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山東省の人工島で新石油精製プラントが稼働し始めたが、目的は何だろうか。

<中国の山東省煙台市の人工島に巨大な石油化学コンビナートを建設する「裕龍島プロジェクト」。その第1期工事のプラントが部分的に完成し、9月25日に生産を開始した。  裕龍島プロジェクトは山東省政府の「一号工程」と呼ばれる最重点事業であり、2020年10月に着工した。それから3年を経て、年間生産能力1000万トンの石油精製プラントが今回稼働。第1期の未完成のプラントも、2024年末までに生産準備が整う予定となっている。  プロジェクトは2期に分かれており、第1期では総額1168億元(約2兆3855億円)を投じて年間生産能力2000万トンの石油精製プラント、同300万トンのエチレン・プラント、同300万トンの混合キシレン・プラント、それらの貯蔵・輸送インフラなどを建設する。 小規模製油所の乱立が背景  第2期のプラントも第1期と同規模を計画しており、完成時の石油精製能力は(両期の合計で)年間4000万トンに達する。  山東省政府が裕龍島プロジェクトを計画した背景には、同省が全体としては中国有数の石油精製能力を持ちながら、個々の製油所の規模が小さく、立地も分散しているという長年の問題があった。  小規模の製油所は(原油相場や景気変動に対する)リスク耐性が低いうえ、生産品目に占める(低付加価値の)石油精製品の比率が高く、(高付加価値の)石油化学製品の比率が低い。そのため多くの製油所が綱渡りの経営を迫られており、9月14日には山東省の2つの小規模製油所が裁判所の破産宣告を受けた。  山東省政府は以前から自省の石油化学産業の構造に危機感を持ち、2018年に「上大圧小、減量置換(大規模コンビナートにリソースを集中して小規模製油所を減らし、生産能力の削減と置き換えを進める)」という方針を打ち出して、裕龍島プロジェクトをスタートさせた。  巨大コンビナートの新規稼働は、中国の生産能力過剰に拍車をかける可能性がある。同プロジェクトの建設と同時並行で、山東省内の年間生産能力300万トン未満の小規模製油所は閉鎖・集約が進められた。省政府系のネットメディア「中国山東網」の報道によれば、裕龍島プロジェクトの第1期のプラントが生産を始めても、山東省全体の石油精製能力は年間696万トン減少するという。 中国の石油需要は頭打ち  とはいえ、最近の原油相場や中国の石油需要のトレンドを考慮すると、裕龍島プ

これが独裁専制主義国家の実態だ。

<ウクライナ文化情報省傘下の戦略コミュニケーション・情報安全保障センターは18日、北朝鮮兵がロシア国内の訓練場で装備品を受け取っているとする動画をSNSで公開した。 ウクライナ政府は、ロシアとの戦線への北朝鮮兵投入に危機感を強めている。  北朝鮮兵が露極東の訓練場で装備品を受け取っているとされる動画は約30秒で、迷彩服姿の兵士とみられる数十人が並んで荷物を受け取る様子を捉えている。朝鮮語を話す音声も聞こえる。同センターは、露極東の訓練場で72時間以内に撮影されたと説明している。  ウクライナ国防省の情報機関「情報総局」のキリロ・ブダノフ局長は17日、約1万1000人の北朝鮮兵が11月1日までに露東部での訓練を完了し、最初に2600人が露西部クルスク州に派遣されるとの見通しを示した。軍事オンラインメディア「ザ・ウォー・ゾーン」のインタビューで明らかにした。ウクライナ軍が8月に越境攻撃を始めたクルスク州では、露軍も反攻を本格化させている。  ウクライナのアンドリー・シビハ外相は18日、X(旧ツイッター)への投稿で、「北朝鮮は兵器と人員でロシアのウクライナ侵略を支援している。雇われ兵ではない正規部隊で、ロシアは捨て駒として使うつもりだ」と指摘した。「ロシアは北朝鮮を戦争の当事者として巻き込むことで、侵略を拡大させている」と非難し、国際社会の対応を求めた。  米国のカート・キャンベル国務副長官は18日、北朝鮮がロシアに協力し、大規模派兵を進めているとされることについて「国際政治の中で不吉な展開だ」と述べ、危機感をあらわにした>(以上「読売新聞」より引用)  読売新聞の見出しには「 ロシアに派遣された「北朝鮮兵」の動画、ウクライナ当局が公開「露は捨て駒として使うつもりだ」 」とあるが、なんのつもりであれ、金正恩氏は国民を一人当たり約400万円でロシアに売り飛ばしている。 「政治とは国家と国民を護るためにある」という近代国家観からすると、金正恩氏は政治家として失格というしかない。国民を飢えさせるだけでなく、死地へと赴かせるとは、金正恩という独裁者に掛ける言葉は何もない。一日も早く金正恩体制が終わることを願うだけだ。  しかし国民をロシアへ売り飛ばしているのは北朝鮮だけではないようだ。未確認情報だが、中共政府は人民解放軍兵士を数万人もロシアへ派兵し、その多くは既に戦死しているとい

「かく(確)トラ」で決まりだ。

< 「ハリス氏優勢」は本当か?  2024年のアメリカ大統領選挙の投開票日まで残り1ヵ月を切った。4年前と同様に大接戦となっている。   (エマーソンやサスケハナなど)最新の4つの世論調査では、ハリス氏が2~5ポイントリードし優勢だ。「もしハリ」ならばアメリカ史上初の女性大統領の誕生となる。男女平等が叫ばれるアメリカにおいても女性大統領は誕生したことがないから、ハリス大統領の誕生は歴史的な勝利となる。   その一方でトランプ氏の人気は4年前と比べ依然衰えていないとも感じている。特に一部の激戦州ではトランプ氏のリードを示す世論調査もあり、両者はまさに拮抗と言えるだろう。   そんな中、日本の報道の主流となっている「ハリス氏優勢」そしてトランプ氏のマイナス面ばかりがフィーチャーされるニュースには少し違和感を覚える。  一つにはハリス氏自身の掲げる政策が見えづらいというのがある。選挙対策で慌てて国境の視察をしていたが、移民対策を任されていた副大統領時代にできなかった(悪化した)ものを、これから新たな4年で改善しようというのはいくらなんでも無理がある。 民主党寄りの州(ニューヨークやカリフォルニアなど)の若年層を中心にハリス氏が支持されているのは事実だ。  初の女性大統領誕生への期待も高い。これら青い州でこの選挙戦を俯瞰して見ていると、勝利の女神はハリス氏に微笑んでいるかのように感じる。ひとえにテイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュなどZ世代に人気の有名人が次々とハリス支持を表明したことが若い有権者に影響を及ぼしているのもあるだろう。   しかし似たようなことが起こった2016年の大統領選では、多くのセレブ支持を得ていたヒラリー・クリントン氏が敗北した。よってセレブのエンドースメント(支持表明による応援)は選挙戦においてはそれほど大きな効果をもたらすものではないかもしれない。 大統領選直前、米現地の空気感  青い州の都市部ではハリス氏支持が目立つと話したが、そんな青い州でも郊外に行くとトランプ氏支持を唱える有権者が依然多いと感じる。  白人の高齢者が主な層だが、中には若年層や有色人種の人もいる。そんな彼らになぜトランプ氏を支持するのか聞いてみると、国の改革・変革が必要なのだと口をそろえる。  バイデン政権下で深刻化したインフレなど経済問題と移民問題をどうにかしなければと

