高市氏を支えるのは特定のブレーンではない、国民の高い支持率だ。
<◇トランプ大統領も怒り出しかねない
米・ニューヨークで9月22日から行われる国連総会での一般討論演説。その準備を進める高市官邸には、重苦しい緊張感が漂っていた。
官邸は何としても、トランプ大統領との首脳会談を成功させたい意向だ。
同24日、トランプ大統領と中国の習近平国家主席によるワシントンでの首脳会談が予定されている。11月の中間選挙に向け「目に見える実利」を焦るトランプ氏が、台湾問題などで中国側に大幅な譲歩を見せるのではないか―官邸内にはそんな危機感が渦巻く。そうなる前に、米国にクギを刺すことはできないか。
だが仮に先んじて直接会えたところで、事態が好転する保証などどこにもない。政権の足元には、今年5月に露呈した「日米間の齟齬」が今も暗い影を落としている。
◇アメリカからすれば「円安が進み過ぎている」
都内の高級料亭で行われたスコット・ベッセント米財務長官と片山さつき財務相の会談。その席上、ベッセント氏は2時間以上にわたり、高市政権の経済政策に対する不満をぶちまけたという。
「なぜ日本銀行に独立性が与えられていないのか。なぜ首相の周辺には、円安のメリットばかりを説く経済顧問が侍っているのか」
ベッセント氏からすれば円安は進みすぎていた。それは日本のインフレを悪化させているだけでなく、彼のボスであり、かねてより「円安は米国の輸出企業に致命的な打撃を与える」と主張してきたトランプ氏にとっても、到底容認できない事態だった。
ベッセント氏が「円安の元凶」として指弾したのが、高市首相を支える「経済顧問」の存在だ。そう、高市氏の周囲を固めるのは、日米関係を揺るがしかねないような危ういブレーンたちなのだ。
◇批判のターゲットは利上げ慎重派の高橋氏
まず名前が挙がるのが、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏だ。大手経済紙デスクが説明する。
「ベッセント氏の批判が、高橋氏らをターゲットにしていたのは間違いない。財務省の認識としては『高市総理は威勢のいいことを言うが、財政規模も含めてこちらでうまくコントロールできている』というものでした。
ところが、高橋氏らがSNSやメディアで『利上げなど愚の骨頂』『円安にもメリットがある』などと好き放題に発信している。それが高市総理に伝わると受け取られ、市場に悪影響を与えています」
高橋氏はかつて不祥事で公の場から姿を消したが、ほとぼりが冷めた後に、大阪維新の会ブレーンなどとして復活。金融緩和を是とするリフレ派の経済学者として、財政再建派・緊縮派を舌鋒鋭く批判し、YouTubeでも驚異的な再生回数を叩き出す、「責任ある積極財政」を掲げる高市総理の参謀の一人だ。
◇本当に警戒を強めているのは「リフレ4人衆」
安倍晋三政権でも政策スタッフや内閣参事官を務め、アベノミクスの理論的支柱となった。元財務官僚で第二次安倍政権の内閣官房参与を務めた本田悦朗氏がこう証言する。
「私自身、高市さんが総理に就任する前は電話で意見交換することもありましたが、今では一切連絡をとっていません。一方で高橋さんは、総理と頻繁に電話協議を重ねているようです。彼は一貫して『利上げ慎重論』を唱える立場。ですが、ベッセントさんにしてみれば日本側に利上げを行わせ、日米金利差を縮小させたいのが本音。口を出さざるを得なかったのでしょう」
とはいえ、高橋氏は公的な役職に就いているわけではない。ベッセント氏が真に警戒を強めているのは、政権の中枢に陣取る「リフレ派ブレーン本隊」の存在だろう。
