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週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった。

< <中居正広・フジテレビ問題に関して、週刊文春が「訂正」を出した。「フジ社員の関与」の有無について誤りがあったというのだが、該当記事を丁寧に読むと、訂正を出すようなものではないと分かる>  中居正広・フジテレビ問題に関して週刊文春は28日、記事内容に誤りがあったとして「訂正」を出した。重要ポイントの一つであった「フジ社員の関与」の度合いが大きく後退し、SNSやワイドショーでは文春への非難が相次いだ。  私もこの場を借りて、文春の対応を強く批判したいと思う。それは、誤報を出したからではない。誤報ではないにも関わらず、訂正を出したからだ。文春は訂正を出す必要などなかった。以下、説明する。 決して断定はしていない  まず、文春が発表した訂正文を確認すると、このように書かれている(<>内は引用部分)。 <【訂正】本記事(12月26日発売号掲載)では事件当日の会食について「X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた」としていましたが、その後の取材により「X子さんは中居に誘われた」「A氏がセッティングしている会の"延長"と認識していた」ということがわかりました。お詫びして訂正いたします。また、続報の#2記事(1月8日発売号掲載)以降はその後の取材成果を踏まえた内容を報じています。>  訂正文では<『X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた』としていました>とあるが、該当記事(12月26日発売号掲載の記事)を何度読んでも、そこまで断定的には書かれていない。  記事ではまず、文春に先んじて第一報を報じた『女性セブン』を間接的に引用し、こう書いた。 <記事によると、2023年にX子さんは中居、フジテレビの編成幹部A氏と3人で会食する予定だったが、A氏がドタキャン。彼女と中居は2人で会食することになったが、そこでトラブルが発生。>  トラブルが起きた日の出来事を記しているが、ここでは会食について「A氏がX子さんを誘った」とは書かれていない。誰がX子さんを誘ったかは、これを読んだだけでは分からない。 別の段落では、X子さんの知人がこう証言している。 <「あの日、X子は中居さん、A氏を含めた大人数で食事をしようと誘われていました。多忙な日々に疲弊していた彼女は乗り気ではなかったのですが、『Aさんに言われたからには断れないよね』と、参加することにしたのです」> <「飲み会の直前に...

楽しい国どころではない、「「給料が減る」「休みがなくなる」ガソリン高騰にトラックドライバーの〝怒りと悲鳴〟政府の補助金縮小「今国会で先に議論すべき」」だ。

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< 「ガソリン高騰」現場ルポ  ガソリンや軽油など、燃料価格の高騰が収まらない。石破茂政権は石油元売り各社への補助金を段階的に縮小しており、20日時点でレギュラーガソリンの全国平均小売価格は1リットル当たり185円10銭と、2023年9月の過去最高値(186円50銭)に迫った。ガソリン価格の高騰は郊外や地方のドライバーに痛手となるほか、運送費にもはね返る。長距離トラックのドライバーらが給油する軽油も事情は同じで、補助金の縮小で値上がりに見舞われている。「給料が減る」「休みがなくなる」…。怒りや悲鳴が上がる現場を取材した。 (報道部・丸山汎) 「毎回ガソリンスタンドの価格表示を見てゾッとしている。少しでも安いところをみつけて入れようと近所を何軒も回っている。電気代もガス代も高いのに、何とかならないのか」  横浜市在住の50代の男性会社員はそう口にした。多くの週末ドライバーたちも同じ思いではないだろうか。  ガソリンや軽油、灯油などの価格を抑制する政府の補助金は、原油価格の高騰を受けて2022年1月に始まり、支援額を縮小しながら延長を繰り返してきた。  石破政権でも補助金支給を継続する一方、昨年12月19日、今年1月16日と段階的に補助率を縮小した。ガソリン価格はこれに伴って185円台まで値上がりした。  プロの運転手たちの状況はもっとシビアだ。ディーゼルエンジンの大型トラックに使う軽油の全国平均価格も昨年12月中頃まで155円台だったのが、今月20日時点で164円70銭まで上昇した。  運送会社も多い東京都内の幹線道路の路肩には大型トラックがずらりと並ぶ。「青森」「大阪」などのナンバープレートも長旅をしのばせる。休息中の運転手らが現在の苦境を語ってくれた。 「政府の補助金が減らされ始めてから、会社側も人件費を削り始めた。自分はまだ若手で長距離を走れるからいいけれど、体力的にきつくなっている年配の先輩たちは時給に換算すると100円単位で減っていると思う」  都内の運送会社で働く35歳独身という男性運転手は運転席からそうポツポツと答えた。 「年末には会社から『大みそかまでに満タンにしておくように』と指示があったよ」と明かしたのは、北九州―東京間を12トントラックで往復している男性(59)だ。 「重い荷物を長距離運ぶ〝きつい〟仕事は単価も高いからいいけれど、近場でコンビニ弁...

本気で消費税を廃止して、力強く経済成長する国に、日本を変えなければトランプ氏は日本を無視し始めるだろう。危機はまさに日本にこそ存在する。

< スプートニク・ショックの再来か  ドナルド・トランプ氏が米大統領に返り咲いて1週間後の1月27日(米東部時間)に経済都市ニューヨークと政治都市ワシントン発で発信されたニュースは、今年最大の国際的関心事である米中対立の先行きを見通す上で極めて重要な出来事であった。  中国の人工知能(AI)ベンチャーDeepSeek(ディープシーク。梁文峰社長、本社・浙江省杭州市)は20 日、低コストで高性能な生成AIモデルR1開発を公表し、それは米オープンAI(サム・アルトマン会長・CEO、本社・カリフォルニア州サンフランシスコ)が2022年12月に発表した対話型AI「チャットGPT」シリーズの最新モデル「GPTo1」(24年 12月発表)を一部上回る性能だと大きな反響を呼んだ。瞬く間にAppStore で全米ダウンロード1位となった。  27日のニューヨーク株式市場でハイテク株比率が高いナスダック株価指数は下落、AI半導体世界最大手エヌビディア(ジェンスン・ファン社長兼CEO)の株価は17%安と急落した。同社だけでも一夜にして時価総額5900億ドル(約91兆円)減少した。ハイテク関連企業の競争力が中国新興企業の台頭で低下すると懸念されたのだ。  と同時に、首都ワシントンのキャピトルヒル(日本の永田町にあたる)関係者での対中強硬派サークルは「AIのスプートニク・ショックだ」と危機感を強めた。1957年10月4日に旧ソ連が世界初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功し、宇宙開発競争で後れを取った米国に衝撃が走った歴史とオーバーラップさせている。 中印関係にくさび  それでも米側の専門家は冷静に受け止めている。「大規模言語モデル(LLM)のDeepSeek-R1は推論とコスト効率において目覚ましい進歩を示しています。しかし、AI競争は価格よりも能力が中心です。米国ではAI能力の急速な進歩と汎用人口知能の達成に注力することを優先しています」と、米マクロ経済アドバイザリー会社幹部は言う。  次のワシントン発ニュースの発信者は、実はトランプ氏その人である。トランプ氏は同日午前、インドのナレンドラ・モディ首相と電話会談した。両首脳は「公正な貿易関係」をテーマに協議する中でインドが米製軍事装備品の調達を増やすことで合意、さらに米印両国の戦略的関係とインド太平洋地域における日米印豪4カ国の協力枠...

