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トランプが消費税を「非関税障壁」に認定した。日本はどうするのか。

<米国のトランプ大統領は13日、貿易相手国が高い関税を課している場合、その国からの輸入品への関税を同水準まで引き上げる「相互関税」の導入を検討することを関係省庁に指示した。米国よりも高い関税を課している国に加え、国内の規制などで「非関税障壁」があると米国が認めた日本も検討の対象となる見通しだ。  トランプ氏は13日、米ホワイトハウスで検討を指示する文書に署名した。記者団に対して、「私は公平性を期すため、相互関税を課すことにした。どの国が米国に課税しようとも、私たちはそれと同じ額を課税する。非常に単純なことだ」と述べた。相互関税を通じ、米国の貿易赤字の削減につなげる考えだ。  米商務省や米通商代表部(USTR)は今後、相手国ごとに問題点を調査し、適用すべき関税率を算出する。ラトニック米商務長官は「我々は各国と個別に交渉していく」と述べた上で、4月1日までに相互関税の導入に向けた調査が全て完了するとの見通しを示した。  トランプ氏は、相手国がそれぞれ独自に設けている規制や関税以外の税金、補助金などの非関税障壁についても、相互関税を課す際の判断材料とすることを表明した。欧州連合(EU)については、日本の消費税に相当する付加価値税(VAT)について言及し、「我々はVATを関税と呼ぶ。本質的には同じものだ」と主張した。  また、米ホワイトハウス高官は「日本の関税は比較的低いが、高い構造的障壁がある」と述べ、日本も検討対象になるとの見通しを示した。  第2次トランプ政権は今年1月の発足以降、相次いで関税政策を打ち出しており、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を課すことを決め、中国からの輸入品に対する追加関税措置は今月4日に実行した。10日には米国に輸入される全ての国からの鉄鋼・アルミニウム製品に25%の関税を課すことを発表したほか、自動車や半導体、医薬品などへの関税を検討することも表明している。 林官房長官「米側と意思疎通を開始」  林官房長官は14日午前の記者会見で、米国のトランプ大統領が「相互関税」の導入に向けた文書に署名したことを受け、「既に米側と意思疎通を開始している」と明らかにした。対象国に日本も含まれる可能性があることから、適用除外などを訴えていく構えとみられる。林氏は会見で「措置の具体的な内容、我が国への影響を十分に精査...

高額医療制度の改悪に強く反対する。

< 国の非情さが浮き彫りになった。  がん患者らでつくる団体などの代表者が12日、福岡厚労相と面会。医療費の支払いを抑える「高額療養費制度」の利用者負担を引き上げる政府の方針に対し、「治療の継続を断念しなければならなくなる」などとして13万5000人余りの反対署名を手渡した。福岡は方針を一部修正する意向を示したが、引き上げの凍結を求める団体との隔たりは埋まらなかった。  制度の見直しにさまざまな批判が噴出する中、新たな火種になってきたのが、先月23日の社会保障審議会・医療保険部会に厚労省が提出した財政検証資料だ。財政への影響を推計したページの注釈に、このように記されている。 <実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果(いわゆる長瀬効果:約▲2270億円(給付費))を見込んでいる> ■「諦めて死ねということか」 「長瀬効果」とは、厚労省に戦前から伝わる経験則のこと。患者負担が増える制度変更が実施されると、患者の受診日数が減ったり、受診率が低下し、結果として医療費が削減されるというもの。つまり、厚労省は制度見直しを試算するにあたって、自己負担増により患者が治療を諦めることを前提にしていたのだ。  このトンデモ試算に、SNSも大炎上。この問題を報じた記事を全国保険医団体連合会(保団連)が引用したXの投稿は、きのうまでに1万「いいね」を超えた。 「諦めて死ねということか」「国民を数字としてしか見ていない」などの意見が寄せられている。  保団連事務局次長の本並省吾氏はこう話す。 「金額ありきの議論だったのではないかと推察しますが、病を抱える人々への想像力が欠如しています。治療が長期化すると家計の負担などが重なり、経済的な悩みが増えていく。治療と家計をてんびんにかけざるを得ない状況にまで追いつめられてしまいます。また、何回も制度を利用するうちに『国に申し訳ない』と負い目を感じてしまう人もいる。こうした患者の葛藤を理解せず、『治療を諦めて下さい』と受け取られかねない発信を国が行ったのは、大いに反省して欲しいです」  国民皆保険制度が本末転倒だ>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)  高額医療費自己負担の見直しで「 「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上 」との記事が目に付いたが、大炎上するのは当...