崩壊する経済に対して、中共政府は処方箋を書けないでいる。

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< アメリカの凌駕するためのツール「一帯一路」構想  中国の「一帯一路」構想は、習近平国家主席が2013年に提唱した「巨大経済圏構想」、「経済対外拡張構想」です。もちろん中国が公言することはありませんが、経済権益をベースにした覇権主義的な構想であり、2049年までにアメリカを凌駕(りょうが)する超大国化を目指す中国の具体的な手段で、経済的権益の拡大と表裏一体でもある軍事的な影響力の拡張をも見据えた構想です。  北京から欧州までを結ぶ地上の「シルクロード経済ベルト(一帯)」と、上海からインド洋を通って欧州に至る「21世紀海上シルクロード(一路)」という帯状の経済圏を想定し、ガスや石油のパイプライン、鉄道、道路、経済回廊、港湾、発電所、電力網などのインフラ建設を融合させた概念です。  沿線上にある、実に65カ国がこの「一帯一路」構想に参画し、中国はこの地域のインフラに影響力を持つことで、産業・経済面の存在感を増そうというのはもちろん、軍事安全保障上も、あるいは外交目的でもこのフレームをうまく使っていこうという思惑があります。 地理的概念を大幅に拡張させる中国  そもそも「シルクロード」とは、紀元前から15世紀まであったとされるユーラシア大陸の交易路であり、それにちなんで名付けられたものが中国の「(現代版)シルクロード」です。しかし2024年現在、その名称は何だったのかと疑問をもちたくなるほどに、中国は太平洋を超えて中南米諸国と一帯一路への参画協定・覚書を交わすなど、地理的概念が大幅に拡張してきています。  近年、北極海ルートも中国の対露バーゲニングパワー増大で抑えられるようになってきましたし、中南米という「(もはやシルクロードという地理概念を超越した)飛び地」でも20カ国以上が支持・参画の表明をしています。  これを受けて、日本が中核的に関与するCPTPPや、米国が主導するブルー・ドット・ネットワーク、IPEF、先日のインドが提唱したIMEC(インド・中東・欧州経済回廊)等々のフレームは、一帯一路のカウンターとして登場してきた側面もあります。 つまり、「一帯一路」構想そのものが、北京中央にとっての重層的な覇権影響力拡大の手段であり、軍事経済の統合拡張的発想になっているわけです。  そうした巨大な仕掛けの「一帯一路」が、一次元下のレベルの概念である経済安全保障を内包するの

希望なき選挙。

<時事通信が17日公表した、石破茂内閣発足後初の支持率が28%と、いきなり「危険水域」に突入したことが、永田町に衝撃を与えている。衆院選(27日投開票)が中盤を迎えるなか、報道各社の情勢調査で、石破首相(総裁)率いる自民党は15年ぶりに単独過半数(233)を割り込む可能性が指摘されている。石破首相の「変節」や「豹変(ひょうへん)」、安倍晋三元首相を「国賊」と罵倒した人物の入閣などが影響しているのか。  「何かの間違いかと思った。発足直後で政権末期レベルのひどさだ」 自民党ベテラン議員は、時事通信の調査結果に驚き、こう語った。 保守系議員は「場当たり的に旧安倍派などを切り捨てた反動だ。閣僚・党役員人事や、派閥裏金事件をめぐる『非公認』『比例重複せず』など、十分な討議や説明を尽くすべきだったのに、不透明なまま決断を下し、党内外に怒りと失望が拡大した」と断じた。   永田町を激震させた時事通信の調査は11~14日、全国の18歳以上の男女2000人に個別面接方式で行ったという。2000年以降、発足直後に28%という支持率は、あの森喜朗内閣(33・3%)を下回って過去最低という。 実は、日経新聞・テレビ東京が今月1、2両日に実施した緊急世論調査でも、内閣支持率は51%と、現行の調査方式を導入した2002年以降、内閣発足時の支持率として最低だった。   石破首相は17日、長野市の街頭演説で、大型の補正予算編成に取り組む意向を示し、「物価上昇に負けない賃金の上昇を必ず実現する。物価高に苦しむ人への給付や新産業に対する支援を行う」と語った。 衆院選は中盤戦に突入したが、挽回できるのか。   ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「石破首相は総裁選で『すぐ解散しますという言い方は、私はしません』と公言しながら、早期の解散総選挙を決断した時点でつまずいた。改革を掲げて、国民世論の高い人気を背景に首相になっただけに、失望の反動も大きい。石破首相の党内基盤は弱く、総裁選で後押しを受けた菅義偉副総裁、岸田文雄前首相、森山裕幹事長などの意向に配慮しつつ難しいかじ取りを強いられる。衆院選の結果次第では、より厳しい局面に直面するだろう」と指摘した>(以上「夕刊フジ」より引用) 「 いきなり危険水域〝28%〟石破内閣支持率 時事通信調査 森喜朗内閣下回る「何かの間違いかと…発足直後で政権末期レベル」 」とは、