フジテレビ問題は一つの時代が終わろうとしている象徴だ。

<経済学者の成田悠輔氏が27日までにX(旧ツイッター)を更新。日本の現況などについて私見をつづった。   成田氏は「日本人は去年だけで90万人減り、実質GDP成長はマイナスに突入とIMFが予測」と切り出した。そして「なのにフジテレビとか文春とかクソどうでもいいことでしか盛り上がれない。この国は滅びたがってるのかもしれない」と皮肉交じりに述べた。   この投稿に対し「本当にそう」「あきらめです」「50年後に日本ってあるのかな…」「同感です」「確かに今回の件で無茶苦茶に感じます」「深刻な問題提起ですね」「ほんとそれ!」などとさまざまな反響の声が寄せられている。   成田氏は2月20日、約3年ぶりとなる著書「22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する」を発売する>(以上「日刊スポーツ」より引用) 「 成田悠輔氏「フジテレビとか文春とかクソどうでもいいことでしか盛り上がれない。この国は…」 」とは成田氏独特の話法で世間の関心を集めようとする手法なのだろうか。本気で日本は「フジテレビとか文春とかクソどうでもいいことでしか盛り上がれない」国だとは考えていないだろう。その証拠に成田氏は日本で暮しているし、日本国民相手に本を出版しているからだ。  経済学者ならたとえGDPがマイナスになろうと、人口が減少しようと、国が亡びることはないと承知しているはずだ。ただ成田氏も立憲党の小川幹事長と同様の「減税よりも税による所得再配分を考えるべきだ」というアホ論理を堂々と主張する低脳だとすれば云うことは何もない。  だが報じられている記事を読むと成田氏は本気で「人口減=GDP減」だと考えているようだ。それなら成田氏も経済学者として如何なものかと首を捻らざるを得ない。なぜならGDPは総所得だから、人口減は個人所得が同じままならGDPは減少する。  しかし経済政策を転換して経済成長政策を行えば人口減であってもGDPは拡大する。それは生産性の向上を果たせば良いだけで、外国人労働移民を禁止して経営者が必死で人手不足を克服するための投資を行えば解決できる。  成田氏は「フジテレビとか文春とかクソどうでもいいことでしか盛り上がれない。この国は滅びたがってるのかもしれない」と悪態をついているが、社会学者なら「フジテレビとか文春とかクソどうでもいい」事件でこれほど国民が怒り狂っている社...

中国経済崩壊の影響は。

< 中国の「リップサービス」には根拠がない…!  中国政府がトランプ政権との橋渡し役として注目しているのは、テスラCEOのイーロン・マスク氏だ。  中国の韓正国家副主席は、アメリカ大統領就任式の前日(19日)に訪問先のワシントンでイーロン・マスク氏を始めとする米実業界の有力者を会合に招き、「米国企業が2国間の経済・貿易関係をより緊密にするために貢献してほしい」と求めたという。  中国ではマスク氏のことを1970年代に米中国交正常化の道筋をつけた故キッシンジャー氏になぞらえる論評が増えている。  中国の丁薛祥筆頭副首相も1月21日、スイスのダボスで開かれている世界経済フォーラムで「我々は貿易黒字を求めているのではない。均衡の取れた貿易を促進するため、競争力のある質の高い製品やサービスの輸入を増やしたい」と述べた。  中国の昨年の対米貿易黒字が1兆ドルに迫る高水準になったことを受けた発言だが、中国が米国から輸入を増やすことは容易なことではないだろう。 1960年以来の「大不況」  中国の昨年の牛肉輸入は過去最高を記録したが、需要鈍化も相まって、牛肉価格が2019年以来最低となっている。  国内の畜産農家を保護するため、中国当局は今後、輸入抑制策を講じる可能性が高いと言われている。世界の約3分の1を占める中国の高級品売上高も昨年、前年に比べて20%も減少し、今年はさらに減少することが見込まれている。中国の旺盛な購買欲は、今は昔だ。 中国の昨年の実質経済成長率は前年比5%増だった。  政府目標の「5%前後」は達成したが、伸びは2023年の5.2%から減速した。注目されたのは9年ぶりに実質成長率が名目成長率(4.2%増)を上回ったことだ。中国政府のデータによれば、昨年の中国経済は2年連続でデフレになった可能性が高く、今年もデフレが続くことが確実視されている。  この予測が正しければ、中国のデフレは毛沢東の大躍進政策で経済が失速した1960年代よりも長く続くことになる。 アメリカで懸念が深まる「中国発・金融危機」  こうした中で、アメリカでは中国発の金融危機の懸念が高まっている。  ベッセント財務長官は就任前の17日、「(中国経済について)恐慌とまではいかないにせよ、リセッション(景気後退)に陥っている」との見方を示した。  その危機をもたらすのは、筆者は不動産市場の大不況とな...