トランプ氏の関税引き上げに強く反応する王毅氏。

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<中国の王毅外相は、追加関税の措置などをめぐりアメリカとの今後の協議が注目される中、ミュンヘン安全保障会議で演説し、対話を通じた関係構築に意欲を示す一方「アメリカがさらに圧力をかけるなら、われわれも最後までつきあう」と述べ、トランプ政権をけん制しました。   中国の王毅外相は14日、ミュンヘン安全保障会議で演説し、保護主義的な政策を進めるトランプ政権を念頭に「保護主義は解決策ではない」などと指摘して、多国間主義を重視する姿勢をアピールしました。  この後の質疑で、アメリカとの関係について問われると「相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力が対米政策の原則だ」などとして、対話を通じた安定的な関係の構築に意欲を示しました。  一方で「もしアメリカが中国に対してさらに圧力をかけ抑えこもうとするなら、われわれも最後までつきあう」と述べて、アメリカ側をけん制しました。  トランプ政権は今月4日、中国からの輸入品に一律で10%の追加関税を課す措置を発動し、中国政府も今月10日からアメリカから輸入される一部の製品の関税を引き上げる対抗措置を発動しています。  貿易戦争の回避に向けて今後の協議が注目される中、王外相としては国際会議の場でアメリカ側に歩み寄りを求めた形です>(以上「NHK」より引用) 「 中国外相「米がさらに圧力かけるなら 最後までつきあう」 」とは威勢の良いことだ。もちろんトランプ氏が打ち出した関税引き上げに対抗しての発言だろうが、中国にとって対米輸出が貿易の相手国は下図の通り。    ちなみに香港の貿易相手国は以下の通り。 【輸出相手国】1位:中国本土(構成比55.5%)、2位:米国(6.5%)、3位:インド(4.0%)、 7位:日本(2.0%)。 【輸入相手国】中国(43.8%)、台湾(9.4%)、シンガポール(7.2%)、日本(5.8%)、 韓国(5.7%)。となっている。  つまり対米貿易は輸出で25.5%を占め、輸入では8.4%を占めている。輸入超過になっていることは一目瞭然で、王毅氏が「最後まで付き合う」と発言している「最後」とは何なのか理解できない。中国にとって対米輸出は中国GDPの生命線だという現状からすれば、トランプ氏の関税引き上げ発言に余裕を嚙ます発言など出来ないはずだ。  さらに貿易品目を考えるなら、中国の対米輸出は家電や生活雑貨など...