「高市さんに最も近いとされるのが、安倍政権下で日銀副総裁として異次元緩和を取り仕切った若田部昌澄氏です。高市さんは全幅の信頼を寄せている。その若田部氏と、第一ライフ資産運用経済研究所の永濱利廣氏の2名が、政府の経済政策の最高意思決定機関である『経済財政諮問会議』の民間議員として足元を固めています。
一方、高市政権の看板である成長戦略の司令塔『日本成長戦略会議』には、PwCコンサルティングの片岡剛士氏(元日銀審議委員)やクレディ・アグリコル証券の会田卓司氏が名を連ねる。彼らこそが、高市積極財政の理論的支柱を成す『リフレ派4人衆』です」(旧安倍派中堅議員)
◇「責任ある積極財政」を推し進める背景
高市官邸は彼らを総結集させ、財務省が長年命綱にしてきたプライマリーバランス単年度黒字化目標を撤廃し、代わりに政府債務残高の対GDP比を安定的に低下させることを目標に据えた。借金を恐れずに国費を投じる「責任ある積極財政」を前面に打ち出したのである。
だが、このリフレ政策により、ベッセント財務長官の怒りを買ったうえ、物価高騰で国民生活も日増しに苦しさを増している。彼らがリスクを冒してまで積極財政を推し進めようとするのはなぜか。「4人衆」の一人である永濱氏は、本誌の取材にこう語っていた。
〈これまでは西側諸国を中心に、いわゆる新自由主義に基づいて、できるだけ国が関与せずに規制緩和などを促進して民間の競争に任せるという方針でやってきました。
ところが、中国が国家主導の産業政策を強力に推進し、西側諸国の技術をキャッチアップして、経済的にも軍事的にも脅威になってしまいました。このため、ある程度は国が産業政策を主導しなければいけないということが世界的な潮流になっています〉('26年1月19日号)
かつて欧米の新自由主義者たちは「民間企業に任せて規制を緩和すれば、自然と経済は成長する」と説いてきた。しかし、その思想は中国の国家主導モデルの前に揺らいでいる。
そこで日本でも、国が旗を振る産業政策が見直されるようになった。
◇色濃く残る安倍元総理の影響
「これを推進したのが安倍政権でした。経産省を重用して国家主導の産業政策へと舵を切ったのです」(前出・経済紙デスク)
さらに、安倍政権は「中国の台頭」を受けて、大胆な外交政策に打って出る。
「安倍総理は中国に対抗するため、『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』を提唱し、米国やアジア有志国とともに、強靭なサプライチェーン網の構築を目指した。当時、総合外交政策局長を務めた秋葉剛男氏(現・内閣特別顧問)が立案に関わり、外務省の後輩である市川恵一氏が実務を取り仕切った。高市氏が自身の政権で市川氏を国家安全保障局(NSS)のトップに迎え、秋葉氏を内閣特別顧問として重用するのは、まさにこの安倍路線を踏襲するためでした」(旧岸田派中堅議員)
安倍政権は産業政策と外交政策を一体化させ、運用するための素地を作った。これが、今の「経済安全保障」戦略へ繋がっていく。
「先端半導体やAIなどを安全保障に関わる重要技術として、国が全面的に支援する。そして、サプライチェーンを強靭化し、同盟国との連携を強化する。
この構想を牽引したのが甘利明元幹事長でした。高市氏は岸田政権の政調会長時代、当時幹事長だった甘利氏から経済安保の重要性を叩き込まれた。甘利氏といえば小林鷹之政調会長の後ろ盾として知られるが、実は高市氏も甘利氏を『兄貴』と呼んで慕っています」(前出とは別の旧安倍派中堅議員)
つまり財政においても、経済対策においても、そして安全保障においても、高市早苗という政治家はまさにこの安倍元総理の路線をそのまま継承しようとしているのである。
◇高市氏に欠けている「司令塔」の存在
だが、見た目は同じでも、決定的に欠けているものがある。官邸全体を俯瞰し、戦略を描く「司令塔」の存在だ。
