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野獣の駆除とその有効活用の町。

<「その手の怪我どうしたんですか?」  「昨日、サルが出ましてね。自転車で追いかけていたら転倒したんですよ。ほら、膝も擦りむいているでしょ」  小誌記者の質問に満面の笑みを浮かべながらズボンの裾をたくし上げ、名誉の負傷と言わんばかりに話してくれたのは、島根県美郷町美郷バレー課長の安田亮さん。記者が安田さんのもとを訪問するのはこれで3度目だ。しかし、今が最も充実しているように見える。単なる鳥獣害対策の町ではなく、それを起点とした「地域づくり」が本格化しているからだ。  美郷町は「おおち山くじら」の名前で、イノシシによる獣害対策の成功モデルとして全国から視察の訪問が絶えない町として知られている。その仕掛け人が安田さんなのだ。   「私は大学で野生生物のことを学んだことはありません。ただ、鳥獣害対策と聞くと、『野生動物をどうするか?』と考えがちになりますが、それは間違いです。私たち『住民がどうするか?』を考えなければならないのです」  安田さんがイノシシ対策に向き合ったのは25年前にさかのぼる。それまで地域企画課で「地域づくり」を担当してきたが、補助金頼みで政策を打ち出しても持続性がないことをまざまざと実感させられていた。産業振興課に異動となり、鳥獣害、林業の担当になった。今度は、補助金に頼らない取り組みを考えた。  「全国に共通する鳥獣害対策のノウハウを蓄積することができれば、観光資源のない美郷町にも多くの人が訪れてくれるはずと思いました」  まず取り組んだのが、農家自身が対策を行う「主体者」となることだ。当時は、猟友会にお願いしてイノシシを駆除してもらうことが一般的だった。ただ、農作物被害の多い夏場は、狩猟者にとってメリットが少ない。イノシシの肉は脂の乗った冬場のものでなければ商品価値が低いからだ。そのため、農家にとって必要な夏場のイノシシ駆除はなかなか進まなかった。  そこで農家が狩猟免許を取得し、箱罠でイノシシを捕獲できるようにした。まさに逆転の発想である。そして、イノシシ肉の処理施設まで「生体搬送」して処理するなどして「夏場のイノシシ肉は美味しくない」という風評を覆すことに成功した。  安田さんは言う。「『地域づくりの診断書』として、僕がよく使う数式があります。それは、『地域づくり』―『補助金事業』=『何が残っているか?』というものです。この引き算で何も残ってい...

再エネは電気料金を高騰させるだけの無用の長物でしかない。

< 現代文明のエネルギー  我々の日常に「エネルギー」が必要不可欠であることは言うまでもないだろう。エネルギー無くしては、スマホ、パソコン、電車、自動車、工場、さらにはビルの空調やエレベーターでさえ動かない。もちろん、自宅で観るテレビや料理をするコンロでもエネルギーを消費する。  我々の日常生活、社会生活はエネルギー無しでは到底成り立たないのだ。  そして、「現代文明」を支えるエネルギーが「いつまでもつのか」という大きな疑問が沸き上がっている。  もちろん、明日、来年無くなるというような話ではない。だが、数十年単位では「エネルギーの枯渇」がかなり深刻な問題になるであろう。また、100年ぐらいで「実際の枯渇」に直面するかもしれない(後述)。  もちろん、人力車や馬車なども人間や馬が生み出すエネルギーで動くし、風車も風で動く。このような古代から我々が手に入れていた「エネルギー」が無くなってしまうのではない。 「枯渇」するのは、産業革命以降、人類の文明を飛躍的に発展させた化石燃料によるエネルギーである。  2021年8月21日公開「脱炭素・EV推進、『合理的な科学的根拠が無い』この方針は、もはや『宗教』だ」など多数の記事で述べた「脱炭素教」によって、まるで「悪魔」のごとく悪者にされているのが化石燃料だ。しかし、3月21日公開「化石燃料はこれからも重要だ。そして、インフレは投資家最大の敵だ!」、2020年5月6日公開「原油先物マイナスでも『世界は化石燃料で回っている』と言えるワケ」というのが真実である。  実際、我々がごく当たり前だと思っている文明の大部分が、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった「産業革命」以降に生まれている。  そして産業革命を象徴するのが「蒸気機関」であるが、これは石炭という化石燃料を我々が活用できたからこそ大進化した(薪では限界があった)。その後の工場を始めとする機械、鉄道、自動車などの発展にも石油・天然ガスを含む化石燃料が多大な貢献をしている。 「電気文明」も化石燃料のおかげ  もう一つ忘れてはならないのは、現代の「電気文明」も化石燃料の恩恵の一つであるということである。  ガス灯は、英国人技師のウィリアム・マードックが1792年、石炭から得たガスの炎で自宅の照明に利用したのが始まりである。それまで、「夜は真っ暗」であった世界にまさに「灯りを灯し...

経済崩壊が社会崩壊に激変する時は。

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< 改革開放から逆戻り、中国国民に不満広がる-政治リスクとなり得るか ◎長期的な生活水準向上、習指導部の下で揺らぎつつある ◎中国の都市では2人につきほぼ1台の監視カメラ-統制、さらに強化  中国経済の奇跡が終わろうとし、中国共産党の習近平総書記(国家主席)は前任者の誰も経験しなかった課題に直面している。人口14億人の中国は過去40年間、所得と富の比類なき向上を享受してきたが、今は違う。  不動産の相場急落や米国との貿易戦争、当局による企業締め付け、長期にわたった新型コロナウイルス規制などが、中国に繁栄をもたらしてきた成長エンジンを失速させた。  中国の所得はまだ増えているものの、習指導部の下では1980年代後半以後で最も鈍い伸びとなっている。不動産危機が家計資産を目減りさせ、中国社会を慎重に開放させていくという取り組みは逆回転している。  中国国民は以前とは全く違う世界に住んでいるかのように感じている。民主主義国家であれば、今のような暗いムードは政治リーダーにとってはトラブルの元となるだろう。  1980年の米大統領選を制したロナルド・レーガン氏以来、「あなたの暮らしは4年前と比べ良くなりましたか」と米国の大統領候補は有権者に問いかけてきた。答えが「ノー」なら、政権交代が近いことを意味する。 暗黙の了解  中国に選挙はないが、政治はある。中国の政治情勢が安定している理由の一つは、長期的に見て生活水準が向上していることだとされている。これはしばしば、明文化されていない駆け引きの一端と見なされている。共産党の統治下で豊かになり続ける限り、国民は政治に関してほとんど何も言えないことを容認している。  インフレが猛威を振るった1989年には、北京の天安門広場で民主化を求める学生らデモ参加者が流血の弾圧を受けた。しかし、大まかに言えば、1978年に鄧小平氏が第11期中央委員会第3回総会(3中総会)で「改革開放」政策を始めて以来40年以上にわたり、この取り決めは維持されてきた。  習体制でそれが崩れつつある。公式データによれば、平均所得は依然として上昇しており、世界的に見れば健全なペースだ。だが、習政権下での所得向上は改革開放時代のどの指導部よりも鈍く、勢いが衰えている。  人材紹介のプラットフォーム智聯招聘によると、会社員のほぼ3分の1が昨年、給与を減らした。不動産からテク...

