日本政界は不安定化するが、所詮は永田町の「コップの中の嵐」に過ぎない。
<27日の衆院選で連立与党を構成する自民、公明両党が過半数割れの敗北を喫したことは、唯一の同盟国である米国で不安をもって受け止められている。米政府はかつてのように首相が頻繁に交代する「回転ドア」の再来は望んでおらず、今後の政局を注視している。
「「日本が政治の大変動に直面」 米国、自公過半数割れで不安感」との見出しが躍っている。不安感というなら、11/5米国大統領選でハリスかトランプかで日本政界も不安感を抱いているのではないか。
「日本が政治の大変動に直面している」。米ブルームバーグ通信は自公政権の敗北をそう報じた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「日本の有権者が、米国の同盟国の指導者を懲らしめた」と報道。米紙ニューヨーク・タイムズも政権の枠組みの行方が不透明になっていることを伝えた。
バイデン政権は同盟国との関係強化を図る上で「制度化」をキーワードにしてきた。日本も例外ではなく、日米双方で政権が移ろっても関係の基盤が崩れないようにする思惑があった。そのため、仮に連立政権の枠組みが変化しても、日米関係にすぐに悪影響が出るとは想定されていない。
ただ、国内の権力基盤が安定しなければ、外交に力を割きにくくなる。中国の台湾やフィリピンへの威圧、北朝鮮とロシアの関係緊密化など東アジアの情勢が緊迫する中、日米同盟の抑止力向上のためにも米側は日本の政権の安定を望んでいる。
一方、日米同盟の今後にとっては、11月5日の米大統領選も大きな岐路になる。民主党候補のハリス副大統領は現行路線を踏襲する構えだ。しかし、共和党候補のトランプ前大統領が返り咲いた場合、日本に対しても関税引き上げや駐留米軍経費の負担増を求める可能性があり、バイデン政権が築いてきた「基盤」も安泰とは言えない>(以上「毎日新聞」より引用)
「「日本が政治の大変動に直面」 米国、自公過半数割れで不安感」との見出しが躍っている。不安感というなら、11/5米国大統領選でハリスかトランプかで日本政界も不安感を抱いているのではないか。
しかし、そうしたことは表に出さないというのが礼儀だ。民主主義国家が民主的な選挙で政権が交代するのは極めて普通のことだ。今回の選挙結果により、直ちに政権交替には繋がらないが、石破政権の基盤が揺らぐのは間違いない。ただ、それが日本にとって悪いことでないことだけは確かだ。
日本は短期的な政権交替はあったが、概ねこれまで自公政権が続いてきた。その間、一貫して親米政策を維持し強化し、米国の先兵として中ロ北に矛先を向けてきた。そうすることが安全保障だ、と日本国民は信じ込んできた。
しかし日本は天然の堀「海」によって守られている。地続きで敵正規軍が攻め込むことはあり得ない。だから専守防衛は日本の地理的条件から理に適った戦略だ。敵基地攻撃能力など持つ必要はないし、台湾有事が日本有事だと云って騒ぐ必要もない。
台湾が有事になれば、日本はシーレーンをマラッカ海峡や台湾海峡から太平洋へと迂回すれば良いだけの話だ。しかし東・南シナ海を米国や自衛隊の潜水艦や艦艇が封鎖すれば中国は貿易の7割を頼っている海上輸送が止まり「台湾有事は中国有事」でもある事態に陥る。
習近平氏はそうした事態にならないように「一帯一路」で外国に海軍基地を設けようとしていた。対中海上封鎖を外から攻撃する艦隊をインド洋や太平洋上に確保する計画だった。そのために中国は複数の空母を旗艦とした打撃群の保有を急いでいた。しかし現在保有する空母はすべて戦争の役に立たないポンコツ揃いだ。開戦すれば数時間後には撃沈される代物でしかない。
米国政府は日本に兵器を爆買いさせる約束を結んでいる。今後はその実施を迫るだけで、軍事オタクの石破氏が総裁選で勝利したのは米国にとって既定路線に沿ったものだった。
しかし10/27の総選挙で石破政権が窮地に陥った。盤石な政権基盤は揺らいでいるが、全く別な政権に交替することはあり得ない。なぜなら野党がかつてのような社会主義政党でないからだ。自民党に取り込まれて一時的に政権を執った社会党党首ですら、自民党的な政治を転換することはなく、社会党そのものを瓦解させてしまった。全く愚かな党首だったが、現在の共産党を除く野党の党首たちは揃いも揃って第二自民党を目指している。そうすることが長期政権の必須条件だと思い込んでいるようだ。
しかし日本は米国の属国でもなければ委任統治国でもない。独自の外交戦略を立てて、日本国民のための政治を展開すべきだが、政治家の多くは「井の中の蛙」だ。世界を知らないというよりも、彼らの多くは「東京生まれの東京育ち」で日本国内すら知らない連中だ。
「政治は国家と国民のためにある」が、日本の政治家の多くは政治を家業としているだけだ。民主主義国で世襲議員がこれほど多い国も珍しい。たとえば米国の大統領を争っているハリス氏もトランプ氏も政治家の家に生まれていない。
ただ政治家しか知らない連中だから、日本の政治がダイナミックに転換することもない。米国の顔色を窺い、財務官僚の掌で踊るだけで、日本の経済は衰退し国民は貧困化する一方だが、彼らは気にしない。家業が続きさえすれば万々歳だから。
本当の政治的な転換が起きるとすれば、来年の衆参同時選挙でだ。現在のようなオール「ザイム真理教」の信徒による政治では国家と国民にとって良いことは何もない。碌な経済成長戦略すら打ち出せない政治は「失われた30年」で国民は充分に辟易している。野党政治家たちよ、少しは勉強しろ。お前たちの多くには家業を継ぐ「家名・名跡」はないはずだ。自らの政治家としての叡智で国家と国民に奉仕するしかない。決して財務省や米国のための政治を続けて良いことなど何もない。永田町の「コップの中」から脱却せよ。