USAIDの援助資金に群がった薄汚い連中を炙り出せ。

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<アメリカ・トランプ大統領が11日、USAID(アメリカ国際開発庁)の閉鎖を計画、「およそ97%の職員が解雇になる」と発言したことで、物議を醸している。USAIDは1961年に設立され、世界の紛争地域や貧困地域で食料や教育、衛生支援などを行ってきた機関だが「USAIDは急進左派が狂わせ、腐敗している」「多くの資金が民主党に有利な報道をするための報酬として、ニュースメディアに支払われた」とSNSで発信。DOGE(政府効率化省)のトップ、イーロン・マスク氏も、「USAIDが閉鎖的な組織運用をしている」と指摘した。   こうした指摘とは別に、ネット上で真偽不明ながら注目されている情報が、USAIDとジャーナリスト、メディアとの関係だ。1つはUSAIDが世界中で6000人を超えるジャーナリストに総額2億6800万ドル(約400億円)超の資金を提供し、保守系メディアの言論を封じたというもの。また、USAIDから資金提供を受けているBBCが発起人となって設立されたメディアの国際団体「TNI」には日本のNHKも加盟しているが、「『偽情報を阻止する』と称し言論弾圧を行っていた」という話まで飛び交っている。「ABEMA Prime」では、真偽不明の情報についてどう向き合うべきか、またUSAIDとメディアの関係はどうあるべきかを議論した。 ■USAID、年間援助は約6兆円 USAIDとは  USAIDは1961年に設立。「アメリカの海外での人道支援や開発援助を行う、国務省とは独立した組織」(朝日新聞社より)であり、2023年の援助実績は、400億ドル(約6兆円)にもおよぶ。これはアメリカの国際援助における支出の約6割にもなる。2022年2月以降、ウクライナに対し人道支援で26億ドル(約4000億円)、開発援助で50億ドル(約7700億円)などを提供。1万人以上いる職員の約3分の2が海外勤務で、60以上の国と地域のミッションがある。これに対しトランプ氏が、ほとんどの職員を全世界で休職とし、海外で働く数千人の職員を30日以内に帰国するように指示。さらに対外開発援助の効率性と外交施策との一貫性評価を行うためと90日間の援助停止を決めた。一部継続する人道支援を除いては廃止されるため、支援を受けている世界各地で動揺が走った。   今回の“アメリカ版事業仕分け”とも呼べる動きに、...

国民から搾取した米価高騰の差額で農中が資金運用で開けた穴1.5兆円を埋めるのか。

<農林中央金庫が7日発表した2024年4~12月期連結決算によると、純損益は1兆4145億円の赤字(前年同期は970億円の黒字)だった。   海外金利上昇で含み損を抱えた米欧国債の売却を進めたことで損失が膨らんだ。赤字額は24年9月中間決算時点の8939億円からさらに拡大した。 25年3月期通期の赤字額については「1.5兆~2兆円規模」との見通しを変えておらず、リーマン・ショックで金融市場が混乱した09年3月期(5721億円)を上回り、過去最大となる。  農中は、資産売却と同時に資本増強も進めている。今回新たに411億円の増資計画を公表。調達済みの資本と合わせた3月末までの増資規模は約1.4兆円になる予定と説明している。  農中は、金利上昇で外債など債券の含み損が24年3月末時点で2兆1923億円に拡大。売却で損失を確定させるとともに、増資で投資余力を確保して運用資産の入れ替えを進める方針を決めた。   24年12月末までに米欧国債を中心に利回りが低い運用資産を約12.8兆円売却した。債券の含み損は同12月末時点で1兆5701億円に減少した。   26年3月期の黒字化を目指し、低利回り資産の売却をさらに進めるという。   巨額損失の発生を受け、農中を金融庁と共に監督する農林水産省は有識者会議を設置し、資産運用体制の検証に着手。今年1月28日にまとめた報告書は、リスク管理体制が十分機能していなかったと指摘し、市場運用の経験がある理事の増員、農林中金法改正による外部からの理事登用などを提言した>(以上「時事通信」より引用)  ついに国会審議の場でも取り上げられたようだが、果たして「 農林中金、赤字1.4兆円に拡大 外債運用で巨額損失 24年4~12月期 」との見出しは本当だったようだ。しかも赤字は更に拡大して2兆円に上るのではないか、とも予測されているようだ。  その穴埋めに、農協が消費者物価操作を行い、莫大な中間搾取を行って米価高騰を演出したのではないか、それに農水省も加担して備蓄米の放出を先延ばしし、さらに放出すると決めても上限を21万トンと区切ることによって集荷業者・農協が持ち堪える限度数量を予定させる、という米価高騰を抑えるための放出ではなく、国民に対する「能無し農水省」批判をかわすためだけの備蓄米放出のようだ。  農林中金...