森永卓郎氏の死を悼み、彼の遺志を継いで「ザイム真理教」に立ち向かう。

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<がんで闘病していることを公表していた経済アナリストの森永卓郎さんが28日、原発不明がんのため亡くなりました。67歳でした。  森永さんは東京都の出身で1980年に東京大学経済学部を卒業したあと当時の日本専売公社に入り、経済企画庁に出向するなどしました。  その後、民間の研究所の主席研究員などを経て、経済アナリストとして活動するようになり、マクロ経済や労働経済などを専門として経済にまつわる多くの著書があります。  今から20年以上前の2003年に「年収300万円時代」の到来を予測した著書などが大きな話題を呼んだほか、国の政策を厳しく批判しながら、わかりやすい解説でテレビやラジオにも多数、出演してきました。  また、2006年からは、獨協大学経済学部の教授を務めて学生の指導にあたっていました。  近年はむだなお金を極力、使わず豊かな生活が送れるとして都会に近い地方で暮らす生活を実践してその良さを発信していました。  所属事務所によりますと森永さんは2023年の年末、がんで闘病していることを公表し、闘病生活を送りながら経済アナリストとしての活動を精力的に行っていました。  27日もラジオ番組の生放送に出演していましたが、28日午後、原発不明がんのため自宅で亡くなったということです。67歳でした。 長男 康平さん「応援に勇気づけられた」  森永卓郎さんの死去を受け、長男で経済アナリストの森永康平さんがコメントを発表しました。  この中では、「闘病中は本当に多くの方から応援のメッセージをいただき、本人だけでなく私たち家族も勇気づけられていました。ありがとうございます。余命宣告を受けてから、父は病状や体調、治療状況などについて、可能な限り皆様に共有しようとしていました。時間ができた段階で、余命宣告をされてから今日に至るまでの闘病の様子や、父の最期の様子なども、皆様にご報告させていただければと思います」としています>(以上「NHK」より引用)  経済評論家の森永卓郎氏がご逝去されたという。一昨年来がんを患い闘病生活中も「ザイム真理教」という刺激的な的を得た論評活動を続けられていた。心から哀悼の意を表したい。  何かといえば評論家の多くがテレビ局や雑誌社の意向に沿った論評しかしない中で、森永卓郎氏は財務省こそが「失われた30年」を演出した日本経済の悪の巣窟だと批判し続けた。そのた...

近い未来に中国を旗頭とする「グローバルサウス」が世界を動かすのか。

< 大国間の綱引きの状況を利用して、自国の安全保障と経済的な利益を確保しようとする。常に中立を保つのではなく、自国の利益になるのであれば、テーマごとに米欧、中ロどちらの側と連携することもあり得る。いま、世界を動かしているのは「グローバルサウス」であり、彼らをめぐる動向を理解することこそが国際情勢の鍵である――。 中国の融資のリアル  中国は国内問題だけでなく、急激に拡大した発展途上国向け融資の不良債権化という別の大きな問題にも直面している。  リーマン・ショックの後、ドルやユーロの金利が大幅に下がっていた2010年前後から、発展途上国は借金を増やしていった。この時期に途上国向けの融資を急激に増やしたのが中国だ。世界銀行のまとめによると、低所得の途上国の公的対外債務のうち中国に対する債務は、2010年代にパリクラブ(主要債権国会議)のメンバーである先進国への債務の合計を大きく上回る状態になった。  当時、途上国での中国の動きについて、こういう話をよく聞いた。「中国の政府や銀行から人がやってきて、まるでカネを置いていくように何億ドルもの融資が決まった」「米国や欧州諸国が人権問題の説教をしている間に、中国が港や道路をつくる」。そのくらい中国の進出は急だった。中国が政治判断で資金を供与し、その資金をもとにインフラ建設が始まり、工事は中国企業が請け負うというパターンが、あっという間に世界に広がった。  国際的な援助資金の流れを分析している米国のウィリアム・アンド・メアリー大学の「エイドデータ」(AidData)という研究組織は、中国が2000年から21年の間に165の低所得国・中所得国に対し有償無償合わせて1兆3400億ドルの資金を提供し、2万985件のプロジェクトを獲得したとの推計を示している。  審査や交渉に時間がかかる国際機関や先進国と比べて、中国の融資は実行までの時間が短い。途上国側は「相手が中国なら、資金を借りやすい」と考えがちだが、中国の融資の条件は必ずしも寛容ではない。日本の途上国向け借款(2国間の長期の資金貸し付け)と比べて、中国の融資は一般に金利が高く、返済までの期間は短い。米国のボストン大学グローバル開発政策センターのリポートは、「中国は一部の国では将来の天然資源の収入という形で融資の担保を求め、プロジェクトへの融資の場合は高い金利を課す」と指摘している。...

国民が変わらなければ政治は変わらないし、政治が変わらなければ財務省も変わらない。

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< トランプの「劇薬」政策転換  トランプは大統領就任以後、矢継ぎ早に関税引き上げやWHOの脱退、同盟国への軍事負担の拡大等の、大きな政策転換を打ち出しています。  このトランプ大統領の政策転換に対して、(おそらくは石破首相がそうするであろう様に)指をくわえて見ているだけでは、日本はトランプ政権の各種方針に翻弄されるだけとなり、大きく国益を毀損していくことは必至です。  例えば、防衛費増強に対しては思いやり予算を増やすだけに終始し、関税引き上げに対して対抗的に米国に対する関税引き上げを打ち出すこともできず、ただ対米輸出が減少してしまうだけ、という事になってしまいます。  ついては、こうしたトランプ政権の各種方針を踏まえた上で、日米の国益の相乗効果を企図しつつ、日本の国益の最大化を果たさんがための「今すぐなすべき日本復活のための八策」を、以下の様に纏めてみました。  以下、この八策の考え方を改めて解説したいと思います。 PB規律凍結とワイズスペンディングでデフレ脱却を  まず何と言っても第一になすべきことは、 【第一策】財政規律の適正化です。要するに、 PB規律(プライマリーバランス規律=基礎的財政収支黒字化目標)の緩和・凍結と、新たな財政規律として「成長率の適正化」と「債務対GDP比の安定化」の二つを用いて、安定的な成長を前提としながら、債務がGDPに対して過剰に増加していかないように配慮する、というものを採択することが、今の日本において何よりも大切な方針です。  なお、いかなる政府支出であろうと、それが長期的な視点も含めて如何に国益に資するのかを想定することが必要です。その意味で、ワイズスペンディング(合理的な政府支出)の思想は、財政規律の根幹的思想として位置づけられなければなりません。  例えば投資ものに関しては、「長期的なPB規律」を考え、長期的にはその投資を通して成長し、税収が増えることを通して、長期的な財政の健全化に資するものは、仮に単年度で財政赤字が拡大するように見えても、「財政健全化」の視点から積極的に推進すべき、という規律も、ワイズスペンディングの一つの形となります。  また、この前提の下、まずは、 【第二策】178万への壁引き上げ 【第三策】ガソリン税減税・消費税減税  を推進することで、現下の国民の「手取り」を増やし、「実質賃金」を引き上げ、そし...