政治にカネがかかるのではなく、贅沢三昧の暮らしにカネがかかるのか。

<デタラメは「ドンペリ」だけではなかった。日刊ゲンダイの調べで「裏金」を原資に計約45万円分もの高級シャンパンやワインの購入が発覚した世耕弘成・前参院幹事長(自民を離党)。2018年からの5年間で1542万円を裏金化していた資金管理団体「紀成会」は2月末、政治資金収支報告書を訂正し、支出として「贈答品代」などを追記した。  その際、添付した領収書を情報公開で入手したところ、追記分(21~22年)の63枚にはナント、宛名に「紀成会」と記されたものが1枚も存在しないのだ。内訳は宛名ナシが最も多く32枚。次いで「世耕弘成事務所」14枚、「世耕弘成後援会」6枚、「世耕弘成後援会事務所」3枚、「世耕弘成選挙事務所」2枚など。ちなみに、地元・和歌山には世耕氏本人が代表を務める政治団体があり、その名は「世耕弘成後援会」である。 「後援会の支出を紀成会に振り替えた場合、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いが生じます」(神戸学院大教授・上脇博之氏) 私物化の可能性も  驚くのは「世耕弘成」と宛名に個人名が記された領収書が4枚あることだ。うち1枚は21年6月24日に東京・三越銀座店で30万円分の商品券を購入したもの。22年7月20日に高級万年筆で知られるモンブラン銀座本店で、現金5万3900円を支払ったものもある(同②)。金額から推察すると、同店の高級ボールペンを1本購入したとみられる。  いずれも収支報告書には「贈答品代」として計上。仮に選挙区内の有権者に贈っていれば公選法違反罪に問われかねない。世耕事務所に贈り先を質問しても一切、答えようとしない。 「プライベートな支出を紀成会に振り替えたら、改めて政治資金規正法違反の疑いが生じます。それにしても世耕氏個人宛ての領収書まで添付するとは、あまりにも一般常識からかけ離れています。裏金の額とつじつまを合わせるため、手元の領収書を必死でカキ集めた感は否めません。世耕氏は裏金の管理を『秘書に任せきりだった』と説明しましたが、本当でしょうか。個人宛ての領収書は裏金を私物化していた可能性すらうかがわせます」(上脇博之氏)  裏金でドンペリやモンブランのペンを買いまくるとは、世耕氏のブランド好きは度が過ぎている>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)  日刊ゲンダイの記事によると「「裏金」を原資に計約45万円分もの高級シャンパンやワインの購入が発覚した世...

慶賀すべき新型エンジンの発表会。

<トヨタ自動車は28日、脱炭素社会の実現に向けた新型エンジンを開発すると発表した。従来のエンジンに比べ高効率・高出力を実現しつつ排気量を抑えて小型化、多様なカーボンニュートラル燃料にも対応させる。新型エンジンとモーターやバッテリーなどの電動ユニットとの最適な組み合わせを目指す。  SUBARU(スバル)、マツダも加えたこの日の3社合同説明会では、マツダもロータリーエンジン、スバルも水平対向エンジンを電動化時代に合わせて進化させる意向を示した。  仕入先のエンジン部品メーカーが金融機関から融資を受けにくい現状もあり、3社はエンジンを生かした車を作り続ける方針を強く表明することで仕入先を支援し、サプライチェーン維持を図る。  トヨタの佐藤恒治社長は「電動化を前提とすることで、エンジン構造の合理化、小型化を図り、搭載の自由度を高めていく」と説明。「ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の実現を可能にする電動化時代に最適なエンジンを開発する」と語った。欧米を中心にEVの成長が鈍化する中、脱炭素への現実解としてHVの需要が高まっており、中国ではPHVも増えつつある。 <トヨタの新型エンジン、今後強まる排ガス規制に対応>  トヨタは脱炭素の実現に向け、各地域のエネルギー事情などに合わせて電気自動車(EV)、HVやPHV、水素エンジン車などを提供する「マルチパスウェイ(全方位)戦略」を推進しており、新型エンジンもこの戦略の一環。  開発したのは、1.5L(リットル)エンジン、1.5Lと2.0Lのターボエンジン。1.5Lエンジンは従来の3気筒から4気筒にして小型化、現行比で体積・全高を10%低減。1.5Lターボエンジンは同等の出力になる既存の2.5Lエンジンと比べて体積を20%、全高を15%低減した。2.0Lのターボエンジンは既存の2.4Lターボエンジンに比べて体積・全高ともに10%低減した。  現行エンジンはそのままでは今後強まる排出ガス規制に適合できないが、新型エンジンは小型化などにより、触媒が少なくて済み、コストを抑制できる。  トヨタの中嶋裕樹副社長はロイターなどの取材で、開発したエンジンは「いぶし銀の俳優。主役にも名脇役にもなれる」と説明。エンジンの小型化でボンネットが短く低くなることから「格好良いから売れる。収益が上がる」と述べた。  市販化の時期は...

