏は、右派連合を束ねる政治家だ。首相就任時には、欧州の極右政党がこぞって歓迎の意を表明したが、極端に右旋回することなく、中道右派勢力やリベラル色が強い他のEU首脳とも上手に付き合ってきた。
トランプ氏ともソリが合うらしく、トランプ氏が大統領選挙で勝利した後、フロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」に招いたEUの首脳はメローニ氏だけである。
そんな彼女が、トランプ氏との会談で、「私の目標は西洋を再び偉大にすることだ」と述べ、「双方を強くするベストな方法を探すために来た」と明言したことは、媚びるでもなく、ひれ伏すでもなく、見事と言うしかない。
メローニ氏との会談中、トランプ氏が彼女の首相としての仕事ぶりや移民に強硬な姿勢をとってきたことを称え、「他の多くの政治家もメローニ氏のようならいいのに」と述べたのは最上級の賛辞ととらえていい。
イタリアはアメリカに自動車や高級バッグ、ワインやチーズなどを輸出している。その額はドイツやフランスに次ぐ3番目の大きさだ。当然ながら追加関税は痛い。
ところが、メローニ氏自ら訪米し、イタリアの国益ばかり主張せず、トランプの口ぐせを真似たり、トランプ氏が欲している言葉で接したりしたことで、このところ不仲のアメリカとEUの橋渡しまでできた。この外交姿勢は日本にとって学ぶべきものだ。
トランプが大幅な譲歩を迫られる日
トランプ氏が、先に述べた3つの「〇〇したい」を現実に近づけるには、高関税政策を長期化させるわけにはいかない。
たとえば、Appleはアメリカで販売するiPhoneの大半を中国で生産しており、アメリカで売られている子ども用玩具もほとんどが中国産だ。
もっと言えば、アメリカの戦闘機に使われている「ガリウム」や「ジスプロシウム」といったレアアースの90%以上が、高い精錬技術を誇る中国からアメリカに輸出されている。
つまり、トランプ氏による高関税で中国の報復が長期化すれば、スマホもおもちゃも戦闘機も枯渇してしまうのだ。これでは、株安の市場や物価高に苦しむ支持者はもとより、トランプ氏を大統領へと押し上げた共和党も黙ってはいられなくなる。
すでにトランプ氏は、中国に対し、「関税を下げます」「習氏に会いたいです」とシグナルを送り続けている。その中国は、習氏自ら東南アジアを歴訪し、トランプ関税に対する共闘を呼びかけるなど、「我こそ正義」と言わんばかりに同調国を募っている。
幸い、各国が中国にもろ手を挙げて同調したわけではないが、トランプ氏が市場と世論の反発を受け、大幅な譲歩を迫られる日は近い。それは前述したように7月かもしれない。
日本としては、意外と弱い立場のトランプ氏の足元を見ながら時間を稼ぎ、少しでも有利な形にもっていきたいものだ>(以上「現代ビジネス」より引用)
「トランプが中国に焦り始めたいま、日本が有利にコトを運ぶ「したたか交渉」の意外な秘策」と題して清水 克彦(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授)氏がトランプ関税に関する今後の見通しを書いている。
トランプ氏が、先に述べた3つの「〇〇したい」を現実に近づけるには、高関税政策を長期化させるわけにはいかない。
たとえば、Appleはアメリカで販売するiPhoneの大半を中国で生産しており、アメリカで売られている子ども用玩具もほとんどが中国産だ。
もっと言えば、アメリカの戦闘機に使われている「ガリウム」や「ジスプロシウム」といったレアアースの90%以上が、高い精錬技術を誇る中国からアメリカに輸出されている。
つまり、トランプ氏による高関税で中国の報復が長期化すれば、スマホもおもちゃも戦闘機も枯渇してしまうのだ。これでは、株安の市場や物価高に苦しむ支持者はもとより、トランプ氏を大統領へと押し上げた共和党も黙ってはいられなくなる。
すでにトランプ氏は、中国に対し、「関税を下げます」「習氏に会いたいです」とシグナルを送り続けている。その中国は、習氏自ら東南アジアを歴訪し、トランプ関税に対する共闘を呼びかけるなど、「我こそ正義」と言わんばかりに同調国を募っている。
幸い、各国が中国にもろ手を挙げて同調したわけではないが、トランプ氏が市場と世論の反発を受け、大幅な譲歩を迫られる日は近い。それは前述したように7月かもしれない。
日本としては、意外と弱い立場のトランプ氏の足元を見ながら時間を稼ぎ、少しでも有利な形にもっていきたいものだ>(以上「現代ビジネス」より引用)
「トランプが中国に焦り始めたいま、日本が有利にコトを運ぶ「したたか交渉」の意外な秘策」と題して清水 克彦(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授)氏がトランプ関税に関する今後の見通しを書いている。
ただトランプ氏二期目の三ヶ月を見る限りでは「(1)中間選挙で勝ちたい、(2)ノーベル平和賞をもらいたい、(3)もう1期やりたい」の三つの願望が透けて見えるという。
中間選挙で勝ちたい、とトランプ氏が本気で思っているなら、70ヶ国以上に課すと脅しているトランプ関税は常識的な範囲内に落ち着くだろう。なぜなら現在発表している関税を世界各国に課したなら、米国に再びインフレを再燃させるのは確実だからだ。
ノーベル平和賞が欲しい、というのは案外簡単かもしれない。なにしろオバマ大統領が殆ど実効性のない核兵器廃絶の演説で受賞しているからだ。トランプ氏がウクライナ停戦を実現させれば確実に受賞すると思われる。
しかし米大統領を猛一揆やりたい、というのは全米から大反発を招き、予備選を勝ち抜くことは出来ないだろう。ただ抜け道としてダミーの大統領候補をトランプ氏が応援し、彼に副大統領としてトランプ氏を指名させ、そのダミー氏が当選後に大統領を辞退し、副大統領のトランプ氏が大統領に繰り上がる、という法の抜け穴を利用する、という筋書きがあったとしても、それを米国民は許すだろうか。米大統領は二期連続以上を許さない、という規定がない。だからトランプ氏は二期連続でないから三期目も許される、という理屈を考えているとの話もあるが、高齢のトランプ氏が「次」も狙っていると考える方がどうかしていないだろうか。
トランプ関税を撤回させる「手」としてイタリア首相メローニ氏がトランプ氏「私の目標は西洋を再び偉大にすることだ」と述べ、「双方を強くするベストな方法を探すために来た」と明言したとはトランプ関税に対する素晴らしい返しではないか。
石破氏は勇気を持って渡米しトランプ氏と会談して「私の目標は太平洋西岸と東岸の両方を強くすることだ」と堂々と発言することだ。「そのために日米とも強くなるための話し合いに来た」とトランプ氏に対日トランプ関税の撤廃を申し出て、個別品目に関しては担当者間の話し合いを見守ろう、と申し出てはいかがだろうか。
まさかトランプ氏は日本の弱体化を願ってはいないはずだ。日本が弱体化して中国に併呑されれば、米国の安全が太平洋を挟んで直接脅かされることになるからだ。石破氏はイタリア首相メローニ氏のトランプ会談をお手本にすべきだ。