台湾有事は存在するのか、そして日本有事も存在するのか。
<今年6月末から8月初めにかけての1カ月余りの間、ハワイ一帯で行われた2024年環太平洋合同演習(RIMPAC)には、特異なプログラムが含まれていました。米空軍のステルス戦略爆撃機B2が「クイックシンク(QUICKSINK)」という新型爆弾を投下して排水量3万9000トン級の大型揚陸艦を撃沈する訓練でした。
米海軍が主導する多国籍合同演習RIMPACにB2が参加するというのは、なかなか前例がありません。22年にテストされたクイックシンクをB2に搭載して投下したのも初めてだといいます。
米海軍が主導する多国籍合同演習RIMPACにB2が参加するというのは、なかなか前例がありません。22年にテストされたクイックシンクをB2に搭載して投下したのも初めてだといいます。
米軍は、実射撃訓練用の標的艦として退役した揚陸艦2隻を用いましたが、その排水量やサイズは、台湾海峡侵攻時に中国海軍が用いるであろう揚陸艦とよく似たものでした。中国軍に「台湾侵攻を夢見てはならない」という強力なメッセージを投げかけた、と言えます。
「中国揚陸艦と同サイズの標的艦を誘導爆弾1発で撃沈…米爆撃機がRIMPACに参加した理由とは」との見出しが韓国の新聞にあった。どうしたわけか、日本ではこうした記事は殆ど報じられない。しかし習近平氏は何度も「台湾を統一する」と主張しているし、その主張を裏付けるような動きも見せている。
■GPS誘導のGBU31JDAMを使用
今年のRIMPACには韓国からも駆逐艦「栗谷李珥」など4隻の艦艇が参加しました。敵艦艇(に見立てた標的艦)を実弾で攻撃し、撃沈する「シンクエックス(SINKEX)」訓練は7月11日と19日の2度にわたって行われました。7月11日には退役した米海軍の揚陸艦「ダビューク」(排水量1万7000トン、LPD-8)、19日には3万9000トン級の強襲揚陸艦「タラワ」(LHA-1)が標的になりました。
米海軍の空母から発進したFA18Fスーパーホーネット戦闘機は、米国の新型長距離対艦巡航ミサイル(LRASM)を発射したといいます。射程が370キロのこのミサイルは、レーダー網を避けて巡航し、目標を精密攻撃できるステルスミサイルです。
B2ステルス戦略爆撃機は7月19日、2度目の訓練に参加し、クイックシンクで「タラワ」を撃沈したそうです。「タラワ」は全長250メートル、幅32メートル、排水量3万9000トンに達する強襲揚陸艦です。7万-8万トン級の空母の半分近くにもなる大型艦でした。
■075型揚陸艦など中国の大型艦を意識
中国海軍が有事の際、台湾侵攻に動員するであろう強襲揚陸艦は、075型と071型です。21年に就役した075型は満載排水量が3万6000トンで、現在3隻が実戦配備されています。800人の海兵隊員と60台の水陸両用戦車、2隻の揚陸用ボートを積み、26機のヘリを搭載できるといいます。071型は排水量2万5000トンの揚陸艦で、中国海軍に8隻が配備されているそうです。この二つのタイプの揚陸艦は、今回の訓練で撃沈された米海軍の退役揚陸艦に近いサイズです。
B2爆撃機が今回撃沈に使用したクイックシンクという爆弾の正式名称は「GBU31統合直接攻撃弾(JDAM)」です。2000ポンド(およそ910キログラム)級の爆弾にGPS(衛星利用測位システム)とレーダー・赤外線センサーなどを取り付けて、目標を精密に攻撃できるといいます。
22年4月に最初のテストをしたときは、米空軍のF15E戦闘機がメキシコ湾でこの爆弾を投下し、1発で大型貨物船を真っ二つにしたそうです。1発当たりの価格が2万ドル(現在のレートで約300万円。以下同じ)水準と、安いことが強みです。B2はクイックシンクを最大16発まで搭載できるといいます。
■ステルス対艦ミサイルも動員
■ステルス対艦ミサイルも動員
一般的に、大型艦の撃沈には潜水艦から発射する重魚雷(長魚雷)が主に用いられますが、魚雷は1発当たりの価格が10億-20億ウォン(約1億1000万-2億2000万円)に達します。魚雷を発射したら、潜水艦の位置が敵に露見する危険性もあります。対艦ミサイルもまた価格が高く、1発で大型艦を撃沈するのは容易ではないそうです。
FA18Fが発射した対艦巡航ミサイル(LRASM)は、毒針のような武器だといいます。ステルス機能をベースに、中国軍艦艇のレーダー装備を破壊することが主たる任務だそうです。このミサイルで相手の大型艦の防空網を無力化し、B2がクイックシンクを用いて1発で撃沈するという形で、中国海軍の台湾進撃を阻止したいということを意味しています。
今回の訓練のニュースが伝えられ、米国は鼓舞された雰囲気です。米太平洋軍司令部(PACOM)の統合情報センター長を務めた経験があるカール・シュースター(Carl Schuster)退役海軍大佐は「B2が海上作戦能力を備えるようになれば、中国海軍が台湾東部やフィリピン付近の海域で活動する際、大きな脅威を受けることになるだろう」とし「1発で2万5000トン級の艦を撃沈できる能力を軽く見てはならない」とコメントしました。
■「台湾に侵攻できないように抑止力を確保」