未来の国民のために「失われた30年」から脱却する政治を選択しよう。それは現代を生きる私たちの責任だ。

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< 国民は気づいていない  はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざりけり――手取りが増えない原因は「ステルス増税」かもしれない。国民が気づかないように、広く薄く搾り取るのがステルス増税の特徴であり、それはすでに始まっている。  昨年6月から、住民税が1000円多く徴収されているのをご存じだろうか。給与明細を見ても、普通は気づかないだろう。 「住民税に上乗せする形で、森林環境税が年に1000円徴収され始めました。目的が『森林整備およびその促進』と曖昧で、本当に必要かどうかもわからないですし、環境対策と言われると反対しづらい心理を利用しているとしか思えません」(経済ジャーナリストの荻原博子氏)  今年もさまざまなステルス増税が控えている。税理士の宝田健太郎氏が解説する。 「2013年から所得税に2.1%上乗せされている復興特別所得税は、当初は2025年で徴収期間が終了する予定でしたが、2037年まで延長されました。代わりに税率が1%引き下げられたため、政府は『減税した』と強調しているものの、2027年からは『防衛増税』として所得税率が1%引き上げられるので、ただ徴収期間が12年延長されただけです」  さらに今年の4月1日からは、贈与税でも実質的な増税が予定されている。結婚・子育て資金を一括贈与する場合、1000万円まで設けられていた非課税枠が廃止されるのだ。 ステルス増税の代名詞「独身税」  来年以降もステルス増税は目白押しだ。2026年度からは「異次元の少子化対策」の財源として、「独身税」と揶揄される子育て支援金の徴収が始まる。 「年間1万2000円が医療保険料に上乗せされる予定で、物価上昇で苦しむ家計にとっては大きな負担です。しかも『支援金』という怪しい名前からわかるように、税金でも社会保険料でもないため、国民負担率の計算には含まれないことになっている。まさにステルス増税の代名詞です」(前出の荻原氏)  近年ではEVのほか燃費がいい自動車が増えたため、ガソリン税の減収が著しい。そのため走行距離に応じて課税する走行距離税、通称「ネオ自動車税」の導入も検討され始めた。  増税や税の新設、社会保険料の値上げに加えて、政府は控除の縮小によっても税収を増やそうとたくらんでいる。 「検討中のもので、現役世代に影響が大きいのは退職金控除の縮小でしょう。現在の制度では、...

なぜマスク氏はトランプ支持になったのか。

< 反リベラルになった契機  周囲の者がみな反対したにもかかわらず経営不振に苦しむツイッターを買収したのは、「自由な言論空間を守る」という大義名分はあったものの、(本人も認めるように)さびしいからだろう。成功の実感、すなわち「自己実現」をもたらしてくれるのは数十兆円の富ではなく、社会的な評価(1億5000万人のフォロワー)なのだ。  マスクはもともと政治にさしたる関心がなく、民主党とオバマ大統領を支持していた。だがツイッターを始めるようになって、徐々に「ウォーク(Woke:目覚めた者)」への批判を強めていく。  ウォークは日本でいう「(社会問題に)意識高い系」のことで、人種問題やジェンダー問題などで「ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ:政治的正しさ)」の旗を振りかざし、不適切な言動をした者を社会的に抹消(キャンセル)する「キャンセルカルチャー」を主導している(「SJW=社会正義の闘士」とも呼ばれる)。  ウォークたちは、経済格差こそがすべての社会問題の元凶で、マスクのようなビリオネアは、その富がたとえ正当な方法で(合法的に)得たものであっても、存在そのものが「不道徳」だとしている。これは全財産を失うリスクをとって(さらには「1日23時間」仕事に没頭して)誰もが不可能だとあざけった事業を成功に導いたマスクにとって、許しがたい侮辱だった。  マスクと最初の妻との子どもゼイヴィアはその後、女性にジェンダー移行して「ヴィヴィアン」と名乗り、父親を「資本主義者」と批判するようになった。マスクはこれを、「ウォークマインド・ウイルス」に感染したからだと考えているらしい。  決定的なのは、法学者から民主党の上院議員になったエリザベス・ウォーレンにツイッターで「税金を納めていない」と批判されたことで、これに猛反発したマスクはテスラ株のストックオプションを行使して110億ドル(当時の為替レートで約1兆2500億円)を納税し、「(IRS〈米内国歳入庁〉に立ち寄ったら)クッキーでももらえるような気がする」と皮肉った。  ツイッターやフェイスブックは中立な言論プラットフォームを装っているが、リベラル派の投稿を優先し、保守派(右派)の投稿を削除しているのではないかとずっと疑われてきた。ツイッターでウォーレンのような「左派(レフト)」から攻撃されたマスクが買収を決めたのは、この「不正」をただそ...

米中貿易戦争と、いかにも米国と中国が対等に敵対しているかのような表現だが、

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<中国の2024年の経済成長率が発表された。経済成長率は予想以上の高水準となったが、成長を支えたのは貿易黒字の増加だ。  「チャイナショック2.0」とも呼ばれる中国の輸出急増は世界各国の警戒感を高めている。関税引き上げを公約に掲げる米国のトランプ大統領の誕生もあり、2025年は中国の輸出が国際問題の焦点となるだろう。 予想以上の高成長の裏側  中国国家統計局は1月17日に24年の主要統計を発表した。もっとも注目を集める名目経済成長率は5.0%成長。中国政府の目標は「5.0%前後」だったので、まさにぴったりの着地だ。  アナリストの予測では4.7%や4.8%など目標レンジには収まるものの、やや低めに着地するのではないかとみられていた。四半期ベースでみると、第1四半期の5.3%から4.7%、4.6%と低下していたことも大きい。しかし、第4四半期は5.4%と大きく盛り返したことで、予想以上の結果となった。 「目標値ぴったりの経済成長を遂げるなどなにか怪しい」と疑う方も多いだろう。  先日、中国経済統計に疑念を呈し、「過去2~3年の成長率は、公式統計では5%近くとなっているが、実際には平均で2%程度ではないか」と発言した中国SDIC証券の高善文(ガオ・シャンウェン)チーフエコノミストが公の場での発言を禁止されたことが明らかとなった。また、中国当局はソーシャルメディアなどで中国経済の先行きを不安視する投稿を規制している。こうした姿勢をみていると、中国政府にはなにか後ろめたい隠し事があるのではと疑われるのも無理からぬところだ。  こうした中国経済の統計の正確性や捏造に関する疑問は何も昨日今日始まった話ではない。中国経済を長年研究している経済学者やエコノミストの見立ては、統計の精度には向上の余地があるだろうし、頻繁な統計基準の変更によって長期的な観測を難しくしている側面はあるものの、中国の統計は現状を知る上で頼りにできる精度を持つといったあたりが一般的な見解だろう。  実際、今回発表された統計も、中国の明るい状況ばかりを示すものではない。25年に直面する深刻な課題がはっきりとあらわれている。 5.0%成長は弱い消費と投資、輸出依存  下図は04年以降の中国国内総生産(GDP)成長を、消費(最終消費)、投資(固定資産形成)、輸出の各要素ごとに分解したもの。この3項目を足し合わせると...