玩具の兵隊を弄ぶ時代錯誤。

< 台湾海峡を取り囲むように 「台湾有事は日本有事」という言葉を世に流布したのは、故・安倍晋三元首相だ。だがいまや、「新総統就任が台湾有事」になってきた。   先週のこのコラムで、5月20日に台北の総統府前広場で行われた頼清徳(らい・せいとく)総統の就任式の模様を、速報でお伝えした。  すると就任式のわずか3日後の5月23日から、中国の人民解放軍と海警局(人民武装警察部隊海警総隊)が、ものものしい軍事演習を、台湾海峡を取り囲むように行った。  今回の演習は「連合利剣-2024A」と名づけられたが、これは今後、「B」「C」……と続いていくことを示唆している。  この演習の方針と目的について、中国国防部(防衛省に相当)の機関紙『解放日報』(5月23日付)は、「東部戦区は台湾島周辺で、『連合利剣-2024A』演習を展開する」と題した記事で、こう説明した。 〈 5月23日から24日まで、中国人民解放軍東部戦区組織戦区の陸軍、海軍、空軍、ロケット軍などの兵力は、台湾島周辺で「連合利剣-2024A」演習を展開する。  海空戦の準備、警備、巡回を組み合わせた演習や訓練、戦場で総合的な統制権の一致した奪取、目標に合同で精確に危害を与える科目などに重点を置く。艦艇や航空機は、台湾島周辺の戦域近くまで向かい、島嶼内外が一体となって連動し、(東部)戦区部隊の合同の作戦能力を検証する。  東部戦区の李熹海報道官(大校=一佐に相当)は述べた。「これは『台湾独立』分裂勢力が『独』(毒)の行動を謀ることに対して、懲罰するものであり、外部勢力が挑発に干渉することに対する厳重な警告だ」 〉  このように、頼清徳新政権への「懲罰」であり、おそらくはアメリカを筆頭として日本も含まれるであろう外部勢力に対する「警告」だというのである。 就任演説の中に含まれた「挑発」  実際、中国は、頼清徳新総統に対して、5月20日の就任演説で、「一つの中国」を承認するよう要求していたものと思われる。だが、頼新総統はこれを無視し、代わりに決然とこう述べた。 「中華民国台湾は主権を持つ独立国家であり、主権は民にある」 「中国が中華民国の存在の事実を正視し、台湾人の選択を尊重することを願う」 「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属していない」 「中華民国であれ、中華民国台湾であれ、あるいは台湾であれ、すべてわれわれもしく...

現状のまま日中・日韓関係を改善してどうするのか。

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<岸田首相と中国の 李強リーチャン 首相は26日に韓国・ソウルで開いた会談で、「戦略的互恵関係」の推進などを確認したものの、東京電力福島第一原子力発電所の処理水問題など個別の懸案で隔たりは埋まらなかった。  日本政府は今後、第三国での国際会議に合わせた 習近平シージンピン 国家主席との首脳会談を模索し、引き続き解決の糸口を探る。  岸田首相は会談で、「大局的な観点のもと、今後の両国政府の取り組みに指針を与えるため、意見交換を深めたい」と呼びかけた。李氏は「国際政治、経済情勢は複雑な変化が起きつつあり、中日関係にも影響をもたらしている。日本が中国と共にさらに歩み寄り、行き違いを適切に管理することを希望する」と語った。  最大の懸案である処理水放出を受けた中国による日本産水産物の輸入禁止措置を巡っては、李氏が処理水を「核汚染水」と呼ぶなど協議は平行線をたどり、日本が求める即時撤廃では折り合えなかった。両首相は事務レベルでの協議加速を申し合わせたが、これまでに2回行われた日中両政府の専門家協議で、中国は原発周辺の土壌など調査範囲の拡大を求めており、早期解決は難しそうだ。  岸田首相は、沖縄県・尖閣諸島周辺で相次ぐ中国船の領海侵入に「深刻な懸念」を表明し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が無断で設置したブイの即時撤去も改めて要求した。中国当局に拘束された邦人の早期解放も働きかけたが、いずれも具体的な進展はなかった。  中国による台湾周辺での軍事演習にも懸念を伝え、「最近の軍事情勢を含む動向を注視している。台湾海峡の平和と安定は、国際社会にとって極めて重要だ」と強調した。中国外務省によると、李氏は台湾問題について「中国の核心的利益の中の核心で、一つのレッドライン(越えてはならない一線)だ」と述べ、日台連携の動きをけん制した。  日本政府関係者は「主張すべきことを主張すれば、李氏を通じてトップの習氏に伝わる。本当の勝負は習氏との会談だ」と話す。岸田首相は日中関係の安定化や個別の懸案解決に向け、習氏が出席を見込む11月のブラジルでの20か国・地域(G20)首脳会議などの機会を捉えた首脳会談を目指す方針だ>(以上「読売新聞」より引用)  読売新聞は「 「処理水」「邦人拘束」なお溝…日中首脳会談、日本「本当の勝負は習氏との会談だ」 」との見出しで日中韓首脳会談を報じている。なぜ...

中共政府の不可解な不動産バブル処理がもたらす中国の崩壊と日本の危機に備えよ。

< 住宅買い取り策は奏功するのか  中国の不動産市況の悪化に歯止めがかからない。今年4月、主要70都市の新築住宅価格は前月比0.6%下落した(単純平均)。  不動産市況の悪化が止まらないため、不動産デベロッパーのドル建て社債に加え、人民元建て債権のデフォルト懸念も高まっている。不動産バブル崩壊の後遺症は深刻だ。  5月17日、中国政府は不動産市況の悪化を食い止めるため、国内で売れ残った住宅在庫の買い取り策を発表した。  かなり思い切った政策とはいえるのだが、その効果について疑問視する向きも多い。この措置では、地方政府は銀行から借り入れを行い、不動産業者から住宅の在庫を買い取る。買い取った住宅は、低所得者向けの住宅に仕立て直し、低価格で販売する。  重要なポイントは、住宅に対する需要が回復し価格の下落に歯止めが掛かるか否かだ。地方政府の財政状況が悪化し、銀行の不良債権が増加するリスクもある。  今回の発表を好感し中国の本土株は上昇したが、今回の策が経済の好転につながると考えるのはやや早計だろう。 状況はかなり厳しい  4月、中国70都市のうち64の都市で、前月から新築住宅の価格は下落した。3月の下落都市の数から7都市増加した。  4月の水準は、中国本土株が急落した“チャイナショック”が起きる前の2015年2月以来の水準だ。住宅価格が上昇した都市は5つ減り6都市だった。3月の新築住宅価格の下落率(前月比0.3%)から下げ幅も拡大し、その深刻さがうかがえる。  都市の規模別にみると北京、上海、広州など“1級都市”の下落率は同0.7%だった。省都など“2級都市”で同0.5%下げ、より小規模の“3級都市”は同0.6%、とてもいい状況とは言えない。  所得水準の高い一部の大都市で、個人消費は緩やかに回復しつつあるとの見方もあるものの、住宅価格の推移をみると状況はかなり厳しいとみたほうがよさそうだ。  無視できないポイントは、不動産バブル崩壊で、過剰な住宅供給の問題が解消していないことだ。  今年1~4月期、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の不動産販売(床面積ベース)は前年同期比85%減少した。5月13日までの猶予期間内にドル建て社債の利払いをできなかった、雅居楽集団(アジャイル・グループ)の販売は同66%減少した。 住宅ローン金利の下限を「撤廃」  未完成物...