一方、中国は萎縮している様子です。今年7月25日、中国国防部(省に相当)のブリーフィングでは「今回の撃沈訓練は中国を脅すためという分析が出ているが、どう見ている 。 ホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は7月19日、コロラド州アスペンで開催された安全保障フォーラムで「もし戦争が起きたら、台湾と中国、米国はもちろん全世界にとって絶対的な災難となるだろう」とし「台湾海峡で永遠に戦争が起きないように、中国に対する抑止力を備えて、台湾侵攻を放棄するよう説得することを米国の政策の基本目標にすべき」と語りました。同フォーラムに出席したチャールズ・ブラウン統合参謀本部議長は「米中衝突が発生したら勝利すると確信している」としつつも「第2次大戦のような重大な衝突で、国力を総動員すべき挑戦になるだろう」と述べました>(以上「朝鮮日報」より引用)
「中国揚陸艦と同サイズの標的艦を誘導爆弾1発で撃沈…米爆撃機がRIMPACに参加した理由とは」との見出しが韓国の新聞にあった。どうしたわけか、日本ではこうした記事は殆ど報じられない。しかし習近平氏は何度も「台湾を統一する」と主張しているし、その主張を裏付けるような動きも見せている。
だが同時に山東省の人工島に巨大な石油精製基地を建設するなど、台湾軍事進攻に逆行するような動きも見せている。なぜか習近平氏の政策には一貫性が見られないが、台湾進攻に関しても同様だ。
米軍がハワイ沖で中国の揚陸艦と同規模の標的艦を誘導爆弾一発で撃沈したのは中国にとって衝撃ではないか。2020年4月に米軍はイラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊を長年指揮してきたカセム・ソレイマニ司令官を爆殺した。この場合は移動中の車列を誘導ミサイルで爆殺したが、今年に入ってハマスやヒズボラの最高指揮官を相次いで誘導爆弾によりピンポイントで爆殺している。
居場所さえ分かれば、米軍はピンポイントで爆殺する能力を有している。そのこともプーチンや金正恩といった独裁者たちを震え上がらせている。おそらく習近平氏も震えて眠る独裁者の一人ではないか。
陸続きでない台湾を「統一」するには地上軍を渡海して送り込まなければならない。そのために中国は揚陸艦を建造しているが、それと同程度の艦艇が誘導爆弾一発で撃沈した事実により、中国は戦術変更を迫られる。
軍事力による台湾統一を諦めて、経済封鎖などのソフトパワーで統一するしかないだろう。しかし経済や文化面での関係を深めれば、何も統一する必要はないのではないだろうか。反対に台湾が中国に侵略侵攻するとは考えられないため、中国が台湾を攻撃しない限り戦争は起きない。むしろ台湾を独立国と認めて、友好関係を築く方が中国にとってプラスが大きいのではないだろうか。
中共政府は香港を中国化する、という重大な過ちを犯した。それにより中国大陸の一角に存在した国際金融センターを失った。この経済損失の大きさは計り知れない。もちろん自由への窓を完全に閉じたマイナス面も大きい。習近平氏は中国の多様性を排してしまったため、中国を理解し友好関係を保とうとする国際的な人間関係まで棄損してしまった。
残る親中派の人たちは文化や伝統的な繋がりではなく、単なる利害関係の繋がりでしかない。それが良く分かるのは今年「一帯一路」の関係国会議を北京で開いたが、中国から巨額投資のプレゼントが見込めないと判断したアジアやアフリカ諸国からの首脳の姿はほとんど見られなかった。「金の切れ目が縁の切れ目」というのが現実的な国際社会だ。ロシアで開かれたBRICS会議でも、当初のような熱気はなく、ウクライナ戦争の泥沼に嵌ったプーチンに注がれるBRICS各国首脳の視線は冷ややかだった。
しかし「台湾有事は日本有事」と大騒ぎしている日本のマスメディアが引用した「朝鮮日報」と同様内容の記事を報道しないのは何故だろうか。台湾有事は中国軍が圧倒的に優勢で、日本が参戦しないと台湾はあっという間に中国に蹂躙される、と多くの日本国民は思っている。だから「台湾有事は日本有事」が現実味を持っている。
だが台湾有事はあり得ない、と分かれば日本有事もあり得ないことになる。ただ尖閣諸島に中国軍が上陸して実効支配する可能性が残るだけだ。しかし何もない尖閣諸島に上陸すれば、中国軍は自衛隊の艦船に包囲されて干上がるだけだ。海軍力で中国が日本を支配することなど決して出来ない。なぜなら海軍の絶対的な優位を自衛隊は潜水艦能力で保っているからだ。
日本有事は必ずある、と政府が日本国民を脅し続けていなければ、防衛費倍増は成立しない。防衛費倍増のために国民負担を増やす、という段取りになっているが、日本有事が絵空事だと解れば防衛費を倍増する必然性は無くなる。それは誰にとって都合が悪いのだろうか。その都合の悪い人に忖度して、日本のマスメディアはハワイ沖での米軍軍事演習を報じなかったと思わざるを得ない。つまり日本のマスメディアは防衛費倍増を主導する勢力のポチだという証拠だ。
また日本マスメディアの「自由度ランク」が自由主義諸国に中で低位に甘んじている明確な証拠でもある。日本国民は「日本有事に備えて」防衛費倍増を強制され、米国製の廃棄寸前のポンコツ・トマホークを大量に交わされようとしているが、それで日本が守れるのだろうか。守ろうとしているのは中国からの脅威ではなく、日本を支配している勢力から排除されないためのマスメディアそのものの保身ではないか。そうだとしたら、日本のマスメディアはまさに「マスゴミ」と誹られても仕方ないだろう。