為替相場投機の道具と化した日銀金利引き上げ。

<24日の日本市場では円が対ドルで155円台前半に上昇。日本銀行はこの日の金融政策決定会合で政策金利の引き上げを決定するとともに、物価見通しを上方修正した。債券は下落、株式は小幅安で終えた。  日銀は政策金利を17年ぶりの高水準となる0.5%程度に引き上げることを決めた。金利スワップ市場では9割以上の確率で利上げを織り込んでいたため、市場では予想通りと受け止められた。一方、同時に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の2025年度見通しを前年比2.4%上昇と、従来の1.9%上昇から大幅に上方修正した。   T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、展望リポートでは委員の物価見通しが市場予想を上振れたにもかかわらず、リスクバランスでも物価の上振れリスクの方が大きいとしており、思ったよりタカ派的だと指摘。また、説明資料では経済・物価の先行きや見通しが実現していく「確度が高まっている」と赤字で記されており、日銀の自信がうかがえると述べた。  午後3時半から植田和男総裁の記者会見が行われ、植田総裁は緩和度合い調整のペースやタイミングについては、「経済・物価・金融情勢次第で予断は持っていない」との認識を示した。また緩和的でも引き締め的でもない中立金利の推計は1-2.5%に分布しており、0.5%からは「まだ相応の距離がある」とも発言した。  市場の焦点は次の利上げの時期に移っている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、次の利上げのメインシナリオは10月だとした上で、春闘や企業の価格設定スタンス次第で7月の可能性もあるとの見方を示した>(以上「Bloomberg」より引用)  日銀が根拠もなく金利を引き上げるという。「 【日本市況】円が上昇、日銀利上げ決め物価見通し引き上げ-債券下落 」との記事に国民のことなど眼中にない財務省と同様に、日銀も所詮は為替相場の玩具になり果てたのかと慨嘆するしかない。  財務相は財務省の権益を守るために国民から税や負担金を巻き上げ続ける。史上最大の税収を記録しても、まだまだ税収不足だと言い張る。「財政再建」のためには増税しかない、と財務省はオールドメディアを総動員して国民を洗脳しにかかる。それは景気動向などお構いなしだ。  日銀は日銀の金利政策に幅...

欧州には「おひとり様」外食する習慣がない理由とは。

< 「どこまで’’おひとり様’’で行動できるか?」というトピックは、SNS上や友人との会話内でしばしば登場する。筆者は長い間一人で海外を旅し、数ヶ国を転々と滞在しているが、諸外国の人々に比べると、日本人は概しておひとり様での行動範囲が広い民族だと感じる。日本社会はおひとり様にかなり寛容だ。   特に欧州は個人主義のイメージが根強いが、実際には一人行動を嫌がる人はすごく多いし、一人で行動する人間を前提として社会が構築されていない。いわば「おひとり様天国」の日本と「おひとり様不毛地帯」である欧州。特に違いが顕著なのは「一人で外食すること」に対する人々の感覚だ。今回は筆者が実際に長期間滞在したフランス、ポルトガル、ジョージアの三ヶ国において、一人で外食する文化がどれだけ希薄か紹介していく。そして、なぜ欧州の人々が一人で外食をすることをここまで避けたがるのか考えていきたい。 カフェは一人でも利用するけれど…  続いては、ユーラシア大陸最西端のポルトガル。ポルトガルにもフランスに負けないほどのカフェ文化が根付いており、「カフェ=一人で利用する場所」という感覚はフランス以上に強いかもしれない。  また、ポルトガルは全体的にとてもゆっくりした国だ。時間にアバウトな人も多いため、待ち合わせ時間に相手が遅れた場合の時間潰し用の場所としてカフェが機能しているのは、なんともポルトガルらしい。  そんなポルトガルでも、外食に対する感覚はフランスに近いものがある。「カフェは一人で利用するものだが、食堂やレストランで食事をするのは複数人で」という暗黙の了解が、ここでも根付いている。 一人客はだいたいが常連  ポルトガルのカフェは食堂の役割を兼ねている場合も多く、食事メニューも充実している。日本で言う「日替りランチ定食」のようなセットメニューが用意されている場合もあり、スープ、ワイン、メイン、デザート、コーヒーが数十分おきに順番に運ばれてくるものだ。 こちらは一人でも注文できるし、量も一人客を前提としている。  しかしながら、いくらポルトガルで日替りランチが一人でも注文しやすいとはいえ、食事目的でカフェに足を運ぶ客の圧倒的多数は複数人だ。一人客はだいたい店の近所に住む常連客で、店の人とお喋りしながらのんびりと食事を楽しみに来る人ばかり。しかも一人客はほぼ100%が高齢男性で、若い男性一人や女性一...

オールドメディアによる「性献上」と性加害事件は2023年6月に起きたフジテレビで起きた中居「性加害」の一件だけなのか。

< 突然引退を決めた謎 「さっきも記者が来て、『どう思うか』と聞かれましたが、何もわからないので、答えようがない。逆に、何があったのか、教えてほしいです」  女性トラブルを報じられ、渦中の存在だった中居正広(52)が1月23日、引退を発表した。この日の夜、中居の地元である神奈川県藤沢市辻堂を訪れると、中学時代からの付き合いという後輩の男性は、戸惑いを隠さなかった。  中居は今月9日、女性とのトラブルを「事実」としたうえで、〈示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました〉という声明を発表していた。  だが、出演番組の休止・打ち切りが次々と決定する中、一転して引退することになった。 地元で遊ぶときは野郎だけ  SMAPのメンバーとして一時代を築き、グループ解散後もバラエティ番組の司会を中心に第一線で活躍してきた国民的タレントの引退に対する反応は様々だ。 「女性トラブルが事実であれば引退は当然」といった厳しい声がある一方、「突然引退することになった理由とは? 何があったのか知りたい」と釈然としない思いを抱えている人もいる。冒頭の後輩もその1人だ。  中居は地元愛を公言しており、中学時代の同級生や後輩とはいまも付き合いが続いている。休みが取れると地元に帰り、ゴルフや野球を楽しみ、仲間と酒を飲み明かしていたという。 「地元の仲間とゴルフをして酒を飲んで、運転して帰れないので駅前のアパホテルに泊まる。そんな感じです。  地元で飲むときは野郎だけなんで。基本的に仕事の話もしません。地元の仲間ってそんなもんでしょう。もちろん業界の人と飲むときは真面目な話をしたのでしょうが、ここではどうでもいい話ばかり。地元に戻れば芸能人という感じではなく、自分にとっては単なる地元の先輩です。  自分にとってはいい先輩です。ヤンチャだった? 僕らの上の世代は荒れていましたけど、僕らの世代は普通でした(笑)。冗談はさておき、本当にテレビのままの人です」 女性に何をしたの?  この後輩男性は「女性トラブルは許されるものではないが」と言いつつ、率直な思いを明かした。 「女性トラブルがあったということですが、それだけのことをしてしまったのであれば、(我々も)受け止めなくてはいけないと思います。ただ、具体的には何もわからない。本人にも『何したの?』って聞きたい。何があっ...