安倍政権時代、官邸主導の巨大な車輪を回していたのは、首相秘書官を務めた今井尚哉氏をはじめとする官邸官僚だった。
そして、その背景には、故・葛西敬之氏(JR東海名誉会長)ら、明確な国家観を持つ財界重鎮たちのバックアップが存在した。
高市氏も、その成功体験をなぞろうとしている。政権発足にあたり、今井氏を内閣官房参与に据え、同氏の推薦で元経産事務次官の飯田祐二氏らを首相秘書官に引き入れたのはその証左だ。
だが、ただ器を整えただけでは機能しない。障害となっているのは、コミュニケーションを拒み、孤立を深める高市総理の政治スタイルだ。
◇高市氏は「独断専行」タイプ
「高市さんは執務室に籠もり、タバコをくゆらせながら一人で資料を読み込み、官僚に相談することなく独断で決定を下すスタイルです。『すべて自分一人でやれる』と思い込んでいる。だから全体像が見えず、細部の各論にばかり足を取られ、せっかく集めた人材を全く使いこなせていない」(旧安倍派議員秘書)
この「独断専行」には、安倍政権の懐刀だった今井氏すら匙を投げつつあるという。全国紙政治部デスクが言う。
「ナフサの供給問題を巡る対応で高市氏と意見が対立して以来、2人の間には深い溝ができてしまった。今井さんは『今の総理に何を助言しても無駄だ』と完全に距離を置いています」
司令塔を失った官邸で、高市氏の判断をさらに先鋭化させているのが「SNS依存」だ。内閣広報官の佐伯耕三氏がネット番組やSNSの世論動向を分析して、高市氏に報告を上げているという。だが、ネットの反響に依存する政治は、容易にポピュリズムへと傾斜する。
◇そして尖ったブレーンしかいなくなった
「国家の長期戦略としての整合性が完全に欠落してしまう。結果として打ち出される政策は、『ウケ狙いのバラマキ』になっているわけです」(前出・政治部デスク)
アベノミクスは、デフレ脱却という明確な時代的要請と、産業政策・安全保障を重視する戦略が嚙み合っていた。しかし、国民がインフレに苦しむいま、同じ手法をトレースしようとする高市政権の姿は、安倍氏の幻にあやかる「人気取り」としか映らない。
そしてその周囲には、都合の良い「バズる理論」を提供してくれる極端なブレーンばかりが残された。本当にこれで大丈夫なのだろうか。>(以上「週刊現代」より引用)
米・ニューヨークで9月22日から行われる国連総会での一般討論演説。その準備を進める高市官邸には、重苦しい緊張感が漂っていた。
官邸は何としても、トランプ大統領との首脳会談を成功させたい意向だ。
同24日、トランプ大統領と中国の習近平国家主席によるワシントンでの首脳会談が予定されている。11月の中間選挙に向け「目に見える実利」を焦るトランプ氏が、台湾問題などで中国側に大幅な譲歩を見せるのではないか―官邸内にはそんな危機感が渦巻く。そうなる前に、米国にクギを刺すことはできないか。
だが仮に先んじて直接会えたところで、事態が好転する保証などどこにもない。政権の足元には、今年5月に露呈した「日米間の齟齬」が今も暗い影を落としている。
◇アメリカからすれば「円安が進み過ぎている」
都内の高級料亭で行われたスコット・ベッセント米財務長官と片山さつき財務相の会談。その席上、ベッセント氏は2時間以上にわたり、高市政権の経済政策に対する不満をぶちまけたという。
「なぜ日本銀行に独立性が与えられていないのか。なぜ首相の周辺には、円安のメリットばかりを説く経済顧問が侍っているのか」
ベッセント氏からすれば円安は進みすぎていた。それは日本のインフレを悪化させているだけでなく、彼のボスであり、かねてより「円安は米国の輸出企業に致命的な打撃を与える」と主張してきたトランプ氏にとっても、到底容認できない事態だった。