プーチン氏は現代のチェンバレンを演じるのだろうか。

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<<領土交換に備え、ウクライナが越境攻撃でかろうじて手に入れたロシア領クルスクに対し、ロシアはウクライナ国土の20%を手にしているという。ウクライナにおける主役はやはりトランプとプーチンなのか> ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、将来の和平交渉の中でロシアとの領土交換に応じる可能性に言及した。  ゼレンスキーは2月11日付の英ガーディアン紙のインタビューの中で、ロシアとの間で3年近く続いている戦争をドナルド・トランプ米大統領の仲介で終結させる可能性について語り、ウクライナが何を必要としているか、和平交渉が実現した場合にどのような提案をする考えがあるかについておおまかな説明を行った。  本誌が作成した以下の地図は、ウクライナがロシアと交換可能だとする領土を示している。ウクライナは越境攻撃によって確保したロシア西部クルスク州の制圧地域とウクライナの領土の交換を提案する考えだ。  本誌はこの件についてウクライナ外務省とロシア外務省に業務時間外にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。  ゼレンスキーはこれまで領土に関するいかなる譲歩も拒んでおり、今回の発言は彼の考え方に変化が生じたことを示している。トランプが迅速な戦争終結を強く求めるなか、和平努力を急ぐ必要性が高まっていることが伺える変化だ。  ロイター通信によれば、ロシア側は将来の和平交渉の一環として領土交換を行う(つまりロシアも奪った領土を返す)というウクライナ側の提案を即座に拒否、和平交渉は難航しそうだ。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は12日にこの領土交換案について「不可能だ。ロシアは領土の交換を議論したことは一度もないし、今後も議論しない」と述べた。  ゼレンスキーはガーディアン紙のインタビューの中で、トランプの仲介によってロシアとの交渉が実現した場合、ウクライナは「一つの領土を別の一つの領土と交換する意思がある」と表明。  ロシア側が占領しているウクライナの領土のうち、どの領土の返還を求めるかについては「分からない。領土は全て重要であり、優先順位はない」と語った。  ウクライナは領土交換を予期していたかのように2024年8月6日、ロシア西部のクルスク州に奇襲攻撃を実行し、同州の広い地域を掌握した。ロシアはその後、ウクライナ軍が占領した地域の約半分を奪還している。  ロシアは...

アトキンソン氏の「新・観光立国」に反論する。

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< 2015年に刊行され、日本の観光政策に多大な影響を与えた『新・観光立国論』。著者のデービッド・アトキンソン氏が、昨今話題の「オーバーツーリズム」の本質を解説する。 本記事の概要 (1)人口に対するインバウンド比率は30カ国中28位で、国レベルのオーバーツーリズムはない (2)日本では、マスツーリズムとオーバーツーリズムの区別ができていない。日本に起きているのはオーバーツーリズムではなく、未対応マスツーリズム (3)局地的な「オーバーツーリズム」も主に対応の遅れの結果 (4)局地的な「オーバーツーリズム」は地方行政とDMOが対策を講じるべき (5)定率の宿泊税を導入して、受益と負担の公平なバランスをとるべき (6)インバウンドと犯罪は相関関係がないし、実習生などの問題と混合するべきではない (7)2025年には4100万人のインバウンドが訪れると予想する 「第二の輸出産業」に成長した観光業  2024年のインバウンド訪日観光客数は3687万人に達しました。これは2024年当初の予想を大きく上回り、前年対比47.1%の増加。2019年のコロナ前のピーク時(3188万人)と比較しても15.6%増加しました。  消費額は8兆1395億円に膨らみ、2019年比で69.2%の増加となりました。  インバウンド収入は、自動車産業に次ぐ規模となり、輸出産業としては2番目に大きな産業となっています。  GDPに比べて8兆円の寄与は大きくないと過小評価する人もいますが、8兆円は外貨の総額だけで、これに経済波及効果があり、GDPへの貢献は8兆円を上回ります。  国によって異なりますが、1.5倍から2.5倍と分析されています。  また、円安によって訪日観光客が増えていると誤解されがちですが、そのような事実はありません。  インバウンドの数と為替レートの間に強い相関関係はありません。2012年以降のインバウンドの増加は国の政策の結果であって、為替レートの結果ではありません。  一方、円安は消費額の増加には大きく貢献します。外国人観光客は自国通貨で予算を決めるため、円安になるとホテルや食事をランクアップし、結果として日本国内における消費額が増加するのです。  2025年のインバウンド観光客数は、保守的に見積もっても4100万人に達すると予想しています。前年比で約10%の増加となる見込みです...