AI研究者がノーベル賞を受賞するのは極めて当然だ。

< 過去の類似ケースと今年の違い  先週発表された今年のノーベル賞では、物理・化学の両部門でAI関連の研究が受賞して注目を浴びた。  特に物理学賞では、現在の世界的AIブームを巻き起こした「ニューラルネットワーク」の礎を築いた米国のジョン・ホップフィールドとカナダのジェフリー・ヒントン両教授が受賞し、周囲から驚きをもって迎えられた。  これまでの常識では、AIや(その一種である)ニューラルネットはコンピュータ科学あるいは情報科学の分野に属し、物理学とは全くの別物と考えられていたからだ。  確かに2021年にも、真鍋叔郎博士ら3名の研究者が地球温暖化など気候変動の研究にコンピュータ・シミュレーションを導入する等の業績で同物理学賞を受賞している。しかしこの場合、主な研究対象は「気候変動」という一種の物理現象であり、それを研究するための道具としてコンピュータを応用した、という位置付けになる。  つまり主たる研究対象はあくまで物理現象であることから、これがノーベル物理学賞を受賞しても、周囲からは一種の驚きと「物理学賞の対象範囲が広がった」という受け止め方はあったにせよ、それほど大きな違和感のようなものは聞かれなかった。  これに対し今年は「AI」や「ニューラルネット」という本来、コンピュータ科学に属する研究その物が物理学賞の対象となったことから、2021年のケースとは本質的に異なる。 「AIのゴッドファーザー」の見解  もちろんノーベル賞を受賞した両教授の業績にケチをつけたり、それに異議を唱えるといった声は全く聞かれないが、それでも内心「(コンピュータ科学が物理学賞を受賞するのは)なんか違うんじゃないの?」という、ある種の疑問や割り切れない思いを抱いた人も少なくないと見られている。  この点について、米ニューヨークタイムズ紙のCade Metz記者が率直な質問を受賞直後のヒントン教授(関係者の間で「AIのゴッドファーザー」と呼ばれている)への電話インタビューで投げかけている。  その全部を紹介することはできないが、たとえば「ニューラルネットは本来コンピュータ技術です。それがどうして物理学と関係してくるのですか?」という単刀直入な質問に対し、ヒントン教授はおおむね次のように答えている。 「(ホップフィールド教授が発案した)ホップフィールド・ネットやそれをベースに私自身が行った

ロシアが主導して、BRICSだけの国際決済プラットフォームを構築する日が来るのか。

<ロシアは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成するBRICSが来週開く首脳会議で、欧米の制裁の影響を受けない国際決済プラットフォームを構築するよう呼びかける。  BRICSは22─24日にロシアのカザンで首脳会議を開く。ロシアは、世界の金融システムを見直し、米ドル支配を終わらせるために他国の協力を望んでいる。  首脳会議に先立ちロシア政府が配布した資料によると、BRICS各国の中銀を通じて相互にリンクされた商業銀行のネットワークに基づく決済システムを提案する。ブロックチェーン技術を活用し、各国通貨に裏付けされたデジタルトークンを保管・移転することで、デジタル通貨を安全かつ容易に交換できるようになり、ドル取引の必要がなくなる。  BRICS関連のシンクタンク創設者であるヤロスラフ・リソボリック氏は、こうしたシステムの構築は技術的には可能だが、時間がかかると述べた>(以上「REUTERS」より引用) 「 ロシア、制裁回避へ新決済システム提案へ BRICS首脳会議 」との記事が目に付いた。プーチンはBRICS首脳会議で「現在、34か国が何らかの形でBRICSに加わりたいと表明している」と述べたようだ。さらにプーチンはインドやイランの高官に対しても、モディ首相やペゼシュキアン大統領を首脳会議に招待する考えを示し、先進自由主義諸国と対立する国際決済プラットフォームをBRICSを巻き込んで作ろうとしているようだ。しかし、そんなことは夢のまた夢でしかない。  国際決済プラットフォームの構築には何よりも参加国の信認が必須だ。この場合、何処の国の通貨を国際決済プラットフォームで使用するのかが問われる。つまり基軸通貨を何にするかだが、プーチンはルーブルを主張するだろうし、中国は元を、そしてブラジルはレアルを主張するだろう。  先進自由主義諸国はSWIFT決済システムを利用しているが、そのような銀行間取引情報を制御するネットワークをどの国が管理するのかという問題もある。もちろんプーチンはロシアで管理したいだろうし、中国やインドも自国での管理を主張するだろう。  BRICSに参加している34ヶ国は先進自由主義諸国と対峙する形ではまとまっているが、BRICSだけで国際決済プラットフォームを構築することは出来ないだろう。なぜならそれぞれの国がそれぞれの国を信任してないからだ。もっ

なぜEV化にブレーキがかかったのか。

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< BEVは長足の進歩が望めなくなってしまったのか  クルマからのCO2排出量削減の決め球技術として世界的に推されたことでここ数年販売台数を急伸させてきたBEVの販売の鈍化が話題になっている。  販売スコアを見ると確かに以前のような勢いはない。2024年上半期のBEVの世界販売は約460万台と推計されている。2023年上半期が約400万台だったことを考えると堅調に推移していると見ることもできるが、2023年は下半期に販売が加速して年間では1000万台を突破するという売れ方をしていた。通年で2023年実績を上回るには同様に下期に販売を大幅に加速させる何かを必要とする厳しい状況だ。  特に深刻なのは欧州市場だ。自動車関連のシンクタンクJATO Dynamicsの欧州28カ国データによれば、7月まで対前年比約プラス2%と何とか増加傾向を維持していたが、8月には一転、マイナス36%と大幅減となった。  全車種でもマイナス16%、販売台数上位25ブランドのうち実に24ブランドが前年同月割れと不振だったことは考慮に入れる必要があり、BEVがその足を引っ張る側に回ったことは事実だ。アメリカ、中国は1割ほどのプラス圏にいるが、伸び率は少し前までのように大きくはない。足が止まったという感は否めず、今後の展開が注目される。  果たしてBEVに何が起こったのかということが頻繁に話題として取り上げられているが、BEV自体には何も起こっていない。リチウムイオン電池搭載、製造ラインにおける一貫生産という量産BEVを三菱自動車が世界で初めて世に送り出したのは2009年。それから15年の間にBEVの性能は大きく向上した。その技術革新が何らかの限界を迎えて長足の進歩が望めなくなった事態は起こっておらず、進化のトレンドは今後も続くものとみられる。  今起こっている停滞は、実はBEVの商品性とは全く関係のないところで起こっていると考えられる。その要因はいろいろあるが、とりわけ大きなファクターは、BEVを購入する際に各国政府が支給する補助金の変化である。         EVの世界販売が急減速(図:共同通信社) BEVがエンジン車と同価格まで下がらないのはなぜか  BEVは優れた走行性能や高い快適性などキラリと輝く長所と、航続距離の短さ、価格の高さなど相当にセンシティブな短所が同居する商品だが、最大のアゲ

