胡春華氏は5中全会に出席したのか?

<中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第5回総会(5中全会)で、党内の引き締めを強化する方針が確認された。

 鮮明になったのは、習近平総書記(国家主席)の政治的権威を一層高めようとする指導部の意向である。公表されたコミュニケ(公報)は、厳格な党内統治などをうたった「習近平党建設思想」の重要性を改めて強調した。
 こうした方針を象徴するように、政治局員2人を含む33人もの党籍剥奪処分が承認された。習指導部発足後の中央委員会総会では最多という。
 習氏が主導する「反腐敗闘争」は当初、政敵を排除する色合いが濃かった。しかし近年は、自らが抜てきした幹部や、かつての盟友の粛清も目立つ。
 習氏が疑心暗鬼を深めている様子が浮かび上がる。10月発行の党理論誌「求是」が掲載した1月の演説では、面従腹背や派閥形成への不信感をあらわにしていた。「言動が一致しない『二面性のある人物』を警戒しなければならない」とも述べている。
 だが、政治的忠誠を求めて締めつけを強めれば、弊害もその分大きくなる。党内は萎縮し、都合の悪い情報が上がらなくなるだろう。習氏の意向を過度にそんたくした結果、外交は強硬一辺倒となり、経済運営も柔軟性を欠いたものになりかねない。
 次期指導部を決める党大会を来年に控え、習氏の後継をにらんだ動きがあるかも焦点だった。習氏が兼務する軍トップの中央軍事委員会主席は最高実力者のポストだ。軍以外から副主席が選ばれれば後継候補と見なされるが、注目すべき人事はなかった。
 現在73歳の習氏は、次の党大会を経て4期目入りするとの見方が広がっている。「習1強」の先は見通せず、権力集中がさらに進むことが予想される。
 中国は急速な軍備増強を進めており、人工知能(AI)など先端技術を巡る米国との覇権争いも続く。新たな国際秩序の構築を目指していると指摘される。
 そうした大国のかじ取りを担う組織が硬直化すれば、独善が強まることは避けられない。影響は周辺国だけでなく世界に及ぶことを認識すべきだ。>(以上「毎日新聞」より引用)




「中国共産党の5中全会 先行き見えない「習1強」」と、毎日新聞は報じているが、未確認情報では粛清されたはずの胡春華氏が5中全会に「共産党規則」の本を片手に出席したという。全体写真の雛壇の前から三番目か四番目の中ほどに写っているそうだ。
 見出しに習一強と書いているが、実際は共産党内の闘争が激化していると見るべきではないか。しかも習近平氏が親友で軍部トップの張 又侠(ちょう ゆうきょう)氏を粛正してしまったため、軍部に対する締め付けも利かなくなっているという。

 5中全会で中国軍事委員会8人も発表された。トップはもちろん習近平氏だが、ナンバー2には習近平氏の甥に当たる張昇民(中央戦区副主席)氏が就任した。三位には楊志誠(東部戦区司令)氏、四位には祝伝生(中央委員)氏が五位には陳徳民(工作部副主任)などがそれぞれ選任されて、空席だった6席全て埋まった。
 しかし新たに選任された委員との意思疎通が図られて、軍事委員会が全軍を指揮する態勢が直ちに出現するとは思えない。ただ習近平氏一強体制となったのは間違くないが、それで軍全体を習近平氏が完全掌握したと考えるのは早計だ。

 中国共産党第20期中央委員会第5回全体会議(5中全会)では、例年中心となる次期5カ年計画の策定が前年の4中全会で既に承認されていたため、経済政策そのものの議論よりも「全面的な厳格党統治の持続的推進(党規律の徹底や反腐敗・幹部監察)」が主要議題となった。
 なお経済政策の中期経済目標である「第15次5カ年計画(2026年~2030年)」の基本方針の主要目標は①戦略的先端分野の育成(米中対立の長期化を背景に、新エネルギー、新素材、航空宇宙、人工知能(AI)などの成長分野への大規模投資 )、②製造業の競争力強化(科学工業、機械、造船などの基盤産業の高度化) 、③国内需要の拡大(質の高い供給の拡大を通じた消費ポテンシャルの発掘)などとなっている。

 以上を勘案すると今年の中国共産党第20期中央委員会第5回全体会議は2027年後半に第21回党大会を開催される次期党大会に向けて、習近平氏は組織・人事面での基盤固めを進める方針を示したと考えられる。その一方で経済政策面では、内需拡大や景気安定に向けた方針が再確認されたものの、具体的な追加刺激策は示されなかった。足元の中国経済は外需の堅調さを背景に持ち直しの動きがみられる一方で、不動産不況や消費・投資の低迷などによるデフレ経済が顕著となり、内需の弱さが依然として課題となっている。そのため今後は既存の景気支援策の実効性が焦点となるほか、党内統治の厳格化により行政の政策遂行能力を高める姿勢が示された。その一方で経済の悪化が幹部の責任とされることを回避するなど、政策遂行能力の低下が心配される。
 日本への影響については中国の内需回復が日本企業の輸出や現地販売を下支えする可能性がある一方、中国政府による国産化や産業育成の推進が競争圧力を強めることから日本企業の存在が軽視される懸念される。さらに重要部材の輸出管理強化や台湾情勢を巡る安全保障上の不確実性が、日本企業の調達や事業活動に及ぼすことにも注意が必要となる。今後は2027年の次期党大会に向けた組織・人事の動向に加え、景気支援策の具体的な執行状況、地方行政の対応、対外関係の変化などを通じて、習近平指導部の政策運営の方向性を見極める必要がある。ことに習近平批判を強めている長老たちの支持を得ている胡春華氏の動向から目が離せない。

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