枝野氏は「ザイム真理教」に洗脳されている、救いようのない政治家の一人だ。

<立憲民主党の枝野幸男前代表は25日、さいたま市内で講演し、「消費税を単純に減税したら日本の財政がパンクする」と述べた。立民は2021年の衆院選や22年の参院選で消費税率5%への時限的な引き下げを訴えたが、次期衆院選の公約原案に消費税減税は盛り込んでいない。  枝野氏は円安が続く為替市場に触れ、「日本は放漫財政にはしませんと明確にしなければ、ハイパーインフレが起こりかねない。今減税するというのは絶対禁句だ」と強調した。>(以上「時事通信」より引用)  こんな政治家が立憲にいるうちは政権交代しても仕方ない。枝野氏が「 消費税減税で財政パンク 」などと、財務官僚顔負けの財政規律論を叫ぶとは。  防衛増税を打ち上げ、子供手当の増額に社会保険料負担を増額するなどと岸田氏が国民負担増を叫んでいるが、枝野氏は国民負担はいかにあるべきか考えているのだろうか。  枝野氏は「日本は放漫財政にはしませんと明確にしなければ、ハイパーインフレが起こりかねない。今減税するというのは絶対禁句だ」と云ったという。ハイパーインフレが起きる状況に、日本の国家財政はない。  枝野氏は会計学の基本であるB/Sの見方すら分からないのだろうか。先日来私は日本は膨大な資産を有していて、政府借金が1200兆円程度あっても、全く問題ないとこのブログに書いてきた。そんな常識的な国家B/Sの見方すら、枝野氏は知らないのだろうか。  ハイパーインフレが起きる可能性が高い国家と云えば、近隣諸国では韓国と中国だ。両国とも国家B/Sを見れば負債が資産を超過している。ことに中国は深刻な段階に達しているし、そのことに中共政府は何ら対策を講じていない。  それどころか、「改革開放」策で社会主義と自由主義との「良いとこ取り」をして来たが、もはや社会主義と自由主義との区別すらつかなくなっているようだ。本来、国有資産であるべき「土地」を「使用権」の売買だと誤魔化して、土地取引を行って来た。それが不動産バブルを引き起こしてしまった。社会主義国で不動産バブルが起きること自体があり得ないことだ、という認識すらないから不思議な国だ。  枝野氏は東北大学法学部を卒業し、翌年に24歳で司法試験に合格しているから法律には明るいようだが、経済に関しては全く何もご存知ないと云うしかない。日本の政治家の多くが経済に疎い現実には暗澹たる思いがする。経済に暗い...

ジムロジャース氏は現代のノストラダムスか?

< 「世界恐慌は早ければ2025年にも。私の生涯で最悪の事態になるでしょう」 読者からの質問  近年中に世界恐慌は起こるでしょうか?今のバブルはいつはじけるでしょうか?私は金先物ダブルブルで積立を始めようと思っています。いい投資だと思いますか?円安はどこまで進むのでしょうか? ジム・ロジャーズ氏の回答  大きな問題が起きたときに備えて、私は金も銀も保有しており、売るつもりはありません。何か問題が起きると、世界はいつも金と銀に目を向けてきましたよね。そして、これからもそうし続けるでしょう。だから私は、もしまた世界が大きな経済問題を起こしたときに備えて、金と銀を保有しています。  おそらく来年か再来年に世界恐慌は起きるでしょう。というのも、2008年からの歴史を見てください。2009年以降、いたるところで負債が急増しています。アメリカだけでなく、どこの国でも食べることに困っている方がいます。中国でさえ、負債を抱えています。だから、次に問題が起きたら、私が生きている間で最悪の事態になるでしょう。  だから心配してください。でも皆さん、何が起きているのかを理解すれば、心配にはなるでしょうが、備えはできるはずです。そして、何が起きても大丈夫なように準備すれば、おそらく上手くいきます。どんなに悪い状況でも、いつも上手くいく人たちはいます。あなたがその一人になることを願います。私も生き残ることを願っています。  金先物に関して、トレードの仕方によっては、誰にでもできるものではない気がします。しかし、自分のやっていることが分かっていれば、先物で大金持ちになることはできるでしょう。  レバレッジは破産することもあるので気をつけてほしいです。ほとんどの人が苦しみますが、自分のやっていることが分かっている人にとっては、レバレッジはすぐに大金持ちになれる手段です。そのことを十分に理解せずに先物を見ている人のために、このような注意書きを入れておくべきだと感じました。  もし、あなたが自分のやっていることを十分に理解し、わかっているのであれば、先物は素晴らしいものです。  バブルが弾けるという点では、私たちは何も時間を計ろうとしているわけではありません。今度、株式市場の問題、経済の問題が起きたら、私の生涯で最悪の事態になるでしょう。というのも、前回問題が起きた2008年と比較すると、負債が大き...