政治は国家と国民のためにある。特権階級の者のためにあるのではない。

<裏金議員が早くも死屍累々の気配だ。裏金隠しの衆院選が15日公示され、裏金事件に関与した自民党の前議員ら45人が立候補。11人が公認されず、残る34人は公認されたものの比例には重複立候補できない。必勝をかけた背水の陣の戦いだが、45人中20人が“ドボン”する瀬戸際に立たされている。  石破首相は勝敗ラインについて「自公で過半数(233議席)」と設定。「状況は非常に厳しい」と引き締めを図っているが、想定以上に議席を失う可能性に党内は大揺れだ。 「自民党が今月実施した情勢調査によると、最悪のケースで120超の議席を失う可能性があるといい、単独過半数どころか200議席にすら届かない。公明党が解散前の議席を維持できたとしても、自公で過半数を割る可能性が拭えません」(永田町関係者)  とりわけ落選危機に立たされているのが裏金議員の面々である。非公認(無所属)のうち6人が、比例重複なしのうち14人が落選濃厚だ。  目を引くのが「八王子のジャイアン」こと、旧安倍派幹部の萩生田光一元政調会長。政治資金収支報告書への不記載額は2728万円に上ったが、党の役職停止1年間という軽い処分で逃れた。  萩生田候補は15日の第一声で、地元・八王子の支援者に「改めて、ご心配をおかけした、不快な思いをさせた皆さまにおわび申し上げたい」と謝罪。「反省している」と頭を下げる一方、ロクに説明責任も果たしていないのに「意図して裏金をつくるとか、私的流用を図るとか、脱税だとか、このような事実は一切ない」と疑惑を完全否定した。 「支援者を前に強気でも、逆風は裏金事件だけじゃないし、統一教会との関係も尾を引いている。応援に駆け付けた井上都連会長は『小池都知事にも応援をお願いしている』と明かしたものの、本当に小池さんが出てくるのかどうか。アテにできません」(自民党関係者)  井上氏はなぜか、萩生田候補が7月の都議補欠選挙での自民大敗を受けて都連会長を引責辞任したことなどに触れて「反省し、責任を取っている」と意味不明な理屈で擁護。「八王子の皆さま、安心して(萩生田を)応援して欲しい」とトンチンカンなお願いを呼びかけた。 参院から鞍替えした丸川珠代元五輪相も劣勢  同じく旧安倍派幹部だった下村博文元文科相も苦戦必至だ。「勝ち目があるとすれば野党乱立による漁夫の利」(同前)だが、下村候補も萩生田氏と同様、裏金と統一教会

台湾封鎖の軍事演習は愚行そのものだ。

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<中国は徐々に台湾本島に接近しながら大規模な軍事演習を重ね、圧力の度合いを高めている。   今回の演習には港湾封鎖訓練が含まれたほか、新たに海警局の多くの船が台湾本島をぐるりと囲む形で巡視活動を展開。「祖国統一」を目指す習近平政権は、演習に加えて貨物船への臨検の能力も誇示し、事実上の経済封鎖をちらつかせて台湾の頼清徳総統を威嚇している。   中国軍の専門家は現地メディアに対し「頼当局に近距離で戦争の脅威を感じさせる」狙いがあると説明。「訓練は随時、実戦に転じさせることができる」と述べ、いつでも演習から武力行使に切り替える用意があることを明らかにした。その上で「台湾独立分子がまた挑発してくれば、中国軍による包囲と封鎖を一層強める」とけん制した。   今回の演習エリアは台北、基隆、花蓮、台東、高雄、台中の6都市の沖合に設定。台湾本島を取り囲む形となっており、長期化した場合には船舶や航空機の出入りに多大な影響が及ぶのは必至だった。中国軍が14日に公表したイメージ動画は、今後この包囲網をさらに狭めていくことをうかがわせる内容となっている。   今回の演習名は「連合利剣―2024B」とされた。5月の前回演習は末尾が「A」だったことから、頼政権の動向次第で年内に「C」を実施する可能性も指摘される。   演習を繰り返して封鎖状態となれば、原油や天然ガスの輸入を中心に台湾経済が深刻な打撃を受けるのは間違いない。半導体など台湾の基幹産業に影響が出た場合、日本を含めて世界的なサプライチェーン(供給網)が混乱に陥ることになりかねない>(以上「時事通信」より引用) 「 現実味帯びる台湾封鎖 演習から即実戦も 中国 」との見出しで中国の「台湾包囲軍事演習」を報じている。中国が動員した兵力は153機の航空機と14隻の「公船」などとされている。 国防部が示した地図によると、153機のうち28機が台湾海峡の中間線を越えた。主要な空軍基地がある台湾南東部沿岸や、台湾が実効支配する南シナ海のプラタス諸島でも中国軍機を確認した。 中国海軍の艦船14隻と「公船」12隻も確認したとしている。  しかし演習期間は14日の朝4時に始まって、18時には終わっている。これでは「日帰りのピクニック」のようなものだ。決して台湾を「封鎖する」という規模でも期間でもない。  しかも中間線を超えた中国戦闘機をスクランブル発進

世界経済の主導権をBRICSが執ることは今後ともない。

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<ノーベル賞をとった著名な経済学者サイモン・クズネッツ(1901~1985年)が、かつて述べた有名な言葉がある。経済成長の専門家であるクズネッツは、世界には4つの経済体制があると述べたのだ。その4つとは、先進国経済、発展途上国経済、そしてアルゼンチン経済と日本経済というのだ。  なるほど、後者の2つの経済体制は、長い海外植民地からの本源的蓄積を経て、産業革命によって豊かな国になった西欧諸国である先進国経済とはまったく違う。また、西欧に支配されたことでなかなか資本主義経済へ離陸できなかった後進国経済も、この2つの国には当てはまらない。  かつて、アルゼンチンは、先進国の別荘地のような農業国として豊かさを誇っていた。あくせく働いても収奪されていく他の発展途上国とは一線を画していた。 日本経済成長の特殊性  しかし、それは100年前のことで、いつのまにかどんどん経済は衰退に向かい、気がついてみたら国家破綻の常連国となり、いまでもこの国家は、混乱のまっただ中にある。  一方、日本は西欧から離れ、アジアとも一線を画し、いつのまにか経済成長を遂げ、G7の一角をなすほど豊かな国になった。日本経済の成長は、新自由主義とともにアジアの虎たちが経済成長するまでは、世界経済の奇蹟と言われるほどであった。  しかし、1990年代バブル崩壊とともに起こった経済停滞以降は、日本も一転してアルゼンチンの道を歩んでいるともいえる。  アルゼンチンと日本が、クズネッツをして本来の経済成長の枠の外に出る、特殊な国として位置づけられたことは、悲しいかな、意味深長である。  2024年10月22日から24日まで、ロシアのカザンでBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国)のサミットが開催される。2023年に南アフリカで開催され、今年はロシアが主催国となった。  ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、これらの国を先進国と比較したとき、いずれもかつては発展途上国であったといえる。しかし、今やもっとも勢いのある経済成長国は、このBRICS諸国であるといってもよい。 技術進歩で先進国を凌駕した  急激な経済成長は遅れた国が追いつくための必須条件であり、キャッチアップのために先進国から技術を学び、低賃金による低価格商品を輸出して経済を成長させていく。遅れた国の成長は、始まると急速である。