米国では旧体制から新体制への交替が起きている。

< バイデン最終日の大盤振る舞い  トランプ大統領が就任し、就任直後から数多くの大統領令に次々と署名し、今までの民主党政権の動きと完全に決別する様々な動きを見せている。  ここに多くの注目が集まるのは当然で、予想通りとはいえ、次々に発せられる大統領令に触れると、アメリカ、ひいては世界が大きく変わっていくことが実感される。  イーロン・マスクはトランプの大統領就任パレードで壇上に上がってすっかり興奮した面持ちで、「これはただの勝利ではなかった。これは人類文明の岐路となる出来事だった」と語った。なお、主流派メディアはマスクが胸を叩いて手を伸ばす仕草を交えて、この選挙結果を生み出した国民に感謝の気持ちを示したことに、「ナチス的な敬礼を行った」と否定的な報道を行った。こういう悪意ある印象操作が今なお通用すると思っているところが、実に残念だ。  ところで、トランプの新政策の発表に注目が集まる中で、見落とされがちな重大なことが、実は退任するバイデン大統領によって行われていた。  バイデンは大統領として執務する最終日である1月19日に、トランプに批判的な立場を取ってきた人たちに対して、予防的な恩赦を与えると発表したのだ。予防的な恩赦とは、現在のところは罪に問われていないが、今後問われて服役するようなペナルティが課されることがないように事前に手を打つという、特別な恩赦である。  恩赦対象は、アメリカの新型コロナ対策を推し進めた国立アレルギー感染症研究所元所長のアンソニー・ファウチ博士、反トランプ姿勢を何度も示してきたマーク・ミリー前統合参謀本部議長(米軍制服組トップ)、バイデンの親族5人、2021年1月6日に起こったいわゆる「連邦議事堂襲撃事件」に関しての、米下院に設置された調査特別委員会に関わった人物らだ。  詳しい事情がわからなければ、バイデンの恩赦の何が問題なのかはわからないだろうが、事情を知れば相当とんでもないことをやったことがわかるのではないかと思う。 コロナウィルス「人工」的なものだった まずはファウチ博士から取り上げてみよう。  私はファウチ博士は、政治的な意味合いを十分に理解できない理系人間だったのではないかと思うが、そのために大きな過ちを犯し、その犯した過ちをごまかすために嘘を言い続けた人であると見ている。  2019年に出現し、2020年から世界を席巻した新型コ...

ガソリン減税の行方 財務省幹部「トリガーは発動不可な制度にした」とは、いつから日本は官僚国家になったのか。

<ガソリン価格を抑えるための国の補助金が1月16日から縮小された。全国平均の価格は1リットル180円程度から185円程度に上昇する見通しだ。各地のガソリンスタンドでは、「駆け込み」で給油する人の姿も目立った。  政府は昨年11月、2022年の開始から累計8兆円超の予算をつぎ込む補助制度を当面継続する一方で、12月から段階的に補助額を減らすことを決めた。円安と原油高の影響も重なり、2023年8月の過去最高値185・6円の更新も現実味を帯びる。  特に、買い物や通院などで車が欠かせない地方では、ガソリン価格の上昇は暮らしに直結するだけに、ガソリン減税を求める声は一段と強まりそうだ。だが、その行方は一筋縄ではいきそうにない。  昨年10月の衆院選で「手取りを増やす」と訴えた国民民主党が躍進し、所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」の引き上げとともに、ガソリン減税が大きな注目を集めた。  ガソリン税は、本来の税率は1リットルあたり28・7円。「旧暫定税率」の25・1円がこれに上乗せされ、計53・8円が販売価格に含まれている。自民、公明、国民民主の3党は昨年12月、旧暫定税率の廃止で合意したが、時期や具体的な実施方法は決まっていない。  国民民主はもともと、価格高騰時にガソリン税の旧暫定税率分を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除を求めていた。  トリガー条項は、ガソリン価格の全国平均が3カ月連続で1リットルあたり160円を超えると発動し、旧暫定税率の25・1円を免除する仕組みだ。逆に発動後3カ月連続で130円を下回ると解除されて元に戻る。2010年に当時の民主党政権が導入したが、11年の東日本大震災の復興財源を確保する名目で凍結された。  自公国3党は22年から凍結解除をめぐり協議していたが、急激な価格変動に伴う消費者の買い控えや買いだめなどの混乱が懸念され、合意に至らなかった>(以上「朝日新聞」より引用) 「 ガソリン減税の行方 財務省幹部「トリガーは発動不可な制度にした」 」という見出しには怒りすら覚える。いつから日本は官僚が支配する「官僚国家」になり下がったのだろうか。  日本国憲法によれば、日本は「主権在民」で、選挙によって当選した議員による「議院内閣制度」によって選出された政府によって行政は動く仕組みになっているはずだ。しかし「ガソリン減税の行方 財...

