AfDはポピュリズムなのか。ドイツ人が「ドイツのための選択を」と訴えるのは当然の権利だ。
<この社説のポイント ●ドイツの州議選で極右政党AfDが相次いで第1党に。旧東独を中心に台頭が著しい ●移民問題だけでなく、暮らしの不安や東西格差、既成の政治への不信が背景にある ●極右を排除するだけでは不十分。中道政党は民意との回路をつなぎ直す必要がある ナチス支配と戦争への反省から、排外主義や極端な民族主義を政治の中枢から遠ざけてきたドイツで、戦後政治が転機を迎えている。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、かつてない勢いで台頭している。 北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州議会選で、AfDが約38%を得て第1党になった。AfDが州議会で最大勢力になるのは、チューリンゲン、ザクセンアンハルト両州に続き3州目。メルツ首相率いる中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)は議席を失った。 AfDは移民・難民の厳しい制限やウクライナ支援の停止、ロシアとの関係修復を唱える。物価高をはじめとする難題にも、原因と処方箋(せん)を単純化して示す。複数の州支部は当局から右翼過激主義と分類されている。 旧東独で特に支持されている。外国人が少ない地域でも強く、移民問題だけでは説明できない。統一後の産業再編、若者の流出、東西格差。「取り残された」という感覚がグローバル化や中央政治への反発を増幅する。 ベルリンの議会選では、住宅・家賃問題を前面に掲げた左派党が第1党となり、AfDも伸びた。左右両翼への票の集まりから見えるのは、中道政党が暮らしの不満を受け止めきれていない姿だ。 左右の中道政党は、AfDとは連立・協力しない「防火壁」を築いてきた。だが、競い合う政党同士が組めば、違いは見えにくくなる。「どの党も同じ」との不信が、中道政党から票が流出する一因になってはいないか。 ドイツだけではない。この10年余り、欧州各国で右派ポピュリスト政党が台頭。政権に加わらなくても、その支持を意識して既成政党が移民・治安政策を厳しくすれば、政治全体の軸は右へ動く。 影響は外交にも及ぶ。AfDの伸長が続けば、ウクライナ支援や対ロ政策をめぐる国内の亀裂は深まり、ドイツが欧州の結束を支える力を弱めかねない。 もっとも勢いは一様ではない。ハンガリーでは16年間政権を握ったオルバン氏の与党が今年の総選挙で敗北した。一方、イタリアのメローニ政権は欧州連合(EU)との協調やウクライナ支援で現...