イスラエルがイランの核施設を攻撃するかも知れない、と危惧する理由は何もない。

< もうイランを気にせずヒズボラ叩き  まず、イラン側を刺激しなければ、イラン側から攻撃をエスカレートさせることは考えられないことからすれば、イスラエルは当面はヒズボラにさらなる打撃を加えて壊滅することを最優先にするのではないかと思う。  ヒズボラ側にさらに大きな被害が生まれることになっても、イスラエルがイランからの本格的な攻撃を受ける心配をする必要はないからだ。  だからこそ、イスラエルはこれまでイランのことを気にせずにヒズボラ叩きに全力を上げてきた。  いたずらに戦線を拡大する意味がないことからすれば、今後1~2週間は、ヒズボラを徹底的に潰すことにイスラエルは集中すると見るのが妥当だと思う。  では、その後にイランにどう対峙するかを考えてみよう。  ここで確認しておきたいのは、世界最強と言われるイスラエルの防空システムにしても、飽和攻撃には十分な対応ができないことが明らかになっていることだ。昨年10月のハマスによるイスラエルに対するテロ攻撃に際しては、20分間に2200発とも5000発とも言われるロケット弾が打ち込まれたが、これをイスラエルが完全防御することはできなかった。  イランからの本格攻撃が仮にあるとすれば、従来のヒズボラやハマスからの攻撃とは、質・量ともに大きく異なったものになるのは確実だ。 イラン核施設攻撃も否定しない  民主国家であるイスラエルにおいて、イスラエル国民に対する甚大な被害が生まれることになれば、いくらネタニヤフ政権が強硬だとしても、なかなか受け入れがたいものがある。  この点からすると、イスラエルからイランへの攻撃については、象徴的なものにとどまると見るのが、一応常識的な見方だということになる。  だが、ネタニヤフ首相が恒久的なイスラエルの安全保障を優先しようというのであれば、イランの核施設への攻撃を躊躇しない可能性も否定できない。  そもそもヒズボラの最高指導者だったナスララ師は生前に「ヒズボラの予算や収益、経費、全ての飲食物、武器、ミサイルなどがイラン・イスラム共和国から来ているという事実について、我々は公にしている」と、語っていた。ヒズボラはイランの完全な丸抱えの組織だったのであり、イランとの関係が断ち切られれば、存在できないのだ。これはハマスなども同様だ。  イエメンのフーシ派のミサイルも、イランが設計・製造したミサイルと一致

「下げ相場こそ買い相場」とは自由経済下の株式市場での話だ。

< 笑顔の李強、笑顔のない石破茂  朝日新聞(10月11日付)は、見出しにこう書いた。 <小声で「ニーハオ」、表情硬め 石破首相、緊張感漂う日中首脳会談>  10月10日、ラオスの首都ビエンチャンで、ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議の合い間に、石破茂新首相と中国の李強首相の初めての首脳会談が開かれた。ところが、両首相が両国の国旗をバックに握手を交わした時、笑顔を見せたのは李首相だけだった。  日本外務省が発表した「会談の概要」でも、石破首相が李首相に多くの要求を突きつけたことが分かる。 <石破総理から、日本産水産物の輸入回復を早期に実現するよう求めた> <石破総理から、日本産牛肉の輸出再開、精米の輸出拡大に係る協議の再開を改めて求める> <石破総理から、ブイを含む東シナ海情勢、8月の中国軍機による領空侵犯事案や9月の空母による我が国領海に近接した海域の航行といった中国軍の活動の活発化につき、深刻な懸念を改めて伝え、領空侵犯について十分な説明を行うよう求めた> <石破総理から、蘇州や深圳で日本人学校の児童等が死傷した事件により、中国の在留邦人の不安は急速に高まっている旨指摘しつつ、一刻も早い事実解明と説明、日本人の安心・安全の確保を強く求めた> <石破総理から、悪質で反日的なSNSの投稿等の取締りを含め、中国側の迅速な対応の重要性を提起した> <石破総理から、中国における邦人拘束事案について我が方の立場に基づき改めて申し入れ、拘束されている邦人の早期釈放を求めた> <石破総理から、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区等の状況に対する深刻な懸念を表明するとともに、台湾については、最近の軍事情勢を含む動向を注視している旨伝えつつ、台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとって極めて重要である旨改めて強調した>  今回の日中首脳会談は、日本にとってどんな位置づけだったのか。日本政府関係者に聞くと、こう答えた。 「日中首脳会談は、同時通訳で約35分。2日間の短い日程で8つの首脳会談・立ち話(韓国・中国・インド・フィリピン・ラオス・ベトナム・タイ・オーストラリア)をこなした中の2番目だった。 総理就任から9日目の日中首脳会談は、2006年10月に安倍晋三総理が、就任12日後に訪中した時の記録を塗り替えて、歴代総理の中で最短だ。それは、いろんな偶然が重なった結果ではある

残念ながら、与野党いずれが勝利しようと、日本は「失われた30年」から抜け出せない。

<厚生労働省が10月8日に発表した8月毎月勤労統計では、実質賃金(従業員5人以上の事業所)が前年同月比マイナス0.6%と、3カ月ぶりのマイナスに転落した。   実質賃金は6月統計で実に2年3カ月ぶりにプラスに転じて話題を呼び、翌7月も勢いを維持した。ただし、この2カ月間に関しては、ボーナス(賞与)による一時的な押し上げの影響が大きかった。 名目賃金を示す現金給与総額のうち、持続性を判断する上で重要な「決まって支給する給与(所定内給与+時間外手当や休日出勤手当など超過労働給与)」は前年同月比3.0%増と32年4カ月ぶりの大きな伸びを示したものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃除く)が同3.5%上昇と加速(前月は3.2%)したことで、実質賃金はマイナスに沈んだ。   より詳細に統計を見れば、パートタイム労働者の実質賃金が4カ月連続のプラスを維持したこと、総実労働時間が大幅に減ったために時間当たりの実質賃金は引き続きプラスだったことなど、明るい材料も確認できる。 とは言え、円安や資源高に端を発する輸入品価格の上昇を受けた物価高騰が家計の所得環境を悪化させている現状は否定のしようもない。 脱却すべきはデフレではなくインフレ  そうした状況の中で成立した石破政権だが、何らかの評価を下すには時期尚早で、現時点で確実に言えることもあまりない。 強いて言えば、石破首相が総裁選時から「首相就任後3年間で達成する」と強調、「デフレからの完全脱却」を最優先課題としていることに違和感を示す向きが多いのは、筆者としてもそれはそうだろうと思う。   と言うのも、国民が今「脱却」したいと望んでいるのは「デフレ」ではなく「インフレ」であるに違いないからだ。 「上がらない物価(デフレ)」ではなく「上がる物価(インフレ)」こそが日本経済の足かせとなっている実態は、名目GDP(国内総生産)とそこに物価上昇を加味した実質GDPの間に大きな格差が存在することからも読み取れる。   では、インフレこそが問題とされる状況に移行したことをもって、デフレはもう終わったと政府が宣言できるかと言えば、実はそれも簡単ではない。 脱却宣言を聞いた家計が、政府に対して「生活は苦しいままで変わりない」と反意反論を強める可能性があるからだ。 岸田政権時代もデフレ脱却宣言を期待する声はあったが、ついに実現しなかった。背景にあるの

