プーチン氏は現代のチェンバレンを演じるのだろうか。
<<領土交換に備え、ウクライナが越境攻撃でかろうじて手に入れたロシア領クルスクに対し、ロシアはウクライナ国土の20%を手にしているという。ウクライナにおける主役はやはりトランプとプーチンなのか>
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、将来の和平交渉の中でロシアとの領土交換に応じる可能性に言及した。
ゼレンスキーは2月11日付の英ガーディアン紙のインタビューの中で、ロシアとの間で3年近く続いている戦争をドナルド・トランプ米大統領の仲介で終結させる可能性について語り、ウクライナが何を必要としているか、和平交渉が実現した場合にどのような提案をする考えがあるかについておおまかな説明を行った。
本誌が作成した以下の地図は、ウクライナがロシアと交換可能だとする領土を示している。ウクライナは越境攻撃によって確保したロシア西部クルスク州の制圧地域とウクライナの領土の交換を提案する考えだ。
本誌はこの件についてウクライナ外務省とロシア外務省に業務時間外にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。
ゼレンスキーはこれまで領土に関するいかなる譲歩も拒んでおり、今回の発言は彼の考え方に変化が生じたことを示している。トランプが迅速な戦争終結を強く求めるなか、和平努力を急ぐ必要性が高まっていることが伺える変化だ。
ロイター通信によれば、ロシア側は将来の和平交渉の一環として領土交換を行う(つまりロシアも奪った領土を返す)というウクライナ側の提案を即座に拒否、和平交渉は難航しそうだ。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は12日にこの領土交換案について「不可能だ。ロシアは領土の交換を議論したことは一度もないし、今後も議論しない」と述べた。
ゼレンスキーはガーディアン紙のインタビューの中で、トランプの仲介によってロシアとの交渉が実現した場合、ウクライナは「一つの領土を別の一つの領土と交換する意思がある」と表明。
ロシア側が占領しているウクライナの領土のうち、どの領土の返還を求めるかについては「分からない。領土は全て重要であり、優先順位はない」と語った。
ウクライナは領土交換を予期していたかのように2024年8月6日、ロシア西部のクルスク州に奇襲攻撃を実行し、同州の広い地域を掌握した。ロシアはその後、ウクライナ軍が占領した地域の約半分を奪還している。
ロシアは2014年にウクライナ南部のクリミア半島を、2022年にはウクライナ東部と南部のドネツク州、ヘルソン州、ルハンシク州とザポリージャ州の一方的に併合。ウクライナは領土交換でこれらの領土の返還を求める可能性がある。
米シンクタンク「外交問題評議会」のデータベース「グローバル・コンフリクト・トラッカー」によれば、2025年の時点でロシアはウクライナの領土の約20%を占領している。
ゼレンスキーは14日からドイツで開催されるミュンヘン安全保障会議に合わせてJ・D・バンス米副大統領と会談を行う予定で、領土交換についての今回の発言はそれを控えたタイミングで出たものだ。トランプは13日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談し、続いてゼレンスキーとも話をしている。
X(旧ツイッター)ユーザーのアオドレイ・シゾフは、次のように投稿した。「速報:ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアと領土交換の用意があると発言した。現実:そんなことはあり得ない。ウクライナ政府とジョー・バイデン前米政権は何カ月もこの可能性をほのめかしてきたが、ロシアにはウクライナに領土を返す気などない」
「トランプ政権のスティーブ・ウィトコフ中東特使がモスクワを訪問したこと、そしてロシアで拘束されていたアメリカ人のマーク・フォーゲルが解放されたことの方がはるかに重要に思える」
14日からのミュンヘン安全保障会議では、トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使であるキース・ケロッグが和平案の一部を発表すると報じている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、将来の和平交渉の中でロシアとの領土交換に応じる可能性に言及した。
ゼレンスキーは2月11日付の英ガーディアン紙のインタビューの中で、ロシアとの間で3年近く続いている戦争をドナルド・トランプ米大統領の仲介で終結させる可能性について語り、ウクライナが何を必要としているか、和平交渉が実現した場合にどのような提案をする考えがあるかについておおまかな説明を行った。
本誌が作成した以下の地図は、ウクライナがロシアと交換可能だとする領土を示している。ウクライナは越境攻撃によって確保したロシア西部クルスク州の制圧地域とウクライナの領土の交換を提案する考えだ。
本誌はこの件についてウクライナ外務省とロシア外務省に業務時間外にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。
ゼレンスキーはこれまで領土に関するいかなる譲歩も拒んでおり、今回の発言は彼の考え方に変化が生じたことを示している。トランプが迅速な戦争終結を強く求めるなか、和平努力を急ぐ必要性が高まっていることが伺える変化だ。
