国連が実際に主導力を発揮して中東を平和な地に変えることだ。それが出来ないなら、国連に存在意義など何もない。

<今年末で任期満了を迎える国連のアントニオ・グテレス事務総長が22日、国連総会の一般討論での最後の演説を行った。2期10年の間に深刻化した世界の分断に強く警鐘を鳴らし、国連主導で各国が協調する多国間体制の再構築を訴えた。

◇超大国批判
 グテレス氏は演説の冒頭で10年間を振り返り、「世界の亀裂は広がり続け、割れ目は峡谷と化した」と指摘した。任期中には、ロシアのウクライナ侵略や中東危機など多くの危機に直面した。だが、安全保障理事会は常任理事国の中国やロシアと米国の対立などから機能不全に陥っている。
 グテレス氏は人類にかつてない脅威が迫っているとし、「いかなる大国も単独で今日の課題を解決することはできない」と強調。覇権競争を繰り広げる米中に苦言を呈し、「超大国が、自らの力が決して超大ではないことを認識する」ことが平和や安定を取り戻す第一歩だと訴えた。安保理改革については、「現在の世界を反映していない」と批判し、アフリカ諸国の常任理事国入りを求めた。
 人工知能(AI)の危険性については、初めて臨んだ2017年の一般討論演説から警告してきた。今回の演説では、AIを人間を支配する「新たな権力」とし、安全措置や独立した監視体制など国際的なリスク管理を訴えた。気候変動を巡っては、ロシアのウクライナ侵略以降、大手石油会社が巨額の利益を得ていると批判。途上国が変動に適応するための資金が不足しているとし、「略奪を終わらせよう」と呼びかけた。

◇先行き見通せず
 グテレス氏が世界の連帯を求める一方、各国首脳の視線は、自国第一主義を掲げるトランプ米大統領に集まっており、国際秩序の先行きは見通せない状況だ。
 グテレス氏の後任の選出作業が進んでいるが、調査研究機関「国際危機グループ」国連担当のリチャード・ゴーワン氏は、「グテレス氏の退任後、米国やその他の主要国が国連の権威を損なうことを懸念している」としている。
 立候補していたチリのミチェル・バチェレ元大統領は19日、撤退を表明した。人工妊娠中絶の権利を擁護するなどリベラルな姿勢で知られ、米国が「懸念」を表明していたことが影響した可能性もある。バチェレ氏は「多国間主義といった原則に強い逆風が吹いている」と述べた>(以上「読売新聞」より引用)




 国連は「戦勝国」が世界平和のために設立した国際機関だ。しかし「国連安保理は機能不全、だが「いかなる大国も単独で課題解決はできない」…グテレス氏最後の演説で協調訴え」との見出しがあるように、国連安保理は「常任理事国の拒否権」設定により、機能不全に陥っている。
 国連が設立されて以後も、世界から戦争火が絶えたことはない。どれほどまで人類は戦争が好きなのだろうか。グテレス氏は「多国主義による国連改革」を訴え、アフリカからの常任理事国入りを求めた。しかし拒否権などの特権を有する常任理事国の存在を認めること自体が多国主義に反するのではないだろうか。

 現在、世界各地で戦争しているか、もしくは紛争を抱えている国の一方の当事者は常任理事国だ。つまり国連安全理事会で特権を有する国々が戦争や紛争の当事国になっている。それこそが世界平和のために設立された国連が機能していない証明ではないか。
 グテレス氏は安保理の構成国を常任理事五ヶ国と、それ以外の非常任理事国に分けていること自体が民主的でないと批判すべきではなかったか。すべての国の権利が平等であることが、世界平和に不可欠だ。台湾が中国の一部だとする中共政府の姿勢は決して世界平和に資するものではない。

 民族自決主義を掲げ、軍事力による国境線の変更を認めない、とするのが国連の基本理念なら、それに反する国に対して毅然として対処すべきではないか。なぜチベットやウィグル人の地やモンゴルを侵略支配している中国を常任理事国に迎え入れているのか。なぜウクライナに攻め込んだロシアを常任理事国のまま処遇しているのか。なぜイランを攻撃した米国を常任理事国に置いたままなのか。
 国連事務総長の権限がいかなるものか判然としないが、事務総長の仕事としては国連事務局の活動や職員を監督し総会や安全保障理事会など各機関から委託された任務を遂行する。また 国連憲章第99条で国際平和と安全の維持を脅かすと認める事項について、安全保障理事会の注意を促すことができる。そして 紛争当事者間の対話を促し、緊張緩和や平和的解決を図るための仲介外交(周旋)を行う、とされている。その報告として、 国連の活動状況に関する年次報告を総会に提出し、 経済社会理事会などの会合への出席や、行政調整委員会(ACC)の議長として国連システム全体の連携を調整する役目を帯びている。

 つまり国連の議事進行が主な役回りだ。それらを統括したところで世界平和に一歩たりともかづけない。その証拠にウクライナ戦争の停戦協議や斡旋でグテレス氏の名がニュースに出たことがあっただろうか。中東紛争でグテレス氏が中東諸国へ対話を促すべく当事国を訪問しただろうか。
 先ずは国連が「戦勝国クラブ」である限り、世界平和を希求する団体になることなどあり得ない。なぜなら先の大戦で勝利した国々が勝利によって手に入れた利権と国際秩序を守ろうとしているに過ぎないからだ。彼らの論理は明確だ。戦争は勝ちさえすれば全ては正当化される、という非情な勝者の論理を踏襲しているに過ぎない。

 国連の安保理に残っている「戦勝国クラブ」の残滓を一掃して、国連が世界の国々による世界平和を希求する国際機関になるために、常任理事国・非常任理事国といった国家間差別を一掃すべきだ。そした国連本部を世界の紛争地・中東へ移すべきだ。
 安全な地に米国のニューヨークに国連本部を置いて、平和にランチなど食べている連中に平和を希求する真摯な議論などできない。世界の元首などが訪れる地が紛争地域であってはならない、というのなら、国連が実際に主導力を発揮して中東を平和な地に変えることだ。それが出来ないなら、国連に存在意義など何もない。

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