性加害当事者の引退表明に大騒ぎするテレビ局の唐変木ぶり。

< タレントの中居正広氏が芸能界引退を発表した。中居氏とフジテレビをめぐる問題では、民放キー局が、芸能関係者と局員の関係について「社内調査を実施する(実施した)」と相次いで表明している。元テレビ朝日プロデューサー鎮目博道さんは「民放各局は、フジテレビのCM差し替え・差し止め問題が自社に波及することを最も恐れている。社内調査の実施を表明しているが、形式的な調査では全く意味がない」という――。 いまテレビ各局がいちばん恐れていること  タレントの中居正広氏が、自身の有料会員サイトでついに芸能界引退を発表した。発表直後からSNSで「中居引退」がトレンドとなり、驚きをもって受け止められた。  しかし、驚いているテレビ局幹部はたぶんいないだろう。遅かれ早かれこうなることが予想されていたからだ。それより各局が驚き、恐れ慄いているのは、フジテレビからスポンサーが離れ、多くのCMがACジャパンに差し替わっていることだ。中居氏の女性トラブルをめぐる問題がフジテレビを直撃していること、それが自局に飛び火することを最も警戒している。  これまでどんなスキャンダルが起きても、こんな一大事にはならなかった。タレントがひとり消えるか、あるいは番組が終了するか。それで解決するものだと誰もが思っていただろう。しかしそう甘くなかった。  フジテレビはこのままいけば、多くのスポンサーを失い、収益の大きな部分が吹き飛ぶ。それだけではない。直接的な当事者ではないフジテレビの系列局まで大きな損害を被ることになる可能性が高い。読売新聞の報道によると、実際に、関西テレビ(大阪市)のスポンサーは30数社がCMの差し替えなどを希望しているという。九州の系列局でも差し替えの動きが起きているようだ。 「こんなことが万が一にも自局に飛び火してはならない」と各局の経営者は思っただろう。各局が「自局の調査」を表明するまでのスピードは驚くほど早かったのはその証左だと言える。 先手を打ったキー局  TBSは20日に、アナウンサーを含む社員を対象に、TBSのコンプライアンス部門が弁護士の助言を得ながら「TBSグループの人権方針にのっとり、実態を把握するための社内調査を始めている」と発表。  日本テレビは21日に「会食などにおける不適切な性的接触がなかったか」を、外部の専門家を入れて制作現場などの社員を対象にヒアリングを行うと発表。...

米国に見るグローバリズムの揺り戻し。

< ワシントンが真っ赤に染まった 「すごくエキサイティング! これでやっとアメリカがまともな国になるよ」  興奮した面持ちで語ってくれたのは、ノースキャロライナから来たという20歳の白人男性コナーさんだった。  1月20日月曜日午前8時、気温マイナス7度という危険なほどの寒さにもかかわらず、ワシントンの中心部のストリートは数万人のトランプ支持者で埋めつくされていた。急遽室内に変更になった大統領就任式を一目見ようする人々が、ビューイングエリアとなった「キャピタル・ワン・アリーナ」に入ろうと行列しているのだ。その列はアリーナ入口を先頭に、チャイナタウンを突っ切って延々と伸び続け、最後尾がどこかさえもわからないほどだ。  多くは真っ赤なニットのMAGA(Make America Great Againの略、熱烈なトランプ支持者はMAGAと呼ばれる)のロゴが入った帽子をかぶり、やはり真っ赤なマフラーを巻いている。行列の横には、ありとあらゆるデザインのトランプTシャツや帽子、ペンからぬいぐるみまでのグッズを売る露店がずらりと並ぶ。  ペンシルバニア州から来たという白人女性スーザンさんは、星条旗柄のニットの「トランプ帽」に赤いマフラー姿で、 「一生に一度の記念すべき日だから思い切り楽しむわ」  と満面に笑みを浮かべた。  まさにMAGA支持者にとってこの日は人生最大の記念日だ。まず8年前とは喜びが違う。一度は否定されたMAGAとトランプを返り咲かせるために、一緒に戦って勝ち取ったという自信と自負がある。だから彼らは、まるでこのワシントンの街を征服したかのように、意気揚々としている。  しかし筆者が異様に感じたのは、支持者以外の一般市民の姿がストリートから消えてしまったことだ。いくら休日でこの寒さとはいえ、犬の散歩をする人の1人や2人いてもよさそうなものだが、どの街角ですれ違うのも、スタバでコーヒーを買っている人も、必ず真っ赤なMAGAニット帽をかぶっているか、トランプの旗を持っている。  ワシントンはリベラルの街ニューヨーク以上に、民主党が圧倒的に強い場所だ。その街がMAGAに占拠される中、どうやらリベラルは家にこもって息を潜めているようだった。それはトランプ氏の「ホワイトハウス奪還記念日」を象徴するような光景だった。 リベラルはもう抵抗に疲れたのか?  2017年の第一次トラ...

中居性加害問題は芸能界引退で済む話ではない。

<フジテレビからスポンサーが続々と撤退している。この原稿を執筆している22日15時時点では、CMを差し替える企業が少なくとも70社を超えているという。  人気タレントの中居正広氏の「女性とのトラブル」にフジテレビ幹部が関与していたとの週刊誌の報道を受けて、同社の港浩一社長は2月の定例会見を前倒しして1月17日に記者会見を行ったが、そこでの発言がかえって裏目に出た格好だ。 「回答を差し控える」を連発した不誠実な記者会見  参加媒体を記者クラブ加盟社だけに限定し、テレビ局であるにもかかわらず映像配信を認めず、写真撮影も冒頭のみという厳しいルールを敷いた。  会見の内容も、プライバシーや新たに設置する調査委員会に委ねることを理由に「回答を差し控える」を連発し、不誠実と受け取られかねない対応に終始した。  週刊文春の女性アナウンサーによる接待が常態化していたとの記事に関して尋ねられると、「なかったと信じたいと思います」と歯切れの悪い回答だった。  しかも、新たに設置予定の「第三者の弁護士を中心とする調査委員会」は、現時点では日本弁護士連合会がガイドラインで示す「企業等から独立した第三者のみをもって構成される」「第三者委員会」ではないようだ。  23日に開く臨時の取締役会で同ガイドラインに基づく第三者委員会を設置するとの報道も出ているが、真相究明に当たって独立性が担保されるかどうかは依然不透明である。  これを受けて19日には、元朝日新聞記者が有志とともに「記者会見の『やり直し』と、徹底した真相解明を求める」署名をオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」に立ち上げるなど波紋が広がっている。 表沙汰になるまで問題を"放置"していた疑い  会見で港社長は、中居氏のトラブルを発生直後の2023年6月初旬に把握したと述べた。  そうなると1年以上もの間、何事もなかったように看板番組で中居氏を起用し続け、週刊誌の報道が出るまで"放置"していた疑いが浮上してくる。  つまり、フジテレビはそもそもこの問題を適切に解決しようとする気があったのかという疑念である。  時系列的に見て、まず今回のような週刊誌の報道が発端となり、それに伴って騒動が次第に拡大し、大株主である米投資ファンドからの強い圧力や海外メディアへの波及が国内...