ベッセント氏が「円安の元凶」として指弾したのが、高市首相を支える「経済顧問」の存在だ。そう、高市氏の周囲を固めるのは、日米関係を揺るがしかねないような危ういブレーンたちなのだ。
◇批判のターゲットは利上げ慎重派の高橋氏
まず名前が挙がるのが、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏だ。大手経済紙デスクが説明する。
「ベッセント氏の批判が、高橋氏らをターゲットにしていたのは間違いない。財務省の認識としては『高市総理は威勢のいいことを言うが、財政規模も含めてこちらでうまくコントロールできている』というものでした。
ところが、高橋氏らがSNSやメディアで『利上げなど愚の骨頂』『円安にもメリットがある』などと好き放題に発信している。それが高市総理に伝わると受け取られ、市場に悪影響を与えています」
高橋氏はかつて不祥事で公の場から姿を消したが、ほとぼりが冷めた後に、大阪維新の会ブレーンなどとして復活。金融緩和を是とするリフレ派の経済学者として、財政再建派・緊縮派を舌鋒鋭く批判し、YouTubeでも驚異的な再生回数を叩き出す、「責任ある積極財政」を掲げる高市総理の参謀の一人だ。
◇本当に警戒を強めているのは「リフレ4人衆」
安倍晋三政権でも政策スタッフや内閣参事官を務め、アベノミクスの理論的支柱となった。元財務官僚で第二次安倍政権の内閣官房参与を務めた本田悦朗氏がこう証言する。
「私自身、高市さんが総理に就任する前は電話で意見交換することもありましたが、今では一切連絡をとっていません。一方で高橋さんは、総理と頻繁に電話協議を重ねているようです。彼は一貫して『利上げ慎重論』を唱える立場。ですが、ベッセントさんにしてみれば日本側に利上げを行わせ、日米金利差を縮小させたいのが本音。口を出さざるを得なかったのでしょう」
とはいえ、高橋氏は公的な役職に就いているわけではない。ベッセント氏が真に警戒を強めているのは、政権の中枢に陣取る「リフレ派ブレーン本隊」の存在だろう。
「高市さんに最も近いとされるのが、安倍政権下で日銀副総裁として異次元緩和を取り仕切った若田部昌澄氏です。高市さんは全幅の信頼を寄せている。その若田部氏と、第一ライフ資産運用経済研究所の永濱利廣氏の2名が、政府の経済政策の最高意思決定機関である『経済財政諮問会議』の民間議員として足元を固めています。
一方、高市政権の看板である成長戦略の司令塔『日本成長戦略会議』には、PwCコンサルティングの片岡剛士氏(元日銀審議委員)やクレディ・アグリコル証券の会田卓司氏が名を連ねる。彼らこそが、高市積極財政の理論的支柱を成す『リフレ派4人衆』です」(旧安倍派中堅議員)
◇「責任ある積極財政」を推し進める背景
高市官邸は彼らを総結集させ、財務省が長年命綱にしてきたプライマリーバランス単年度黒字化目標を撤廃し、代わりに政府債務残高の対GDP比を安定的に低下させることを目標に据えた。借金を恐れずに国費を投じる「責任ある積極財政」を前面に打ち出したのである。
だが、このリフレ政策により、ベッセント財務長官の怒りを買ったうえ、物価高騰で国民生活も日増しに苦しさを増している。彼らがリスクを冒してまで積極財政を推し進めようとするのはなぜか。「4人衆」の一人である永濱氏は、本誌の取材にこう語っていた。
〈これまでは西側諸国を中心に、いわゆる新自由主義に基づいて、できるだけ国が関与せずに規制緩和などを促進して民間の競争に任せるという方針でやってきました。
ところが、中国が国家主導の産業政策を強力に推進し、西側諸国の技術をキャッチアップして、経済的にも軍事的にも脅威になってしまいました。このため、ある程度は国が産業政策を主導しなければいけないということが世界的な潮流になっています〉('26年1月19日号)
