トランプ氏の関税引き上げに強く反応する王毅氏。
<中国の王毅外相は、追加関税の措置などをめぐりアメリカとの今後の協議が注目される中、ミュンヘン安全保障会議で演説し、対話を通じた関係構築に意欲を示す一方「アメリカがさらに圧力をかけるなら、われわれも最後までつきあう」と述べ、トランプ政権をけん制しました。
中国の王毅外相は14日、ミュンヘン安全保障会議で演説し、保護主義的な政策を進めるトランプ政権を念頭に「保護主義は解決策ではない」などと指摘して、多国間主義を重視する姿勢をアピールしました。
この後の質疑で、アメリカとの関係について問われると「相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力が対米政策の原則だ」などとして、対話を通じた安定的な関係の構築に意欲を示しました。
一方で「もしアメリカが中国に対してさらに圧力をかけ抑えこもうとするなら、われわれも最後までつきあう」と述べて、アメリカ側をけん制しました。
トランプ政権は今月4日、中国からの輸入品に一律で10%の追加関税を課す措置を発動し、中国政府も今月10日からアメリカから輸入される一部の製品の関税を引き上げる対抗措置を発動しています。
貿易戦争の回避に向けて今後の協議が注目される中、王外相としては国際会議の場でアメリカ側に歩み寄りを求めた形です>(以上「NHK」より引用)
「中国外相「米がさらに圧力かけるなら 最後までつきあう」」とは威勢の良いことだ。もちろんトランプ氏が打ち出した関税引き上げに対抗しての発言だろうが、中国にとって対米輸出が貿易の相手国は下図の通り。 ちなみに香港の貿易相手国は以下の通り。
【輸出相手国】1位:中国本土(構成比55.5%)、2位:米国(6.5%)、3位:インド(4.0%)、 7位:日本(2.0%)。
【輸入相手国】中国(43.8%)、台湾(9.4%)、シンガポール(7.2%)、日本(5.8%)、 韓国(5.7%)。となっている。
つまり対米貿易は輸出で25.5%を占め、輸入では8.4%を占めている。輸入超過になっていることは一目瞭然で、王毅氏が「最後まで付き合う」と発言している「最後」とは何なのか理解できない。中国にとって対米輸出は中国GDPの生命線だという現状からすれば、トランプ氏の関税引き上げ発言に余裕を嚙ます発言など出来ないはずだ。
中国の王毅外相は14日、ミュンヘン安全保障会議で演説し、保護主義的な政策を進めるトランプ政権を念頭に「保護主義は解決策ではない」などと指摘して、多国間主義を重視する姿勢をアピールしました。
この後の質疑で、アメリカとの関係について問われると「相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力が対米政策の原則だ」などとして、対話を通じた安定的な関係の構築に意欲を示しました。
一方で「もしアメリカが中国に対してさらに圧力をかけ抑えこもうとするなら、われわれも最後までつきあう」と述べて、アメリカ側をけん制しました。
トランプ政権は今月4日、中国からの輸入品に一律で10%の追加関税を課す措置を発動し、中国政府も今月10日からアメリカから輸入される一部の製品の関税を引き上げる対抗措置を発動しています。
貿易戦争の回避に向けて今後の協議が注目される中、王外相としては国際会議の場でアメリカ側に歩み寄りを求めた形です>(以上「NHK」より引用)
「中国外相「米がさらに圧力かけるなら 最後までつきあう」」とは威勢の良いことだ。もちろんトランプ氏が打ち出した関税引き上げに対抗しての発言だろうが、中国にとって対米輸出が貿易の相手国は下図の通り。
【輸出相手国】1位:中国本土(構成比55.5%)、2位:米国(6.5%)、3位:インド(4.0%)、 7位:日本(2.0%)。
【輸入相手国】中国(43.8%)、台湾(9.4%)、シンガポール(7.2%)、日本(5.8%)、 韓国(5.7%)。となっている。
つまり対米貿易は輸出で25.5%を占め、輸入では8.4%を占めている。輸入超過になっていることは一目瞭然で、王毅氏が「最後まで付き合う」と発言している「最後」とは何なのか理解できない。中国にとって対米輸出は中国GDPの生命線だという現状からすれば、トランプ氏の関税引き上げ発言に余裕を嚙ます発言など出来ないはずだ。
さらに貿易品目を考えるなら、中国の対米輸出は家電や生活雑貨などで、米国にとって中国製品がなければ米国民の生活に大きな支障が出ることなどあり得ない。代替製品がすぐにでも他国から輸入できる程度の製品でしかない。
その反対に米国から中国に輸出される内容はトウモロコシや穀類といった家畜用飼料や工業製品の主要部品といった中国の輸出品製造に欠かせないモノばかりだ。他国から簡単に代替できるモノは極めて限られ、王毅氏が強い姿勢を示した割に、実際に対抗できる範囲はごく限られた範囲でしかない。
しかも中国が殆ど世界市場で独占していたレアアースにしても、以前に実施した中国のレアアース輸出規制により、先進諸国は中国のレアアースに依存した体勢からの脱却を進めていたため、中国が再びレアアースを切り札として米国に関税戦争で対抗することは出来ない。
引用した中国の貿易実績から分かるように、輸出で米国への比重は香港から輸出されるものも含めると25.5%と1/4以上を占めている。それに対して米国から中国へ輸入される貿易割合は10%未満だ。関税戦争で中国が受ける損害の方が遥かに大きく、しかも代替が効く日用雑貨などが主な輸出品だ。つまり王毅氏が米国の関税引き上げに対して「対抗する」と息巻くよりも、穏便なかたちで関税交渉を持ち掛ける方が良いのではないか。
関税自主権は独立国の主権でも重要な権利だから、関税引き上げを一方的に否定することは出来ない。トランプ氏の「米国ファースト」を保護主義だと批判するのは簡単だが、トランプ氏が自国産業を保護するのを外国が「独断だ」と否定することは出来ない。
国際社会の協調体制の維持を訴えて、トランプ氏の「米国ファースト」と「国際貿易の慣行」の妥協点を探る話し合いこそが必要ではないだろうか。