高齢者問題はすべての国民の問題だ。

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< 家賃を払えなくなり、住み慣れた家を失う「漂流老人」が増えている。司法書士の太田垣章子さんは「年金だけでは生活できず、家賃を滞納してしまう高齢者は多い。頼れる身内がいない場合は、生活保護を受けながら孤独な最期を迎えることになる」という――。 高齢者の家賃滞納という知られざる問題  親しい家主から「おばあちゃんの入居者が家賃を滞納しているんだけど、お願いしていい?」と相談を受けた時には、何がしかの理由をつけてお断りしたいと瞬時に思いました。  高齢者が滞納しているケースは、一般の相手より何倍も時間と手間がかかるからです。若い人と違って「はい、次探してね」とはいきません。なぜなら70代以上になると、貸してくれる家主がほとんどいないからです。  まして現在滞納していると言うことは、頼れる親族がいない確率が高いということ。そうなると私が新たな転居先を手配したり、経済的な面でも行政と繋いだり、場合によっては福祉の力も借りていかねばなりません。その上、本人が心を許してくれるとは限らないから、事は厄介なのです。 「旦那さんが亡くなって、困っているはずなんだよね。新築当時から住んでくれているから無下にもできず、太田垣さんしか頼れないのよ」  逃げ腰だった私は家主のその言葉を聞いて、断りの理由を見つけることができずに引き受けてしまいました。このおばあちゃんは年金が一人分減ってしまったために、滞納になってしまったのでしょう。誰かの手を借りないと身動きできない状況に陥っているおばあちゃんを、私はスルーすることができませんでした。 築52年のアパートは「ゴミ屋敷」だった  78歳の小林栄さん(仮名)に会いに行ったのは、家主から話を聞いた2日後でした。物件は、下町の安い価格帯の賃貸物件が立ち並ぶエリアにありました。木造2階建て、築57年。外階段の古いタイプのアパートです。メンテナンスはされているものの、大きな地震が来たら、確実に倒壊してしまいそうな佇まいでした。  栄さんは2年前に亡くなったご主人と、人生の大半をこの物件に過ごしてきました。間取りは、最近では少なくなった2K。6畳の畳部屋と4畳半の板間、古い流しがつき、その横に玄関扉があります。トイレと風呂場は分かれていましたが、浴槽は小さく今時見かけることが珍しくなったバランス釜。典型的な昭和の時代のアパートでした。  家賃は共益費を入れ

October surprise3

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<大統領選では終盤戦に強いという見方もあるトランプ氏。確かに、大統領選終盤を迎えて、同氏が支持率を回復させている。様々な世論調査サイトの結果をもとに総合的に支持率を割り出している「リアル・クリア・ポリティクス」によると、全国的にはハリス氏の支持率の方が高いものの、9月27日以降、激戦州ではトランプ氏の支持率がわずかではあるもののハリス氏の支持率を上回るという逆転状況が続いている。 9月27日以降、激戦州では、トランプ氏の支持率がハリス氏をわずかだが上回っている。出典:realclearpolling.com ハリス氏、失速か  The Hill/DDHQによる激戦州7州の世論調査では、10月初めはハリス氏が7州のうち4州でリードしていたものの、10月11日時点ではトランプ氏が5州でリードし、ハリス氏は2州でリードするに留まっている。ミシガン州とウィスコンシン州の両州では、8月時点ではハリス氏がリードしていたものの、今ではトランプ氏にリードを奪われている状況だ。  アメリカの大統領選では、その州の一般投票で最も得票した大統領候補が、その州に割り当てられている選挙人票をすべて獲得する「勝者総取り方式」。そのため、近年の大統領選では、2000年と2016年に、民主党大統領候補が一般投票では勝ちながらも、選挙人票は勝ち取れずに敗れるという状況が起きた。米政治サイトThe Hillは今回も同じ状況が起きる可能性があると見ており、「トランプ元大統領の2期目当選の可能性が高まっている」「トランプ氏は287対251(選挙人は538人。過半数の270人を獲得した時点で勝者が決まる)という明確な差で、選挙人団を勝ち取る可能性がある」との見方も示している。  民主党大統領候補に指名されて以降続いていたハリス氏のハネムーン期間は終わり、同氏の勢いは失速しているということだろう。 トランプ氏は“それ”を持っている  ハリス氏が負ける4つの理由について、ホワイトハウスとペンタゴンで高官を務めたダグラス・マッキノン氏がThe Hillに寄稿している。それらは、同氏が話を聞いた3人の民主党の選挙工作員たちがした指摘で、彼らはハリス氏の勝利が危うくなっていると考えているという。 第一に、ハリス氏があまり良い候補ではないということ。 ハリス氏は自信が欠如しており、事前にリハーサルされていない質問や政策