日本原電は「本業が休止中でも儲かる」という不思議な企業だ。

<原発専業の日本原子力発電(原電)が16日発表した2024年3月期決算は、最終的なもうけを示す純利益が前年比37.8%増の24億円だった。黒字は7年連続。保有する原発は2基とも動いていないが、大手電力が支払う「基本料金」で収益の大半を稼ぐ状況が続いている。  売上高は前年比4.9%増の967億円。このうち、電力供給契約を結ぶ東京、関西、中部、東北、北陸の5社からの収入が計944億円だった。電気を売らなくても、大手電力から維持費用が支払われることになっている。村松衛社長はこの日の会見で、「長期にわたり停止中であり、受電会社には大変重い負担をかけている」と語った。  原子力規制委員会が再稼働に向けた審査をしている敦賀2号機(福井県)は、原子炉建屋直下の断層が活断層かどうかをめぐる議論が続く。規制委は近く結論を示す見通しだが、再稼働を認めない可能性も出ている。今後の見通しについて、村松氏は「まずは次の審査会合に全力で対応する」と話すにとどめた。  また、東海第2原発(茨城県)は安全対策工事が進められてきたが、施工不備が見つかり工事が中断するなどしている>(以上「朝日新聞」より引用)  日本原電は日本原子力発電株式会社といい「茨城県那珂郡東海村と福井県敦賀市に原子力発電所を持つ卸電気事業者。設立は1957年で、東海村にある東海発電所は日本最初の商業用原子炉である。略称として原電または日本原電が使われる。 日本に商用原子力発電を導入するために、電気事業連合会加盟の電力会社9社と電源開発の出資によって設立された」企業だ。  その会社が保有する原発は停止しているが、発電株式会社が発電していないにも拘らず対前年比37.8%増の24億円の利益を出したという。つまり日本原電という会社は「働かなくても儲かる」企業だ。それは「大手電力が支払う「基本料金」で収益の大半を稼ぐ」からだ、という。  それでは「大手電力が支払う「基本料金」」は何処から出ているのか。いうまでもなく、それは私たちが支払う「電気料金」からだ。つまり原発企業は発電しなくても国民から徴収した電気料金で「儲かる」という仕組みになっている。  同じようなことは太陽光発電でも云える。当初、太陽光発電は1Kw当たり42円で買い取っていた。現在では買取価格は18円ほどに減額されているが、そのため怪しげな企業まで太陽光発電事業に参入して...

追い詰められた二人の独裁者。

< 支援予算は通った、問題はウクライナの兵員  4月24日、この数カ月間の懸案だった米国のウクライナ支援予算が議会を通り、バイデン大統領の署名で成立した。そもそも、年末から年明けにかけての戦況予測は、支援予算が通ってウクライナに武器弾薬がちゃんと供与されて始めて、ウクライナは今年2024年、かろうじて戦線を維持できるだろう、というものだった。  昨年6月から始まった反転攻勢が思うような成果を上げなかった上、ウクライナ側は武器弾薬も不足し、兵士も疲弊している。  一方、ロシアは依然として動員をやらずに志願兵で兵力を一応調達できていること、軍事産業そのものが回復してきていること、更には北朝鮮やイランからの武器弾薬調達も含めて、今年に限って言えばロシアが有利な状況にある。このことは年末から年始にかけてすでに予想されていたことだ。その上で、本当にここで米国の支援予算が通らなければ、ウクライナは戦線が崩壊してしまう懸念があった。  しかし、かろうじて予算は通った。徐々に武器弾薬はウクライナに入っていく。これまで供与されていなかった射程の長い戦術弾道ミサイルのATACMSなども既にウクライナに送られている。まだ不足してはいるが、砲弾の問題はカバー出来るだろう。  ウクライナ側の問題は兵員の数だ。追加の動員については、法律は通したけれど、うまくいっていない。今、海外にいるウクライナ国籍者を動員対象にして、応召しなければパスポートを更新しないと言うこともやっているが、成果が上がっていない。  開戦以来、2年以上闘いつづけており、前線の兵士の疲弊は凄まじい。入れ替えを行わなければならない。国内的にも政治問題になりかねない状況だ。当然、ウクライナ国民の間にも、不満がたまってくる。今のところゼレンスキーに対する政治的反対運動は起きてはいない。が、やはり潜在的にはこのまま行くと、この問題は政治問題化しかねないファクターだ。  また、ゼレンスキーは5月20日で大統領任期が切れた。ただし戦争中と言うことで、戒厳令下、大統領選は行わないことになっている。一応、国民は納得しているが、いずれ、ゼレンスキーにとって正統性を問われる問題になる可能性がある。当然ロシア側は今後そこをどんどん突いてくるだろう。一方のプーチンは選挙を行った。国内政治的にグリップを利かせられる国とそうでない国の差が出かねない。 ...

自公政権が続けば国民はより一層不幸になるだけだ。

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<厚生労働省が6日発表した2023年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人あたり賃金は物価を考慮した実質で前年比2.5%減った。2年連続で減少した。マイナス幅は1.0%減だった22年からさらに大きくなった。  20年を100とした指数で見ると97.1で、唯一100を下回った22年からさらに低下した。比較可能な1990年以降で最も低かった。  実際に支払われた額を示す名目賃金はすべての月で増えたが、実質賃金は減った。マイナス幅が広がったのは、物価の変動を示す消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率が3.8%と42年ぶりの高水準だったことが影響した。  見た目の賃金は伸びている。基本給に残業代やボーナスなどを合わせた、名目賃金を表す現金給与総額は1人あたり平均で1.2%増の32万9859円だった。就業形態別では正社員など一般労働者が43万6849円、パートタイム労働者が10万4570円で、いずれも過去最高となった。  基本給を中心とする所定内給与は1.2%増の25万1309円で、リーマン・ショック前の2005年水準まで回復した。伸び率も1996年以来の高さだった。それでも実感にはつながっていない。  2023年の名目賃金の伸び率は22年の2.0%増から0.8ポイント低下した。新型コロナウイルス流行下での落ち込みの反動で22年は大きく伸びたが、残業代やボーナスなどの伸びが前年に比べて鈍化したことが要因とみられる。  23年の春季労使交渉では物価高を背景に30年ぶりの高い賃上げ率となった。一方で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の水準は物価上昇に追いついていない。実質賃金のマイナス幅はその差を示す。政府は24年の春季交渉で物価上昇を上回る賃上げをめざす。  所定内給与を指数で見ると、一般労働者は103.3、パート労働者は105.2だった。基準となる20年に比べて、パートの方が正社員よりも基本給などが伸びていることを表す。  総実労働時間は0.1%増の月136.3時間だった。残業時間など所定外労働時間は0.9%減と3年ぶりに減少した。月ごとに見ると、23年7月以降はすべての月で所定外の時間が減り、総実労働時間でも減少した月が目立つ。  厚労省が同日発表した23年12月の実質賃金は前年同月比で1.9%減だった。21カ月連続のマイナスだ...