外交官はプレゼンで決して負けてはならない。

< 「民」の働きかけと「官」の発信  駐オーストラリア特命全権大使として天皇陛下から皇居で信任状を授与された私が豪州赴任の準備を進める際に、何人もの関係者から聞いたその名前は山岡鉄秀さんでした。私がキャンベラに着任した時には山岡さんはすでに日本に帰国されていたため、残念ながら2年4カ月に及ぶ在任中にお会いして話をうかがうことはかないませんでした。  しかしながら、駐豪大使の任を終えて帰国後、インターネットテレビの文化人放送局の番組で初めてお会いし、たちまち意気投合したのです。嬉しいことに、その後何度もじっくりと意見交換をする機会に恵まれ、今日に至っています。  外交官生活の最大の醍醐味は、人との出会いです。特に、在外公館で勤務する際には、霞が関の外務本省に居続けていたのであれば知り合う機会がまずなかったような人と知己を得ることができます。山岡さんとの出会いは、そんな喜びを再認識させてくれたのです。  山岡先生からシドニーでの武勇伝をうかがうにつれ、私としてもハタと膝を打つことが数多くありました。「歴史戦」と聞くと、ハードルの高さを感じて身構えてしまう人が多いのではないでしょうか? でも、山岡先生の説得力に富む体験談を読んでいただければ、そのような印象が払拭されるのではないかと思います。 「相手の土俵では勝負しない」 「歴史論争に引きずり込まれるのではなく、自分たちを受け入れてくれているオーストラリア社会を分断してしまう危険を理性的に訴える」  これぞ至言ではないでしょうか。  なにも「歴史」とは、大東亜戦争の歴史だけではありません。戦前・戦後、オーストラリアであれ、アメリカであれ、イギリスであれ、日本人、日本企業が移住・転勤先、取引・投資先の現地社会に溶け込むよう、誠実かつ地道に努力を重ねてきたのも、また脈々と流れる「歴史」です。歴史戦に臨むうえでは、そうした長年の積み重ねから得られてきた日本や日本人の信用度が最大の武器になると信じています。山岡先生の貴重なご経験は、そのことを如実に物語っていると受け止めています。  また、山岡先生のような民間の方々による草の根の地道な働きかけがあってこそ、政府関係者による日本のナラティブの擦りこみが有効に機能するのではないでしょうか。その意味では、民のレベルでの働きかけと、官のレベルでの発信、反論は車の両輪と言えましょう。  思い...

トランプ氏の二期目に期待する。

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< 打つ手が読みやすい  1月20日、ドナルド・トランプ氏が第47代アメリカ合衆国大統領に就任した。  アマゾン、メタ、マイクロソフト、それにアップル,グーグル、TIKTOKのトップまで、これまで反トランプだった人物まで加わって、テクノロジーの巨人が集結した就任式は、トランプ氏自ら語ったように、「アメリカの完全復活と常識の革命」の幕開けを内外に宣言する舞台となった。  筆者は、あらためて「トランプ大統領の再登板で良かった」と感じたものだ。まず、トランプ氏の場合、打つ手が読みやすい。  もちろん、その言動に懸念はある。トランプ氏の政治方針の基軸は、言うまでもなく「アメリカファースト」であり、徹底した「反中」であり、また官僚機構や進歩的勢力への「報復」である。  事実、トランプ氏は大統領就任前から、デンマークの自治領であるグリーンランドの獲得に並々ならぬ意欲を見せ、1999年にパナマに委譲したパナマ運河の管理権奪還にも、「軍事力」までちらつかせながら言及してきた。  いずれも「対中国」や「対ロシア」を意識したもので、グリーンランドで言えば、レアアースの鉱床もあるため、ここを手に入れられれば安全保障と資源の両面でアメリカの国益にかなうことは間違いない。  他メディアも報じているとおり、トランプ氏は就任後、さっそく数々の大統領令に署名し、バイデン前政権で出された大統領令78本を取り消す文書をはじめ、パリ協定から脱退する文書、議会襲撃事件で有罪となった人たちに恩赦を与える文書に署名した。このほか、これまでのエネルギー政策を見直し、新規の石油・ガス採掘に乗り出す考えなども明確にした。  これらの中には「不適切にもほどがある」と言いたくなる政策もあるが、「アメリカファースト」「反中」「報復」という3つの基軸は明確に示されている。日本にとってみれば、トランプ氏の狙いは分かりやすいという点で、事前に対処しやすいとも言える。 外交面でも早期の成果を狙う  2つ目の理由は、トランプ氏が成果を急ぎ、それに伴い、変化も早く表面化している点だ。  アメリカ国内で言えば、メタやマクドナルド、小売り大手のウォルマートなどが、トランプ氏の就任前から、バイデン前政権まで続いてきたDEI(ダイバーシティ=多様性、エクイティ=平等、インクルージョン=包摂性)を重んじる社会的な取り組みを方針転換させた。  ...

政治家に「ザイム真理教」の信徒たちは不要だ。

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< 「年収の壁引き上げに積極的で無い人」49%!?  世間を賑わせている、国民民主党の玉木雄一郎代表が主張し、自民党、公明党、国民民主党の三党で協議が始められている「年収の壁の178万円への引き上げ」問題ですが、年末に三党で協議されて以降、久方ぶりに自民、公明、国民民主の三党協議がこの度始められることとなりました。  一方でいろいろな世論調査を見ていますと、この引き上げについて別に必要無いという人や、自民党が言っている123万円くらいでいいんじゃないか、と思っている人が結構いるようです。  当方としては誠に驚くべき結果だと思いつつその結果を見ているのですが、例えば、最新の毎日新聞の調査だと次のような結果となっています。(毎日新聞、1月19日「石破内閣支持率、28%と低迷 支持理由の最多は」) 「『壁』の123万円への引き上げ方針について、『妥当だ』は18%、『引き上げる必要はない』は10%、『分からない』は21%だった。」  つまり、「もっと引き上げるべきだ」とは思っていない人が、実に18%+10%+21%の49%と、おおよそ半分ほどに達しているのです。この調査で「引き上げるべき」と回答した割合約50%でしたから、それとほぼ拮抗している状況にある、という次第です。 減税額十分の一ですが  このままでは、宮沢洋一自民党税調会長、あるいは財務省の思惑通り、123万円まで引き上げという自民案で決着が付いてしまいかねません。  ちなみに引き上げが123万円までで収まった場合の減税額は、政府与党試算でおおよそ、178万円の場合に比べてわずか十分の一となってしまいます。178万円の場合は7兆-8兆円程度の減税額ですが、123万円の場合には実に7000億―8000億円程度になってしまうからです。  ですが、これはひとえに「壁引き上げ」というものが一体何なのかが、国民に十分に知られていないからに他なりません。先の調査でも「分からない」と回答した方が21%、つまり、「引き上げるべきだとは思っていない人々49%」の4割以上にも達していることからも、それを窺い知ることができます。 消費税5%減税と同じって知ってますか  しかし、178万円への壁引き上げは、消費税を5%引き下げる消費減税と、減税額においてほぼ同様の効果がある程に、強烈なインパクトを与えるものなのです。  こちらのグラフをご...