かつて欧米の新自由主義者たちは「民間企業に任せて規制を緩和すれば、自然と経済は成長する」と説いてきた。しかし、その思想は中国の国家主導モデルの前に揺らいでいる。
そこで日本でも、国が旗を振る産業政策が見直されるようになった。
◇色濃く残る安倍元総理の影響
「これを推進したのが安倍政権でした。経産省を重用して国家主導の産業政策へと舵を切ったのです」(前出・経済紙デスク)
さらに、安倍政権は「中国の台頭」を受けて、大胆な外交政策に打って出る。
「安倍総理は中国に対抗するため、『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』を提唱し、米国やアジア有志国とともに、強靭なサプライチェーン網の構築を目指した。当時、総合外交政策局長を務めた秋葉剛男氏(現・内閣特別顧問)が立案に関わり、外務省の後輩である市川恵一氏が実務を取り仕切った。高市氏が自身の政権で市川氏を国家安全保障局(NSS)のトップに迎え、秋葉氏を内閣特別顧問として重用するのは、まさにこの安倍路線を踏襲するためでした」(旧岸田派中堅議員)
安倍政権は産業政策と外交政策を一体化させ、運用するための素地を作った。これが、今の「経済安全保障」戦略へ繋がっていく。
「先端半導体やAIなどを安全保障に関わる重要技術として、国が全面的に支援する。そして、サプライチェーンを強靭化し、同盟国との連携を強化する。
この構想を牽引したのが甘利明元幹事長でした。高市氏は岸田政権の政調会長時代、当時幹事長だった甘利氏から経済安保の重要性を叩き込まれた。甘利氏といえば小林鷹之政調会長の後ろ盾として知られるが、実は高市氏も甘利氏を『兄貴』と呼んで慕っています」(前出とは別の旧安倍派中堅議員)
つまり財政においても、経済対策においても、そして安全保障においても、高市早苗という政治家はまさにこの安倍元総理の路線をそのまま継承しようとしているのである。
◇高市氏に欠けている「司令塔」の存在
だが、見た目は同じでも、決定的に欠けているものがある。官邸全体を俯瞰し、戦略を描く「司令塔」の存在だ。
安倍政権時代、官邸主導の巨大な車輪を回していたのは、首相秘書官を務めた今井尚哉氏をはじめとする官邸官僚だった。
そして、その背景には、故・葛西敬之氏(JR東海名誉会長)ら、明確な国家観を持つ財界重鎮たちのバックアップが存在した。
高市氏も、その成功体験をなぞろうとしている。政権発足にあたり、今井氏を内閣官房参与に据え、同氏の推薦で元経産事務次官の飯田祐二氏らを首相秘書官に引き入れたのはその証左だ。
だが、ただ器を整えただけでは機能しない。障害となっているのは、コミュニケーションを拒み、孤立を深める高市総理の政治スタイルだ。
◇高市氏は「独断専行」タイプ
「高市さんは執務室に籠もり、タバコをくゆらせながら一人で資料を読み込み、官僚に相談することなく独断で決定を下すスタイルです。『すべて自分一人でやれる』と思い込んでいる。だから全体像が見えず、細部の各論にばかり足を取られ、せっかく集めた人材を全く使いこなせていない」(旧安倍派議員秘書)
この「独断専行」には、安倍政権の懐刀だった今井氏すら匙を投げつつあるという。全国紙政治部デスクが言う。
「ナフサの供給問題を巡る対応で高市氏と意見が対立して以来、2人の間には深い溝ができてしまった。今井さんは『今の総理に何を助言しても無駄だ』と完全に距離を置いています」
司令塔を失った官邸で、高市氏の判断をさらに先鋭化させているのが「SNS依存」だ。内閣広報官の佐伯耕三氏がネット番組やSNSの世論動向を分析して、高市氏に報告を上げているという。だが、ネットの反響に依存する政治は、容易にポピュリズムへと傾斜する。