トランプ-マスクの蜜月はいつまで続くのか。

< 大暴れのイーロン・マスク  イーロン・マスク氏が、連邦政府のムダに大ナタを振るいまくっている。 前編『イーロン・マスクがアメリカ連邦政府で「大暴れ」…!政府効率化省で「電撃戦」で行われた「大粛清」のヤバすぎる中身』でも解説してきたが、マスク氏は、新設の政府効率化省(別名ドージ省)のトップとして第2次トランプ政権に入閣した。    全権に近い絶大な権力を負託され、各省庁の機密情報に対するアクセス権を得た彼は、使途が疑わしい支出や、公金を受け取った非営利団体が受領した血税の一部を政治家へのキックバックに使うなどの腐敗を次々と告発している。 各省庁において調査を妨害する官僚上層部を躊躇なく一掃するなど、昼夜を問わない「電撃戦」で、左派的な考えを持つとみなす民主党バイデン前政権の「残党」を粛清している。   トランプ大統領とマスク氏による「衝撃と畏怖 (Shock and Awe)」作戦は、出だしにおいて極めて鮮やかな成果を挙げているように見える。 ただし、この先トランプ大統領やドージ省が訴訟の嵐にさらされ、連邦裁判所によって一部の「成果」が無効化されることは十分予見できる。しかし、マスク氏が摘発した一部の不正は、明らかに国民が納めた税金の乱用や不正使用のように見えるため、トランプ政権はたとえ裁判に負けても、有権者の支持を得られるかもしれない。 はびこっていた「公金チューチュー」  マスク氏やトランプ大統領の支持者が「米国の利益に沿わない不正や詐欺」とみなす公金支出には、以下のようなものが挙げられている。いずれも、米情報自由法(FOIA)による開示や、マスク氏率いるドージ省の調査で明るみに出たものだ。 主なものは以下の通りだ。  ①  元大統領首席医療顧問であったアンソニー・ファウチ博士の下で、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と米国務省傘下の米国際開発庁(USAID)が、2020年の新型コロナウイルス流行の直前、中国湖北省にある武漢ウイルス研究所の研究者に対し、合計4000万ドル(約62億円)以上の研究補助金を支出  ②  USAIDが東欧セルビアの職場における多様性・公平性・包括性(DEI)推進プログラムに150万ドル(約2億3200万円)を支出  ③  USAIDが西欧アイルランドのDEIミュージカル公演に...