ロイター通信によれば、ロシア側は将来の和平交渉の一環として領土交換を行う(つまりロシアも奪った領土を返す)というウクライナ側の提案を即座に拒否、和平交渉は難航しそうだ。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は12日にこの領土交換案について「不可能だ。ロシアは領土の交換を議論したことは一度もないし、今後も議論しない」と述べた。
ゼレンスキーはガーディアン紙のインタビューの中で、トランプの仲介によってロシアとの交渉が実現した場合、ウクライナは「一つの領土を別の一つの領土と交換する意思がある」と表明。
ロシア側が占領しているウクライナの領土のうち、どの領土の返還を求めるかについては「分からない。領土は全て重要であり、優先順位はない」と語った。
ウクライナは領土交換を予期していたかのように2024年8月6日、ロシア西部のクルスク州に奇襲攻撃を実行し、同州の広い地域を掌握した。ロシアはその後、ウクライナ軍が占領した地域の約半分を奪還している。
ロシアは2014年にウクライナ南部のクリミア半島を、2022年にはウクライナ東部と南部のドネツク州、ヘルソン州、ルハンシク州とザポリージャ州の一方的に併合。ウクライナは領土交換でこれらの領土の返還を求める可能性がある。
米シンクタンク「外交問題評議会」のデータベース「グローバル・コンフリクト・トラッカー」によれば、2025年の時点でロシアはウクライナの領土の約20%を占領している。
ゼレンスキーは14日からドイツで開催されるミュンヘン安全保障会議に合わせてJ・D・バンス米副大統領と会談を行う予定で、領土交換についての今回の発言はそれを控えたタイミングで出たものだ。トランプは13日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談し、続いてゼレンスキーとも話をしている。
X(旧ツイッター)ユーザーのアオドレイ・シゾフは、次のように投稿した。「速報:ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアと領土交換の用意があると発言した。現実:そんなことはあり得ない。ウクライナ政府とジョー・バイデン前米政権は何カ月もこの可能性をほのめかしてきたが、ロシアにはウクライナに領土を返す気などない」
「トランプ政権のスティーブ・ウィトコフ中東特使がモスクワを訪問したこと、そしてロシアで拘束されていたアメリカ人のマーク・フォーゲルが解放されたことの方がはるかに重要に思える」
14日からのミュンヘン安全保障会議では、トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使であるキース・ケロッグが和平案の一部を発表すると報じている。
【マップ】赤がロシア、青がウクライナ、いったいどんな交換が成り立つというのか>(以上「Newsweek」より引用)
「終結へ動き始めたウクライナ戦争、トランプの「仲介」でやはりプーチン総取りに終わるのか」と題してマヤ・メーララ/ジョン・フェン両記者が原題「Map Shows Areas Ukraine Could Swap With Russia」の記事を書いている。
現代によると「ウクライナの(被占領)地はロシアによってすべて奪われる」となっている。トランプ氏はそのような条件をプーチンに提示したのだろうか。しかし当然ながらNATO諸国は許さないだろうし、軍事力による国境線の変更を認めない、として来た先の大戦後の国際常識に反する。
トランプ氏がプーチンの呑み易い平和条件を持ち出したのなら、それはトランプ氏の失敗だ。プーチンに対しては悪魔でも強気で出るべきで、そうしてからディベートが始まるのではないか。つまり国際的な常識で「ロシアが軍事侵攻したウクライナのすべての領土から撤退すべきだ」と原理・原則をプーチンに求めるべきだった。
トランプ氏は何を考えているのだろうか。一日も早い平和は勿論優先されるべきだが、トランプ氏が現代のチェンバレンになってはならない。プーチンの軍事力による領土拡大策を打ち砕く絶好の機会が目の前にある。ウクライナからプーチンの軍をすべて撤退させてこそ、ロシアの領土拡張主義は終焉する。むしろロシアは欧州の東の果て、ウラル山脈までの「モスクワ公国」並みの国でしかない、と規定する絶好の機会だ。その機会を逃してはならない。
むしろロシアが領土拡張主義によって崩壊したソ連の版図を取戻そうとしてきたことが「民族自決主義」にも反するし、ソ連が仕出かした領土膨張主義を清算すべき時に欧米諸国がロシアの成すがままに少数民族の併呑を許して来たツケの結果がウクライナへの侵略戦争だと考えるべきだ。
マヤ・メーララ/ジョン・フェン両記者が描いた通りの平和案をトランプ氏がプーチンに提起したとすれば、トランプ氏の斡旋は必ず失敗する。なぜならNATO諸国の承認は勿論得られないし、ウクライナ国民もトランプ氏の案に賛同しないからだ。そしてプーチンの野望を砕くことは、つまり露骨な膨張主義を進める習近平氏の野望を砕くことでもある。ウクライナの平和は欧州だけの問題ではない。プーチンの戦争を止めさせることは必要だが、プーチンにキッチリ戦争責任を取らせなければならない。他国の領土を軍事力で奪う目論見は高くつくし決して成功しない、と世界中に知らしめなければならない。果たしてプーチン氏は現代のチェンバレンを演じるのだろうか。