中国民が貧困化すれば個人消費が低迷する。

<中国国家統計局が13日発表した9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は鈍化し、生産者物価指数(PPI)は過去6カ月で最大の下落となった。デフレ圧力の強まりを示唆し、すでに数々の景気支援策を発表している中国政府はさらなる対応を迫られそうだ。  9月のCPIは前年比0.4%上昇。8月(0.6%上昇)から減速した。ロイターのエコノミスト調査では横ばい0.6%上昇が予想されていた。PPIは前年比2.8%下落。8月(1.8%下落)から予想以上に下落幅が拡大した。エコノミストの予想は2.5%下落だった。  CPIは前月比横ばい。8月、エコノミスト予想は0.4%上昇だった。食品価格は前年比3.3%上昇で、8月(2.8%上昇)から加速した。半面、非食品価格は0.2%上昇から0.2%の下落に転じた。国家統計局によると、非食品部門では、エネルギー価格がさらに下落したほか、観光料金が航空運賃やホテル宿泊料金の一段の値下がりで上昇から下落に転じた。変動の激しい食品価格と燃料価格を除いたコアインフレ率は0.1%で、8月の0.3%から低下。デフレ圧力が高まりを示唆した。  JLLのチーフエコノミスト、ブルース・パン氏は、コアインフレ率が20カ月にわたり1.0%を大きく下回っているのは物価の勢いがないことを反映し、消費を喚起する必要があることを示すと述べた。  藍仏安財政相は12日の記者会見で、景気変動を抑制するカウンターシクリカル対策を年内にさらに打ち出す方針を示したが、景気刺激策の規模は示さなかった。  上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は、「中国は内需が弱いせいでデフレ圧力が根強い」と指摘したうえで、藍財政相が会見で国債増発方針などを示したことを受け「財政政策のスタンス変更は、問題対処の一助になる」と述べた。  中国ウォッチャーは、過剰生産能力や消費低迷といった、より根深い構造的問題に真剣に取り組む必要があると指摘している>(以上「REUTERS」より引用)  中国経済の現状を「 中国9月CPI減速、PPIは半年ぶり下落率 デフレ圧力高まる 」とREUTERSが報じている。世界へ向けて輸出攻勢をかけていた太陽光パネルやEVが失速する中、外国企業の撤退が止まらないため中国民の所得が激減している。  そのため都市部で一時持て囃されていたスタバ

都市計画の線引きでコンパクトシティーは実現できるのか。

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<戦後の高度経済成長期を中心に、日本は人口増加とともに急速な都市化を経験してきた。その進展に対応して、無秩序な開発を抑制し、計画的に市街化を進めるために都市計画法が定められ、その下で地域が開発可能な「市街化区域」と、原則開発を認めない「市街化調整区域」に分けられた。これは「線引き」と呼ばれ、都市開発のコントロールに用いられてきた。 人口減少社会において、まちの縮小化に向けた取り組みが必要になっている  図1は1970年から近年にかけての市街化区域および市街化調整区域の面積と日本の総人口の推移を表している。図中の青色の折れ線が市街化区域の面積、オレンジ色の折れ線が市街化調整区域の面積、灰色の折れ線が総人口である。いずれも1970年の値を1に基準化している。  それらをみると、総人口の増加に伴い、70年代には市街化区域の急速な拡大が進み、そうした急速な都市化を抑制するために市街化調整区域も拡大した。80代から90年代にもこうした拡大傾向は続いたものの、変化率はゆるやかになった。近年は総人口が減少してきたこともあり、おおむね横ばいとなり、無秩序な都市の拡大は食い止められたようにみえる。 人口減少によるコンパクトシティへの転換  都市計画法が人口増加と都市化への対応であったのに対して、近年の少子高齢化や人口減少への対応として、2014年に改正された都市再生特別措置法の下で創設された立地適正化計画制度は、居住を誘導するエリアや、医療・福祉・子育て支援・商業施設等の都市機能増進施設の立地を誘導するエリア、およびそれらの方針等を定めている。これは人口動態の変化に応じて住民が暮らす範囲を徐々に狭めて、いわゆるコンパクトシティを目指す試みである。  減りゆく人口の下でインフラや公共サービスを維持できるような都市、また、高齢化への対応として自家用車に頼らない都市を目指そうというわけである。その過程で上記の誘導エリアではない市街化区域が生じることになるが、こうした場所を市街化区域から市街化調整区域に変更するのが「逆線引き」である。  逆線引きは、人口動態に応じた都市のコンパクト化への動きであるが、加えて、過去の開発により災害リスクの高い場所まで宅地化された地域では、それにより災害リスクの低いエリアへ誘導することも重要視されている。しかし、どのような理由があっても、逆線引きの対象となるエリ

企業の大半が「原発再稼働に9割が賛成」は正しくない。経団連による悪魔の世論操作だ。

<経団連は11日、年度内に改定が予定される政府の「エネルギー基本計画」に対し、原発を最大限活用するよう求める提言を発表した。原発活用は従来の主張だが、この中で経団連の行ったアンケート結果を恣意(しい)的に解釈する形で「約9割の企業が既設原発の再稼働の必要性を認識」と強調。数値を水増しした印象操作との批判が上がりそうだ。 ◆アンケート対象は資源・エネルギー関連企業など475社  提言では、2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにする政府目標や、人工知能(AI)の利用拡大に伴う電力需要の劇的増加に備え、現行計画の「可能な限り原発依存度を低減する」という記述を削除し、原発の最大限の活用を明示するよう要請した。  問題のアンケートは、経団連の会員企業・団体約1700のうち、会長や副会長の出身企業や資源・エネルギー対策委員会など関連する企業475社のみを対象。そのうち回答したのはわずか167社で、その中で「原発再稼働は必要」と答えたのは86%だった。  つまり会員企業・団体の1割に満たない会社が回答しただけのアンケート。そこで86%が「再稼働は必要」と答えたのをとらえて、提言書の中で「経団連アンケートにおいても、約9割の企業が既設の原子力発電所の再稼働の必要性を認識」と書き込んだ。  このためエネルギー基本計画を審議する委員らが提言書を見れば、9割もの企業が再稼働を要望しているとの印象を抱きかねない。経団連は、印象操作ではないかとの指摘に対し「アンケートの対象を絞ったのは電力問題に詳しい企業に限定したため。回答率(35%)も低くはない」と恣意性を否定した>(以上「東京新聞」より引用) 「 経団連の「9割の企業が原発再稼働必要」は、印象操作ではないか? 傘下1700社のうち回答わずか167社なのに 」とういう記事は普通にあり得る。マスメディアは世論操作を行い、世の中の仕組みを特定の者に都合良く変えたいからだ。  たとえばCO2地球温暖化詐欺がある。CO2の温室効果を最大限に誇大宣伝し、温暖化しつつある気候変動の主因はCO2増加にある、という「嘘」を宣伝して、個々人の暮らしから国際政治まで歪めてしまった。       CO2温暖化詐欺に乗せられて、日本ではレジ袋有料化までやってしまった。レジ袋有料化こそ環境に配慮しない環境政策として歴史に残るだろう。なぜならレジ袋を燃焼しても有毒