「大掛かりな不正」がない限り2024米大統領選の勝利者はトランプ氏で決まりだ。

< 米大統領選に絡む暴力、激戦州の有権者の半数が懸念-世論調査 ◎トランプ氏が激戦州全体でバイデン氏を4ポイント差でリード ◎暴力に加え、誤情報や外国の干渉などを巡る有権者の懸念も強く  米激戦州の有権者の半数が大統領選に絡む暴力を懸念していることが、最新の世論調査で分かった。辛辣(しんらつ)な選挙戦とその結果が両極化した米社会にどう受け止められるのか、有権者の不安が強いことを示唆している。    ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが行った5月の世論調査によれば、民主党および共和党支持者のほぼ同数がこうした懸念を抱いており、無党派層ではさらに多かった。  調査によると、勝敗を左右するとされる激戦州7州全体でトランプ前大統領の支持率はバイデン大統領を4ポイント上回った。  選挙を巡る不安は暴力にとどまらない。誤情報に対する懸念は60%、外国の干渉に関する懸念は46%に上った。選挙が公正かつ合法的で、不正がないとほとんど、または全く確信できないとする回答はより少ないが、3月以降で見ると増加している。  ブルームバーグの調査はアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシン各州の有権者4962人を対象に5月7ー13日に実施した。統計上の誤差はプラスマイナス1ポイント。  ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン各州の 「青い壁 」と呼ばれる激戦州では、トランプ、バイデン両氏の差は2ポイント以内にとどまった。バイデン氏はこれら3州を制し、民主党の牙城とされる州を確実に押さえれば勝利するか、少なくとも選挙人の獲得数で引き分けとなる。  バイデン氏はまた、南部の激戦州でも4月から支持率を伸ばした。ノースカロライナ州は7ポイント、アリゾナ州で5ポイント、ジョージア州で3ポイント、ネバダ州では互角まで、トランプ氏との差をそれぞれ縮めた。  ただ、ネバダ州は7州の中でも最も誤差が大きく、最近の世論調査とは異なる傾向を示した。ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが行った4月の世論調査では、トランプ氏との差は8ポイントあった。5月に発表されたニューヨーク・タイムズとシエナ大学が行った世論調査では、トランプ氏はネバダ州でバイデン氏に12ポイント差をつけていた。  トランプ氏はここ1カ月の大半において、元ポルノ女優への口止め料...

ミットモナイ中国の「一つの中国」論。

<中国の王毅外相は21日、台湾の頼清徳新総統を「恥ずべき」存在と批判した。中国は、頼氏を「分離主義者」と見なし対話を拒否している。  中国外務省によると、王氏はカザフスタンで開催された上海協力機構外相会議で、台湾は中国にとって「核心的問題の核心」と表明。台湾独立を目指す動きは台湾海峡の平和にとり最も破壊的な要因とし、新総統らの「国家と祖先を裏切る醜い行為は恥ずべきものだ」と述べた。   中国が「統一」を達成し、台湾を「祖国に戻す」ことを止めることはできないとし、全ての台湾独立分離主義者は恥ずべき存在として歴史に残るとした>(以上「REUTERS」より引用) 「 中国外相、台湾新総統を批判 「国家と祖先を裏切る」 」という荒唐無稽な見出しが躍っていた。中国外相が台湾総統を「国家と祖国を裏切る」と批判するとは内政干渉以外の何ものでもない。  それとも既に中国は台湾を侵略して完全に台湾全土を占領し、台湾をウィグル「自治区」やモンゴル「自治区」と同様に「自治区」として支配しているだろうか。王毅氏が「国家と祖国を裏切る」と発言する根拠は何処にもない。  それでも「一つの中国」を他国に認めさせる、というのは百大言を武力を背景に容認させている、という理不尽な要求でしかない。それらを日本をはじめ先進自由主義諸国が容認したというのは「一つの世界」を国連が希求しているのと同じ理屈からではないか。  つまり「一つの世界」は世界は一つだから争うことはしない、という決意表明ではないか。中共政府が台湾を「一つの中国」だというのは、同じ中国人が多く暮らす台湾は「中国と一つ」だ、という象徴的な言葉の用い方だと認識して、先進自由主義諸国は容認したではないだろうか。「一つの中国」が「中共政府が台湾を占領して支配する」意味だと認識して容認したのではないだろう。  万が一にも「一つの中国」が中共政府が台湾を占領して支配することだ、と認識した上で容認したのなら、先進自由主義諸国は中共政府の中国が台湾を侵略することを容認したことになる。そんなバカなことは決してあり得ない。なぜならウクライナに軍事侵攻したロシアを先進自由主義諸国はロシアによる侵略だと批判して、対ロ経済制裁しているではないか。  いかなる国であろうと、軍事力による国境線の変更は認められない。それが先の大戦以後の国際社会の常識だ。中国だけが...

終戦が近づいたプーチンの戦争。

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< 1.ハルキウ正面ウクライナ軍陣地突破できず  ロシア軍は5月10日、ハルキウ正面から攻撃を開始した。  その兵力は3万~5万人という。概ね10日ほど経過したが、国境から5~10キロを前進したものの、ウクライナ軍の陣地を突破できずにいる。  ロシア軍は、戦闘に慣れていない不十分な戦力で戦っている。ロシア軍の力不足という印象だ。  とはいえ、ウクライナ軍は予備戦力をこの正面に転用せざるを得なかった。  ウクライナ軍は、事前に準備した前方陣地と主陣地で、防御戦闘をほぼ計画通り実施している。  ウクライナ軍の主陣地は、国境よりも5~10キロほど後方にあるので、陣前までは前進されている。  これは、侵攻を止めるためには、当然の戦術である。ウクライナ軍にとっては、ほぼ、予期した通りの戦いであると判断できる。 2.ハルキウ正面攻撃は「戦力分散」で失敗  ロシア軍がハルキウ正面の攻撃を開始する前、どの地域を重点に攻撃していたかというと、アウディウカからオチャレティネ、バフムトからチャシフヤールの地域だ。  特に、アウディウカからオチャレティネへの攻撃では、アウディウカの要塞を奪取し、その後ウクライナ軍の防御の一線を破り、陣内戦闘に入っていたところである。  この戦闘については、JBpress『武器弾薬が届くまでの隙をついたロシア軍の猛攻、ウクライナ地上軍に危機迫る(2024.5.9)』に、「ウクライナ軍がアウディウカの地域で、ロシア軍の攻撃を止められるか、突き抜けられて、戦果拡張されるかで、今後の戦況は大きく変わる。ウクライナ軍は今、その瀬戸際にきている」と書いた。  ロシア軍がハルキウに投入している3万~5万人という強大な戦力を投入して戦えば、ウクライナ軍の武器弾薬不足を突いて、この地での作戦は上手くいったはずだ。  この地で突破口を形成し、それを拡大し、ウクライナ軍の防御の一つを突き破れたかもしれなかったのだ。  しかし、ロシア軍は3万~5万人の戦力をアウディウカ方面に投入せずに、ハルキウ攻撃に投入してしまった。  このため、アウディウカ方面は大きく進展することはなく、ハルキウ正面もウクライナ軍防御を突き破る戦果を出してはいない。  ロシア軍は、中途半端な攻撃で、自滅の兆候が出ている状況だ。 3.中途半端な攻勢で自滅に向かうロシア軍 (1)キーウ占拠を途中で諦めた  ロシア...