◇そして尖ったブレーンしかいなくなった
「国家の長期戦略としての整合性が完全に欠落してしまう。結果として打ち出される政策は、『ウケ狙いのバラマキ』になっているわけです」(前出・政治部デスク)
アベノミクスは、デフレ脱却という明確な時代的要請と、産業政策・安全保障を重視する戦略が嚙み合っていた。しかし、国民がインフレに苦しむいま、同じ手法をトレースしようとする高市政権の姿は、安倍氏の幻にあやかる「人気取り」としか映らない。
そしてその周囲には、都合の良い「バズる理論」を提供してくれる極端なブレーンばかりが残された。本当にこれで大丈夫なのだろうか。>(以上「週刊現代」より引用)
「ベッセント米財務長官の激怒も仕方なし…「高市政権の経済ブレーン」が危なっかしすぎて」との見出しに唖然とする。日本のオールドメディアは日本国民利益のために存在しているのか、それとも日本政府批判して発行部数を獲得するためにだけ存在しているのか。
ベッセント氏が激怒しようがすまいが、日本の国益のために何の関係があるというのだろうか。日米為替相場を理由に、米国が日米同盟関係を解消することなど決してない。そんなわかり切ったことで日本政府が何をアタフタする必要があるだろうか。
高市政権は「責任ある積極財政」経済政策を打ち出して、日本経済を地から強く成長させることが至上命題だ。そのためには異次元金融緩和こそが必須条件だ。なぜなら政府がいかに積極財政を打ち出しても、政府投資として使える金額は知れているからだ。なにしろ予算総額ですら120兆円規模でしかない。
それに比して、日本のGDPは640兆円もある。企業が抱える内部留保は2025年度末時点で654兆8228億円となり、14年連続で過去最高を更新している。それ全額が企業投資に回せるわけではないが、その10%でも投資に回れば政府の積極予算を軽く上回る。つまり企業投資を誘発するための呼び水が政府投資なのだ。
その企業投資意欲を削ぐのが日銀の金利引き上げだ。為替相場が円安に振れたところで日本国民には殆ど関係ない。もちろん輸入物価がそれなりに値上がりするが、日本経済が貿易に依存している割合は極めて低い。その輸入物価が数%上昇したところで十数%の数%ほど上昇することだから、国内消費者物価に与える影響は極めて少ない。
だから消費者物価の上昇率が依然として落ち着いているのはそのためだ。円安で騒ぎ立てていたオールドメディアは別の理由から騒いでいたと見るべきだ。それは米国の金利上昇が円安へと誘導していたことから、金利を引き上げれば為替相場が円高へ触れる、と金利政策の効用に着眼してのことではないか。つまりオールドメディアは高市政権の経済成長政策を邪魔する、財務省のポチとしての使命を果たしていたとみられる。
高市政権の経済ブレーンがいなくなった、と最終章で述べているが、経済成長政策に特定のブレーンなどは不要だ。経済学の教科書を紐解けば、どの教科書にも経済成長政策のイロハが記述してある。高市氏が神戸大学経営学部卒なら、彼女は経済学の基礎を充分に学んでいる。ことさら経済ブレーンなどいなくても成長戦略を立案するのに困ることなどない。
だから高市氏は財務官僚の洗脳レクチャーを撥ね退けて「責任ある積極財政」という、従来の「緊縮・増税」経済政策から大転換経済政策を打ち出したのではないか。もっとも、本年度予算は前任者・石破氏が編成したものだ。だから高市経済戦略が本格的に動き出すのは2027年度予算からだ。その前に高市政権を潰そうと、財務官僚はあらゆる手を使って高市経済成長戦略を潰そうとしている。しかし国民が高市政権を支持している限り、高市氏が掲げる成長する経済戦略が頓挫することはない。高市氏が頼りとしているのは、まさしく国民の高い支持率だ。