October surprise 2

<米国で9月下旬に出版された書籍「カマラ・ハリスの業績」が、通販サイト「アマゾン」でベストセラーの上位に入っている。11月の大統領選で民主党のハリス副大統領を支持する「説得力のある理由」を記すとうたっているが、191ページの大半は白紙。「ハリス氏に業績がないと言いたかった」という著者も「中身がない本」の異例の売れ行きに驚いている。  「カマラ・ハリスの業績」は、西部ワシントン州に本部がある保守系のNPO組織「フリーダム財団」のジェーソン・ドゥーダッシュ氏が個人として執筆した。序文や章立てはあるが、「経済政策」「教育」「外交」など各章は白紙ばかりだ。アマゾンの本の説明欄には「左派系の弁護士対策として記す必要があるが、この本は大半は空っぽだ」との注意書きもある。  動画投稿アプリ「TikTok」やX(ツイッター)で、ページをめくると白紙ばかりだと示す動画が話題になり、アマゾンでの売り上げも増加。9日時点でベストセラーのランキングでトップ20に入っており、「政治的ユーモア」部門ではトップだ。  ドゥーダッシュ氏は毎日新聞の書面での取材に「ハリス氏が20年以上公職にありながら、文字通り何も国民にもたらしていないことを示したかった。彼女は出世よりも、笑いの種にされる方がふさわしい」と“執筆”の理由を説明。「ベストセラーで上位になったことには驚いた。多くの人がハリス氏について私の見方を共有しているのだと思う」と語った。  大統領選では共和党のトランプ前大統領の勝利を予想。「既に一度大統領を務めているし、バイデン政権になってトランプ前政権より生活が良くなったと心から言える人はいないのではないか」との見方を示した>(以上「毎日新聞」より引用)  October surprise 2と云うべきか「 白紙ばかりの本がベストセラー ハリス氏の「業績」批判、著者も仰天 」という記事があった。題して『カマラ・ハリスの業績』は、西部ワシントン州に本部がある保守系のNPO組織「フリーダム財団」のジェーソン・ドゥーダッシュ氏が個人として執筆したベストセラーだそうだ。  もちろん米国副大統領ハリス氏の業績を記した本だが、「経済政策」「教育」「外交」など各章は白紙ばかりだという。つまりハリス氏の政治的業績は語るべき業績は何もない、という皮肉タップリの「政治的ユーモア」本だ。  ただし「カマラ・ハリスの

崩壊する中国経済を株式相場を操作して乗り切ろうとは児戯に等しい。

<中国政府は経済を発展させようと電気自動車(EV)に大きく賭けた。だが、中国の中央経済工作会議で決められた他の多くの方針と同様、うまくいっていない。  ひしめくメーカー間の激しい価格競争と、国内外での需要の減退により、EVメーカーは不振に陥っている。かなりの公的支援を受けているにもかかわらず、損失を計上しているメーカーもある。政府はEV促進策を修正し始めており、これにより地方自治体が補助金の不足分を補うようになっている。これは持続可能な状況ではない。   今や失敗に終わりつつあるEV促進の取り組みは5年以上前に始まった。米マサチューセッツ工科大学(MIT)が出版する科学技術誌『MITテクノロジーレビュー』によると、多額の補助金に減税、調達契約、そのほか生産を増やして市場で中国を優位に立たせるための間接的なインセンティブなどで、政府は2300億ドル(約34兆円)相当を費やしたという。  その結果、最終的に1310万台の市場が形成され、EV保有台数は世界全体の60%に達した。政府はまた、中国製EVの国外での販売も推進した。この取り組みは、米政府が中国と中国製品を敵視し始める前から米国ではほとんど進まなかった。だが欧州ではかなりの成功を収めた。   現在、世界的にEV販売は減少傾向にあるようだ。米国はEVとEV部品、そして中国製のバッテリーやパーツなど多くの中国製品に関税を課している。もちろん、中国製EVは北米にはほとんど輸入されていなかったため、米政府の措置で特段の変化はなかった。だが関税と中国を敵視する姿勢から、中国のEVメーカーは米国で利益を上げられるようになる見込みがないことをはっきり悟った。   米国での中国製EV販売にかかる期待をさらに削ぐ要素もある。おそらくテスラを除く米国の車メーカーが、EVに関しては厳しい現状に直面している。つまり、米政府が敵対的でなかったとしても、中国メーカーの米国でのEV販売は困難にぶつかっていたのだ。 中国は景気回復を目指す中で新たな試練に直面してしまう  一方、中国製のEV販売が好調だった欧州は、中国が欧州市場に低価格車をダンピング(不当廉売)し、そうすることで欧州メーカーのEV生産を阻害していると問題視し始めている。  EUは中国製EVの輸入に最大45%の関税を課す構えを見せており、中国メーカーがすぐにでも欧州で堅調な販売を見込

日本のモノ造りの底力は中小企業の技術力だ。

<台湾の半導体製造大手・TSMCの熊本進出により、半導体産業とは無縁と思われる業界に、商機が訪れている。   九州の旧産炭地でしっくいを製造する創業100年のメーカーは、新たな参入で年間100億円の売り上げを目指す。 半導体バブルの現場を取材した。  ■まるで「アナと雪の女王」の世界  真っ白なしっくい工場 今年で創業100年を迎える福岡県田川市のしっくいメーカー・田川産業。工場内に足を踏み入れると、雪で覆われたような銀世界が広がる。まるでディズニー映画「アナと雪の女王」の世界だ。 一面を覆っているのは白い石灰。田川産業は、伝統的な建材の「しっくい」で国内トップシェアを誇り、生産するしっくいは商業施設や住宅のほか、城など文化財の修復などにも使われている。 そして去年、この工場では、半導体関連の部品の製造が、新たに加わった。  ■しっくいメーカーがつくる国内唯一の高圧プレス機   田川産業・営業部足立太郎さん「こちらで半導体製造装置に使われる部品を成形しています」 田川産業が製造しているのは、最大4000トンの圧力をかけることができるプレス機。国内には他にないという。 しっくいメーカーがなぜ半導体関連のプレス機、なのか。 話は20年ほど前に開発した独自の技術に遡る。  ■床材にしっくい  20年前の開発が商機につながった しっくいは通常のままでは耐久性の面から床には塗れない。しかし田川産業では、床材としても活用できるようにと、高い圧力をかけてしっくいを強固なタイルに加工するプレス機を独自に設計したのだ。   転機が訪れたのは去年。取引のある商社から、「耐熱性のあるファインセラミックス」を成形してほしいと頼まれた。 必要とされたのは、半導体の基盤製造に必要な、高温のプラズマに耐えられる素材だった。 高圧をかけることで、形や強度の質を均一に保ったまま薄くできるため、従来の製品よりも加工しやすく成形などの工程を大幅に短縮できるのが強みだ。   田川産業・営業部足立太郎さん「お客様から『実は、これは半導体の製造装置、周辺機器に使いますよ』という話をいただいた時は『まさか我々が半導体に関われるとはな』という思いはありました。ちょっとびっくりしました。市場は非常に大きいので、弊社が何か貢献できればと思います」  このプレス機で、年間約100億円の売り上げを期待している。  ■高田