独裁者二人の最期の抱擁。

< “政治とカネ”の裏で成立した「2つの重要法案」  政治資金規正法の改正案の成否が注目を集める終盤国会。その国会で、5月10日、対中国を想定した2つの重要な法律が成立したことは、残念ながらあまり大きな話題にならなかった。  その1つが、陸海空の各自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を常設することを盛り込んだ改正自衛隊法。そしてもう一つが、「ポスト岸田」を目指す高市早苗経済安保相が、「故・安倍晋三元首相からの宿題」と位置づけてきた重要経済安保情報保護・活用法である。  これらのうち、改正自衛隊法は、サイバーや電磁波など各自衛隊にまたがる分野の作戦指揮を、新設する「統合作戦司令官」が担うというもので、たとえば台湾有事に至った場合、これから本格化するアメリカ軍との連携強化も加え、これまでにない迅速な対応を可能にするものだ。  また、重要経済安保情報保護・活用法も、その名のとおり、経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る制度を設けるというもので、主導した高市氏が、去年秋のテレビ番組で、「まずは、この法案が成立したら、また(総裁選を)戦わせていただく」と語っていたほど重視してきた法律である。  保守系議員たちによる今後の「政局」をにらんだ動きと言えなくもないが、沖縄・先島諸島の住民と観光客約12万人を九州など島外に避難させる動きやシェルター建設に向けた動きと合わせ、中国による台湾侵攻、もっと言えば、それによって沖縄県などが巻き込まれるリスクに備えた動きが、遅まきながら目に見える形で動き出したと言っていい。 習近平とプーチン、それぞれの思惑  こうした中、中国も着々と布石を打っている。1つは、5月5日から習近平総書記がフランス、セルビア、ハンガリーを歴訪したことだ。  しかし、この欧州歴訪は必ずしも成功したとは言えない。習氏からすれば、歴訪によって経済関係を強化し、アメリカ主導の対中包囲網を切り崩したい狙いがあったはずだ。  ところが実際は、訪問先が、比較的、習氏と近い国々に限定され、イギリスやドイツ、それにG7サミットの議長国、イタリアを組み込むことができなかった。  欧州諸国では、安価な中国製品が大量に流入していることへの懸念が強く、もともと習氏に好印象を持っていないEUのフォンデアライエン委員長などは、フランスのマクロン大統領とともに臨んだ3者会...

呉江浩駐日中国大使は日中関係をどうしたいのか。

<台湾の新総統就任式に合わせ、駐日中国大使が「台湾は中国の一部である」との立場を改めて示したうえで、日本の一部議員の就任式への出席に不快感を示しました。 「(就任式に)日本からは30名以上の国会議員・要人が出席しているようで、このような行動は公然と台湾独立勢力に加担するものであり、中国側としては断固反対します」(呉江浩駐日中国大使)  呉大使は20日午前、鳩山元総理や福島社民党党首ら、日本の政界や専門家らを大使館に招き、中国側の立場を主張するとともに「台湾に間違ったシグナルを送るべきではない」と述べました。  また、台湾海峡をめぐる状況についても触れ、「“台湾有事”を“日本有事”といったり、台湾のために戦うとまでいう政治家がいるが、日本という国が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と述べ、台湾問題に関与しないようけん制をしました>(以上「 ANNニュース」より引用 )  常識を疑う呉江浩駐日中国大使の発言だ。台湾の新総統就任式に日本の国会議員が31人出席したのに対して「 “台湾有事”を“日本有事”といったり、台湾のために戦うとまでいう政治家がいるが、日本という国が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる 」と述べたという。  呉江浩駐日中国大使は不快感を表明したというが「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」とは、いかなる事態を想定しての発言か。確かに中国は日本の各都市に標準を合わせた核ミサイルを配備していると云われている。そのミサイルを日本の各都市へ向けて発射するというのか。  それが中国政府を代表する駐日中国大使の発言か。駐日大使は中国政府を代表している。つまり中共政府の正式発言、ということだ。そのように日本政府は受け止めて、然るべき反応を中共政府に示すべきだ。  中共政府は公然と「反日教育」を中国民に行い、反日プロパガンダ・ドラマや映画を国内で垂れ流しいる。それで口先では「日中友好」を謳い、「中国への投資を」などと勧誘している。バカも休み休み云うものだ。日本政府は呉江浩駐日中国大使を本国へ送還すべきだ。  もとより、日本は自由の国だ。誰がいかなる発言をしても「名誉棄損」に問われることはあっても、当局によって逮捕拘束されることはない。もちろん思想信条の自由は保障されて...