第二次半導体戦争を仕掛ける米国の戦略は。

< 台湾の半導体産業へ厳しい言葉を続けていたトランプ大統領。東アジアの経済や安全保障の要である台湾にトランプ2.0はどう影響し、それにいかに対応すべきか議論が広がる。  トランプ政権発足前夜、旧知の台湾人研究者からメールが届いた。その中には、「日本経済・産業の長期にわたる苦境は1980年代のアメリカの政策に起因していると思いますか」という問いが含まれていた。  日米貿易摩擦とそこでの日本の対応が日本の「失われた30年」の起点になったのだとすれば、台湾もトランプ政権への対応を誤れば、長期低迷を余儀なくされるのではないか——。こうした認識や推論の真偽は別として、「トランプ2.0」にいかに対応すべきかをめぐって、台湾においても戸惑いや懸念が広がっていることをこのメールは象徴している。  1980年代、日本は半導体分野でアメリカと貿易摩擦を抱えていた。そしてその後、日本の半導体産業は国際的な競争力を失っていった。そのことも、台湾の人々の懸念を膨らませている面があるように感じられる。 2月中にも半導体への関税を発動か  選挙期間中からトランプ大統領は台湾半導体産業に対して批判的な発言をしてきた。例えば、2024年7月にはブルームバーグのインタビューで、台湾はアメリカの「半導体ビジネスをほぼ100%奪っていった」と発言した。  当選後の2025年1月27日にも演説で「近い将来、海外で生産されたコンピューターチップ、半導体、医薬品に関税を課す予定だ」「半導体産業の90%を占める台湾に生産が流出したが、それを取り戻したい」と述べ、最高で100%の関税率を課す可能性についても触れた。1月31日にトランプ氏は石油や天然ガス、鉄鋼、アルミニウム、銅、医薬品と並び、半導体に対しても関税を課す考えを示し、2月18日頃に実施する可能性を示唆している。  また、トランプ氏はアメリカに投資をした半導体企業への補助金の見直しも検討している。バイデン政権が半導体産業誘致のために「CHIPS・科学法」を制定し、補助金を支給したことを「滑稽で馬鹿げている(ridiculous)」と考えているからである。  高関税を課せば、補助金など出さずとも、半導体工場を誘致できるだろうというのがトランプ氏の論理である。そう言えるのも、アメリカの半導体市場は大きく、失うには惜しい市場だという自信があるからだろう。  台湾...

トランプ氏が閉鎖を命じたUSAIDとは何か。

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<アメリカ政府の主要な対外援助機関、国際開発局(USAID)の将来が不透明になっている。職員は庁舎から閉め出され、トランプ政権はUSAIDを国務省と統合する計画を進めている。  BBCが提携する米CBSニュースによると、USAIDは国務省の一部門として機能し続ける見通しだが、政府は予算と人員の大幅な削減を計画している。マルコ・ルビオ国務長官は3日、USAID幹部たちが「反抗的」だと非難し、「暫定的な責任者」は自分だと述べた。  3日までに開かなくなっていたUSAIDの公式サイトは4日、一枚の発表文だけを掲示。そこには、米東部時間7日午後11時59分をもって、USAIDに直接雇用されている人員は全世界的に休職処分となる」とある。アメリカ国外に派遣されている人員については現在、帰国手続きを進めているとも書かれている。  ドナルド・トランプ大統領と側近の大富豪イーロン・マスク氏は、USAIDを強く批判してきた。しかし、USAIDを閉鎖すれば、世界中の人道支援プログラムに深刻な影響を与える可能性がある。 USAIDとは何か その機能は  USAIDは、アメリカ政府の機関として世界各地で人道支援事業を展開するため、1960年代初頭に設立された。職員約1万人を雇い、その3分の2は国外で働いている。60カ国以上に拠点を持ち、それ以外の数十カ国でも活動している。しかし、現地での作業の大部分は、USAIDが契約し資金提供している他の組織が請け負っている。  USAIDの活動範囲は広範だ。例えば、飢餓に苦しむ国々に食料を提供するだけでなく、食料が不足しそうな場所をデータ解析で予測しようとするUSAIDの飢饉(ききん)検出システムは、世界標準として広く活用されている。  USAIDの予算の多くは、ポリオ予防接種のほか、パンデミックにつながり得るウイルスの拡散を防ぐための健康事業に使われている。  BBCの国際慈善団体BBCメディア・アクションは、外部からの助成金や寄付を資金源としており、USAIDからも資金提供を受けている。  2024年の報告によると、USAIDは320万ドル(約4億9000万円)を寄付し、BBCメディア・アクションにとってはUSAIDが2024年度、2番目の大規模寄付者だった。 USAIDにアメリカ政府はどれだけ支出しているのか  政府データによると、アメリカは202...