脱「CO2地球温暖化」詐欺。

<日本のエネルギー政策の方向性を定める「エネルギー基本計画」の改定作業が始まった。政府は今年度中に2050年CO2ゼロを達成するためのグリーントランスフォーメーション(GX)産業政策を立案するという。だが、そもそもの現状認識を大きく間違えていないだろうか。このままでは日本の製造業は壊滅しかねない。 脱炭素に熱心なのは日本と欧州のごく一部くらい  日本政府はどう世界情勢を認識しているのか。「世界はパリ気候協定のもと地球温暖化を1.5度(の気温上昇)にとどめようとしている、そのために日本も2050年にCO2ゼロを達成しなければならない、そしていまCO2ゼロに向けて国際的な大競争が起きている」としている。  これはどこまで本当だろうか?  たしかに多くの国はCO2ゼロを宣言している。だが実態はといえば、脱炭素政策を熱心に実施しているのは、日本と英独など、欧州の数カ国ぐらいであろう。  米国はといえば、バイデン政権は脱炭素に熱心だが、議会の半分を占める共和党は頑固に反対してきた。実際のところ、米国はバイデン政権の下で、世界一の石油・ガス生産量をさらに増加させてきた。  グローバルサウスのCO2排出は増え続けている。かれらは昨年のG20において「2050年にCO2ゼロを宣言せよ」というG7の呼びかけを端から拒否した。  中国は、表向きは2030年にはCO2排出をピークアウトさせるとリップサービスをしているが、現実は石炭火力発電に莫大な投資をしている。  つまり世界は日欧のごく一部を除いて脱炭素に向かってなどいないのだ。この理由は簡単で、エネルギー、なかんずく安価な化石燃料は、経済活動の基盤だからだ。 「戦争の枢軸」との新冷戦が始まった  そもそも気候変動が国際的な「問題」に格上げされたのは、リオデジャネイロで開催された「地球サミット」で気候変動枠組み条約が合意された1992年ごろからである。  これが1991年のソ連崩壊の翌年であることは偶然ではない。  冷戦の間は米ソで協力するということ自体が不可能だった。冷戦が共産主義の敗北に終わり、これからの世界は平和になり、全ての国が民主主義国として協力してゆく、というユートピア的な高揚感が生まれた。そのような状況で、世界全体での協力による、地球規模の問題の解決という機運が生まれたのだ。  これは当初から幻想に過ぎなかったのだが、20...

平成の時代は団塊の世代による「昭和を破壊する時代」だった。

<昭和とは、過去を背負い込みすぎた時代だった。そして令和のいま、私たちは未来を過剰に背負わされている。  われこそは未来の使者だと自称する人が次々に現れては、「将来生まれる子どもたち」の名を語って(騙って)私たちを非難する。いわく、彼らが温暖化した地球で苦しまないように、火力発電所を止めるべきだ。一方でやはり彼らのために、原子力発電所もなくすべきだ。  はたまたAIとロボットが全てを担う、地球のどこでも実現を見ていない社会の基準で、他人の仕事を「消える」「要らない」と侮辱する。やはり現状では採用する国のない、ベーシックインカムが実施されると勝手に想定して、だから働く意欲も必要もないと居直る。  どうして、こんなことになったのか?  その鍵を握る時代が平成だ。それは日本人が歴史を見失い、過去を振り返る営みを忘れ、ありもしない未来に釣られて蠢く群れのようになる30年間だった。 矛盾をはらんだ「保守」と「革新」 平成は歴史を〝洗い流した〟  平成の政治が保守派ほど「改革」を唱える、不思議な風潮で彩られたことはよく知られる。1993年に、劇的な55年体制の崩壊を象徴した細川護熙首相の、政界デビューはもともと自民党の参議院議員。仕掛け人となった小沢一郎氏は、幹事長も務め直前まで同党のど真ん中に君臨する政治家だった。  2001年には小泉純一郎首相が、自民党を丸ごと改装して改革をうたうことで、憲政史上にも稀な熱狂的支持を得る。及ばずとはいえ地方から類似の旋風を起こした橋下徹氏も、政界入りの前はテレビ番組の「右派論客」として鳴らした。 「加速主義」と呼ばれる考え方がある。いまの世の中が不満でも、そのしくみに反対したり、ストップをかけるのはダサい。むしろもっとアクセルを踏み込み、もうこれ以上ムリというところまで眼前の潮流を煽り続けることで、初めて社会の全体に衝撃を走らせ、総とっかえすることができる─といった発想だ。  一見矛盾した平成期の「改革する保守」にしても、ある種の加速主義だったと考えれば納得がいく。そうした時代にかつての「革新」陣営、冷戦下の左翼政党が没落した理由も説明がつく。  意外かもしれないが、人類が生んだ最大の「加速主義」の思想家はマルクスである。資本主義を批判したマルクスは、一方で、資本主義の論理と運動を徹底しきることで初めて、共産主義への道筋が開けると考えた。...

ついに政党支持率で立憲が自民党を上回ったが…。

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<毎日新聞は18、19の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は4月20、21日実施の前回調査(22%)から2ポイント下落の20%で、2カ月続いた回復傾向は頭打ちになった。不支持率は前回と同じ74%。自民党支持率も前回から3ポイント下落の17%で立憲民主党の支持率(20%)を下回った。  内閣支持率は自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で関係者が立件された後の2月調査で14%にまで落ち込んだ。その後の3月は17%、4月は22%と回復基調だったが、今回は横ばい。再発防止に向けた政治資金規正法改正の具体案を巡り自民が公明党と折り合えなかったことなどが影響した模様だ。  自民が17日、単独で国会提出した規正法改正案を「評価しない」は68%で、「評価する」は21%、「わからない」は10%だった。  「評価しない」は立憲支持層で8割強、日本維新の会支持層で8割弱、「支持政党はない」と答えた無党派層で約7割に上った。自民支持層では「評価する」が6割弱で「評価しない」の3割弱を上回ったが、公明支持層では「評価しない」が6割強。男女別では男性の74%、女性の63%が「評価しない」と答えた。  裏金事件の実態解明の取り組みを国会で続けるべきかとの質問では、「続けるべきだ」が80%で、「続ける必要はない」の13%を大幅に上回った。「わからない」は6%。 岸田内閣の支持率の推移  「続けるべきだ」は自民支持層でも約5割、公明支持層では7割強に上った。立憲支持層のほとんどや共産党支持層の約9割、無党派層の約8割も「続けるべきだ」と回答した。また、自民党の規正法改正案を「評価しない」と回答した人のうち約9割が真相解明を「続けるべきだ」とした。  政党支持率は立憲20%(前回15%)▽自民17%(同20%)▽維新10%(同9%)▽共産党7%(同6%)▽れいわ新選組5%(同6%)▽公明3%(同3%)▽国民民主党3%(同4%)――など。「支持政党はない」と答えた無党派層は28%(同28%)だった。  調査は、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯543件、固定550件の有効回答を得た。【飼手勇介】>(以上「毎日新聞」より引用)  毎日新聞が政党支持率等の同紙世論調査結果を発表した。記事の見出しに「 内閣...